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今ここを生きるの意味とは?マインドフルネス

今ここを生きるの意味とは?マインドフルネスの練習・活用例

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは
「今ここを生きる」
です。

当コラムの目標
・今ここを生きる,意味を理解
・過去と未来から今思考への転換
・実践例を見てみましょう

全体の目次
・今を生きると原始仏教
・ゲシュタルト療法との関係
・マインドフルネス療法との関係
・悩みの99%は過去と未来
・発展-実戦での活用例

今ここ⁻始まりは原始仏教

サティとは

「今ここ」という概念は諸説ありますが、原始仏教の世界からはじまった、とても古い概念です。

今まさに自分の状態に
・気が付く
・眺める
・観察する
ことを「サティ」と言います。サティは悟りを開くための基本であり、2500年に渡って仏教の世界で脈々と受け継がれてきました。

サティの広がり

サティの実践は主に「ヴィパッサナー瞑想(気づきの瞑想)」と呼ばれます。実践者は世界各国におり、近年日本でもヴィパッサナー瞑想を学べる施設が発展しています。

ここ100年、サティの考えは心理学の世界でも注目されるようになりました。そしてhere and nowという英語で、欧米でも広がっています。

ゲシュタルト療法への展開

ゲシュタルト療法

心理学の世界で最初に今ここを生きる概念を重視したのがゲシュタルト療法です。1950年代のアメリカでパールズ夫妻、P.グッドマンらによって開発されました。

パールズは京都での禅の修行経験もあり、東洋的な思想の影響を受けていると考えられています。

ゲシュタルトとは、ドイツ語で「統合された全体像」という意味で、人間を「知能・感覚・身体」が統合された有機体として捉えることを主張した考え方です。

今・ここの気づき

ゲシュタルト療法では、「今・ここの気づき」を大切にしています。「今・ここ」での「気づき」を得ることで、過去や未来に悩むことがなくなり、自分らしくあるがままにいきることができると考えます。

ゲシュタルト療法では、普段意識することがない、身体感覚、感情に意識を向けます。身体感覚や感情とは以下が挙げられます。

*身体感覚
痛み、空腹、だるさ、呼吸、凝り

*感情
嬉しい、楽しい、悲しい、辛い

皆さんは、これらの感覚に「気が付いていますでしょうか?」もし気が付いていなかったとしたら、今ここを生きることができていないかもしれません。

アウエアネスとは

ゲシュタルト療法ではアウエアネスを重視します。アウエアネスとは、気づきという意味であり、自分自身の体や感情の状態に気が付き、そしてコントロールできる状態にすることを目指していきます。

そして、自分を知ることで、主体的な行動につながり、日々をイキイキと過ごすことができるのです。

今ここに気がつく重要性

例えば「怒り」があったときに、気が付いていないのと、それに気が付いているのとでは、行動の結果が異なります。

もし怒りに気が付いていないとすれば、感情の赴くままに行動してしまいます。暴言や暴力をふるってしまう方は、「自分が今ここでどんな状況にあるのか?」気が付いていないのです。

しかし、気が付いていれば、その感情をどう扱おうか?と冷静に対処することができるのです。

マインドフルネス心理療法への展開

マインドフルネスとは?

ゲシュタルト療法から20年ほど経つと、1970年代にマインドフルネスセンターの創設所長、ジョン・カバットジンがマインドフルネス療法を提唱しました。

マインドフルネスとは以下の意味があります

*Kabat-Zinn, J.
今ここでの経験に、評価や判断を加えることなく、能動的に注意を向けること

*北川, 2013
いまこの瞬間に集中しすべてのことを迎え入れ、それをあるがままにしておくということ

今ここを重視する、ゲシュタルト療法の哲学とよく似ていますね。

マインドフルネスの目標

マインドフルネスを応用した心理療法は、世界的に不安障害やうつ病に対して効果があることが示されています(Hofmann et al., 2010)。

マインドフルネスでは、様々なエクササイズを通して「今ここ」という瞬間に集中する練習をしていきます。練習を通して悩みに感じていた不安や緊張などが一つの体験に過ぎないことに気づきます。

そして不安は1つの自然な感情として、客観できるようになることを目標とします。そしてその感情をただただ眺め、受け入れることを目標とします。

マインドフルネス療法を詳しく知りたい方は下記のコラムを参照ください。

マインドフルネス療法の基礎

悩みの99%は過去か未来

さて!今ここという概念、わかったようで、わからないやや複雑な概念ですね。そこで、今回は講師の川島が、自分なりにアレンジをして皆さんに解説したいと思います。

悩みの性質

皆さんは今どんな悩みをお持ちでしょうか?

