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失敗が怖い心理を克服する方法

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失敗が怖い心理を克服する方法

皆さんこんにちは。現役経営者,公認心理師の川島達史です。私はこちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。今回の相談は「失敗が怖い」です。

相談者
32歳 男性

お悩みの内容
私は元々ビビりな性格で、逃げ癖があります。新しいプロジェクトに入るか?と上司に誘われても、失敗したときのリスクを考え、断ってしまうことも多いです。

恋愛もうまくいきません。2人でデートする関係になった女性がいて付き合いたいと思っても、告白して失敗するイメージが先行してしまい、結局気持ちを伝えられませんでした。

こんな自分をそろそろ変えたいと考えています。何かやり方はありますか?

何かに挑戦しようと考えると、どうしても恐怖心が出てきていまいますよね。当コラムでは、失敗が怖い時の対策を6つお伝えしていきます。

①失敗は成功のもと
②失敗する未来を想像しすぎない
③成功する未来を想像する
④挑戦を続けると恐怖心は減る
⑤スモールステップで進める
⑥目的本位で行動する
⑦失敗を研究素材にする
⑧失敗しても後悔は少ない

ご自身の状況に役立ちそうなものを組み合わせてご活用ください。

失敗が怖い,8つの克服法

まずは失敗についての基本的な価値観を再検討していきましょう。

①失敗は経験値

失敗は成功の元という言葉があります。失敗は結果だけを見れば、成果を得られないように見えますが、実はその過程で実にたくさんの学びがあります。

例えば、人前に話す機会があり、あがってしまったとしましょう。しかし、あがったとしても、人前に立てた!という行為そのものが自信につながります。また、あがり症は大概の場合は1回目よりは2回目の方が軽くなっていきます。何度も繰り返していくと、だんだんと緊張も和らいでいくのです。

失敗が怖くなったら

失敗しても経験値は積める
失敗をしても学びになればOK
学びを続ければそのうちうまくいくはずだ

と考えるようにしてみてください。きっと行動する勇気が出てくると思います。

失敗は成功の元

 

②失敗する未来を想像しすぎない

齋藤(2009)は、大学生474名に対して、完璧主義と心理的な影響について調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

失敗過敏完全主義 ⇔ 集団に溶け込めない .58*
増える         増える
         ⇔ 人間関係の当惑   .48*
            増える
         ⇔ 幸福感       
            影響なし

こちらは絶対に失敗をしてはらなない!と考えると、人間関係の場面で悩みやすく、幸福になれるわけではないことを意味しています。

失敗をしてはならない!とイメージすることは「ワレンダ効果」と言われることもあります。カール・ワレンダ(1905-1978)は天才的な綱渡り芸人でした。

彼は、最期に綱渡りで転落死しますが、彼の妻は後に「今までは綱を渡り切ることしか考えていなかったのに、その時に限って落ちないことに注意を向けていた」と証言してたようです。

もちろん失敗を一切イメージしてはいけないということではないのですが、チャレンジする前に失敗するイメージばかりをしてしまう方は注意が必要です。

ワレンダ効果とは何か

 

③成功する未来を意識する

先ほどの紹介した齋藤(2009)の研究では高目標完全主義と心理的な影響の調査もなされました。高目標完全主義とは、前向きな目標を前提とした完全主義です。その結果の一部が下図となります。

高目標完全主義 ⇔ 集団に溶け込めない 
 増える       影響なし
         ⇔ 人間関係の当惑
           影響なし
         ⇔ 幸福感       .39**
           増える

このように、失敗ではなく前向きな目標を立てると、人間関係で悩みににくくなり、幸福を感じやすいことがわかりました。チャレンジをする前は

きっとリラックスして挑戦している
〇〇という動きをすれば成果が出るだろう
△△を攻略すれば結果が出る

という形で、落ち着いて取り組んでいるイメージや、成功するまでの行動を確認していくことが効果的なのです。

 

失敗が怖い,成功イメージ

④挑戦を続けると恐怖心は減る

失敗が怖くて行動できないときは、不安感や恐怖心の性質を抑えておくと効果的です。心理療法家は「暴露療法」という手法で不安の改善を行っていきます。まずは以下の図をご覧ください。

曝露

こちらの図には3つの意味があります。

1つ目は、不安はチャレンジした直後がもっとも大きくなりやすいということです。2つ目は、行動直後は不安は大きいですが、時間がたつにつれてだんだんと治まってくるという点です。3つ目は挑戦は1回目の時は不安が最も大きく、2回目、3回目になるにつれて徐々に不安が小さくなることを意味しています。

何かに挑戦することは確かに不安や恐怖心が出てくるものですが、「いずれはこの不安も軽くなる」と楽観的、長期的な視点を持つことも大事にしましょう。暴露療法について理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

暴露療法の意味とやり方

⑤スモールステップで進める

行動療法という心理療法では、恐怖心で行動できない方の治療法として不安階層表を作ることがあります。不安階層表とは、行動をスモールステップに区切って1つ1つ着実に進めていく手法です。例えば「飲み会が怖い」というお悩みですと以下のようになります。

