躁病の特徴,症状とは

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している、公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「躁病」についてです。当コラムでは躁病を基礎から一通り解説していきます。目次は以下の通りです。

①躁病とは何か
②躁病の症状
③躁病の分類
④治療方法

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。

躁病の特徴

意味

躁病とは、気分が高揚した躁状態が続くものです。思考も速くなり考えが次から次へと浮かび、行動も衝動的な行動が目立ちます。躁病だけの症状はあまりなく、抑うつの症状も見られることが多いです。そのため、双極性障害に含まれ、躁状態の程度や抑うつが含まれるかどうかで分類が変わってきます。

年齢・有病率

発病は25,26歳頃までが多いといわれています。抑うつ症状も含まれる双極性障害での有病率は0.4~0.7%といわれています。うつ病では3~7%の有病率に比べると少ないです。また、男女差はあまりないとされています。

原因

遺伝的要因が大きいことがわかっています。躁病エピソードを示す双極Ⅰ型障害では、一卵性の双子で約89%の発症率を示しているとも言われています。

また、脳内の神経伝達物質の異常も指摘されています。脳内のドーパミンの過剰分泌によって、気分の高揚などの躁状態になると考えられていたり、ノルアドレナリンの機能亢進なども指摘されています。しかし、うつ病よりも正確なメカニズムはわかっていないことが多いです。

 

躁病の症状

観念奔逸

観念奔逸とは躁病に特有のものです。次から次へと新しい考えが浮かんでくる症状です。浮かんでくる考えは、制御することが難しいです。思考は速いですが、目標が変わりやすく表面的でまとまりのない内容が多いです。

精神運動興奮

精神運動興奮とは、多弁・多動でじっとしていることができず、絶えず活動的で落ち着きがない行動の障害です。例えば、夜どうしで書き物を続ける、昼夜問わず頻繁に外出をする、他人に干渉的になる、などの行動がみられます。

睡眠障害

身体症状として、睡眠障害はほぼ必発するといわれています。わずかな時間しか眠らなくても苦痛は感じません。例えば、3時間しか眠らなくても十分休息を取ったと感じます。そのため、早朝から活動を開始したり、夜中まで起きているなど睡眠への欲求が減っていきます。

 

躁病の分類

躁病エピソード

躁病エピソードとは気分の高揚を中心とした、躁状態の症状で構成されたものです。双極性障害のⅠ型の診断に必要なものです。

躁病エピソードには以下のような症状があります。

・気分が異常かつ長い時間高揚する
・誇大な自尊心
・睡眠の減少
・多弁
・注意散漫

などの症状が1週間続くことが特徴です。

軽躁病エピソード

軽躁病エピソードとは躁病エピソード同様、躁状態の症状で構成されたものです。

躁病エピソードと同じ症状ではありますが、躁病エピソードよりも軽いものです。社会的、職業的にも大きな障害を引き起こしてはいません。軽躁病エピソードは4日間続くことが特徴です。

 

躁病の治療

躁病は様々な原因が関連しています。そこで治療するには様々な手法を組み合わせていく必要があります。当コラムでは、以下の6つを紹介します。

①薬物療法
②心理教育
③認知行動療法
④社会リズム療法
⑤入院治療
⑥制度の利用

情緒不安定の改善方法

 

①薬物療法

躁病は脳内物質の乱れによって起こることがわかっています。脳内物質の乱れを自力で治すのは非常に難しいです。そのため、躁病では、お医者様と二人三脚で、個人にあったお薬の種類や量を探していくことが基本になります。躁病エピソードへの治療には気分安定薬が有効であるとされています。以下の2つはおさえておきましょう。

日本うつ病学会の双極性障害治療ガイドラインでは「最も推奨される治療」としてリチウムがあげられています。リチウムは、躁病エピソードと抑うつエピソードの両方に対する予防効果が期待できるとされています。

副作用としては、口渇、多飲、多尿、細かい震え、吐き気、胃部不快感、食欲不振、下痢などがみられることもあります。

カルバマゼピンとバルプロ酸は抗てんかん薬に含まれます。この抗てんかん薬は気分安定効果もあるとされ、躁病エピソードにも使用されています。作用としては、脳の神経を静めて、気分の高ぶりを抑えていきます。