たとえば、
「あの時、告白ておけばよかった(過去)」
「もっと良い大学に入りたかった(過去)」
「あがってしまったらどうしよう(未来)」
「収入が下がったらどうしよう(未来)」
「将来、年金どうしよう(未来)」
このような悩みは、多くの人が感じているのではないでしょうか。改めて見ると、悩みは

過去
未来

にあることが分かります。

過去,未来,今ここを生きる

99%は過去と未来

実は悩みの99%は過去と未来にあります。この事実に気が付くことはコペルニクス的転換が起こります。過去やどうなるかわからない未来の出来事に縛られてしまうと、悩みの種が増えてしまいますよね。

これに対して、「今ここを生きる人」は、悩みがとても少ないのです。例えば私は3歳の子供がいますが、たぶん10分後の未来も考えていません。今この瞬間を全力で、楽しんで生きています。見習いたいものです。

*監修の川島(公認心理師)が動画でも解説しています。
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今ここ-2つの実践例

今ここの話については、抽象度が高かったと思います。コミュニケーションの場面で実践的に考えてみましょう。

活用例1:プレゼンテーション

太郎さんは、1週間後に重要なプレゼンを控えています。当日あがったらどうしよう…と頭がいっぱいです。

・頭が真っ白になったら評価が下がる
・社長が来るから失敗はできない
・突拍子もない質問が来たらどうしよう

プレゼンでの不安や焦り

太郎さんは最近緊張からか睡眠不足になっています。そこで太郎さんは「今ここ」を意識することにしました。

・今,未来を悩んでも仕方がない
・今できる資料の調整をしよう
・今調べられる調査に集中しよう
・今目の前にあるご飯を味わおう

このように1週間後のことを考えるのではなく、今ここに集中することで、悩みが軽くなりました。

活用例2:飲み会・婚活パーティ

花子さんは、会社の忘年会に出席しました。忘年会は2時間ありますが、残念?なことに、普段口うるさい苦手な上司の隣の席になってしまいました。

花子さんは、どうして出席するなんて言ってしまったのだろう…と過去を悔やみます。そして、早く帰りたい…と2時間後の未来を想像してしまっています。

でも飲み会は一度参加してしまったら、離席はできません。そこで花子さんはどうせなら…と今ここに集中することにしました。

飲み会や婚活パーティの悩み

・今ここに出た話題を楽しもう
・今この瞬間に出てきた料理を頼もう
・今この飲み会でがみがみ言われるわけではない

このように今に集中することで、過去の後悔を考えず、早く帰りたいという思いも少なりました。結果的に思ったよりも飲み会は早く終わったように感じ、楽しめたようです。

 

まとめとお知らせ

まとめ

私が今ここという概念と巡り合ったのは、22歳の頃でした。当時は、未来と過去のことばかりを考え、悩みの渦にいました。

ですが、未来と過去を考えても、しょせん私たちは今この瞬間がまさに目の当たりにしている人生なのです。今この瞬間を充実させずして、実りある人生にはなりません。

今回のコラムが参考になるととてもうれしいです(^^)

お知らせ

私たち公認心理師・精神保健福祉士は、不安感、緊張、孤独感の軽減を目指し、心理学講座を開催しています。心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。マインドフルネス療法の基礎もお伝えしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・マインドフルネス療法
 ・心理療法の歴史
 ・緊張緩和法の学習

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • なおみ
    • 2019年5月13日 9:42 PM

    レーズンエクササイズをやってみました。
    五感を意識しながらやってみますが、「時間が長いなぁ」と雑念が頭に浮かんできてなかなか集中できませんでした。
    これは慣れればうまくいくものでしょうか?

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Hofmann, S. G., et al. (2010) The effect of mindfulness-based therapy on anxiety and depression: A meta-analytic review. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 78, 169-183.
Kabat-Zinn, J. (1994). Wherever you go, there you are: Mindfulness meditation in everyday life. New York: Hyperion Books.
北川嘉野・武藤崇(2013)マインドフルネスの促進困難への対応方法とは何か. 心理臨床科学, 3(1), 41-51.