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あがり症の原因と対処法!あがり傾向の診断もチェック

あがり症


あがり症の原因と対処法!あがり傾向の診断も-作業療法士が解説①

あがり症を専門家が解説

みなさんはじめまして!作業療法士の石橋です。私は作業療法士として、精神疾患を抱える方へのリハビリを行っています。大学院では心理学の研究科で「あがり」について研究をしていました。

当コラムは「あがり症」をテーマに専門家が解説をしています。全部で6コラムあります。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

 

あがり症状とは?

あがり症とはみなさんは人前であがってしまった経験はありますか?「人前に出るといつもあがってしまう」とか「大事な場面になるとあがってしまう」など、人によってもさまざまかと思います。

例えば、
・大勢の前で発言をする
・初めての場所で自己紹介をする
・壇上に立ってスピーチをする
といった状況だと、普段冷静に見える人でもあがってしまうことはよくあります。

その時、手が震えたり、声が上手く出なかったり、さらには頭の中が真っ白になってしまった経験はありませんか?これは緊張して「あがり」の症状が出ている状態です。

あがり症は本来の力を奪ってしまう

あがり症の問題では、あがり症が深刻になってしまうと、どのような問題が起きてくるのでしょうか?あがり症が高じることで、心や体に起こる変化について研究がおこなわれています。

有光・今田(1999)はあがりの情動的な変化について、「自己不全感」「身体的不全感」「震え」「責任感」「生理的反応」「他者への意識」という6つの特徴を挙げています。

あがり症状の特徴※出典:有光・今田(1999)状況と状況認知から見た’あがり’経験 : 情動経験の特徴による分析 Table2 より一部改変して掲載。

その中でも、特に「身体的不全感」「身体的不全感」「他者への意識」を取りあげてみます。

①自己不全感
自己不全感とは「自分の思ったとおりにできなかった」「覚えていたことが思い出せなかった」など、自分の思い通りに行かない状況を表しています。

本番であがってしまうことで、本来の力が発揮できず歯がゆい思いをしてしまう可能性がありますね。

②身体的不全感
身体的不全感とは「早口になった」「眠れなかった」など、あがったときに体で感じる違和感のことを言います。その他にも「胃がむかむかした」「手足が震えた」などの身体的変化も感じたという結果も示されています。

つまり気持ちの変化だけでなく、身体への変化も伴うことが“あがり”であるということが言えます。単純に「根性が足りない」「気持ちが弱いからだ」と気持ちの問題だけで、解決できることではないということも考えられます。

③他者への意識
他者への意識とは「大勢の人前であることを意識した」「他者に評価されていることを意識した」など、自分が見られていることを意識することを言います。自分が見られていることを意識することで、不安が強くなったり、失敗に対する恐怖が強くなってしまいます。

このように本番であがり症状がでてしまうことで、心や体に変化が起き、実力を発揮するのを妨げてしまうことがわかります。

例えば、
「大事な国家試験で頭が真っ白になって問題が解けなかった」

「試合の重要場面でミスをしてしまいチームに迷惑をかけてしまった」

「プレゼンでろれつが回らずうまく営業の説明ができなかった」

など、本来の力を発揮しないといけない場面であがってしまうと、せっかくの実力があってもうまく発揮できません。不完全燃焼で結果が出ないと、とても後悔してしまいます。それが人生を左右するような重要場面であれば、なおさらつらいですよね。

このコラムでは、あがり症状を自分を何とかしたいと悩んでいる人に、あがり症の正しい知識や対処法を解説していきます。

 

あがり症状の傾向をチェック

まずは、自分のあがり症傾向をセルフチェックしてみましょう!

次の質問に対して、「人前で何かをする時の状態」を考えて1つ選んでください。回答が終わったらすべての項目の得点を合計してくださいね。

あがり症状の傾向診断

合計点はでましたか?合計点ごとに結果を見てみましょう!

チェック!あがり症の傾向と対策

10~20点:あがり症の傾向は低い
人前や大事な場面であがり症状がでることは少ないでしょう。普段から不安や緊張にとらわれることなく、上手にパフォーマンスができていることが多いでしょう。

たとえあがってしまったとしても、その場に飲まれることなく冷静に対処できています。そのまま自信を持って取り組んでみてください。

21~30点:あがり症の傾向は普通
人前や大事な場面で時々あがり症状がでることがあるでしょう。いつもではないけれど、特定の場面や状況あがってしまうことがあるかもしれません。

「何をする時があがってしまうのか?」「自分はどんな場面で不安になるか?」など、あがってしまう状況や場面を考えるのも良いでしょう。

31~40点:あがり症の傾向が高い
頻繁にあがり症状がでてしまう傾向があるようです。「大勢の前では体が震えてうごけない」「緊張するせいで失敗が多い」などの経験はありませんか?「できれば人前に出たくない」「緊張するような場面は避けたい」などと考えて、回避することを望んではいませんでしょうか?

