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全般性不安障害の診断基準,チェック項目,治療方法

全般性不安障害の診断基準,チェック項目,治療方法

はじめまして!公認心理師の川島です。

今回のテーマは
「全般性不安障害」
です。


対象とするお悩み
・不安になることが多い
・全般性不安障害の知識が少ない
・不安を治療したい

全体の目次
・全般性不安障害とは
・診断,チェックリスト
・薬物療法
・心理療法
・環境の作り方
助け合い掲示板

読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非最後までご一読ください。

全般性不安障害とは?

GDAとは何か

皆さんは全般性不安障害という言葉を耳にしたことがありますか?日常的な用語ではないため、聞き馴染みがない人が多いと思います。

全般性不安障害は

generalized(全体)
anxiety(心配)
disorder(障害)

のことで、頭文字をとってGADと略されます。新しい診断基準では、全般不安症と言います。

定義

ウィスコンシン州の精神科医、John(2016)は全般性不安障害を以下のように定義しています。

全般性不安障害では、いくつかの活動や出来事について過剰な緊張や不安が生じる。6カ月以上にわたって、不安が起きる日数が、不安のない日数を上回る

つまり、過剰な緊張や不安が、長期間続く心の病という解釈で良いでしょう。

例えば、
・重い病気にかかっているのでは…
・子どもが学校でいじめられてないか…
・災害が起きて家がつぶれてしまう…

など、根拠もなく、真剣に心配してしまいます。過剰な不安に晒され続け、日常生活がままならない状態になってしまうのです。

全般性不安障害

有病率

川上ら(2006)の疫学調査では、全般性不安障害の12か月有病率は0.86%であったと報告しています。

これを日本の20歳以上人口にあてはめると、過去12か月に86万人が全般性不安障害を経験したことになるのです。

このように、全般性不安障害は珍しいものではないのです。

診断基準,チェックリスト

全般性不安障害にはどのような診断基準があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

①DSM-Ⅳの診断基準

精神医学の診断基準である「DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引」では、以下のような症状が挙げられています。

身体症状
・緊張症状
・疲労感
・めまい
・ふらつき
・動悸

精神症状
・不安と心配
・不眠
・集中困難
・焦燥
・過覚醒

このように、身体症状にまで影響するほどの強い不安・心配が起きるのが特徴です。不安で呼吸が早くなって苦しい、立っていられなくなるなどの症状が現れることがあります。

②ICD-10の診断基準

ICD-10精神および行動の障害(2018)によると、全般性不安障害は、以下のような診断ガイドラインに基づいて診断されます。

患者は少なくとも数週、通常は数か月、連続してほとんど毎日、不安の一次症状を示さなければならない、それらの症状は通常、以下の要素を含んでいなければならない。

(a)心配
将来の不幸に関する気がかり、「いらいら感」,集中困難など

(b)運動性緊張
そわそわした落着きのなさ、筋緊張性頭痛、振戦、身震い、くつろげないこと

(c)自律神経性過活動
頭のふらつき、発汗、頻脈あるいは呼吸促拍、心窩部不快、めまい、口渇など

つまり、心配性の加えて過度に緊張したり、生理的な症状が表れる症状であると言えます。上記のような症状に当てはまる方は、精神科もしくは心療内科を受診するようにしましょう。

原因-なぜ発症するの?

全般性不安障害の原因は様々です。

・認知の偏り
・不安のコントロール感の欠如
・脳内物質が不安定
・長期間の薬の服用
・覚せい剤、LSD、エクスタシーなど薬物使用
・先天的に不安を感じやすい

このように、遺伝的要因、心理的要因、環境的要因などさまざまな条件が絡み合って症状を引き起こします。

特に、自分ではコントロールできない事柄について、深刻に悩み続けてしまい、過剰な不安や心配につながるケースが多いです。

併存症と治療リスク

全般性不安障害は併存症が起こりやすく、治療する際の足かせになることがわかっています。Bruceら(2005)は、併存症を持つ不安障害患者を12年にわたって追跡調査しました。

①パニック障害との併存

まずは、全般性不安障害×広場恐怖をともなうパニック障害から見ていきましょう。

不安神経症 克服

このように、回復の可能性を見たリスク比は0.67と低い値です。リスク比とは「併存がある」グループと「併存がない」グループとの比率になります。

少し専門的な数字をなりますが、パニック障害を併存していると、不安障害が治りにくいことが考えられます。

②大うつ病性障害との併存

続いて、大うつ病性障害の結果を見てみましょう。

心配を和らげよう

このように、回復の可能性を見たリスク比が0.57と低い値を示しています。

やはり、全般性不安障害にパニック障害、大うつ病性障害の併存症があると、回復しにくいということが言えそうです。

全般性不安障害と3つの対策

全般性不安障害の恐れがある際は以下の3つの対策を組み合わせて行うことになります。

1.医療の力を借りる
⇒精神科の薬物療法など

2.心理療法
⇒カウンセリング、心理療法など

3.社会的対処
⇒社会復帰プログラム、SSTなど

その中でも、薬物療法は基礎となる治療法であり、全般性不安障害でも、薬を処方して治療を行うことが多いです。

全般性不安障害,治療方法

1.医療の力を借りる

精神科では基本的には、脳や体の仕組みの面から改善していくのが基本です。私たちの脳は、様々な脳内伝達物質で、不安を感じたり、悲しくなったりします。精神科ではこれを「薬」の面から改善していくのです。

