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社交不安障害/社会不安障害の原因・対処法・治療法を解説

社交不安障害/社会不安障をセルフチェック!原因・対処法・治療法①

はじめまして!臨床心理士の加賀、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「社交不安障害」についてお話していきます。目次は以下の通りです。

  • 社交不安障害とは何か?
  • 歴史-日本人が第一人者
  • 恐怖症との関係
  • 発症年齢は10代
  • 社交不安のメカニズム
  • 6つの対処法で克服

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^) それでは早速、社交不安障害の基礎から解説させて頂きます。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
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社交不安障害(SAD)とは?

・定義,診断基準
まずは、社交不安障害(SAD)がどのような障害か解説します。社交不安障害(SAD)とは、社交場面や対人面において恐れや不安を抱き、それを回避することで日常生活に支障を生じる疾患のことです。例えば、実際に人とのコミュニケーションの場面で

・失敗したらどうしようと考えてしまう
・嫌われているのでは?と心配する
・馬鹿にされるのでは?と心配する

・人前でのスピーチが苦手で避ける

社交不安障害の精神症状

このように対人場面で緊張や不安を感じてしまう人は、少なくないと思います。しかし、不安や緊張が過剰に膨らみ過ぎると、挑戦したかった仕事なのに挫折する・・・本当は人の輪の中に入って楽しみたいのに参加できない・・・など日常生活に支障をきたしてしまいます。また、不安を無理やり消そうとするあまり不安が増大してしまいます。これらが、社交不安障害の特徴であると言えます。

歴史‐日本人が第一人者

・歴史
社交不安障害は様々な変遷を経ていまの呼び名になっています。以下、菊池(2013)の論文を参考に歴史を概観しましょう。

1930年代
人間関係で恐怖を覚えるような症状は1930年代からはじまり、「対人恐怖症」という名称を使っていました。人が怖いという症状は日本人特有と考えられ、森田正馬という心理療法家を中心に治療法が開発されてきました。

当時は、人が怖いという症状は、文化的な側面が強いと考えられていて、「恥」を文化とする日本特有の症状であると考えられていました。


1980年代

その後、1980年代になると、アメリカ精神医学会により、「社会恐怖(social phobia)」という概念が導入され、国際的にもこのような症状があることが広がっていきました。

1990年代
1994年にはアメリカ精神医学会が、Social Anxiety Disorderと名称変更を行いました。日本では社会不安障害と呼ぶようになりました。

2000年代
社会不安障害という名称はわかりくい面もあったため、2008年に日本精神神経学会が、「社交不安障害」と名称変更を行いました。近年では、人が怖い、対人恐怖、会食恐怖などの症状がある場合は「社交不安障害」とされることが一般的になっています。

社交不安障害と恐怖症

堀井・小川(1996)の研究によると対人恐怖心性とは以下の6つの特徴があることが分かっています。

・自分や他人が気になる
・集団に溶け込めない
・社会的場面で当惑する
・人の目が気になる
・自分を統制できない
・生きることへ疲れている

これらの対人恐怖心性について、実際にメンタルへルスにどのような悪影響があるのでしょうか?堀井(2014)は大学生4461人を対象として、対人恐怖心性について調べました。その結果、下図のような結果となりました。対人恐怖心性は、いくつもの恐怖の感情と関連していることがわかります。

0.85、0.82・・・という数字がありますが、これは統計的な関連の強さを表す数字なのです。心理学の世界では0.4未満以下は弱い影響、0.4~0.7はある程度影響、0.7以上でかなり影響すると考えます。対人恐怖心性は、孤立恐怖、自己視線恐怖、加害恐怖、登校回避に大きく影響を及ぼすることがわかります。

SADを相談して解消する

発症年齢とは?

