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恐怖症の種類と克服方法,簡易診断

恐怖症の種類と克服方法,簡易診断-心理の専門家が解説①

はじめまして!臨床心理士の加賀、精神保健福祉士の川島です。今回のテーマは
「恐怖症」
です。


改善するお悩み
・恐怖症で悩んでいる…
・非現実的な考えをしてしまう…
・不安が強く異常な行動をする

全体の目次
入門①恐怖症の種類
入門②認知療法で改善
入門③お守りイメージ法
入門④身体リラックス法
入門⑤森田療法であるがまま

 発展-診断とチェック
 発展-アルバート坊や研究
 発展-脳の構造 
 助け合い掲示板

入門①~④を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

入門① 恐怖症の定義と種類

定義

心理学辞典(1999)では恐怖症は以下のように定義されています。

特定の状況、物、活動(たとえば高所、イヌ、水、血、運転、飛行)に対する、持続した不合理な恐怖。結果として、熱心に避けたり、著しい苦痛に耐えることになる。

恐怖症は精神疾患の中でも古くから見られ、研究されてきました。生涯有病率は3.0%、特定の恐怖症の有病率は1.1%と報告されています(天野,2012)。

種類

恐怖症という言葉は現場感覚では比較的よく使いますが、正式な呼び名ではありません。WHOの診断基準では、

「恐怖症性不安障害」

として分類されています。具体的には以下の種類があります。

・広場恐怖症
・社交不安障害
・赤面恐怖症
・対人恐怖症
・高所恐怖症
・歯科治療恐怖症
・先端神経症
・単一恐怖症
・動物恐怖
・閉所恐怖症
・恐怖症性不安障害

恐怖症についての研究

恐怖の対象は様々

恐怖症はそれぞれ対象が異なるのが特徴です。対人恐怖症や高所恐怖症は比較的イメージしやすいですね。

単一恐怖症など聞きなれない用語もあると思います。単一恐怖症とは、特定の対象に異常に恐怖を覚える症状です。

例えば、蛇やカエルなどがよく見られますが、対象は人それぞれで、スパゲッティーが怖い、鰹節が怖いなど、様々なものが挙げられます。

入門①-2,恐怖心の機能

恐怖の必要性

「恐怖症」はなぜ起こるのでしょうか?恐怖の原理からひも解いていきましょう。心理学辞典(1999)では、恐怖心につながる概念である「不安」は、以下のように定義されています。

自己存在を脅かす可能性のある破局や危険を漠然と予想することに伴う深いな気分のこと。漠然とした不安が何かに焦点化され対象が明確になったものを恐怖(fear)というが、行動理論では、両者を明確に区別することはしない。

少し難しい定義ですが、簡略化すれば、対象がハッキリとした不安を恐怖と呼ぶのですね。私たちは、ハッキリとした危険が迫ると

・心臓がバクバクする
・手に汗が出る。
・血圧が上がる

・その対象に集中する

などの反応が起こります。このように恐怖を覚えるからこそ、私たちは危険を回避できるとも言えます。

例えば、恐怖心が全くない人は、個人情報をどんどん人に教えてしまうかもしれません。その結果、自宅の住所が不特定多数に洩れてしまい、実際に身に危険が及ぶなんてこともありえます。

恐怖心はもともと身を守るための重要なサインなのです。

過剰な恐怖は問題

恐怖はちゃんとした理由があるのであれば、極めて健康的な心が育っていると言えます。一方で、「スパゲティ」が怖い恐怖症については、いかがでしょうか。

スパゲティは私たちにとっては大して問題にならない対象です。このように、現実的に考えて、非合理的な恐怖はやはり少なくしたいものです。

恐怖症,種類

入門①-3,脳と神経伝達物質

神経伝達物質と脳

私たちの恐怖は脳と神経伝達物質によって起こります。脳は会社、神経伝達物質は、伝達員と例えるとわかりやすいと思います。

「会社」
会社の中には扁桃核、青斑核という部分があります。

青斑核
ノルアドレナリンの製造部署、せいはんかくと読みます。

扁桃核
怒りを発する部署、


「伝達員」
会社の中では伝達員がたくさん働いています。

オレキシン
普段は睡眠や食欲などをコントローしていますが、緊急事態は、青斑核に行ってノルアドレナリンを作り出します。

ノルアドレナリン
感情を司る扁桃体に働きかけ、活性化させます。

(Yoshihara et al., 2016)。

このように恐怖は脳の中で様々なプロセスで起こっているのです。

恐怖の2経路

恐怖が起こるプロセスは大きく分けて2つのルートがあります。ざっくりと分けると、思考から起こる恐怖と、直感的に起こる恐怖です。詳しくは動画で解説しました。興味がある方はご覧ください。

入門①-4,診断,チェック

入門②以降は、改善策をお伝えします。成果を把握するために、定期的にこちらの恐怖症簡易診断で自己チェックしておくことをお勧めしています。

客観的な状況を知りたい方はご活用ください。

入門②~⑤恐怖症を克服する方法

ここからは恐怖症の解決策について考えていきましょう。心理学的によく使う解決策は、大きく分けると4つあります。まずは一通り知識として覚え、ご自身に合いそうなものを取り入れるようにしてみてください。

