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不安神経症の意味とは?症状,種類,診断基準を解説

不安神経症の意味とは?症状,種類,診断基準

はじめまして!公認心理師の川島です。

今回のテーマは
「不安神経症」
です。


対象とするお悩み
・不安になることが多い
・ささいな出来事を気にする
・治療方法を知りたい

全体の目次
・不安神経症とは
・遺伝的性格
・病気の種類
・3つの対策
・助け合い掲示板

読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非最後までご一読ください。

不安神経症

不安神経症とは?

不安神経症は「不安」「神経質」「症」の3つからなる言葉が組み合わさった言葉です。それぞれ軽く理解していきましょう。

不安とは何か?

心理学的に不安とは心理学的に以下のように使われます。

明確な対象のない恐怖 

つまり、とりとめもなく、なんとなく、漠然と感じる恐怖感のことです。

「神経質」とは何か?

「神経質」という言葉は以下のように記されています。

外部刺激に敏感に反応する 心身の状態のバランスを崩しやすい 新しい環境に適応することに困難を感じる 等を示す性格傾向(心理学辞典,1999)

とされています。私たちの心と体は神経でつながっています。神経質は心に問題を抱えやすく、同時に体の影響しやすい性格と言えます。

「症」とは何か?

「症」とは、症状の略称です。病気にかかった時に起こる心や体の変化を意味します。神経症の人は、次のような体験をしやすいと言われています。具体的には以下の症状が認められます。

肩こりや頭痛 動悸 集中困難 不眠 発汗 イライラしやすい めまい パニック発作

不安神経症の意味とは何か?

ここまでの定義をまとめると不安神経症は以下のようになります。

「不安」を感じやすい性格傾向があり、体や行動の問題で、イライラ、不眠、集中困難などの症状が起こる

不安神経症と遺伝的性格

不安神経症という言葉は、このように広い意味で使われてきました。一方で、意味が広いため、心理学や精神医学の言葉としてはやや衰退しつつある印象です。

一方で「神経質」「神経過敏」という言葉は、性格の5大特性の中の1つと言われ、現在でも頻繁に使います。

遺伝と神経質

近年の性格研究では神経質な傾向は遺伝が影響することがわかっています。複数の研究を総合すると、概ね50%前後であることが分かっています。

もし不安神経症傾向があると感じたら、半分ぐらいは元々持っている気質であると考えると良いかもしれません。

おそらくですが、小さな頃から、比較的小さなことに気が付くタイプだったのではないでしょうか。

遺伝,不安神経症

HSPとは何か?

神経質について、最近ではHPSということばで語られることが多くなってきています。HSPはアメリカの心理学者、アーロン博士が1996年に提唱した概念で

Highly Sensitive Person

と綴られています。直訳すると「とても繊細な人」と訳されます。

HSPの特徴

5感が敏感
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚などがとても敏感
 例、時計の音が気になる

失敗や間違いへの繊細さ
些細な失敗や、小さなエラーを気にする 
 例 ちょっとした批判に強く落ち込む

微妙な変化に気づく
他人の表情や、雰囲気の変化に敏感、他者に対する共感力が高い 
 例 相手が泣いていると、自分も同じように泣く

などの特徴があります。当てはまる項目が多い方は注意が必要です。

原因は情報処理の過剰

HSPは脳内の情報処理の働きが活発であると言われています。例えば、小さな物音に対して普通の人が、30に感じるものが、HSPの人では100くらいに感じることがあります。

HSPの人は、感覚に対する処理能力がとても高いため、ちょっとした物音でも、脳内では大きな刺激として処理されてしまうのです。

HSPの方は感性がとても豊かなので、芸術面で才能を開花させる方もいます。

不安神経症と病気の種類

不安神経症は重篤になると「不安障害」という病気の診断が下りることがあります。

不安障害の種類

アメリカ精神医学会の診断基準によると、不安障害は細かく分類すると以下のようになります。

不安神経症,障害,種類

カウンセリングの現場では、以下の3つの相談をよく受けます。

①社交不安障害
②パニック障害および広場恐怖症
③全般性不安障害

そこで当コラムでは上記3点について折りたたんで解説をしました。理解を深めたい方は展開してみてください。

どんな病気?