それでは、社交不安障害は何歳ごろに発症をする傾向にあるのでしょうか。

10代から発症

精神医学の世界では、視線恐怖症は「社交不安症」の症状として考えられています。ここで、社交不安症を発症する年齢の割合を示したグラフがあります。

視線恐怖症

約75%の人が15歳以下で発症していることがわかります。(図.1)対人不安症の特徴としては、発症した年齢と医療機関に訪れた年齢が異なることが挙げられます。

ある研究では、発症年齢から10年後以上の30代半ばで専門機関を訪れる傾向があることが報告されています。相談の遅れると、視線恐怖症の克服に時間がかかってしまうケースもあるため注意が必要です。

30代後半から落ち着く

社交不安障害は30代後半から落ち着くことも分かっています。日本では日本医療開発機構の川上(2016)が調査を行いました。その結果、以下の図のように若い方ほど有病率が高いことがわかりました。

35歳以降ですとガクンと減少するのがわかります。もし、若い方で社交不安障害で悩んでいるとしても、年齢とともに減少していくと考えると希望が持てますね。同じく、川上(2016)の調査では、男性に比べ、女性の方が有病率は高いという結果が出ています。

・女性も増加傾向
社交不安障害は、決して珍しい症状ではなく、また、年齢も子どもから大人まで幅広い世代の問題であること、男性よりも、女性が多いという統計もあります。社交不安に近い対人恐怖症研究では、男性の方が多かったのですが、女性の社会進出とともに傾向が変化してきているのかもしれません。精神保健福祉士、講師川島の現場感覚では6対4で男性が多いですが、15年前よりもその比率は近くなってきていると感じます。

社交不安障害に対処する方法を解説

社交不安のメカニズム

社交不安障害はどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?主な原因としては、以下の3つが挙げられます。

①公的自己意識が高い
②不安コントロールが苦手
③身体症状へのこだわり

①公的自己意識が高い

私たちはには自意識がありますが、この自意識は心理学的に2つの種類があります。

「公的自己意識」・・・他人の目を気にする
「私的自己意識」・・・自分がどうありたいかを大切にする

この2つのうち社交不安障害の方は、公的自己意識に偏りすぎていると考えられます。他人の目を気にするあまり、相手と目を合わせるのが怖くなってしまうのです。

②不安コントロールが苦手

社交不安障害(SAD)をはじめとする不安障害の方は、否定的な感情や緊張などの身体の変化があると、感情をコントロールできず、混乱しやすいと考えられています。例えば、プレゼンの前に不安が沸き起こり、居ても立ってもいられなくなる、親しい友人との会話でも過度に緊張してしまうなどです。

研究③ 身体症状が予期不安につながる

社交不安障害は交感神経が優位な状態で起こりやすいと言えます。交感神経が優位な状態は、健康的な範囲であれば、心身が「集中モード」になっていると言えるので、パフォーマンスの向上に役立ちます。

しかし、過剰になると

・顔がこわばる
・手足が震える
・汗をかく
・対人場面を頻繁に回避する

このような身体症状が現れます。さらにはその症状が一度あると、次顔が赤くなったらどうしよう、緊張して固まってしまったらどうしようという予期不安につながり、対人場面を避ける要因になってしまうのです。予期不安は社交不安障害に特徴的で、人と接する前から失敗するイメージを過剰にしてしまうなどが挙げられます。

社交不安障害の原因がわからない…という方はメカニズムを知ることで症状に対処しやすくなります。

社交不安障害の仕組みを深く知りたい方は下記をご覧ください。
・公的-社交場面での当惑
・不安コントロール研究
・不安の悪循環
社交不安障害の原因とメカニズム②

社交不安障害の解決方法

社交不安障害の対処法

ここからは社交不安障害/社会不安障害の対処法について考えていきましょう。社交不安障害の解決策は、大きく分けると6つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①認知療法の活用

否定的な考えと大きな見積もり
ここからは具体的な改善策をお伝えします。社交不安障害の人は、対人場面で否定的な予測や解釈をして、不安が増大するう傾向にあると言われています。例えば、人前でプレゼンをする際に「うまくできない」⇒「もう仕事で信頼されない」と過剰に否定的な未来を予測し、不安でパニックになってしまうのです。