飲み会が苦手な人の不安階層表

このようにまずは簡単な「練習1」から初めて少しずつ課題の難易度を上げていくのがコツとなります。失敗が怖いときはまずは、簡単なものからチャレンジして少しずつ自信を深めていくことも引き出しの1つとして押さえておきましょう。

なおワークシートは以下のコラムからダウンロードできます。ぜひご活用ください。

行動療法,不安階層表の作り方

 

⑥目的本位で行動する

心理療法の中に森田療法があります。森田療法は森田正馬という精神科医が発案した心理療法です。森田昌磨は、気分本位、目的本位という2つの有名な言葉を作りました。

*気分本位
気分の赴くまま行動する姿勢を意味します。例えば、失敗が怖い…という気分になったら、気分の赴くまま、逃げ出してしまうのです。人と会うのが怖い、恥をかくのが怖い、失敗が怖い、私たちの心にはチャレンジをする際に必ず恐怖や不安が沸き起こります。気分本位で生きる人はそのたびに、回避をしてしまうことになるのです。

*目的本位
気分の上下に左右されず、やるべきことを愚直に進める姿勢を意味します。目的本位な生き方ができる方は、不安や恐怖心とうまく付き合いながら、やるべきことを淡々とこなしていく強さがあります。恐怖心をなくそうともがくのではなく、恐怖心を自然なことと受け止めながら、やるべきことを進めていくのです。

森田療法は失敗が怖い方におすすめの心理療法です。興味がある方は以下のコラムも参考にしてみてください。

森田療法の基礎と哲学

失敗が怖い,克服

⑦失敗を研究素材にする

失敗を気にしてしまう人は、自分を責めたり、自己否定をしたりすることに時間を使い、自信を失ってしまいます。一方で失敗を研究素材として活用する方は、むしろ自信を深めていきます。

中村(2016)は大学生338名を対象に、省察が劣等感に与える影響について調査をしました。省察とは、物事をよく反省する、分析するなどの意味があります。その結果の一部が下図となります。

失敗は成功の元

このように、省察をすると劣等感が小さくなっていることがわかります。もし失敗をしたら、

なぜその出来事が起こったのか?
その時の自分の感情は?
どうすれば失敗しないですんだのか?
どうすれば次に生かせるのか?

と全体から冷静に研究するようにしましょう。失敗は経験の1つに過ぎません。そうすると「経験が増えた」「この情報をもとに次は成功できる」と前向きな気持ちが刺激され、自信を持てるようになっていきます。

⑧失敗しても後悔は少ない

最後に、1つ朗報をお伝えしたいと思います。後悔に関する研究によると、結果のいかんを問わず、行動した人、チャレンジをした人は、後悔が少ないことが分かっています。

心理学者の上市ら(2004)は大学生70名に対して「受験で第一志望に応募したか」について後悔の程度を調査しました。その結果が以下の図です。

失敗と後悔の関係

第一志望を受験しなかった人は、長期的に後悔が大きくなったのに対して、受験した人は結果に関わりなく、後悔の度合いが小さくなっていることがわかります。今回は受験勉強に関する研究でしたが、恋愛やビジネス関する他の研究でも同じような結果になっています。

自分の意思で決めた行動については、例え失敗しても後悔は少ないと考えると、きっと前向きに行動する勇気が湧いてくるでしょう。

 

まとめ

私たちの人生は失敗の連続と言ってもいいかもしれません。筆者の川島も自慢ではないですが、失敗続きの人生です。

・対人恐怖症になった
・会計士受験の失敗
・ひきこもりになった
・自殺企図
・会社をつぶしかけた
・結婚まで考えた女性にふられる
・コロナウイルスで大ピンチ。。

失敗をすると、その瞬間は極めて、落ち込むものです。↓こんな感じになったことは数えきれません(汗)

失敗は成功のもと

しかし、不思議なことに長期的なスパンで見ると、人生に大きな気づきを与えてくれることがわかります。

例えば私は、ひきこもりになったことで、心理学にすごく興味を持つようになりました。今では、精神保健福祉士、公認心理師という2つの国家資格を取り、心理系大学院卒業という人生の大きな転機に繋がりました。

私にとってまさに失敗は成功の元となりました。無責任かもしれないですが、皆さんの失敗もきっと後で振り返ると成長につながると私は信じています。是非迷ったら行動!でチャレンジを重ねてみてくださいね。

 

講座のお知らせ

公認心理師など専門家の元で、失敗が怖い心理を改善したい方は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・恐怖心との付き合い方
・対人不安の改善
・人前で話す練習
・ビジネスコミュ力UPワーク

などたくさん練習していきます。筆者も講師をしています。皆さんのご来場をお待ちしています。↓興味がある方は以下の看板をクリック♪↓

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

出典・参考文献
中村(2016)理想自己と現実自己の差異と自己注目が劣等感に与える影響 2016 年 2016 巻 26 号 p. 168-172