社交不安障害はsocial anxiety disorderのことで、頭文字をとってSAD(エスエーディー)と略されます。ほかにも、社交不安症や社交恐怖とも呼ばれることがあります。

SADとは、その名前が示す通り、
「社交場面や人とかかわる場面強い不安感や緊張感を抱き、そのために日常生活に不都合が生じる精神障害」
のことです。SADは10代半ば~20代ころに発症することが多く、うつ病やアルコール依存症との合併がよくみられます。

症状

例えば、次のような状況に強い不安を抱くことはありませんか?

・ 人が見ている前で字を書く
・ 人前で電話をかける
・ あまりよく知らない人と目を合せる
・ 公共の場所で食事をする
・ 人前で話(自己紹介や報告なども含める)をする

このような状況で強い不安感を感じ、恥をかいたり拒絶されたり他人の迷惑になることをひどく恐れるのがSADの症状です。

典型的な例としては、人前でスピーチやプレゼンをすることが苦痛でたまらない、というケースです。かつこれらの状況を回避したい気持ちが強いことも特徴的です。

どんな病気?

パニック障害(panic disorder)は、パニック発作が起きることが特徴的です。パニック発作は、ある日突然起きます。

症状

パニック発作とは、以下の13の症状うち少なくとも4つ以上の症状があり、さらにその発作は急激に始まり、数分以内にピークに達するものを言います。

不安症のパニック発作で見られる症状

死んでしまうかもしれないと感じるほど、苦しい発作です。その場に倒れこんでしまい、救急車が呼ばれることもあります。こうしたパニック発作に加え、再びパニック発作が起こるのではないかと心配する、“予期不安”を抱き、日常的に不安を感じます。

パニック発作がもし起きてもすぐに助けてもらえないような状況を避ける“広場恐怖(agora phobia)”が現れる人もいます。

たとえば、急行電車に乗る、ひとりで外出するなどの状況では、広場恐怖のためにひとりで外出できなくなるケースもあります。

どんな病気?

全般性不安障害はgeneralized anxiety disorderのことで、頭文字をとってGAD(ジーエーディー)と略されます。新しい診断基準では、全般不安症と言います。

GADとは、いろいろな事柄についての過剰な不安と心配が6カ月以上続いている時に診断されます。心配を自分で制御することが難しいと感じることも特徴です。

症状

落ち着きのない感じ、緊張感、疲れやすさ、集中困難なども伴います。めまいや耳鳴り、動悸もよく見られます。

例えば、こんなことをとりとめなく考えてしまうのがGADです。

不安を強める考え方の例

はっきりとした根拠がないままに不安や心配がわいてきて、それらを自分で止めることができず、クヨクヨと考えてしまうのです。本人は真剣に悩みますから、苦痛を感じます。

不安神経症と3つの対策

不安神経症の恐れがある際は以下の3つの対策を組み合わせて行うことになります。

1.心理療法
⇒心理療法、公認心理師、臨床心理士のカウンセリングなど

2.社会的対処
⇒環境の負担を軽くする、周りの理解を求めるなど

3.医療の力を借りる
⇒心療内科,精神科の薬物療法など

改善については1つだけに頼るのではなく、複数の手法を総合的に活用することが大事になってきます。

全般性不安障害,治療方法

1.心理療法

不安神経症は病気のレベルでない場合は、心理療法が第1選択となります。心理療法は様々な手法がありますが、入門としてオススメなのは認知行動療法です。

認知行動療法は以下の3つの心理療法が組み合わさった手法です。

認知療法

認知療法は考え方の偏りを柔軟にほぐす手法です。神経質に考えてしまう方は根拠のない思考が多くなりがちです。認知療法では現実的に考える練習を行います。

行動療法

不安が強い際は、回避的になり、社会生活がままならないことがあります。行動療法は不安の小さなものから取り組み、行動範囲を広げていく手法です。

マインドフルネス療法

不安を客観的に眺め、冷静に対処する力を高めます。ここ10年で急速に研究が進み、効果があることがわかってきました。

詳しくはこちらの認知行動療法コラムで解説させて頂きました。良かったら参考にしてみてください。

2.社会的対処

2つ目は社会的対処です。社会的対処は環境面を整えていく作業になります。私たちにはそれぞれの性格に適した環境があります。

不安を感じやすい自分の性格でも快適に過ごせる環境作りが必要になります。いくつかアイデアを挙げますので参考にしてみてください。

情報へ過剰に触れない

人間の心理として、不安が強い時は、不安な情報を集めてしまう傾向があります。例えば「地震が不安」という気持ちの時は、地震のニュースを集め、地震の本を買い、地震への備えのためのグッツを購入します。

