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視線恐怖症の症状をチェックし改善する方法を心理の専門家が解説

視線恐怖症の治し方と対策!薬や森田療法など-入門①

はじめまして。公認心理師の川島です。今回のテーマは「視線恐怖症」です。

  • 改善するお悩み
  • 人の目が怖い
  • 目が合うとドキッとする
  • 人に会いたくない

全体の目次
入門①視線恐怖とは何か?
入門②公的自己意識の改善
入門③森田療法あるがまま
発展-認知の歪みの改善,簡易診断
発展-お悩み相談掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

視線恐怖症とは何か?

視線恐怖症とは

視線恐怖症とは、目線について必要以上に気にすることにより、強い対人不安を持つ症状を意味します。視線恐怖が強い場合は、社交不安障害、症状によっては醜形恐怖症という診断名が付くことがあります。

視線恐怖症とは?症状や問題について解説

回避まで進む方は注意

視線は誰でも怖くなることがあるものです。発表する機会、異性と会話をする機会、権威のある人と話す機会に緊張することは健康的な証拠でもあります。

一方で、何気なく目があっただけで、体が硬直するような感覚があり、会話場面を避けるところまで進んでいる方は視線恐怖症の疑いが出てきます。回避傾向がある方は症状が進んでいる可能性が高いので要注意です。

視線恐怖症と4分類

視線恐怖症は細かく分類するとさらに4つに分けられます。

・他者視線恐怖症
人の視線を極度に恐れる症状 他者視線恐怖は現場感覚ではもっと多く見られます。社交不安障害の方はに非常に多いです。

・自己視線恐怖症
自分の視線が相手に対して、不快感を与えると考える症状です。症状が重たい場合は醜形恐怖症に分類されることもあります。

・正視恐怖症
人と正面から見つめあうと、自分の心が見透かされているような気分になります。

・脇見恐怖症
周りにいる人の視線を異常に気にしてしまう症状です。脇見恐怖の方は、その人の目線を追ってしまうため、トラブルになることもあります。

視線恐怖症が起こるプロセス

視線恐怖は上記のように複数の種類がありますが、発症のプロセスには共通している部分があります。

中核は人の目を気にする心理

視線恐怖が起こる心理の中核は

人の目を気にする心理

です。これは心理学的に公的自己意識と言います。公的自己意識は10代前半に爆発的に増え、10代の中盤から後半に一気にピークを迎えます。

思春期は、異性を気にする、友人と比較する、協調性を求められるなど、他人の目を気にする心が育つ時期です。公的自己意識が過剰になりやすく、視線恐怖が好発しやすいと言われています。

視線恐怖,社交不安障害

一般的に、病気にかかりやすいのは、幼児と高齢者ですよね。しかし、心理的な問題は10代におこりやすく、特に視線恐怖は思春期におこるという点で独特です。

社交不安症を発症する年齢の割合を示したグラフがあります。

視線恐怖症

約75%の人が15歳以下で発症していることがわかります。(図.1)対人不安症の特徴としては、発症した年齢と医療機関に訪れた年齢が異なることが挙げられます。

ある研究では、発症年齢から10年後以上の30代半ばで専門機関を訪れる傾向があることが報告されています。相談の遅れると、視線恐怖症の克服に時間がかかってしまうケースもあるため注意が必要です。

一方で社交不安障害は、30代後半から落ち着いていくことが分かっています。これは講師川島(精神保健福祉士)の現場経験からも体感しています。

2010年に、13歳から18歳を対象に行われたアメリカの調査では、社交不安障害の障害有病率は、9.1%で年齢と共に有病率は、増加しています。日本では日本医療開発機構の川上(2016)が調査を行いました。その結果、以下の図のように若い方ほど有病率が高いことがわかりました。

活性化要因

視線恐怖は人の目を気にする心理が中核となりますが、心理学の様々な統計で、悪化させる要因が複数あることが分かっています。具体的には会話力の欠如、失敗過敏、自己嫌悪、孤独感などが挙げれます。