*症状が軽い方向けです
 症状が強い方は
 知識程度に止め、
 必ず主治医と相談ください。

入門②認知のゆがみを見つける

認知のゆがみとは日常生活に支障をきたすほどの、不合理な考え方を指します。恐怖心の裏側には、認知のゆがみがあることが多く、現実的にしていくのが基本です。

非現実的な考えをしてしまっているかも…という方は下記リンクで改善していきましょう。
恐怖症の対処法!不合理な考え方を見直す②

認知の歪み

入門③お守りイメージ法

お守りイメージ法とは、あらかじめリラックスするイメージを練習して、恐怖場面を克服していく方法です。

リラックスするイメージをすると安心感が増え、恐怖場面を克服しやすくなります。

いつも悪いイメージをしてしまう…という方は下記リンクを参考にしてみてください。
恐怖症に対処!恐怖や不安を軽減する「回避癖」の克服③

恐怖症克服イメージ

入門④身体リラックス法

肩の荷を下ろす、肩ひじを張るなど肩に由来する言葉は多いですね。肩の動作はこころのありようを表現できると言われています。そこで、肩を楽に動かし、緩めることで、こころを楽にすることができます。

恐怖場面で体がかたまっている…という感覚がある方は下記を参照ください。
恐怖症の症状と対処法!身体の緊張をほぐすリラックス法④

お守りイメージ

入門⑤森田療法であるがまま

森田療法は、1919年に森田正馬によりつくられた精神療法で、対人恐怖症や赤面恐怖、視線恐怖などに対して古くから活用されてきました。

森田療法は
「症状をあるがままに受け止めて考えていく」
方法です。

恐怖心や不安になる気持ちを強引に打ち消すことはせず、プラスな目的に注意を向けることを重視します。

恐怖でやるべきことを回避してしまう…という方は、下記を参照ください。
恐怖症の原因と対処法…「強いこだわり」が不安を強める?!⑤

恐怖症,克服法,森田療法

専門機関を利用する

心理療法を独学で学ぶことに不安がある場合は、専門家の元でしっかり学ぶこともお勧めしています。

私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、不安を軽減する行動予定、緊張を軽減する思考、について心理学講座を開催しています。

独学に限界を感じた方、心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

初学者向け心理学教教室を開催しています

発展‐恐怖症に対する深い知識

ここからは恐怖症について発展的な知識をお伝えします。より深く理解したい方は参考にしてください。

ワトソン博士,アルバート坊や実験

・白ネズミと大きな音

アメリカの心理学者のワトソン博士は、生後11カ月のアルバートという男の子を対象に恐怖実験を行いました。

この実験では、アルバート坊に白ネズミを見せ、アルバートが白ネズミに触れようとしたときに、博士が大きな音を立てることを繰り返しました。

その手続きを続けたところアルバートは、白ネズミを怖がるようになりました。

・恐怖の条件付け

それ以外にも白ウサギや毛皮のコート、白いひげのサンタクロースなど、似たような外見を持つものまで怖がるようになってしまいました。

これをワトソン博士は、「恐怖の条件付け」と呼びました。この研究は古い研究ですが、恐怖症やPTSDなどのトラウマに関する病態を理解することにとても有用なものになりました。

恐怖の中枢

Soya(2017)らの研究では、実験参加者にホラー映画と穏やかな映画の2種類の映画を見せて脳の活性しらべました。その結果は、ホラー映画を見たときに

*扁桃体・・・情動反応に関与
*前帯状皮質・・・血圧や心拍数、意思決定
*前部島皮質・・・内臓の自律系、辺縁系に強く関与

以上の脳の3か所の部位が活性化し、感情や全身の変化を起こしています。恐怖は様々な脳の機能が総合的に関連して発生する感情なのです。

コラム1は恐怖症について概観してきました。ここかから先は各論となります。もっと深く知りたい内容がありましたら以下のリンク先を是非クリックしてみてくださいね。

 

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • べり
    • 2019年3月13日 9:24 PM

    まず大事なのは、恐怖症の原因は自分のせいじゃないと理解することだと思いました。
    認知の歪みが強い人はそのことには気付きにくいでしょう。

    強い認知の歪みをもっていることは、本当に生きにくいですね。
    心理的、身体的リスクが多すぎる。でも同時に認知行動療法でのフォロー範囲が広いので、認知行動療法に慣れれば一気に好転するんですかね。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Reiss, S. (1991). Expectancy model of fear, anxiety, and panic. Clinical psychology review, 11(2), 141-153.
Jakupcak, M., Osborne, T., Michael, S., Cook, J., Albrizio, P., & McFall, M. (2006). Anxiety sensitivity and depression: mechanisms for understanding somatic complaints in veterans with posttraumatic stress disorder. Journal of traumatic stress, 19(4), 471-479. 

Soya, S., Takahashi, T. M., McHugh, T. J., Maejima, T., Herlitze, S., Abe, M., … & Sakurai, T. (2017). Orexin modulates behavioral fear expression through the locus coeruleus. Nature communications, 8(1), 1606.