副作用としては、眠気、めまい、ふらつき、倦怠感、脱力感、口の渇きなどがあります。

 

②心理教育

躁病は、病気の基礎知識をおさえ、自分自身の症状の傾向を理解していくことがとても大事です。心理教育は、公認心理師とのカウンセリング、精神科のデイケア、書籍などで行われることが多いです。具体的には以下のような形で行われます。

疾患と治療法について知識を学ぶ
ストレスを予測し対策を立てる
気分状態を自覚できるようになる
再発の初期兆候を知り家族等と共有

また、専門家から学ぶだけでなく、自分自身で積極的に学ぶことも大事です。本を読んだり、当事者の動画を見ることが大事になってきます。

 

③認知行動療法

認知行動療法は様々な心理学のエッセンスが盛り込まれた心理療法です。認知行動療法は大きく分けると3つの分野があります。

・認知療法
思考の歪みを発見し、柔軟にしていく手法です。考え方が偏りやすく、極論してしまう方におススメです。認知療法を学ぶと気分の波を緩やかにすることができます。

・行動療法
行動療法は行き過ぎた行動を修正する練習をする手法です。例えば、うつ状態のときは引きこもりがちになってしまう方がいますが、とりあえず散歩だけはしてみるなど、実生活の改善のノウハウがつまった手法です。

・マインドフルネス
マインドフルネスは気分に流される状態を客観的に冷静に観察する手法です。感情の赴くまま行動してしまう方におススメの療法です。

詳しく学習したい方はこちらの認知行動療法コラムを参考にしてみてください。私がしっかり解説させて頂きました。

 

④社会リズム療法

社会リズム療法は、良好な人間関係を築く手法を学ぶことで、躁病から派生する対人関係の問題を緩和していく手法です。対人関係療法とも言われます。特徴は以下の通りです。

過去ではなく現在の人間関係を扱う
精神内界ではなく対人関係を扱う
パーソナリティは治療の焦点にはしない

社会リズム療法を学ぶと、人間関係のストレスが改善され、感情の揺れ動きを安定させる効果があります。書籍もたくさん販売されているので参考にしてみてください。なお弊社の講座でも対人関係療法に近いワークを実施しています。社会復帰の時期や、予防をしたい場合にご活用ください。

人間関係講座

 

⑤入院治療

躁病の症状が深刻で生活がままならない場合は、入院をして集中的な治療をすることもあります。入院治療の必要なケースは

日常生活が成りたたない
暴力など他者を傷つける恐れがある
自傷、自殺など自身の生命の危険の恐れがある

などのケースが考えられます。場合によっては、本人が抵抗してスムーズな入院治療が難しいことがあります。その場合は、家族の同意が得られれば入院治療が進むことがあります。これは医療保護入院と呼ばれます。入院後は、薬物療法や心理療法を基本としながら、生活リズムを整え、社会復帰を目指していくことになります。

 

⑥制度の利用を考える

躁病は一発で全快するというより長い時間をかけて、うまく付き合いながらコントロールしていく心の病気です。長い時間かかりそうな場合は国の制度も利用してみましょう。

精神障害者保健福祉手帳
各種割引が受けられる手帳です。医療費が安くなる、交通機関を安く利用できるなどのメリットがあります。

精神障害者保健福祉手帳の手引き


相談支援事業
相談支援事業は生活全般についてのあらゆる相談に乗ってくれる支援事業です。専門の支援員がついてくれるので物理的にも精神的にも大きな心の支えになってくれます。是非利用してみてください。

相談支援事業


障害者就労支援
症状が長引いたとしても、仕事を続けたい方はたくさんいます。この時、一般企業にいきなり就職すると負担が大きすぎたり、理解を得られず悪化してしまことがあります。障害者就労支援では、症状に理解する支援員のもと、仕事を続ける制度です。

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気分障害,回復,MiMi様作成

 

コミュニケーション講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元で、心理療法や健康的な人間関係の築き方を学んでみたい方は、私たちが開催している講座をオススメしています。講座では

・認知行動療法の基礎
・感情のコントロール法
・アンガーマネジメント
・人間関係の心理学の学習

など練習していきます。筆者も講師をしています♪皆様のご来場をお待ちしています。↓興味がある方は下記のお知らせをクリックして頂けると幸いです↓

コミュニケーション講座,心理療法の学習

 

 

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連