お薬については、SSRIという心を安心させる薬や、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬が用いられます。詳しくは、こちらの社交不安障害の薬物療法で解説しています。薬の効能や副作用が気になる方は参考にしてみてください。

大概のクリニックが、まずは薬物療法を基本としていて、カウンセリングや精神療法は補助的に組み合わせていくケースが多いです。

診察はまずは予備面接から始まることが多く、30分前後、コメディカルの面接を挟み、検査などを行い、そのうえで、精神科医のお医者さんとの面接にはいることが多いです。

精神科のお医者さんが1時間しっかり悩みを聞いてくれるようなことはまずありませんのでその点は、あまり期待しないようにしましょう。。(お医者さんに怒られてしまうかもしれませんが (^^; )

 

2.心理療法

薬物療法はお薬を使う治療法となりますが、それだけでは対処力があがりません。そこでおすすめなのが心理療法を学ぶことです。

心理療法は心の整理、安定を図る手法で、100年近く研究されてきました。不安との向き合い方の練習ができるので、全般性不安障害の治療に必須と言っていいでしょう。

心理療法は様々な手法がありますが、代表的なものは認知行動療法と言われるものです。認知行動療法は以下の3つの心理療法が組み合わさった手法です。

認知療法

認知療法は考え方の偏りを柔軟にほぐす手法です。不安を抱えやすい方は根拠のない思考が多くなりがちですが、現実的に考える練習を行います。

行動療法

不安が強い際は、回避的になり、社会生活がままならないことがあります。行動療法は不安の小さなものから取り組み、行動範囲を広げていく手法です。

マインドフルネス療法

不安を客観的に眺め、冷静に対処する力を高めます。ここ10年で急速に研究が進み、効果があることがわかってきました。

 

詳しくはこちらの認知行動療法コラムで解説させて頂きました。良かったら参考にしてみてください。

 

精神科と心理療法の違い

薬物療法と心理療法の違いを理解しておくことも大事です。こちらの動画も参照ください。

3.社会的対処

最後にあげられるのは社会的対処です。社会的対処は環境面を整えてく作業になります。全般性不安障害は、薬を飲んで、心理療法を学べばすっきり解決!とはいきません。

お薬が合わないこともありますし、心理療法もやり方をマスターするまで時間がかかるものです。大事なことは、あまり焦らず、じっくり取り組んでいくことです。

そのためには、ある程度不安が出てもOKな環境作りが必要です。いくつかアイデアを挙げますので参考にしてみてください。

情報へ過剰に触れない

例えば、2020年はコロナショックがあり、毎日のようにニュースが流れています。もちろん情報を入手することは大事なのですが、長時間ネガティブな情報に触れ続けると不安が増進されています。

例えば、テレビは1日30分までなど制限して、不安を促進させる情報に触れすぎないようにしましょう。

周りのサポートをもらう

全般性不安障害になったら、なるべく周りのサポートをもらうようにしましょう。特にお仕事においては信頼できる上司や同僚にあらかじめ伝えておいいて、どんなタイミングで不安になりやすく、仕事で支障が起きる可能性について伝えておくといいでしょう。

過剰な回避はしない

全般性不安障害は社会生活が回避的になります。回避的になると経験値を積むことができず、さらに症状が悪化することがあります。

不安障害を持ちながらも、自分のスキルが落ちないように、勉強を重ねたり、調子が良い時はチャレンジするも前向きにしていきましょう。

発展

最後に全般性不安障害について役立ちそうなコラムを紹介させて頂きます。

森田療法

森田療法は不安とうまく付き合いながら目的本位に生きていくという心理療法です。「あるがまま」「気分本位」「目的本位」という生き方は全般性不安障害の方にとっても役立つと思います。

興味がある方はこちらの森田療法コラムを参考にしてみてください。

心配性コラム

障害ほど重くはないが心配性で困っているという方は、こちらの心配性コラムをオススメします。現実的に考える、感情に巻き込まれない練習を行っていきます。

おしらせ

これまで「全般性不安障害」コラムにお付き合いしていただき、本当にありがとうございました!症状への理解を深められたと感じていただけたら幸いです。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち、公認心理師・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。

コラムだけでは伝えきれない知識やワークを進めています。みなさんの心の安定のお手伝いができるよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね。

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
John H. Greist (2016)MSDマニュアル家庭版 全般不安症(GAD)
監訳 融道男・小見山実・大久保善朗・中根允文・岡崎祐士(2018)ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 新訂版 医学書院

Bruce, S. E. et al. (2005) Influence of psychiatric comorbidity on recovery and recurrence in generalized anxiety disorder, social phobia, and panic disorder: A 12-year prospective study. American Journal of Psychiatry, 162, 1179-1187.