客観的に自分を把握しよう
このような不安に対処する手法として有効なのが「認知療法の活用」です。認知療法は世界中で使われている心理療法の1つで、考え方を柔軟にすることで、メンタルヘルスを獲得することを目的としています。欧米では保険適応の対象になる国もあります。

否定的な予測をする癖がある…という方は、 認知療法を学ぶことで社交不安障害の症状を和らげることができます。

認知療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・感情を数値化する
・認知の確認
・認知を修正しよう
社交不安障害/社会不安障害の対処法「認知行動療法」とは③

②逃げ癖を直す・回避欲求への対処

回避行動が恐怖を拡大
回避行動コミュニケーションの中で相手からの否定的な反応を受け取るのは怖いことです。そのような思いをしたくなければ回避することも可能です。しかし、回避行動が極端に増えてしまうと、恐怖の対象が拡大してしまうのです。

行動レパートリーを増やそう
回避行動で不安が強い場合、より適応的な行動のレパートリーを増やしていくことが必要です。当コラムでは、行動レパートリーを増やすポイントをご紹介します。

人がいる場面があると回避する…と感じる方は、回避行動に対処することで社交不安障害の克服に着実に近づいていきます。

逃げ癖を直す方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください
・電話対応の逃げ癖
・恐怖に挑戦しよう
・小さな目標設定
社交不安障害/社会不安障害の原因「回避行動」の対処法をチェック!④

③SSTで会話力を付ける

会話力の不足
会話力が欠如すると、人と関わることに消極的になり、対人関係での不安を強めてしまいます。また、不安が大きくなると「話せなかったらどうしよう…」「変に思われるかも」など予期不安にもつながることもあります。

会話力のスキルを身に付ける
本コラムでは、会話力を付けるスキルとして「ソーシャル・スキル・トレーニング(Social Skill Training : SST)」をご紹介します。他者との適切なコミュニケーションの中で会話力を伸ばし、社交不安の症状の緩和を目指していきましょう。

会話力に自信がない…という方は、SSTを実践することで社交不安障害を改善することができます。

SSTをより深く知りたい方は下記をご覧ください
・1日の会話時間
・初対面に効果あり
・SSTの練習
社交不安障害/社会不安障害の原因「会話力の不足」はSSTで改善しよう⑤

④緊張を緩めるリラックス法

予期不安
緊張感や不安感が高い時は、身体にも変化があります。例えば、「顔が赤くなっていないだろうか?」「汗が大量に出て気持ち悪がられていないだろうか?」と考えるとコミュニケーションの中身に集中できませんよね。そして「症状が出たらどうしよう」という予期不安が日常生活に影響を及ぼすのです。

リラックス法が効果あり
緊張した身体を緩める方法としてリラクゼーションは効果があります。自分にあった方法を身に付けることで、予期不安と上手く付き合えるようになります。

不安が強くなると身体に変化が出る…という方は、リラックス法を学ぶことで社交不安を和らげることができます。

リラックス法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・予期不安とは
・リラクゼーション法
・ストレス場面で挑戦
社交不安障害/社会不安障害の特徴「予期不安」の対処法⑥

⑥森田療法で受け入れる

症状への強いこだわり
症状への過剰なこだわりは、症状を悪化させてしまうことがあります。これは、精神交互作用という心理状況で、不安な気持ちを排除しようとすればするほど、不安な気持ちが強まってしまいます。この悪循環を断ち切るには、こだわる気持ちの捉え方を変えることが大切です。

「あるがまま」を大切にする
本コラムでは強いこだわりを緩和する方法として、精神療法の1つ「森田療法」をお伝えします。森田療法は、あるがままを受け止めて考える方法です。人間関係への不安をあるがまま受け止めることで、不安への過剰なこだわりを緩和できるようになります。

不安な気持ちにこだわってしまう…という方は、森田療法の学ぶことで社交不安を受け入れられるようになります。

森田療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・ケーキは絶対に食べない
・精神交互作用とは
・あるがままが症状軽減
社交不安障害/社会不安障害の原因は森田療法で克服⑦

