適応障害とは何か

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「適応障害」です。適応障害についての基礎知識と治療方法を解説しました。適応障害の理解を深めて、症状の改善に役立ていただけたらうれしいです。目次は以下の通りです。

①適応障害とは
②適応障害の特徴
③適応障害とうつ病の違い
④深刻な影響
⑤7つの治療方法

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に、特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。動画にもまとめています。参考にしてみてくださいね♪

以下の動画を参考にしてみてください。

 

①適応障害とは

定義

適応障害は、次のように定義されています。

特定の状況や出来事がつらく耐えがたく感じられ、気分、行動、身体に深刻な影響がある精神障害

これだけだと抽象度が高いため、具体例を見ていきましょう。

適応障害の例

典型的には次のような状況で適応障害になる例があります。

職場
・上司に怒られ続ける
・残業が多すぎる

子育て
・夜泣きがひどくて寝れない
・ワンオペで負担が多き過ぎる

天災
・コロナが怖くて外出ができない
・地震で生活環境が変わりストレスを溜める

病気
・大きい病気に罹った
・余命を宣告された

などのケースが挙げられます。例えば癌患者では30%、エイズ患者では20%程度が適応障害と診断された統計もあります。

生きていれば、嫌なできごであったり、すごく落ち込んだり、辛い思いをすることは誰でも経験したことがあると思います。裏を返せば適応障害は誰しもかかりうる身近にある精神疾患といって過言ではないのです。

②適応障害の特徴

適応障害には以下の特徴があります。

ストレスから3か月以内に発症

適応障害は、つらく耐えがたい出来事が明確にある場合、そのストレス要因から3ヵ月以内に症状が現れます。そしてその症状が、日常生活に深刻な支障をきたしている場合に適応障害と診断されます。

通常の苦痛を超えている

一般的な苦痛を明らかに超えた状態は適応障害となります。例えば、転職した時には、誰しも緊張して不安になり「ヤダな行きたくないなあ」と感じることはあります。これは健康的な状態です。一方で日曜日の夜になると絶望感が襲ってくる、前日まったく眠れない、涙もろくなる、このような状態は、適応障害の診断基準に入ってきます。

6か月以内に回復

適応障害は、ストレスが原因となる疾患のため、ストレスから離れるとすぐに症状が回復する方も多いです。ストレス要因がなくなってから6か月くらいを目安に症状は回復すると考えられています。

有病率2%~8%

適応障害の有病率は、精神疾患の中でもかなり高い割合といえます。適応障害はだれしもがかかりうる病気の一つです。

③適応障害とうつ病の違い

適応障害はうつ病との違いを知ると理解が深まります。以下は「適応障害」「うつ病」の2つを対比させた図です。

適応障害とうつ病の比較

ストレス

適応障害には明確なストレスがあります。そのため、ストレス要因から離れれば症状は回復します。一方で、うつ病は脳の問題が大きいため、ストレス要因が無くても発症することがあります。

脳の問題

適応障害は比較的小さいと言われています。うつ病は、脳の機能的な問題があるため、脳の問題は大きいとされています。

薬の効き目

適応障害はあくまでストレスが原因になっているため、比較的小さいと言われています。一方でうつ病は、神経伝達物質の乱れが大きいな要因になるため、安定させる薬が効きやすいです。

休日

適応障害の人は、ストレス要因から離れている時は楽しいです。一方でうつ病の人は、常につらい状況が続きます。

うつ病について理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

うつ病の治療方法

 

④深刻な影響

適応障害になると心と体に様々な症状が表れます。

抑うつ

抑うつが強くなります。抑うつとは、元気がない、無気力な状態です。ある特定の環境で、気分が沈みがちな場合には注意が必要です。

不安感

嫌な出来事が迫ってくると不安が大きくなり、心配事が頭から離れない状態になります。

身体

頭痛・不眠・食欲不振・倦怠感など、身体にも症状が出てきます。

行動異常

判断力や思考力が低下し、以前はできていた作業の能率が悪くなる傾向があります。イライラして、デスク周りが散らかるなどの症状がみられることもあります。

 

⑤7つの治療方法

①環境を変える

ストレス要因から離れられるよう環境を変えます。例えば、残業で毎日11時くらいまで会社で働いていたとします。会社や上司に伝えて、負担を減らして残業を減らすようにします。上司とおりが合わない場合には、配置転換などを主張していきましょう。

