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社交不安障害をまずはセルフチェックしてみよう

社交不安障害


社交不安障害をセフルチェック①

社交不安障害について専門家が解説

当コラムは「社交不安障害」をテーマに専門家が解説をしています。全部で5コラムあります。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

みなさんこんにちは、はじめまして臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。

カウンセリングでは、さまざまな問題について取り扱いますが、「不安」とくに「人間関係への不安」はとても多く語られます。人間関係の問題は、多くの人の関心のある問題ではないでしょうか?

そこで、今回取り上げたいのは、「不安」についてです。心理学的には、不安は、恐怖と対比させて論じられることが多い問題です。恐怖は、その対象が明確ですが、不安は、その対象を持ってはいないと言われています。

例えば、恐怖は、対人恐怖、閉所恐怖、広場恐怖など恐怖の対象がはっきりしていると思いますが、不安は、その対象を持たないか、あっても明確ではありません。そのため、不安の場合は何となく不安という言い方しかできないのです。とくに現在不安の問題の中で増えているのが、「社交不安障害」であると言われています。

このコラムでは、対人関係の不安でお悩みの方、社交不安症でお悩みの方を対象に社交不安症の問題や原因、解消法などを全5回のコラムで解説していきたいと思います。

社交不安障害とは?

社交不安障害とは、社交場面や対人面において恐れや不安を抱き、それを回避することで日常生活に支障を生じる疾患のことです。

例えば、実際に人とのコミュニケーションの場面で

・ 失敗したらどうしようと考えてしまう。
・ 嫌われているのではないか?馬鹿にされるのではないか?と心配する。
・ 人前でのスピーチや発表が苦手で避けてしまう。

対人場面で緊張や不安を感じてしまう人は、少なくないと思います。

しかし、その不安や緊張が過剰に膨らみ過ぎると、挑戦したかった仕事に挑戦できない、本当は人の輪の中に入って楽しみたいのに参加できないなど日常生活に支障をきたしてしまいますよね?

また、その不安を無理やりどうにかして消そうとするあまり不安が増大してしまうのが、社交不安障害の本質であると言われています。

身体症状が予期不安につながる?

不安や緊張を感じたときに体はどのような状態でしょうか?

例えば、

・ 顔がこわばる、赤くなる
・ 手足が震える
・ 汗をかく
・ 腹痛

などの症状が思い当たるのではないでしょうか?

これは、交感神経が優位な状態になっていることから起こっていることです。この状態は、不安や緊張状態に心身が「戦うモード」になっているために起っていることなので自然な状態です。

しかし、このような身体症状が「また人前で顔が赤くなったらどうしよう。変に思われたらどうしよう」などという予期不安につながり、対人場面を避ける要因になってしまうのです。

社交不安障害は仕事や学業にも影響?

2002年から2003年に20歳以上の約4000人の日本人を対象に大規模に実施された調査では、社交不安障害の12カ月有病率は、0.8%でパニック障害0.5%、全般性不安障害1.2%、特定の恐怖症、2.7%などの不安障害のカテゴリーの中でも高い有病率であることが示されています。

また、2010年に、13歳から18歳を対象に行われたアメリカの調査では、社交不安障害の障害有病率は、9.1%で年齢と共に有病率は、増加しています。そして、男性に比べ、女性の方が有病率は高いという結果が出ています。

社交不安障害は、決して珍しい症状ではなく、また、年齢も子どもから大人まで幅広い世代の問題であること、男性よりは、女性に多い問題であることがわかっています。

社交不安障害のために、仕事や学業、余暇の時間が障害されてしまうのは大変つらいことだと思います。不安を100%なくすことはできませんが、日常生活に支障をきたすほどの不安でお悩みの場合は、やはり早めに対応策を考えたほうが良いでしょう。

社交不安障害セルフチェック

社交不安障害のセルフチェックをご用意しました。以下の対人関係に関する質問が自分の性格や行動を表している程度を選び、数字の合計点を出してください。

セルフチェックの傾向と対策

0-14点の人
軽度の社交不安障害傾向
社交不安障害傾向は低めです。日常生活に支障をきたすような状況ではないでしょう。しかし、人には大きく気づかれることはないけれど、対人場面での苦手さを感じている部分があるのではないでしょうか?該当した項目を振り返り、自分の苦手とする社交場面への考え方や行動などを把握しておくと良いでしょう。

15—29点の人
中等度の社交不安障害傾向
社交不安障害傾向はやや高めです。日常生活の社交場面での不安や緊張感が高い状況であることが伺えます。対人場面での緊張感や不安により身体症状を感じられているのではないでしょうか?今抱えている不安や症状を今よりも明確にし、より適応的な対処スキルを身に着けていくことをおすすめします。

30点以上の人
強い社交不安障害傾向
強い社交不安障害傾向で仕事や学業など日常生活に支障をきたしていることが考えられます。不安が高まる場面を避けることにより回避行動が増えているかも知れません。対人関係の苦手さがあなたのやりたいことや行動を阻害するのはとてももったいないことですよね。少しずつ自分の苦手さの理解を深め、行動を変化させていきましょう。

