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社交不安障害をセルフチェック!原因・対処法・治療法を専門解説

社交不安障害,チェック


社交不安障害をセフルチェック!原因・対処法・治療法-臨床心理士が解説①

社交不安障害を専門家が解説

みなさんはじめまして!臨床心理士の加賀です。私は臨床心理士として精神疾患を抱える方へのカウンセリングや交流分析の講義を行っています。当コラムは「社交不安障害」をテーマに専門家が解説をしています。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

不安な気持ちに対処

カウンセリングでは、さまざまな問題について取り扱いますが、「不安」とくに「人間関係への不安」はとても多く語られます。人間関係の問題は、多くの人の関心のある問題ではないでしょうか?

心理学的には、不安は、恐怖と対比させて論じられることが多い問題です。恐怖は、その対象が明確ですが、不安は、その対象を持ってはいないと言われています。

例えば、恐怖は、対人恐怖、閉所恐怖、広場恐怖など恐怖の対象がはっきりしていると思いますが、不安は、その対象を持たないか、あっても明確ではありません。そのため、不安の場合は何となく不安という言い方しかできないのです。とくに現在不安の問題の中で増えているのが、「社交不安障害」であると言われています。

社交不安障害(SAD)とは?

まずは、社交不安障害(SAD)がどのような障害かチェックしましょう。

社交不安障害(SAD)とは、社交場面や対人面において恐れや不安を抱き、それを回避することで日常生活に支障を生じる疾患のことです。例えば、実際に人とのコミュニケーションの場面で

・失敗したらどうしようと考えてしまう
・嫌われているのでは?と心配する
・馬鹿にされるのでは?と心配する

・人前でのスピーチが苦手で避ける

対人場面で緊張や不安を感じてしまう人は、少なくないと思います。しかし、その不安や緊張が過剰に膨らみ過ぎると、挑戦したかった仕事に挑戦できない、本当は人の輪の中に入って楽しみたいのに参加できないなど日常生活に支障をきたしてしまいますよね?また、その不安を無理やりどうにかして消そうとするあまり不安が増大してしまうのが、社交不安障害の本質であると言われています。

社交不安障害の身体症状

身体症状が予期不安につながる?

不安や緊張を感じたときに体はどのような状態でしょうか?

例えば、

・顔がこわばる、赤くなる
・手足が震える
・汗をかく
・腹痛

などの症状が思い当たるのではないでしょうか?

これは、交感神経が優位な状態になっていることから起こっていることです。この状態は、不安や緊張状態に心身が「戦うモード」になっているために起っていることなので自然な状態です。

しかし、このような身体症状が「また人前で顔が赤くなったらどうしよう。変に思われたらどうしよう」などという予期不安につながり、対人場面を避ける要因になってしまうのです。

社交不安障害は仕事や学業にも影響?

社交不安障害は年齢が若いほど発症しやすいことがわかっています。2010年に、13歳から18歳を対象に行われたアメリカの調査では、社交不安障害の障害有病率は、9.1%で年齢と共に有病率は、増加しています。日本では日本医療開発機構の川上(2016)が調査を行いました。その結果、以下の図のように若い方ほど有病率が高いことがわかりました。35歳以降ですとガクンと減少するのがわかります。もし、若い方で社交不安障害で悩んでいるとしても、年齢とともに減少していくと考えると希望が持てますね。

同じく、川上(2016)の調査では、男性に比べ、女性の方が有病率は高いという結果が出ています。社交不安障害は、決して珍しい症状ではなく、また、年齢も子どもから大人まで幅広い世代の問題であること、男性よりは、女性に多い問題であることがわかっています。

社交不安に近い対人恐怖症研究では、男性の方が多かったのですが、女性の社会進出とともに傾向が変化してきているのかもしれません。

社交不安障害のために、仕事や学業、余暇の時間が障害されてしまうのは大変つらいことだと思います。不安を100%なくすことはできませんが、日常生活に支障をきたすほどの不安でお悩みの場合は、やはり対応策を考えたほうが良いでしょう。

社交不安障害セルフチェック

ここで社交不安障害のセルフチェックをやってみましょう。以下の対人関係に関する質問が自分の性格や行動を表している程度を選び、数字の合計点を出してください。*なお当診断は医療行為ではなく、あくまで傾向を知る程度のものとして活用ください。

社交不安障害のチェック表

セルフチェックの傾向と対策

0~14点:軽度の社交不安障害傾向
社交不安障害傾向は低めです。日常生活に支障をきたすような状況ではないでしょう。しかし、人には大きく気づかれることはないけれど、対人場面での苦手さを感じている部分があるのではないでしょうか?該当した項目を振り返り、自分の苦手とする社交場面への考え方や行動などを把握しておくと良いでしょう。

15~29点:中等度の社交不安障害傾向
社交不安障害傾向はやや高めです。日常生活の社交場面での不安や緊張感が高い状況であることが伺えます。対人場面での緊張感や不安により身体症状を感じられているのではないでしょうか?今抱えている不安や症状を今よりも明確にし、より適応的な対処スキルを身に着けていくことをおすすめします。

30点以上:強い社交不安障害傾向
強い社交不安障害傾向で仕事や学業など日常生活に支障をきたしていることが考えられます。不安が高まる場面を避けることにより回避行動が増えているかも知れません。

