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あがり症の原因と対処法!診断・チェック

あがり症を克服する方法と対策①

はじめまして!作業療法士の石橋、監修の精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは『あがり症』について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • あがり症とは?
  • 思春期の発症
  • あがり症と身体症状
  • 克服法①認知の歪みを改善
  • 克服法②自己意識を改善
  • 克服法③森田療法を活用

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^)また、当コラムは動画解説もあります。動画環境がある方は参考にしてみてください。*チャンネル登録をして下さると励みになります!

あがり症とは?定義

・定義

あがり症とは心理学辞典(1999)で

演壇で公演や発表する時
スポーツなどで試合に臨む時
などに体験される
心身の緊張状態をいう

と定義されています。私たちは人前に立つと自然と緊張してしまうものですが、強い緊張を感じるとあがり症という言葉をつかうことがあります。

・語源

語源は諸説ありますが、

「血が頭に上がる」

という表現から派生したと考えられています(有光 2001)。川島の主観ですが、「上がり」とは、仕事をあがる、舞台にあがるあがり(お茶)など前向きな表現が多いです。あがり症は、チャレンジした結果、テンションがあがった状態!ととらえなおすと前向きになるな~なんて考えたりしています。

あがり症の症状

ここで少し視点を変えて、「体の仕組み」を考えてみましょう。人はあがってしまうと、体にも影響して症状が表れます。例えば、市村(1965)はスポーツにおけるあがりの要因として、自律神経系の緊張、心的緊張力の低下、運動技能の混乱どを挙げています。

自律神経は「自律」というぐらいなので、私たちが特に意識せずとも自動的に動いてくれる神経になります。例えば、呼吸や瞬きが上げられます。自律神経が乱れると、
「呼吸が乱れる」
「体が震える」
「心臓がドキドキする」
「顔が赤くなる」
など、体の面のあがり症の特徴が現れます

なぜこのような現象が起こるのでしょうか?それは脳の構造に大きなヒントがあります。特に偏桃体視床下部といった脳の働きが関係していることがわかっています。脳や体の仕組みに興味がある方は、コラム1を網羅した後に下記を参考にしてみてください。

あがり症のメカニズムについてはこちら②

思春期に重症化する

ちなみに、あがり症は正式な診断名ではなく、一般的な用語です。学術的には、社交不安症、不安症と言われることが多い症状です。社交不安症は年齢が若いほど発症しやすいことがわかっています。アメリカ精神医学会の統計によると、社交不安症は約75%が15歳以下で発症しているとしています。以下に図を示します。

なぜあがり症は10代の発症がほとんどなのでしょうか?原因はいくつかありますが以下で解説する「周りの目を気にする」という心理メカニズムが大きく関連していることが分かっています。

あがり症はなぜ起こる?

ここからはあがり症の発症原因を解説します。

原因① 緊張する遺伝子S型

あがり症はよくも悪くも遺伝の影響を受けると言われています。日本人は生まれつき緊張しやすいという研究があります。私たちが感じるあがり症には

S遺伝子・・・不安を感じやすい
L遺伝子・・・楽観的である

この2つの遺伝子が関連していると言われています。センら(2004)は、日本とアメリカの人たちのS遺伝子とL遺伝子の割合を調べました。

あがり症と遺伝

このように日本はSS型とSL型に分類される人の割合が多いく、その割合は世界でも最高水準に位置づけられることが、多くの研究や調査で指摘されています。そう考えるとあがり症は、私たちの努力次第で改善できる部分と、遺伝の問題で改善が難しい部分があると推測できそうです。

あがり症 改善する

原因② あがり症と公的自己意識

「周りの目を意識する」という傾向は公的自己意識と呼ばれます。私たちは思春期になると、勉強、身長、性的成長、異性の目などを意識し、周りと比較したり、印象をよく見られようとします。周りの目を意識するようになり、公的自己意識が刺激されていくのです。

周りの人の評価が気になる
悪い印象を持たれることを恐れる
自分がどう思われているか意識する

これらの公的自己意識は、あがりと深く関連することが分かっています。例えば、佐久田ら(2006)の研究では、あがり、公的自己意識、自己効力感との関連について、大学生を中心とした男女436名に対して質問紙調査をしています。その結果の一部が下記となります。

 

このように「公的自己意識が高いとあがりやすい」という結果になっています。あがり症が強い方は、公的自己意識を改善していくことが軽快へのヒントとなります。やり方はページ下部で解説します。是非参考にしてみてください。

