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恐怖症の種類と克服方法,簡易診断

恐怖症の種類と克服方法,簡易診断-心理の専門家が解説

みなさんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。

今回のテーマは
「恐怖症」
です。

恐怖症についての研究

改善するお悩み
・恐怖症で悩んでいる…
・非現実的な考えをしてしまう…
・不安が強く異常な行動をする

全体の目次
・恐怖症の種類
・認知療法で改善
・行動療法で改善
・漸進的筋弛緩法
・森田療法の活用

読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

恐怖症の定義と種類

定義

心理学辞典(1999)では恐怖症は以下のように定義されています。

特定の状況、物、活動(たとえば高所、イヌ、水、血、運転、飛行)に対する、持続した不合理な恐怖。結果として、熱心に避けたり、著しい苦痛に耐えることになる。

恐怖症は精神疾患の中でも古くから見られ、研究されてきました。生涯有病率は3.0%、特定の恐怖症の有病率は1.1%と報告されています(天野,2012)。

恐怖の性質

「恐怖症」はなぜ起こるのでしょうか?不安と恐怖の原理からひも解いていきましょう。心理学辞典(1999)では、以下のように定義されています。

不安…自己存在を脅かす可能性のある破局や危険を漠然と予想することに伴う深いな気分のこと。

恐怖…漠然とした不安が何かに焦点化され対象が明確になったもの

*行動理論では、両者を明確に区別することはしない

少し難しい定義ですが、簡略化すれば、対象がぼやけているものは不安で、ハッキリとした不安を恐怖と呼ぶのですね。

体への影響

私たちは、ハッキリとした危険が迫ると

・心臓がバクバクする
・手に汗が出る。
・血圧が上がる

・その対象に集中する

などの反応が起こります。このように恐怖を覚えるからこそ、私たちは危険を回避できるとも言えます。

例えば、田舎に行ったときに、見たこともない虫が飛んできたとします。この時大概の人は、びっくりして払いのけるでしょう。未知の生物は毒を持っているかもしれないですし、どんな危害が及ぶか予測できないからです。

この意味で、未知の対象に対して恐怖を感じるということは、極めて健康的な心が育っていると言えます。

過剰な恐怖は問題

一方で、「スパゲティ」が怖い恐怖症については、いかがでしょうか。スパゲティは私たちにとっては大して問題にならない対象です。このように、現実的に考えて、非合理的な恐怖はやはり少なくしたいものです。

恐怖症,種類

種類

恐怖症という言葉は現場感覚では比較的よく使いますが、正式な呼び名ではありません。WHOの診断基準では、

「恐怖症性不安障害」

として分類されています。具体的には以下の種類があります。

・広場恐怖症
・社交不安障害
・赤面恐怖症
・対人恐怖症
・高所恐怖症
・歯科治療恐怖症
・先端神経症
・単一恐怖症
・動物恐怖
・閉所恐怖症
・恐怖症性不安障害
・集合恐怖

恐怖の対象は様々

恐怖症はそれぞれ対象が異なるのが特徴です。対人恐怖症や高所恐怖症は比較的イメージしやすいですね。

単一恐怖症など聞きなれない用語もあると思います。単一恐怖症とは、特定の対象に異常に恐怖を覚える症状です。

例えば、蛇やカエルなどがよく見られますが、対象は人それぞれで、鉛筆が怖い、鰹節が怖いなど、様々なものが挙げられます。

診断,チェック

恐怖を感じやすい傾向について簡易診断を作成しました。自己チェックしておくことをお勧めしています。

 

