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恐怖症の対処法とセフルチェックを専門家が解説

恐怖症


恐怖症の対処法とセルフチェック-心理の専門家が解説①

「恐怖症」について専門家が解説

みなさんこんにちは、はじめまして臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。その経験や心理学の知識の中から皆さまのお役に立てられるような情報をお伝えしていきたいと思います。当コラムでは「恐怖症」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。 

恐怖症!と感じた経験はありませんかみなさんは、恐怖を感じる様な出来事から「そのことを忘れられない」という経験はありませんか?

例えば、
・ひどい失恋をしてから新しい恋が怖い
・事故に遭ってから車の運転が怖い
・プレゼンへの恐怖心がある

などが挙げられるかもしれません。過去に恐怖を感じる様な経験をしたために、同じような場面を考えると、心臓がどきどきする、足がすくんで一歩踏み出せない状態なるなど、後の行動に影響を及ぼすことがあります。

これまで心理学では、事故や災害に巻き込まれるなどの恐怖体験から日常生活の恐怖までさまざまな研究がされてきました。まずは、その恐怖症の心理に関する研究をご紹介します!

恐怖症についての研究

恐怖症とは何か

まず、「恐怖症」について確認しましょう。そもそも恐怖症とは何でしょう?

心理学辞典では、 予期しない事態にあい、心が動揺すること。衝撃とあります。そして、恐怖を忘れられないのは、脳と体に記憶が刻み込まれているからだと言われています(Van der Kolk,1998)。

そして、
・何かのきっかけで恐怖体験を思い出す。
・心臓がバクバクする、手に汗が出る。
・感情がコントロールできない。
などの反応が起こります。 

忘れられない恐怖体験が心に刻み込まれるのは困ることのように思えますね。しかし、これらが脳や心身に刻まれることにも意味はあるのです。それは、とても強い恐怖を受けた状況であったため、また同じ目に合わないように脳と体がその出来事を記憶する防衛反応のひとつと考えられています。一方、防衛反応が過剰に働くと悪影響が出てきます。

恐怖症と悪影響① 不安感受性の増大

不安感受性とは、不安症状に対する恐怖であり、不安に伴う感覚がネガティブな身体的、社会的、心理的な見方につながると言われています(Reiss, 1991)。つまり不安感受性が高いことにより個人の認知にネガティブな影響を及ぼすのです。

そして、この不安感受性が恐怖により高まり、

・不安障害
・抑うつ
・その他身体症状

につながると言われています(Jakupcak, M et al., 1991)。

例えば、お化け屋敷に入ったときのことを想像してみてください。お化けが出る!と身構えながら進んでいる状況では、緊張感や不安感は高く、ちょっとした物音や感触にもいつも以上にすごく驚いてしまいますよね?それと同じように不安や緊張感が高い状況では、同じことが起きたとしても、いつも以上に

・いろいろなことが怖い。
・物事の見方が悲観的になる。
・身体に不調を感じる。

以上のことが起きても不思議はないと思いませんか?それほど不安感受性が高まっている中では、心身ともに過剰なストレスがかかり、それらが悪循環を引き起こす可能性があるのです。恐怖体験は、心身に大きな影響を与えます。そして、その影響は、恐怖症や不安障害や抑うつなどにつながる可能性もあります。

恐怖症と悪影響② 恒常性への影響

人間には、環境が変わっても、体内の状態、機能を一定に保つ働きである恒常性という機能が備わっています。

例えば、
・食事で血糖値が上昇しその後下がる
・気温に関わらず体温を一定に保つ
・体内の水分量を調整する
などが挙げられます。

ストレスや緊張状態も同様で、心身にストレスがかかると、その後元に戻ろうという力が働くはずです。しかし、恐怖症は恒常性に影響を与え、一定に保つ働きが正常に機能しなくなります。例えば、職場で対人関係のトラブルがあり、強い恐怖を経験した。結局その職場は退職したが、

・寝付きが悪くなる、熟睡できない
・いつも疲れを感じている
・些細なことでイライラしてしまう

など、ストレス場面から離れても心身ともに過剰なストレス状態や緊張感が続くため睡眠に問題がでるなど不快感はなくならないのです。

恐怖症とは?恐怖体験が続く問題

 

恐怖症のセルフチャック

恐怖症のセルフチェックをご用意しました。 まず、あなたが恐怖体験を受けたと感じている記憶をひとつ思い浮かべてください。

例えば、友達からからかわれた出来ごとなど、です。そして、以下の質問の中で、あなたの普段の状況や行動をどれくらい表しているかをお答えください。最も当てはまるものを一つ選んで、解答が終わったらすべての項目の得点を合計してくださいね。
恐怖症のセルフ診断・チェック

セルフチェックの傾向と対策

0~14 点
軽度の恐怖症傾向
恐怖症の問題傾向は低めです。日常生活に支障をきたすような状況ではないでしょう。

しかし、恐怖体験の記憶は、大きな問題にはなっていないけれど、心にひっかかりを感じさせている状況なのかもしれません。該当した項目を振り返り、ひっかかりを整理することが必要かもしれません。

15~29点
中等度の恐怖症傾向
恐怖症の問題傾向はやや高めです。日常生活に適応はしてはいますが、不安や緊張感が高まり、自分の本来の力が発揮できない状況にいる可能性があります。

この状況が新たな問題につながらないためにも現在抱えている問題を明確にし、より適応的な対処スキルを身に着けていくことをおすすめします。

30点以上
強い恐怖症傾向
30点以上の人は、恐怖症の問題が強い傾向で仕事や学業など日常生活に支障をきたしていることが考えられます。

恐怖を伴う出来事により、自分の感情や行動がコントロールできないことで、自責が高まる、自信を失うなどの恐怖症の症状がでている可能性も考えられます。ストレスが掛かる状態が続くのは心身にとってとても負担なことです。今の状況を少しずつ整理し、どういう方向に進めば楽になるのかを考えていくことが必要かも知れません。