30代中旬から改善傾向

あがり症は10代からはじまり、社交不安症にもつながりやすいことをお伝えしました。しかし、症状は年を取るごとに減っていくことが分かっています。日本医療開発機構の川上(2016)が社交不安症の発症年齢について調査を行いました。

上図のように2030代は高く、30代中旬以降は有病率が低いことがわかりました。これは私たちが社会経験を積んで、人前に立つ機会を経験し自信をつけたり、感情のコントロールを法を自分なりに獲得していけることを示唆しています。

私たちは思春期に爆発的な感情の揺れ動きを体験しますが、人生を長く生きて試行錯誤していくことで、だんだんと自分の感情と折り合いをつけていけるようになるのです。

私も15~24歳ぐらいまでひどいあがり症で悩んでいました。当時が100とすると、38歳の現在では30ぐらいまで、あがり症は減ったと感じています。あがり症は試行錯誤で改善はできると体感しています。

ここまでのまとめ(改善できる部分-できない部分とは?)

繰り返しになりますが、あがり症は遺伝の影響や脳の仕組みの問題でもあるので、完治は難しいと考えるのが現実的です。努力で改善できる部分は改善し、改善できない部分はある意味で、あきらめる姿勢も大事になってきます。まずはその点を押さえておきましょう。

ここから先は特にあがり症の中でも改善しやすい部分を中心に議論を進めていきます。

あがり症の克服方法を紹介!

心理学の歴史は100年以上になります。歴史的にあがり症を改善するための方法が複数開発されています。それぞれ長所と短所があるやり方ですが、肌に合いそうな方法がある場合はクリックしてみてくださいね♪

克服方法①失敗不安を改善

有光(2001)はあがりの原因の1つに失敗不安を挙げています。失敗不安は「結果が悪かったらどうしよう」「失敗してはいけない」など、失敗に対する不安や恐怖などを表しています。失敗を恐れる癖がある場合は、「〇〇しよう!」とポジティブなイメージを持つことで緊張を緩和できる可能性があります。失敗したくない…とよく考えてしまう方はコラム4を参照ください。

あがり症の克服方法「失敗不安」を改善④

克服方法②私的自己意識を増やす

周りの評価を気にしすぎる傾向を改善していくためには、公的自己意識から私的自己意識への切り替えが必要になります。

公的自己意識
周りの目を気にしている状態です。例えば、目の前の人と話しているとき、「うまく振舞えているかな?」「会話で失敗しないかな?」これらは公的自己意識が刺激されている状態です。

私的自己意識
自分がどうしたいか?どう振舞いたいかを考えている状態です。例えば「鳥取に旅行に行った話が楽しかった!聞いてもらおう」「〇〇さんの話楽しいなあ」これらは私的自己意識が刺激されている状態です。

私的自己意識を高めると、周りの評価を気にしてあがってしまう状態を軽減することができます。あがり症を改善する上で基本的な心構えなので一度は練習したい項目です。興味がある方はコラム5をオススメします。

あがり症の克服方法「自己意識を改善」⑤

克服方法③森田療法を活用

森田療法とは主に神経症の治療法として開発された、日本の心理療法です。森田療法はあがり症の改善にも有効です。森田療法では、症状の悪循環に陥らないための2つの考え方があります。

①あるがままの態度
気分のままに行動するということではなく、気分に関係なく行動するというのが、森田療法でいう“あるがまま”です。

②目的本位の行動
目的本位とは気分にとらわれないで、やるべきことをやることを言います。例えば、テスト前に勉強がしたくないと思っているとします。この2つの考え方を使ってあがり症を改善する方法を詳しく紹介しています。

あがり症の克服方法「森田療法の活用」⑥

克服方法④段階的にあがり症を解消

あがり症を段階的に解消していく方法として、不安階層表というのがあります。不安階層表とは、自分がどのような状況にどの程度不安を感じるのかを数値化したものです。はじめに、治したいと思っている不安な状況を100、全く不安に感じない状況を0、として、表に書き表します。