これから紹介する呼吸法やリラックスの仕方を身につけて、あがり症を改善して人前でもパフォーマンスが発揮できるようになっていきましょう!

結果は、あくまで「今」のあがり症の傾向です。時間や状況によって変化するため、できれば月に一度ほどあがり症の診断・チェックを行い、自分を見つめ直しましょう。

 

あがり症とうまく付き合う4つの方法

あがり症を改善する4つの方法あがり症の傾向診断はいかがでしたでしょうか。あがり症の傾向が高かった人も、これからお伝えする内容を参考にして、あがり症状に強くなってください!

ここでは、あがり症状になる原因と解決策について考えていきましょう。あがり症状になる原因と解決策は、大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

 

①いまここの行動に集中

人からの評価を意識しすぎる
周りの人の視線を意識した時、人はあがりやすくなります。特に、否定的な評価を受けていると感じると、緊張はより高まります。

例えば、誰もいない場所で歌の練習をする時は、他人に評価されることはないので、あがったりしませんよね。「人から評価されている」と考えたり、「人から自分はどう見られているか」と考えることはあがりを強くしていきます。

自己意識の捉え方を変える
他人からの評価が気になってあがってしまうという人は、他者への意識から自己への意識に変えていく必要があります。つまり、自分自身の行動に意識を傾け、自己の集中力を高めてあがりに対処していくという方法です。

自分の集中力を高めてあがりに対処していく方法は、自分の行動に集中が向けられることで、パフォーマンス自体も高くなっていくことが考えられます。他人の評価ばかり気にしてしまう…という方は、このコラムの続きに解説を載せていますのでこのまま読み進めてください。

 

②あがりを打ち消さず受け入れる

失敗への不安が強い人は注意
失敗への不安があがりを強くしていることが考えられます。誰でも本番で失敗したくはありません。特に大事な場面であればあるほど、失敗したくない思いは強いものです。

「失敗をしたら恥をかく」とか、「失敗をしたら人生が終わり…」など、失敗に対する不安が大きくなりすぎると、あがり症を引き起こしてしまいます。

例えば、スポーツの大会でこれから本番に臨もうという時に
「ミスをしないか心配…」

「自分の技術に自信がなくなる

「うまくプレイができないのではと不安になる」

「余計にあがってしまう」
という悪循環に陥ってしまいます。失敗への不安があがりを強くして、実際のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす危険性があります。

不安は無理に打ち消さない
失敗に対する不安に対処するためには、無理に打ち消さないということが大事です。不安は打ち消そうとすればするほど、その感情を強くしてしまうという性質があります。

当コラムでは森田療法という心理療法をご紹介します。不安や恐れをあるがままに受け止めて「いま・ここ」にある状況に集中するという理論です。こうしたあるがままに受け入れていく考えは、あがりの対処法でも非常に有効であると考えられます。

失敗が不安であがり症状を強く感じる…という方は、コラム②を確認してみてください。

 

③リラックス法

身体の生理的な変化
人があがってしまう時は、身体の生理的な変化もあらわれます。具体的には、自律神経の交感神経が優位になっている状態になります。交感神経とは身体を興奮させ、心臓の鼓動を早くしたり、汗を多く分泌したりする働きをします。その結果、本番であがってしまうと、
「心臓がドキドキする」
「頭に血がのぼる」
「手汗を多くかく」
という状態が身体に表れます。

このように、あがることの原因には身体の生理的な働きによるものがあげられます。交感神経が優位になることで、心臓がドキドキしたり、手汗が止まらないといった状態が表れます。

呼吸を整えてリラックス
交感神経が優位になって身体の調子が思うようにいかないという場合は、身体的にアプローチすることが有効です。つまり、交感神経と対をなす副交感神経を優位にしていくことが大事です。副交感神経が優位になると、身体をリラックスする働きがあります。

この副交感神経を優位にしていく方法として、呼吸を整えたり、自己暗示で体の力を抜くという方法が使えます。当コラムでは、リラックスしてあがり症状に対処する方法をご紹介します。身体変化が強くでる…という方は。コラム③を確認してみましょう。

 

④アイスブレイクで場をほぐす

その場の雰囲気が硬い
「初対面の人への自己紹介」や「異性との会話」など、人とのコミュニケーションの中でもあがりやすい状況というのはあります。スポーツの大事な試合や合否が決まる面接など、結果が求められるような場面ではないにも関わらず、同じようにあがってしまいます。

こうした人とのコミュニケーションであがってしまう原因として、場の雰囲気が硬いことがあげられます。その場の雰囲気が硬いと、会話もぎこちないものになってしまいます。あがらず会話をスムーズに進めるためには、お互いが心地よい雰囲気を作ることが大事です

お硬い雰囲気にはアイスブレイクを
アイスブレイクとは、面識のない人同士が集まる場面などで、初対面の緊張感を和らげ、打ち解けるきっかけをつくるための手法です。

初対面やデートなどで硬い雰囲気になってしまったときは、アイスブレイクを使ってその場の雰囲気をほぐしていきましょう。雰囲気にのまれやすい…という方は、コラム④の方法をチェックしてくださいね。