②過剰適応NG

適応障害になってしまった方は、過剰適応というワードを必ず抑えましょう。過剰適応とは、

環境に必要以上に適応しようと努力し、自分らしさを失う状態

です。適応障害の方には、過剰適応が多く見られます。特に責任感が強い人、真面目で完璧主義な人は、環境に適応しようと努力しすぎてしまい、心の負担が大きくなりすぎてしまいます。必要以上に適応しないことが大切です。

過剰適応の特徴と対策

③限界設定

限界設定をするようにしましょう。限界設定とは「ここまではOK、ここからはNG」という線引きのことです。例えば、残業が多ければ、残業時間は「19時まではOK、19時以降はNG」と線引きをします。具体的な数字で設定すると行動がしやすくなります。限界設定をしたら、あらかじめ周囲に宣言しておいた方いいです。宣言することには勇気が必要ですが、自分の身を守るために限界設定を守ること大事にしてください。限界設定のやり方は、以下のコラムを参照ください。

限界設定のやり方

④アサーティブ

アサーティブな力を付けていきましょう。先ほど、限界設定をして主張すべきは主張しましょうとお話ししました。とはいえ、宣言するのには勇気がいるものです。アサーティブトレーニングは、別名主張練習とも言われています。「言いたいことがあっても言えない」「いつも相手の顔色を窺ってしまう」このような人に、おススメのトレーニングです。いろいろな練習方法がありますが、ここでは、人間関係を大事にしながら主張する練習をしてみましょう。

例えば、残業をへらしてほしい場合、次のように主張したとします。

残業はもう嫌です!定時に帰りますから!

主張はできていますが、過度のたつ言い方になっているため人間関係を崩してしまう可能性が高いです。そこで次のように主張してみてたらどうでしょうか。

最近体調が悪くミスが増えています。しっかり休んで精度を上げてミスを減らしたいです!

先ほどと同じ主張をしていますが、柔らかい言い方になっているため人間関係が崩れることは無いでしょう。アサーティブコミュニケーションは、主張をしながら良好な人間関係を保つことできるため、その後の主張もしやすくなります。詳しくは、以下のコラムを参照ください。

アサーティブコミュニケーションの練習方法

⑤助けを求める

適応障害になりやすい人は、責任感が強いため自分でいろいろなことをしょい込んでしまいがちです。困った時には、お互い様です。苦しい時には、周囲に助けを求めるようにしましょう。周囲からの支援を「ソーシャルサポート」と言います。ソーシャルサポートの増やし方については、以下のコラムを参照ください。

ソーシャルサポートを増やす方法

⑥コーピング力

コーピング力は、別名ストレ―スコーピングといいます。コーピング力は、悩みがあった時、困った時に乗り越えるためのさまざまな手法で学びます。例えば、問題解決力をつける、感情のコントロール力をつけるなどが挙げられます。ストレスコーピングについては、以下のコラムを参照ください。

ストレスマネジメント コラム

⑦リワークの利用

適応障害になると、仕事を休むこともあります。職場復帰する前には、リワークの支援が活用できることも抑えておきましょう。リワークは大きく分けて3つあります。

3つのリーワーク、比較

引用:日本うつ病リワーク協会

 

精神科や心療内科のクリニックで実施しているリーワクです。別名 デイケアともいいます。適応障害と診断された方で、ある程度回復をした時に「リワークを使いたい」とドクターに相談すれば紹介をしてもらえます。具体的には週4回程度、復職用レッスンを受けたり、公認心理師など心理学の専門家によるエクササイズなどを行い、仕事復帰に向け日常生活を整えていきます。

障害者職業センターが行っているリワークです。障がい者職業センターは、各都道府県に1か所はあり適応障害の診断がある人は受ける事ができます。医療リワークと比べて、職リハリワークは仕事寄りの研修が多いです。職場復帰に向けたトレーニングを数か月にわたり受ける事もできるため、復職がすぐには難しい場合にもおすすめです。

大企業の場合、従業員の心理的支援をするEAP(従業員支援プログラム)を企業内に導入しているケースが多くなってきました。人事などに相談すると利用がしやすいと思います。適応障害になった場合には、抱え込まずに企業に理解を求めていくことも大切です。

 

まとめ

最後に、これまで「適応障害」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました。適応障害はストレス因がはっきりしている分、比較的対処がしやすい精神疾患です。自分を守るために過剰適応せず、限界設定をして主張すべきは主張をするということを是非大事にしてみてください。

 

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