対人関係の苦手さがあなたのやりたいことや行動を阻害するのはとてももったいないことですよね。少しずつ自分の苦手さの理解を深め、行動を変化させていきましょう。

定期的にチェックしてみよう

結果は、あくまで「今」の社交不安障害傾向です。時間や状況によって変化するため、できれば月に一度ほど社交不安障害傾向の診断・チェックを行い、自分を見つめ直しましょう。自分の状態を知ることで、社交不安障害の症状に対処できるようになります。下記で対処法をご紹介します。

社交不安障害3つの原因と解決策

社交不安障害の原因と解決策

社交不安障害診断のチェックリストの結果はいかがだったでしょうか?不安をないものにしようすることはなかなか難しいと感じている方も多いと思います。社交不安障害を改善する上で大きく分けて、薬物療法と心理療法の2つのやり方があります。薬物療法は心療内科や精神科で行われます。社交不安が強く出て社会生活が困難なレベルの方は心療内科や精神科の受診も視野に入れましょう。

比較的軽度の方、予防方法を知りたい、薬物療法には抵抗がある方は、当サイトの心理療法が役に立つかもしれません。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①ストレス反応の外在化

否定的な予測と大きな見積もり
社交不安障害の人は、対人場面で否定的な予測や解釈をして、不安が増大するう傾向にあると言われています。例えば、人前でプレゼンをする際に「うまくできない」と否定的に予測し、不安でパニックになってしいまうのです。

客観的に自分を把握しよう
このように不安に支配されると、行動が難しくなってしまいます。まずは基礎としてそのような自分を客観的に把握することからはじめるといいいでしょう。具体的には、4つの視点から自分を客観的に眺める、「ストレスの外在化」が有効です。否定的な予測をして不安になる…という方は、 コラム②での解説とワークをチェックしましょう。

②ストレス場面でリラックス

予期不安
緊張感や不安感が高い時は、身体にも変化があります。例えば、「顔が赤くなっていないだろうか?」「汗が大量に出て気持ち悪がられていないだろうか?」と考えるとコミュニケーションの中身に集中できませんよね。そして「症状が出たらどうしよう」という予期不安が日常生活に影響を及ぼすのです。

リラックス法が効果あり
緊張した身体を緩める方法としてリラクゼーションは効果があります。自分にあった方法を身に付けることで、予期不安と上手く付き合えるようになります。不安が強くなると身体に変化が出る…という方は、コラム③の解説と対処法をチェックしてくださいね。

③適応的な対処行動を身につける

回避行動が恐怖を拡大
回避行動コミュニケーションの中で相手からの否定的な反応を受け取るのは怖いことです。そのような思いをしたくなければ回避することも可能です。しかし、この回避行動が極端に増えてしまうと、恐怖の対象が拡大してしまうのです。

行動レパートリーを増やそう
回避行動で不安が強い場合、より適応的な行動のレパートリーを増やしていくことが必要です。当コラムでは、行動レパートリーを増やすポイントをご紹介します。否定的な反応を受けるのが不安で避けている…と感じる方はコラム④の解説をチェックしてくださいね。

社交不安障害の治療とは?

社交不安障害の治療には、薬物治療とともに、心理療法では、認知療法や認知行動療法が用いられることが多いと言われています。そしてアメリカの研究では、認知行動療法は、副作用が低く、大きな治療効果が認められています。つまり、社交不安障害特有の認知の偏りにアプローチして症状を緩和させるのが目的です。

社交不安障害の思考傾向を変えよう

社交不安障害の特徴や原因、解決策はお分かり頂けましたか。日々の出来事にネガティブな気持ちを抱く事は、対人関係がうまくいかなくなったり、心身のバランスを崩すことにもなりかねません。

これからご紹介する社交不安障害特有の思考傾向を変化させる方法を知ることで、社交不安障害の症状への理解が深まり、症状軽減のヒントにしてくださいね。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

次回は、社交不安障害特有の思考傾向を変化させる方法の1つ目「ストレス反応の外在化」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★社交不安障害の原因や対処法をチェック!理解を深めて対処しよう
コミュニケーション講座

*出典・参考文献
・音羽健司・森田正哉(2015). 社会不安症の疫学――その概念の変遷と歴史―― 不安症研究, 7, 18-28.

国立研究開発法人日本医療研究開発機構 障害者対策総合研究開発事業(精神障害分野)
精神疾患の有病率等に関する 大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド

主任研究者 川上憲人 平成28(2016)年5月

KAWAKAMI, N., TAKESHIMA, T., Ono, Y., UDA, H., HATA, Y., NAKANE, Y., NAKANE, H., IWATA, N., FURUKAWA, T. A., & KIKKAWA, T. (2005). Twelve-month prevalence, severity, and treatment of common mental disorders in communities in Japan: preliminary finding from the World Mental Health Japan Survey 2002–2003. Psychiatry and Clinical Neurosciences, 59, 441-452.
Mayo-Wilson, E., Dias, S., Mavranezouli, I., Kew, K., Clark, D. M., Ades, A. E., & Pilling, S. (2014). Psychological and pharmacological interventions for social anxiety disorder in adults: a systematic review and network meta-analysis. The Lancet Psychiatry, 1, 368-376.



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