 

原因を知ってあがり症を克服

あがり症を克服しようあがり症状は誰にでも起こる自然な現象です。あがり症の人は、人よりちょっと極端に緊張が表に出てしまっているだけなのです。基本的な心構えや対処法を知ることで、少しずつ改善していくことができます!これからあがり症状の対処法を知ることで、あがり症と上手く付き合っていきましょう。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

 

公的自己意識と私的自己意識

では早速、あがり症の対処法について解説していきます。まずは、人からの評価を気にしすぎてあがってしまう場合を考えていきましょう。キーワードは”自己意識”という言葉です!

心理学の研究では、自己意識とは「他者の評価を気にして、自己に注意を向ける傾向」のことをいいます。自己意識は次の2種類に分けられています。

①公的自己意識
他者との関わりの中で、自分が他者にどう見られているのかに意識を向けることです。

・人に良い印象を与えたくて、いつも気を遣っている
・周りが自分のことをどう思っているのか常に気にする

といった場合です。

②私的自己意識
他人が知ることができない自分の内面に注意を向けることです。

・自分の行動をあれこれと見直す
・自分の心の奥の感情に注意を向ける

といった場合です。

つまり、公的自己意識は他者に注意を向け、私的自己意識は自分の内面に注意を向けるということです。

あがり症の人は公的自己意識が高い

あがり症状を軽減するポイント心理学においては、公的自己意識が高い人はあがり症状がでやすく、私的自己意識が高い人はあがり症状は出にくいという研究結果があります。

例えば、あがりと自己意識・対人不安の関係性について調査した堤(2006)の研究を紹介します。この研究では、多くの聴衆を前にした場合、

・公的自己意識が高いと見ている人ほどよりあがる。
・私的自己意識はこの傾向が高い人ほどあまりあがらない

とそれぞれ予測しています。

つまり、公的自己意識が高い人はあがり症状がでやすく、逆に私的自己意識が高い人はあがり症状がでにくいという結果になっています。

公的自己意識が高いということは、「周りを意識しすぎる」ということです。他人の評価に注意が向いてしまうため、あがり症状がでやすくなるのです。一方、私的自己意識が高い人は、意識が自分に向かい、より自分の世界に没頭できるため、あがり症状がでにくい状態ができあがります。

例えば、スポーツ選手がインタビューで「無我夢中で集中できたので勝てました」という発言を聞いたことがあるでしょう。これは、私的自己意識が高まり、周りの視線を意識しすぎることなく競技に向き合えた結果だと考えられます。

このように、同じ自己意識でも「公的自己意識が高い」ことはあがりやすく、「私的自己意識が高い」ことはあがりにくいという性質があります。つまり、あがり症と上手く付き合うポイントとしては、私的自己意識を高めることが大事であるということになります。

集中力を高め、今の行動に意識を向ける

あがり症状を軽減する2つの方法では、私的自己意識を高めるには一体どうすれば良いのでしょうか。

この「私的自己意識を高める」を言いかえると、うまく自分の世界に入るにはどうすれば良いか?ということです。ここでは、自分の世界に上手く入るための方法として2つご紹介します。

①集中力を高める
具体的には、本番前に音楽を聴いて集中力を高めるという方法があります。

よくスポーツ選手が、競技前にイヤホンで音楽を聴いている様子を目にします。これは音楽を聴く事でリラックスをしている場合もありますが、周りからの音を遮断することで自分の世界に入り込み、集中力を高めているとも考えられます。

②パフォーマンス自体に意識を向ける
いまここで行っているパフォーマンス自体に意識を集中しましょう。

例えば、スピーチをしていたら「次話す内容を思い出す」とか、ピアノの演奏中なら「リズムを崩さずテンポに乗る」といった具合です。「いまここにいる自分」だけに目を向け、やっている行為に集中しましょう。

 

今に集中!あがり症状に対処

周りの評価を気にしてあがり症状がでてしまう人は、まずは自分のパフォーマンスをしっかりこなすことだけに注意を向けましょう。自然に集中力が高まり、あがっていることも忘れて、思う存分実力が発揮できるでしょう!

次回は、あがり症状の対処法の2つ目「あがりを打ち消さず受け入れる」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★原因と対処法チェックしてあがり症と上手く付合おう
コミュニケーション講座

*出典・参考文献
・有光興記 (2005) あがりとその対処法 川島書店
・有光興記 今田 寛(1999)
状況と状況認知から見た’あがり’経験 : 情動経験の特徴による分析 心理学研究
・橋本公雄 徳永幹雄ら(1993)
スポーツにおける競技特性不安尺度(TAIS)の信頼性と妥当性
・堤雅雄(2006)「あがり」現象と自己意識 ―対人不安への予備的考察―

 

 



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