不安階層表の例

こうした不安階層表ができたら、以下の手順で実際に行動していきます。

手順① 50くらいの不安を感じる場面から実行
手順② 一つの課題を繰り返す
手順③ 課題がクリア出来たら一つ上の課題に挑戦

あがり症を段階的に減らしていく方法はこちら⑦

克服方法⑤リラックス法であがりを軽減

あがり症に対処していくためには、体の緊張からリラックス状態に切り替えていく必要があります。体の緊張とリラックスの関係には自律神経の働きが関係しています。自律神経とは交感神経と副交感神経に分かれて、体のバランスを保っています。
・交感神経 ⇒ 興奮
副交感神経 ⇒ リラックス

といった作用があります。

あがり症は、交感神経が優位になり、呼吸が早くなって興奮した状態になります。一方、リラックスした状態とは、体の緊張がほぐれて、神経の高ぶりが治まっている状態です。あがり症に対処するためには、副交感神経を優位にしてリラックス状態に持っていく必要があります。呼吸を整えてリラックス状態にする、丹田呼吸法があります。

丹田呼吸法であがり症を軽減する方法はこちら⑧

克服方法⑥専門機関で学ぶ

あがり症は知識だけでなく、実践を通して改善していくことができます。私たち、精神保健福祉士、作業療法士は、あがり症、緊張の軽減を目指し、心理学講座を開催しています。心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・あがり症改善 認知行動療法
 ・緊張とうまく付き合う方法
 ・最新マインドフルネス療法
初学者向け心理学教教室を開催しています

あがり症と病院での治療

あがり症の治療法①薬物療法

あがり症は一般的には心理療法で改善していくのが健康的ですが、緊急性が高い場合や重度の症状の場合は、精神科の受診や薬物療法が必要になります。薬物療法はもっとも基本となる治療法です。症状によっては心理療法と並行して行う必要があります。病院での治療についてもっと詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
・薬物療法って何?
・あがり症に効果的な薬剤
・薬物の副作用は?

あがり症の薬物療法⑨

あがり症の治療法②漢方薬

精神科の受診や西洋的な治療法に抵抗がある方は漢方の対処法もお伝えします。薬物療法は西洋医学だけではなく、東洋医学も必要に応じて活用されています。特にあがり症などの精神疾患を抱えている患者さんに「漢方」を処方する場合もあります。

その中でもあがり症に効果的なのは、「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」です。この漢方は心の興奮や体の緊張を緩めて、不安を改善させる働きがあります。漢方治療についてもっと詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
・漢方の種類
・漢方の効果とは

あがり症と漢方!漢方薬によるあがりの治療法⑩

本番に弱い

あがり症診断

現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。症状が重たいか軽いかによって、対応が異なりますので、一度診断してみることをお勧めします。
あがり症診断で緊張しやすさをチェックしよう③

自分に合ったあがり症の対処法を使って本番で実力発揮!

コラムだけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

目次

①あがり症とは? ​
②あがり症の生理的なメカニズム
③あがり症の無料診断
④克服方法「認知の歪み」を改善
⑤克服方法「自己意識」を改善
⑥克服方法「森田療法」を活用
⑦克服方法「段階的に不安を解消」
⑧克服方法リラックス上手であがりを改善
⑨あがり症の治療ー薬物療法
⑩あがり症の治療ー漢方

コメント

1件のコメント

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    • べり
    • 2019年3月4日 11:10 PM

    「あがり症診断」では「かなりあがる」と出ました。

    特に人前にでると、頭が真っ白になるので、予測の見立てを立てて対処━事前準備をしっかりすることで対応できる様です。確かに友人の結婚式のスピーチでは、練習不足でしどろもどろになり当たって砕けました。今でも黒歴史です。

    次の機会があれば、恐怖突入→目的本位→事前準備で乗り切りたいです。

    0

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
菅原健介(1992 )対人不安の類型に関する研究  社会心理学研究 7(1), 19-28
有光興記,今田寛(1999) 状況と状況認知から見た“あがり”経験 -情動経験の特徴による分析- 心理学研究 70(1),30-37
有光興記(2001) 「あがり」のしろうと理論 : 「あがり」喚起状況と原因帰属の関係
徳永幹雄(2001) スポーツ選手に対する心理的競技能力の評価尺度の開発とシステム化
樋口匡貴,南谷のどか,藏永瞳,深田博己(2007) スピーチ状況における”あがり” の対処法とその効果  広島大学心理学研究 (7), 93-101

・Sen S, et al.’s (2004) Meta-analysis of the association between a serotonin transporter promotor polymorphism (5-HTTLPR) and anxiety-related personality traits. Am J Med Genest