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視線恐怖症の治療!薬物療法でどこまで改善する⑩

視線恐怖症の治療!薬物療法でどこまで改善する⑩

コラム①では、視線恐怖症について概観していきました。今回からは、1つ1つの克服方法をより深く解説していきます。少しおさらいすると、「①認知の歪みを減らす」「②私的自己意識を増やす」「③不安階層表」「④あるがまま森田療法」「⑤自然なアイコンタクト」「⑥薬物療法」の6つでしたね。

今回は、⑥薬物療法について解説していきます。

 

赤面症の薬物治療

薬物療法とは?

薬物療法は、1952年のフランスの精神科医 Delayと Deniker が初めて抗精神病薬を発見したことがスタートになります。この1950年代には抗うつ薬が発見されたり、リチウムの抗操作用も確認されました。

以来、半世紀に渡り研究が進み、薬物がどのように脳に作用するかが明らかとなりました。作用機序が研究され、副作用が少なく効果が大きい薬物が誕生し、臨床に用いられるようになりました。現在では、視線恐怖症での治療にも広く活用されています。それでは現在、薬物療法は精神科においてどのような役割があるのでしょうか。

精神疾患には、以下の3つの要因が関わっています。

1.生物学的要因
2.心理的要因
3.社会的要因

精神科の治療方法は、生物学的要因を働きかける「薬物療法」や電気療法、心理的要因に対処するカウンセリングなどの精神療法、社会的要因を解消するリハビリテーションや社会復帰プログラムなどの社会的治療法が行われます。

その中でも、薬物療法は最も基本となる治療法であり、統合失調症や気分障害においては、薬を処方せずに治療を行うことはほぼありません。

また、薬物治療による症状の改善により、介護や看護が行いやすくなります。このように、薬物療法は精神療法や社会復帰プログラムの導入を円滑につなげることができる大きな意味をもっているのです。

SSRIとSNRI

まず、もっとも視線恐怖症で処方されるのが、以下の2つになります。

1.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
2.セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

「1」は精神を安定させるセロトニンのみを阻害する働きがあります。そして、「2」はセロトニンに加えて、モチベーションを高めるノルアドレナリンを阻害します。

「阻害する」と聞くと、逆にメンタルヘルスが悪化しそうなものですが、薬で分泌を抑えることで、脳が「もっと増やせ!」という司令を送りつづけます。その結果、セロトニンやノルアドレナリンの分泌量を増やすことができ、精神疾患の改善が期待でき、視線恐怖症も軽減できます。

SSRIやSNRIはもともとうつ病の治療薬だったのですが、2005年の10月より社会不安障害への治療薬としても追加されました。これがきっかけとなり、現在は、視線恐怖症治療による薬物療法が以前よりもスムーズに行うことができるようになりました。

ただし、保険適応はSSRIの「エスシタロプラム、パロキセチン、フルボキサミン」のみでそれ以外は保険対象外ですので、精神科を受診する際は確認しておきましょう。

セロトニンを増やす

・SSRIやSNRIの副作用は?

精神神経系症状
めまいやふらつき、頭痛、眠気、不随意運動などの症状があらわれる場合があります。
運転などの危険をともなう機械作業は控えましょう。

セロトニン症候群
不安、いらいらする、混乱するなどの症状があらわれる場合が稀にあります。

消化器症状
便秘、下痢、食欲不振、口渇、吐き気、嘔吐などの症状があらわれる場合がある
上記の症状は服用初期にあらわれることが多いが、2〜3週間前後で治まる傾向にあります。

性機能障害
勃起障害、射精障害などの性機能異常も微小な確率ですが、考えられます。

ベンゾジアゼピン系

次に、視線恐怖症で処方されるのは、「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」と呼ばれる薬です。この薬には、「GABA」と呼ばれる精神安定効果を高める物質の働きが関わっています。GABAは中枢神経の中で興奮を抑制させる働きがあります。

ベンゾジアゼピン系薬物にはこのGABA作用を強めるる働きがあるため、不安を鎮めをメンタルへルスの安定につながるのです。ベンゾジアゼピン系抗不安薬の種類は、服用した薬の濃度が体内で薄まったことを示す「半減期」によって変わります。半減期が短いほど、急速に血中濃度がMAXに達し、血中からなくなっていきます。

視線恐怖症などの急激に起こる不安に対しては、以下の抗不安薬が処方されることが多いです。

クロチアゼパム(リーゼ)
エチゾラム(デパス)
フルタゾラム(コレミナール)

この3つ半減期が短いため、リラックス効果がすぐに現れます。そのため視線恐怖症の治療でも用いられるケースがあります。SSRI・SNRIほど一般的ではありませんが、状況によってはベンゾジアゼピン系抗不安薬の方が、効果的である場合があるため、精神科で処方されることあります。

・ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用は?

強い眠気
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は脳内の活動を低下させる薬なので、日中に強い眠気に襲われたりと、人によっては強い副作用が表れることもあります。

依存性
薬の種類やどれだけの頻度で服用するかなどによって変わりますが、数週間以上、毎日服用していると、薬に対する依存が形成されるリスクがあります。例えば、用量を今までよりも増やさないと、これまで得られていた薬の効果が感じられなくなります。

一旦、依存が形成されると、服薬を中止することで退薬症状が表れます。イライラが強まって物事に手が付けられなくなったり、場合によっては、てんかん発作などの深刻な病を発症する可能性もあります。こうして依存へ対策するためには、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の服用は、できるだけ短期間にとどめることが重要になります。

赤面症 治療 薬

視線恐怖症とインデラル

視線恐怖症・スピーチ恐怖が起こる原因としては、交感神経が必要以上に活発になっていることが挙げられます。この交感神経の働きを抑えるのが、インデラル(βブロッカー)という薬物です。

インデラルは、交感神経の1つであるβ受容体を遮断する働きがあります。β受容体がノルアドレナリンと結合することで、心拍数・血液量を上昇させ、体が緊張していきます。そこでβ受容体に蓋をしてブロックすることで、ノルアドレナリンとの結合を防ぎ、リラックスを保つのです。保険適応外なため、精神科を受診する際はどれだけ費用を充分に確認しておきましょう。

インデラルの副作用は?
主に徐脈、めまい、発疹、蕁麻疹、視力異常、霧視、涙液分泌減少などが報告されています。こうした症状が現れたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。

ここまで、視線恐怖症の治療における3つの薬物をご紹介しましたが、科学的な根拠や効果がしりたい!という方は以下の記事がグラフ付きで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

社会恐怖の薬物療法

視線恐怖症での薬物療法は「SSRI」「SNRI」が主流!

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目次

①症状の改善方法を解説
②分類と発症年齢
③視線恐怖症と対人恐怖心性
④アイコンタクト力をチェック
⑤「非現実的思考を改善」
⑥公的・私的自己意識のバランス
⑦「不安階層表」で克服
⑧「あるがまま」とは
⑨アイコンタクトのコツ3つ
⑩薬物療法でどこまで改善する

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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