視線恐怖症

会話が苦手
会話力の欠如は対人不安と結びつきます。うまく人間関係を築くことができず、失敗しないか?相手の顔色を窺いやすくなります。

失敗過敏
相手を不快にさせてはならない…孤立してはいけない…という〇〇してはいけないという心理を失敗過敏と言います。社交不安がある方に多い心理です。

自己嫌悪
自分に自信がない状態では、馬鹿にされるのではないか…という落ち着かない心理になってしまいます。

孤独感
人と話すことに自信がなく孤独になると悩みを抱えやすくなります。そして、周りの意見を聞く機会が減り、「相手が自分を馬鹿にしている」など非現実的な考えを持ちやすくなります。

精神交互作用

このように、視線恐怖は、人の目を気にすることを中核として、会話力の不足や自己嫌悪と相まって段々と大きくなっていきます。

この心理をさらに促進する重要な概念として「精神交互作用」があります。精神交互作用とは、以下の図のように、症状へのとらわれがさらに症状を強くするという心理です。

悪循環,精神交互作用

私たちの脳は「〇〇してはいけない」と考えると、そこに意識が向いてしまうという特徴があります。

例えば、リンゴを食べてはいけない!!と強く考えてみてください。すると、なぜか唾液が出てきて、リンゴのことを考えてしまうと思います。

これと同じ原理で、人の目を気にし始めると、〇〇してはいけない!と考える機会が多くなります。視線恐怖の方は、

・不安がばれてはいけない!
・赤面してはいけない!
・視線が不自然になってはいけない!

と考え、そこに意識を向けることでさらに症状を悪化させてしまうのです。

講師川島は20歳の前後に重度の視線恐怖になったことがありますが、当時、精神交互作用が強く出ていました。当日の話を書かせて頂いたので気になる方は下記をクリックください。

恐怖が消える不思議

対人恐怖の症状は、視線恐怖のほかに、対人緊張・赤面恐怖・表情恐怖・醜貌恐怖・自己臭恐怖など幅広く、いずれも対人状況において生じる症状と言われています。

これらの症状は1つの症状が出ると、他の症状が不思議と消えることもあったります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

川島の実体験

例えば、執筆者の川島の場合は、昔10代中盤の頃は赤面恐怖があったのですが、後半に入ると視線恐怖に移行していきました。そうするとなぜか赤面恐怖はかなり軽くなったのです。

講師業をしている今も、上記のうち2つぐらいの症状が併存している方を見ることはありますが、3つはまれだと言えます。

症状への集中癖が問題の根幹

これはおそらく「症状への集中」に限界があるからだと考えています。例えば、視線に集中し、精神交互作用が起こると、赤面のことまで考える暇(?)がなくなるのです。

同じ原理として、視線恐怖の方が、自己臭恐怖を持つと、おそらく視線恐怖の症状は軽くなると考えています。

ある意味で症状は表面的なものであり、根本原因は、

・人の目を気にする
・精神交互作用

にあると推測しています。そのため、仮に、視線恐怖症が治ったとしても、実は他の症状に移行した過ぎないというケースを多々見てきました。この辺に注意しなくてはなりません。