このチェックリストの結果は、あくまで「今」のあなたの社交不安障害傾向です。そのため、時間や状況によって変化します。

この結果は、今のあなたの社交不安障害傾向を知ること、そしてその状態をどのようにすれば、ちょうど良い状態に近づけるのかということを考えるきっかけにしてください。

社交不安障害の原因と解決策とは

チェックリストの結果はいかがだったでしょうか?不安をないものにしようすることはなかなか難しいですよね。それでは、どのような考え方をしてどのように行動すれば良いのでしょうか? まずは、社交不安障害の原因と解決策について考えていきましょう。

1、否定的な予測と大きな見積もり
社交不安障害の人は、対人場面で否定的な予測や解釈をする傾向にあると言われています。例えば、人前でプレゼンをする際に「うまくできない」と否定的に予測し、「絶対」に失敗すると見積もります。どのようなときにこの思考が生じるのでしょうか? コラム②では、その思考傾向に気づくこと、現実的な予測をすることを詳しく解説していきます。

2、また症状が出たらどうしようという予期不安につながる。
緊張感や不安感が高い時は、身体にも変化があります。例えば、「顔が赤くなっていないだろうか?」「汗が大量に出て気持ち悪がられていないだろうか?」と考えるとコミュニケーションの中身に集中できませんよね。そして「症状が出たらどうしよう」という予期不安が日常生活に影響を及ぼすのです。この予期不安との付き合い方については、コラム③で詳しく紹介致します。

3、回避行動により恐怖が拡大する。
コミュニケーションの中で相手からの否定的な反応を受け取るのは怖いことです。そのような思いをしたくなければ回避することも可能です。しかし、この回避行動が極端に増えてしまうと、恐怖の対象が拡大してしまうのです。これまでの回避行動から、より適応的な行動のレパートリーを増やしていくことが必要ではないでしょうか?コラム④では、回避行動の適応的な行動レパートリーを増やす取り組みをご紹介します。

社交不安の高い人は、対人関係の場面に入る前、対人関係の場面、その後に関して否定的な方向への認知を示すことが分かっています。そして、社交不安障害には、特有の認知の偏りがあると言われています。その認知の偏りが行動に繋がり、また症状が起こったらどうしようという予期不安を感じ、の不安から対人場面を避ける回避行動が多くなり、恐怖や不安が拡大すると考えられています。

社交不安障害の治療とは?

社交不安障害の治療には、薬物治療とともに、心理療法では、認知療法や認知行動療法が用いられることが多いと言われています。そしてアメリカの研究では、認知行動療法は、副作用が低く、大きな治療効果が認められています。

つまり、社交不安障害特有の認知の偏りにアプローチして症状を緩和させるのが目的です。

社交不安障害の思考傾向を変える方法を解説

社交不安障害は、「否定的な予測と大きな見積もり」「予期不安」「回避行動」が原因となることが多いようです。次回以降は社交不安障害に特有の思考傾向を変化させる方法ついて考えていきます。

内容は以下の通りです。

コラム② 社交不安障害の原因を認知行動療法で対処
コラム③ 社交不安障害の予期不安を対処
コラム④ 社交不安障害の回避行動を対処
コラム⑤ 社交不安障害のセルフケアを知ろう

社交不安障害特有の思考傾向を変化させることで症状を軽減することにつながります。しかし、考え方や行動を変えることは根気のいる作業です。これから紹介する思考傾向のトレーニングや行動を日々の生活の中で意識していくことで、少しずつ社交不安障害の症状への理解が深まり、症状軽減のヒントとなることでしょう!

次回の社交不安障害コラムは、原因の1つ目「否定的な予測と大きな見積もり」の対処法です。認知行動療法のワークを用いながら実践していきます。お楽しみに!

★不安は実態のないもの
★社交不安障害は多くの人が困っている問題
★社交不安障害には特有の思考傾向がある
★社交不安障害には認知行動療法が有効な方法のひとつ

*参考文献
・音羽健司・森田正哉(2015). 社会不安症の疫学――その概念の変遷と歴史―― 不安症研究, 7, 18-28.
KAWAKAMI, N., TAKESHIMA, T., Ono, Y., UDA, H., HATA, Y., NAKANE, Y., NAKANE, H., IWATA, N., FURUKAWA, T. A., & KIKKAWA, T. (2005). Twelve-month prevalence, severity, and treatment of common mental disorders in communities in Japan: preliminary finding from the World Mental Health Japan Survey 2002–2003. Psychiatry and Clinical Neurosciences, 59, 441-452.
Mayo-Wilson, E., Dias, S., Mavranezouli, I., Kew, K., Clark, D. M., Ades, A. E., & Pilling, S. (2014). Psychological and pharmacological interventions for social anxiety disorder in adults: a systematic review and network meta-analysis. The Lancet Psychiatry, 1, 368-376.

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