⑥薬物療法、精神科の利用

薬物療法とは
薬物療法は心療内科や精神科で行われます。社交不安が強く出て社会生活が困難なレベルの方は心療内科や精神科の受診も視野に入れましょう。薬物療法では主にSSRIを使用します。コラムでも後程紹介していきます。

心理療法とは
心理療法は薬を使うのではなく、考え方や心の在り方を見直して心の問題を改善していく手法です。例えば、アメリカの研究では、認知行動療法は、副作用が低く、大きな治療効果が認められています。つまり、社交不安障害特有の認知の偏りにアプローチして症状を緩和させるのが目的です。心理療法には様々な種類があるので、自分にあったものを捜すといいでしょう。

社交不安障害/社会不安障害の治療検討している…という方は、薬物療法・精神科の情報を知ることで治療の流れや注意点を理解することができます。

薬物療法・精神科をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・薬物療法の歴史
・セロトニンが鍵
・ベンゾジアゼピン系

社交不安障害/社会不安障害を治す「薬物療法・精神科での治療」⑧

コミュニケーション講座について♪

ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、社交不安を改善し、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学スキル講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

診断とチェック

定期的にこちらの社交不安障害簡易診断で自己チェックしておくことをお勧めしています。客観的な状況を知りたい方はご活用ください。
社交不安障害/社会不安障害-簡易診断・チェック⑨

社交不安障害の思考を変化

ここまで社交不安障害の特徴や原因、解決策をお伝えしました。日々の出来事にネガティブな気持ちを抱く事で、対人関係がうまくいかなくなったり、心身のバランスを崩すことにもなりかねません。

これからご紹介する社交不安障害特有の思考傾向を変化させる方法を知ることで、社交不安障害の症状への理解が深まり、症状軽減のヒントにしてください。

次回は、社交不安障害/社会不安障害の「認知療法の活用」について紹介します。(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★社交不安障害の原因や対処法をチェック!理解を深めて対処しよう

目次

①社交不安障害-概観
②社交不安障害のメカニズム
③「認知行動療法」とは
④「回避行動」の対処法
⑤「会話力の不足」はSSTで改善
⑥「予期不安」を克服しよう
⑦原因を森田療法で克服
⑧薬物療法・精神科での治療
⑨社交不安障害-簡易診断

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・音羽健司・森田正哉(2015). 社会不安症の疫学――その概念の変遷と歴史―― 不安症研究, 7, 18-28.
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 障害者対策総合研究開発事業(精神障害分野)
精神疾患の有病率等に関する 大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド
主任研究者 川上憲人 平成28(2016)年5月
城月 健太郎・児玉 芳夫・野村 忍・足立 總一郎 2013 不安のコントロール感に関する基礎的検討―社交不安障害の観点から― 心身医学, 53:408-415
社交不安障害(social anxiety disorder: SAD)を合併した発達性吃音症の1例
菊池 良和, 梅崎 俊郎, 山口 優実, 佐藤 伸宏, 安達 一雄, 清原 英之, 小宗 静男
音声言語医学/54 巻 (2013) 1 号/書誌
対人恐怖心性尺度の作成 上智大学心理学年報 (20), 55-65, 1996 堀井 俊章 小川 捷之
AWAKAMI, N., TAKESHIMA, T., Ono, Y., UDA, H., HATA, Y., NAKANE, Y., NAKANE, H., IWATA, N., FURUKAWA, T. A., & KIKKAWA, T. (2005). Twelve-month prevalence, severity, and treatment of common mental disorders in communities in Japan: preliminary finding from the World Mental Health Japan Survey 2002–2003. Psychiatry and Clinical Neurosciences, 59, 441-452.

Mayo-Wilson, E., Dias, S., Mavranezouli, I., Kew, K., Clark, D. M., Ades, A. E., & Pilling, S. (2014). Psychological and pharmacological interventions for social anxiety disorder in adults: a systematic review and network meta-analysis. The Lancet Psychiatry, 1, 368-376.