定期的にチェックしてみよう

この恐怖症チェックリストの結果は、あくまで「今」のあなたの恐怖症の傾向です。そのため、時間や状況によって変化するため、できれば月に一度ほどチェックを行い、自分を見つめ直しましょう。今の心の状態を確認でき、恐怖症を軽減するきっかけにできます。下記で恐怖体験を乗り越える恐怖症の解決策をご紹介します。

恐怖症を乗越える方法

恐怖症に対処!恐怖体験を乗り越える方法

セルフチェックの結果はいかがでしたでしょうか。あまりいい結果が出なくても、現状を知ることが大切です。ここでは、恐怖症の原因と解決策について考えていきましょう。恐怖症の原因と解決策は、大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

 

①認知のゆがみを見つける

固定観念が強い人は注意!
恐怖症で困っているひとは、恐怖体験の記憶によって認知のゆがみが作られ、その思考で自分自身が生きづらくなっている傾向にあると言われています。例えば、仕事上である失敗をしたことから自分は何をやっても駄目だ!という認知が生まれ、その後の行動を生きづらいものにしてしまうのです。

まずは、現在の自分の認知の傾向を知りましょう。そしてそこからどのように考えることができれば楽になるのかを考えていきましょう!認知のゆがみにより、自分自身の思考に困っているという人は要注意です。

認知のゆがみとは?     
認知のゆがみとは日常生活に支障をきたすほどの不合理な考え方のことを指します。認知療法などで10パターンに分けられると言われてきました。自分にはどんな認知のゆがみがあるのか、その不合理な思考をどのように合理的に考える方法があるのかを解説していきます。これまで気づかなかった認知のゆがみに気づくことで少しずつ行動も変化してくるでしょう!自分の認知のゆがみを知りたい!という方は、コラム②を参考にしてみてくださいね。

②7回唱えるワークでその場に居続ける

回避行動が多い人は要注意!
恐怖体験の記憶は、回避行動を重ねることではじめより不安が拡大され恐怖症や不安が拡大されるという特徴を持ちます。そして回避行動が自然と増えた結果、日常生活に支障をきたすという状況になっている可能性があります。これ以上恐怖や不安を拡大させないため回避行動を変化させていく必要があります。現在の生活で回避行動が多い人は要注意です。

しかしながら、いきなり恐怖や不安に直面化すればよいのかというとそうではありません。安全な方法ですこしずつ進めていきましょう。

「○○○の恐怖」と7回唱える
「○○○の恐怖」と7回唱えるワークとは、恐怖症が出たときに、その恐怖や不安の対象を口に出して、その場に居続ける練習をする方法です。恐怖症で困っている人は、意識は「いまここ」になく、過去や未来の不安や恐怖の中にいるために現在の恐怖症状を回避している状態なのです。

そこで恐怖症が強く出た時今ここに続け、何も考えない状態を作ります。そうすることで意識が今ここに集中し、回避せずに、落ち着きを取り戻すことができるでしょう!「○○○の恐怖」と7回唱えるワークをやってみたい!という方は、コラム③を参考にしてみてくださいね。

③身体の緊張を緩めてリラックス

過剰に緊張は要注意!
恐怖体験は、身体にも記憶されるということをご紹介しました。そのため、常に身体は緊張状態にあり、疲れは取れず、不調を感じていることが予想されます。身体の不調は、心にも影響するので、身体の緊張状態を緩めることがこころを落ち着かせることにもつながります。いつも頭が休まらず、心身が緊張状態にあるという人は要注意です。

肩の動作法でこころを楽にしよう!
肩の荷を下ろす、肩ひじを張るなど肩に由来する言葉は多いですね。肩の動作はこころのありようを表現できると言われています。そこで、肩を楽に動かし、緩めることで、こころを楽にする体験をしてみましょう!実際に体験してみることで、「思っていた以上に肩に力が入っていた」「肩の力を抜くことが難しい」などの気づきが得られるはずです。

この方法は、辛いことを思い出したときにもこころを落ち着ける方法として使用できます。リラックス法を身につけたい!という方は、コラム④を確認してみてくださいね。

恐怖体験を乗り越えていこう

恐怖体験を乗り越えて恐怖症を克服

恐怖症を引き起こす恐怖体験を乗り越えられないのは、自分のせいではありません。その記憶の性質ゆえに脳や体に刻まれているからです。そのため、特徴を知り、適応的な対処方法を身に着けることで少しずつ状態は変化し、恐怖症の症状を軽減することができます。

これから紹介する乗り越える方法を日々の生活の中で実践してみてください。自分に合った工夫を加えることで自分の対処方法になっていきます!1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

次回は、恐怖症の解決策の1つ目「認知のゆがみを見つける」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★恐怖症や不安を引き起こす仕組みを理解して、乗り越える自分を目指そう!
心理学講座

*出典・参考文献
Creamer, M., Bell, R., & Failla, S. (2003). Psychometric properties of the impact of event scale—revised. Behaviour research and therapy, 41(12), 1489-1496.
Reiss, S. (1991). Expectancy model of fear, anxiety, and panic. Clinical psychology review, 11(2), 141-153.
Jakupcak, M., Osborne, T., Michael, S., Cook, J., Albrizio, P., & McFall, M. (2006). Anxiety sensitivity and depression: mechanisms for understanding somatic complaints in veterans with posttraumatic stress disorder. Journal of traumatic stress, 19(4), 471-479. 
Van der Kolk, B. A. (1998). Trauma and memory. Psychiatry and Clinical Neurosciences, 52(S1).



仕組みを理解して対処しよう