そして、地震…地震…地震…と選択的な注意を働かせ、自分自身で不安を大きくしてしまいます。

このような場合は例えば、地震のニュースに触れるのは1日15分までと情報を制限していくと良いでしょう。

周りのサポートをもらう

不安障害になったら、なるべく周りのサポートをもらうようにしましょう。特にお仕事においては信頼できる上司や同僚にあらかじめ伝えておいいて、どんなタイミングで不安になりやすく、仕事で支障が起きる可能性について伝えておくといいでしょう。

性格を活かす

不安神経症は仕事でも充分活かすことができます。例えばリスク管理重要な職場が挙げられます。
・危険物を取り扱う仕事
・慎重さが求められる医療現場
・衛生面が重要な薬品会社

などが挙げられます。不安は言い換えると、未来の問題を発見できる能力でもあります。是非ご自身の性格にあった仕事を探してみてください。

3.医療の力を借りる

不安神経症が重たい場合は、医療の力を借りることも大事です。

薬物療法とは

精神科や心療内科では、脳や体の仕組みの面から改善していくのが基本です。私たちの脳は、様々な脳内伝達物質で、不安を感じたり、悲しくなったりします。

精神科ではこれを「薬」の面から改善していくのです。例えばSSRIというお薬は、不安や心配を緩和する効果があり、不安障害でよく処方されます。

詳しくは、こちらの社交不安障害の薬物療法で解説しています。薬の効能や副作用が気になる方は参考にしてみてください。

受診の手順

診察はまずは予備面接から始まることが多く、30分前後、コメディカルの面接を挟み、検査などを行い、そのうえで、精神科医のお医者さんとの面接にはいることが多いです。

一方で、精神科では薬物がメインとなるため、問題そのもの対処力があがるわけではありません。薬と併用しながら心理療法を学び、自分自身の基本的な感情コントロール力を向上させると効果的です。

発展

最後に不安神経症に役立ちそうなコラムを紹介させて頂きます。

森田療法

森田療法は不安とうまく付き合いながら目的本位に生きていくという心理療法です。「あるがまま」「気分本位」「目的本位」という生き方は全般性不安障害の方にとっても役立つと思います。

興味がある方はこちらの森田療法コラムを参考にしてみてください。

緊張を和らげる

不安神経症の方は絶えず緊張状態にあり、心と体が疲弊してしまう傾向があります。心と体をリラックスさせたい方は下記のコラムを参照ください。

興味がある方はこちらの緊張を和らげるコラムを参考にしてみてください。

各障害を詳しく解説

不安神経症と関りが深い障害は下記を参照ください。

社交不安障害,特徴と治療法
パニック障害,特徴と治療法
全般性不安障害,特徴と治療法

不安障害を治す3つの方法とコツ

まとめ+お知らせ

まとめ

当コラムでは不安神経症について、種類や治療法を紹介してきました。実は筆者の川島は社交不安障害になったことがあります。一番重たい時は、自宅から全く出ることができなくなりました。

それでも、心理療法をしっかり学び、1つ1つ環境を改善していけばきっと症状は軽くなると思います。じっくり取り組んでみてください。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
Bruce, S. E. et al. (2005) Influence of psychiatric comorbidity on recovery and recurrence in generalized anxiety disorder, social phobia, and panic disorder: A 12-year prospective study. American Journal of Psychiatry, 162, 1179-1187.
川上憲人ら(2006)平成16~18年度厚生労働省科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業) こころの健康についての疫学調査に関する研究. https://www.khj-h.com/wp/wp-content/uploads/2018/05/soukatuhoukoku19.pdf
坂野 雄二(2012)特集 不安障害の病態・診断・治療の最前線 不安障害に対する認知行動療法. 精神神経誌, 114(9), 1077-1084.