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不安神経症とは?症状や良くする3つの方法

不安神経症とは?症状や良くする3つの方法①

臨床心理士の森です。普段は主に精神疾患を抱える方に心理検査やカウンセリングを行う仕事をしています。本コラムでは、「不安神経症」について詳しく解説していきます。

  • 不安神経症とは?
  • 発症する人は多い!?
  • パニック障害との違い
  • 9つの身体症状
  • 回復しにくい条件とは?
  • 診断・チェック
  • 症状を改善する3つの方法

しっかりと原因と対策についてお伝えしたいので、読むのに全部で8分ほどかかります。ちょっと大変ですが、ぜひお付き合いください。

不安神経症とは?

不安神経症は、言葉のイメージから想像できるように、漠然とした不安がついて回り、生活に支障が出る状態のことを指します。

現在は診断名としては使われていない言葉ですが、現在使われている診断名で言うと、全般性不安障害やパニック障害のことを表しています。

心理学的に不安とは
明確な対象のない恐怖
と定義することができます。

つまり、とりとめもなく、なんとなく、漠然と感じる恐怖感のことです。こうした不安のために仕事や日常生活に支障をきたしている場合、もしかしたら不安神経症かもしれません。

実は不安神経症はかかる人は、少なくありません。

不安神経症にかかる人は多い?

川上ら(2006)の疫学調査では、全般性不安障害の12か月有病率は0.86であったと報告しています。

これを日本の20歳以上人口にあてはめると、過去12か月に86万人が全般性不安障害を経験したことになるのです。また、パニック障害は一生のうちで全人口の2~3%の人が発症すると言われています。

このように、不安神経症は珍しいものではないのです。

ここで全般性不安障害とパニック障害について、それぞれ簡単に解説したいと思います。

全般性不安障害とパニック障害の違い

全般性不安障害とは、
「“過剰な不安”と“特定のテーマに限局されない心配(予期憂慮)”がほとんど毎日起こる状態」
のことです。

平たく言えば、日常で起こる様々な事柄をかなり心配する状態です。

たとえば、会話をすれば相手に嫌われたのではないかと考え、ペットがいれば何か重い病気にかかっているのではないかと考え、試験があればうまくいかないのではないかと考えるのです。

あれもこれも不安になって身動きが取れなくなり、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。

不安神経症とパニック障害の違いを解説これに対してパニック障害とは、パニック発作をはじめとした症状がある状態のことです。

パニック発作とは、以下の13の症状うち少なくとも4つ以上の症状があり、さらにその発作は急激に始まり、数分以内にピークに達するものを言います。

<パニック発作で見られる症状>
①動悸、心悸亢進②発汗、③身震い、④息切れ、⑤窒息感、⑥胸痛、⑦吐き気、⑧めまい、⑨現実感喪失、⑩コントロールを失う恐怖、⑪死の恐怖、⑫異常感覚(うずき感)、⑬冷感・熱感

こうしたパニック発作に加え、再びパニック発作が起こるのではないかと心配する、“予期不安”があることも特徴的です。

また、パニック発作がもし起きてもすぐに助けてもらえないような状況(たとえば、急行電車に乗る、ひとりで外出するなど)を避ける“広場恐怖”が現れる人もいます。

不安神経症には身体症状がつきもの

不安神経症の人は、次のような体験をしやすいと言われています。

・不安
・肩こりや頭痛
・動悸
・集中困難
・不眠
・発汗
・イライラしやすい
・めまい
・パニック発作

などです。このように、不安神経症には身体症状が多くみられます。

ただ気持ちが不安になるだけでなく、身体の不調もついて回るので、日常生活に支障をきたしやすくなります。

併存症があると治りにくい?

