アイコンタクトの心理的な意味とうまくなる8つのコツ
皆さんこんにちは。
公認心理師の川島達史です。私は現在初学者向け人間関係講座の講師をしています。
今回のお悩み相談
「アイコンタクト」
相談者
29歳 男性 独身
お悩みの内容
私は昔からシャイなので、目を見て話すのが苦手です。先日好きな人からアイコンタクトがなくて自信がなく見えると言われてしまいました。どうすれば改善できますか?
目が合うと照れくさくてついつい目をそらしてしまいますよね。
筆者の私は公認心理師、カウンセラーとして活動しています。アイコンタクトは相談者の方と信頼関係を築く上でとても大事です。
当コラムでは専門家がどのようにアイコンタクト意識しているのか、たくさんお伝えしたいと思います。
アイコンタクトの意味
意味
アイコンタクトは心理学辞典(1999)では「視線の交錯」という用語で定義されています。
二者間で互いに相手の目に意識的な視線を向け見つめ合う状態
相手との積極的な関与をしめす
アイコンタクトをすることは、相手との積極的に人間関係を築きたい!という気持ちに現れなのです。
あなたと積極的に人間関係を築きたい!と思われたらうれしいものですよね。
短期的な関係では重要!
アイコンタクトは特に短期的な関係で、重要性が増していきます。
接客業、婚活パーティ、就職活動などは、初対面での印象が重要です。
もしご自身が、接客業や販売職、また婚活中であれば、トレーニングをする意義が強いと言えそうです。
長期的な関係では心配無用
一方で、長期的な関係の場合は、人柄をじっくりと把握する時間があるため、アイコンタクトが無い会話でもそこまで問題になることはありません。
目を見て話せなくても、誠実で思いやりがある、目を見て話せなくても会話の内容がおもしろいなど、様々な面でカバーが可能となります。
アイコンタクト心理学研究
アイコンタクトは実際どれぐらい重要なのでしょうか。関連する心理学の研究を紹介します。
印象形成で2番目に重要
梅野(2015)は、笑顔やアイコンタクトなど、非言語コミュニケーションと好感の関係について、大学生230名に対して調査を行いました。
結果は下の図のようになりました。概観してみてください。
研究結果を見ると、目の表情は、笑顔ほど重視されないものの、髪色やアクセサリーより好感に影響することがわかります。ざっくりと考えると、アイコンタクトは非言語コミュニケーションにおいて笑顔に次いで重要だと言えそうです。
自信があるように見える
深山ら(2002)は、人の顔のアニメーションを利用して“視線と印象の関係”について研究しました。その結果の一部が下図となります。
図を要約すると、
・アイコンタクトが適度にある
→「自信がある」「強い」
・下を向いている
→「自信がない」「弱い」
という印象になることがわかりました。
会話に入りやすくなる
青山・戸北(2005)は、小学5年生を対象にアイコンタクトと発話の関連を調べています。その結果の一部が下図となります。概観してみてください。
この図からわかるように、視線を受けている人は、発話数が高い傾向にあることがわかります。特に女性は視線を受ける、受けないで発話数が大きく変化しています。
会話場面で下を向いたり、スマフォをいじっていると、会話に入れない可能性が高くなると言えそうです。
会話に参加したい方は、前傾姿勢で視線を受けやすくするとよさそうですね。
うまくなる8つのコツ
ここからは専門家が実践しているアイコンタクトがうまくなる方法をお伝えします。具体的には以下の8つの方法をお伝えします。
①5センチずらす法
②目の周辺を見る
③目線は縦に外す
④50%で充分
⑤チラ見でOK
⑥傾聴は多め,発話は控えめ
⑦過剰な意識はNG
⑧視線恐怖症への対処
ご自身に活用できそうなものを組み合わせてご活用ください。
①5センチずらす
相手と正面から向き合うと、目のやり場に困ることがあります。この時、ちょっとしたコツがあります。それは椅子を少しだけずらすのです。
真正面ではなく、気持ち5センチほど相手とずれて座るようにしましょう。それだけで、少し楽になりますよ。
②目の周辺を見る
・距離が遠い場合
よくある手法として、鼻やオデコを見るというアイデアがあります。これは距離が遠い、薄暗いという条件がそろっていれば比較的有効です。
・距離が近い場合
一方で距離が近く、はっきりと相手の顔が見える環境ですと、鼻を見ているのは意外と相手にわかってしまいます。
その場合は、目と目の間の付け根のあたりを見ると有効です。このやり方はまずバレません。がっつり目を見るよりは心の負担が軽くなるのでオススメです。
③目線は縦に外す
目線を時々外すと、相手も話しやすい自然なアイコンタクトができます。目線を外す時は「縦に外す」のがポイントです。
目線を横に外すと、否定している印象を相手に与えてしまいます。縦に外すことで、自然な印象ができます。
⑤50%で充分
心理学の研究では、対面時間の1/2~3/4のアイコンタクトで、もっとも友好度が高くなることが分かっています。それ以上でも、それ以下でも友好度がダウンしてしまいます。適切なアイコンタクト量を心がけていきましょう。