診断・チェック

ここからは視線恐怖症を改善する方法を紹介していきます。成果を把握するために以下の診断で定期チェックをすることをオススメします。

入門②,③視線恐怖症を克服する

ここからは視線恐怖症を改善するやり方について提案させて頂きます。入門としては、

・公的自己意識,私的自己意識のバランス
・森田療法「あるがまま」

をおすすめています。

入門②-公的・私的自己意識のバランス

視線恐怖症を改善する上で極めて大事なのが、人の目を気にするという心理を和らげることです。ここで2つの用語を抑えておきましょう。

「公的自己意識」
他人の目を気にする、恥をかいてはいけないと思う


「私的自己意識」
自分がどうありたいか、どうしたいかを大切にする

この2つのうち視線恐怖症の方は、公的自己意識に偏りすぎていると考えられます。改善のコツは、後者の「私的自己意識」を増やしていくことが挙げられます。

特に、自分の気持ちよりも、周りへの協調性を優先しすぎる方は、私的自己意識の概念をぜひ学習してみてください。入門②は視線恐怖症の方に必須と言えます。

入門②「公的・私的自己意識」」のバランス

入門③-森田療法であるがままに

視線恐怖の方は、必要以上に「何か変な人と思われていないだろうか」「自分の目が変だから、注目されるのではないか」と考える傾向があります。

ある意味で、視線が怖いがゆえに、視線に徹底的にこだわっているのです。

この悪循環は精神交互作用と言いましたね。精神交互作用を緩めるには、「あるがまま」「目的本位」という考え方が非常に大事になります。

視線にとらわれがある…と感じる方は是非入門③を参考にしてみてください。

入門③視線恐怖症を克服する「あるがまま」

発展編

ここからは発展編となります。視線恐怖症でよくある悩みに対応するコラムを紹介させて頂きます。当てはまるな…と感じる部分について参考にしてみてください。

認知の歪みを改善

ある時、あなたが近所の人に挨拶したが、目が合うとどこかびっくりした表情になっていたとします。このような時、視線恐怖症の方は

「私の目線が鋭いから怖くなったのかも(考え)」
「私が嫌いで私を避けているに違いない(考え)」

など、極端に考えてしまうのです。このように偏った考え方を「認知の歪み」と言います。もし非現実的な思考をしているかも…と感じたら以下のコラムを参考にしてみてください。

視線恐怖症の克服する「認知の歪み改善」

スモールステップ法

視線恐怖症の方は、「急な解決を目指してしまう」傾向があります。
「常に目を見る努力をしよう」
「目をそらしてはいけない!」
など急な解決を目指し、行動することがあります。しかし、急な解決は結果的にうまくいかないことが多く、自信を失うことになりやすいです。そこでは実際に視線恐怖を改善していくには、スモールステップで少しずつ自信をつけていくようにしましょう。

視線恐怖症の症例を「不安階層表」で克服

自然なアイコンタクト

視線恐怖症の方は「相手を全く見る事ができない」逆に「相手の目を凝視してしまう」など不自然な癖が出てしまいます。自然なアイコンタクトの方法について詳しく知りたい方は下記をご参照ください。

視線恐怖症を自力で克服するアイコンタクトのコツ

重度の方-薬物療法

視線恐怖症は心理療法で改善していくのが一般的ですが、緊急を要する場合や症状が深刻な場合は、精神科の受診や薬物療法が必要になります。薬物療法は治療法のなかでも最もベースとなる手法です。症状によっては心理療法と並行して行う必要があります。

詳しくはこちらの社交不安障害・薬物療法コラムを参考にしてみてください。

心理学講座のお知らせ

心理療法を独学で学ぶことに不安がある場合は、専門家の元でしっかり学ぶこともお勧めしています。 私たち公認心理師・精神保健福祉士は、対人不安、緊張の軽減を目指し、心理学講座を開催しています。独学に限界を感じた方、心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・精神交互作用の学習
 ・マインドフルネス療法
 ・緊張緩和法の学習
初学者向け心理学教教室を開催しています

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
・八重・吉田(1981)他者接近に対する生理・認知反応 生理指標・心理評定の多次元解析 心理学研究 52(3), 166-172, 1公益社団法人 日本心理学会
・城月 健太郎・児玉 芳夫・野村 忍・足立 總一郎 2013 不安のコントロール感に関する基礎的検討―社交不安障害の観点から― 心身医学, 53:408-415
・対人恐怖心性尺度の作成 堀井, 俊章 小川, 捷之 上智大学心理学年報 1996