ここで、全般性不安障害とパニック障害を扱った研究を見てみましょう。

Bruceら(2005)は、併存症を持つ不安障害患者を12年にわたって追跡調査しました。

例えば、全般性不安障害と広場恐怖を伴うパニック障害を併存している患者が回復していくのかどうかを調査したのです。

▼結果はこちらです。

不安障害患者と依存症の関係についての研究結果

リスク比とは、ある条件に当てはめた群と、当てはめなかった群の疾病のかかりやすさの比を表す指標です。この表の場合、パニック障害や大うつ病性障害の合併がある群と合併がない群との比率を見たことになります。

広場恐怖を伴うパニック障害と全般性不安障害とを併存している患者の回復の可能性を見たリスク比は0.67と低い値です。そして、大うつ病性障害(いわゆるうつ病)と全般性不安障害を併存して持っている患者の回復の可能性を見たリスク比も、0.57と低い値です。

この値が低いということは、回復の可能性はやや低いということを意味します。

このように、全般性不安障害やパニック障害、大うつ病性障害の併存症があると、回復しにくいということが言えそうです。それだけに、不安神経症を軽んじることはできません。

不安神経症を良くする3つの解決策

それではここで、不安神経症を良くする解決策を見ていきましょう。不安神経症の原因と解決策は大きく分けると3つあります。一度に全部を読むのは大変なので、あてはまる項目からチェックしてみてください。

1:認知行動療法で現実的に捉える

破局的にとらえる
不安神経症の人は、不安に思うとそれを破局的な考えに結びつけてしまいます。例えば、明日の試験が「ちょっと不安…」では済まされず、「どうせだめだ」「自分には無理だ」と極端にネガティブな方向に結論づけてしまうのです。

現実的な視点に戻る癖をつける
破局的な考え方を解消するには、認知行動療法の技法のひとつ「尺度活用法」が有効です。尺度活用法は、「たとえ悪いことが起きても世界の終わりではない」と現実的な視点に戻るのに効果があります。破局的に考えやすい…という方は、コラム②を参考にしてみてください。

2:エクスポージャー法で不安に慣れる

不安のあまり一歩踏み出せない
不安神経症の人は、自分が不安に思う人や場所、場面などを避けがちです。たとえば、広場恐怖を伴うパニック障害の人は、大勢の人が集まるような場所に行くことを避けることがあります。そうして行動範囲が狭くなり、ついには引きこもりのような状態に陥る場合もあります。

エクスポージャー法で徐々に慣れる
不安な状況に一歩踏み出すには、行動療法のうち、エクスポージャー法が有効です。エクスポージャー法とは、暴露療法とも言われ、少しずつ段階的に不安に思う状況や苦手な場所に慣れていく方法です。不安のあまり一歩踏み出せない…という方は、コラム③を参考にしてみてください。

3:リラクセーションで緩和

心身の緊張が強い
不安が強いと、心身が緊張しやすくなるため、不安神経症の人は緊張状態が強い傾向にあります。緊張から肩こりや頭痛が続いたり、1日中気を抜けなかったりするため、まずます体が凝り固まり、気持ちも自由になれません。

リラクセーションを用いる
緊張が強い場合は、リラクセーションを用いるのが有効です。リラクセーションにもいろいろ種類がありますが、本コラムでは日常生活に取り入れやすい「漸進的筋弛緩法」をご紹介します。心身の緊張が強い…という方は、コラム④を参考にしてみてください。

正しい知識で対処していこう

不安神経症の原因には、「破局的にとらえる」「不安のあまり一歩踏み出せない」「緊張が強い」の3つが関わっていると言えそうです。次回以降のコラムでは、不安神経症に対処するための方法をご紹介していきます。

次回は、不安神経症に対処するための方法の1つ目「認知行動療法で現実的にとらえる」について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★不安神経症の理解を深めて 正しい知識で対処しよう
心理学講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
Bruce, S. E. et al. (2005) Influence of psychiatric comorbidity on recovery and recurrence in generalized anxiety disorder, social phobia, and panic disorder: A 12-year prospective study. American Journal of Psychiatry, 162, 1179-1187.
川上憲人ら(2006)平成16~18年度厚生労働省科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業) こころの健康についての疫学調査に関する研究. https://www.khj-h.com/wp/wp-content/uploads/2018/05/soukatuhoukoku19.pdf
坂野 雄二(2012)特集 不安障害の病態・診断・治療の最前線 不安障害に対する認知行動療法. 精神神経誌, 114(9), 1077-1084.