研究の内容をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
(↓クリックで開きます)
深山ら(2002)は、20代から30代の男女13名を対象に、視線と印象操作の関連を調べました。参加者は凝視量によって「1/4・1/2・3/4・全て凝視」の4群に分けられました。
グラフから、友好度を高める凝視量は1/2から3/4であることが分かります。
例えば、
相手との対面総時間が60秒だった場合「30秒~45秒」になります。
この範囲内から逸れると、「話し辛い人だな」「会話しにくい…」といった印象を持たれるかもしれません。
⑤チラ見でOK
0.5秒~1秒間のアイコンタクトが、一番友好度が高くなり、2秒になると大幅に下がってしまうという研究結果があります。アイコンタクトをする時は、チラッと0.5~1秒間だけ視線を向けるように意識していきましょう。
研究の内容をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
(↓クリックで開きます)
深山ら(2002)の同研究では、参加者は凝視時間を基準にして「0.5秒・1秒・2秒」の3群に分けられました。グラフから、友好度を高める凝視時間は0.5秒から1秒であることが分かります。
そして凝視時間が1秒を超えて2秒に近づくと、友好度は下がることも分かりますね。
このように、アイコンタクトと言っても、相手の目を凝視し続けるのはあまりよくないことがわかります。凝視は悪い印象を与えてしまうため、0.5~1秒程度で十分と考えておくとよさそうです。
*当コーナーは動画解説もあります(すいません…最初遊んでいます(^^;)
もしお役に立てたらチャンネル登録をして下さると励みになります!
⑥傾聴は多め,発話は控えめ
アイコンタクトは「傾聴」の際は大事にしましょう。逆に話すときはそこまで相手の目を見てないでもOKです。
そこまで不自然になることはありません。大切な事を伝える時だけ、アイコンタクトするぐらいでOkです。ここぞという時だけアイコンタクトすると、自分の想いをしっかり伝える事ができます。
⑦過剰なこだわりに注意
アイコンタクトはとても大事なコミュニケーション手段ですが「こだわりすぎる」のは、アイコンタクトへの苦手意識を強めてしまう事もあります。
アイコンタクトのことを考えるのは会話の際に3%もあれば十分です。もし会話をしているときに視線の事ばかり考えてしまう…という方は以下のコラムを参考にしてみてください。
⑧視線恐怖傾向がないか注意
もし視線が異常に怖い…という感覚がある方は、視線恐怖症になってる可能性があります。特に人と目を合わせるのは怖い、人間関係を回避するという傾向がある方は下記のコラムを参考にしてみてください。
まとめとお知らせ
まとめ
アイコンタクトをするとちょっとした恥ずかしさは誰にでもあるものです。ですがその恥ずかしさの裏側には、お互いを認め合う、承認しているという心を感じ取ることができます。
おはよう、ありがとう、おもしろいね、おいしいね
これらの肯定的な言葉を言う時は相手の目をみて言うときっとより暖かい関係が構築できるでしょう。皆さんが素敵なアイコンタクトができるように応援しています♪
お知らせ
私たち公認心理師・精神保健福祉士は、視線の配り方、印象の良い会話力の向上を目的として講座を開催しています。
・アイコンタクトの取り方
・視線と緊張緩和法
・聴き上手,話し上手になる方法
・印象UP人間関係UP
などたくさん練習していきます。詳しくは下記看板をクリックください♪皆さんのご参加をぜひぜひお待ちしています。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
ブログ→
YouTube→
Twitter→*出典・参考文献
青山 康郎・戸北 凱惟(2005)発話を促す話し合いの場に関する研究 日本教科教育学会誌 2005.6 第28巻 第1号
梅野(2015)好感をもたらす非言語コミュニケーションに関する研究 目白大学大学院 修了論文概要
深山篤・大野健彦・武川直樹・澤木美奈子・荻田紀博 2002擬人化エージェントの印象操作のための視線制御方法 情報処理学会論文誌出典:深山篤・大野健彦・武川直樹・澤木美奈子・萩田紀博 (2002) ,「擬人化エージェントの視線による印象操作」,NTTコミュニケーション基礎科学研究所,p1-8.
笑顔が大切だという事が分かりました。
相手の目線が怖くてアイコンタクトが出来ませんでした。
5センチずらし、目線を縦に外す、この2つは簡単に出来そうなテクニックなので練習してみたいと思います。
アイコンタクトが怖い原因が自分に自信がないからでした。
自分に自信が持てるように努力して相手との信頼感を築いていきたいです。
自己肯定感を高める練習をして、現在、未来、過去の自分としっかり向き合い、
アイコンタクトが出来るようにチャレンジしてみようと思いました。