脳と神経伝達物質

恐怖症は脳のメカニズムを理解することで冷静に対処することができます。簡単に脳と恐怖の仕組みについて概観していきましょう。まずは下記の図をご覧ください。

脳と恐怖の仕組み

オレキシン

普段は睡眠や食欲などをコントローしていますが、緊急事態は、青斑核に行ってノルアドレナリンを作り出します。

青斑核

せいはんかくと読みます。ノルアドレナリンの製造部署です。脳幹の中にあります。

ノルアドレナリン

集中力を高めたり、興奮状態を作り出すホルモンです。感情を司る扁桃体に働きかけ、活性化させます。

偏桃体

マイナス感情の中枢です。恐怖や怒りを活性化させます。

恐怖の2経路

恐怖が起こるプロセスは大きく分けて2つのルートがあります。ざっくりと分けると、思考から起こる恐怖と、直感的に起こる恐怖です。

詳しくは動画で解説しました。脳と感情の仕組みに興味がある方はご覧ください。

 

恐怖症を克服する手法紹介

ここからは恐怖症の解決策について考えていきましょう。具体的には以下の5つを紹介させて頂きます。
・薬物療法
・認知療法
・行動療法
・漸進的筋弛緩法
・森田療法

まずは全体を概観して、気になるリンク先があったらクリックしてみてください。

薬物療法

恐怖症の症状が重たい場合は医療機関である心療内科か精神科での受信をオススメします。医療機関では主に薬物療法が基本として行われていきます。

薬物療法は先程紹介した脳のプロセスを、お薬を使ってコントロールしていく手法です。
・汗が止まらない
・全身がかたまる感覚がある
・ひどい倦怠感がある
など社会生活に重大な影響がある場合は医療機関を利用することを視野に入れてみてください。以下の動画では薬物療法の特徴を解説しています。

心療内科,薬物療法,心理療法の比較動画

認知療法

恐怖症の治療によく採用されるのが認知療法です。認知療法は、認知の歪みを発見し、改善していくことで、心の安定を目指す心理療法です。

恐怖心の裏側には、認知のゆがみがあることが多く、現実的にしていくのが基本です。非現実的な考えをしてしまっているかも…という方は、下記リンクでお試しの認知療法にチャレンジしてみてください。

恐怖症への認知療法,簡易版

行動療法

行動療法は行動のあり方を改善することで、恐怖場面を克服していく方法です。恐怖症がある方は、とにかく回避をしてしまうことで、逆に恐怖心を強くしてしまう傾向があります。

例えば、人が怖い!という恐怖心があるときに、人がいる場所を避け続けると、余計に人が怖いという感覚が促進されていきます。

そこで行動療法では、行動のあり方を分析することで、無理のない計画表を作成し、積極性を身に着ける練習をしていきます。

回避癖がある、生活の行動範囲が狭くなっているという方は下記のコラムも参考にしてみてください。


恐怖症に対処!行動療法の基礎

漸進的筋弛緩法

私たちの心は体とつながっています。肩の荷を下ろす、肩ひじを張るなど肩に由来する言葉は多いですね。肩の動作はこころのありようを表現できると言われています。

このように体をほぐしていく手法は様々あるのですが、今回は漸進的筋弛緩法を紹介させて頂きます。漸進的筋弛緩法では、肩を楽に動かし、緩めることで、こころを楽にする練習をしていきます。

恐怖場面で体がかたまりやすい…という感覚がある方は下記を参照ください。

漸進的筋弛緩法の基礎

森田療法であるがまま

森田療法は、1919年に森田正馬によりつくられた精神療法で、対人恐怖症や赤面恐怖、視線恐怖などに対して古くから活用されてきました。

森田療法は
「症状をあるがままに受け止めて考えていく」
方法です。

恐怖心や不安になる気持ちを強引に打ち消すことはせず、目的に注意を向けることを重視します。

恐怖でやるべきことを回避してしまう…という方は、下記を参照ください。
恐怖症の原因と対処法

恐怖症,克服法,森田療法

講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・恐怖心の改善
・緊張との付き合い方

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています。

 

 

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • べり
    • 2019年3月13日 9:24 PM

    まず大事なのは、恐怖症の原因は自分のせいじゃないと理解することだと思いました。
    認知の歪みが強い人はそのことには気付きにくいでしょう。

    強い認知の歪みをもっていることは、本当に生きにくいですね。
    心理的、身体的リスクが多すぎる。でも同時に認知行動療法でのフォロー範囲が広いので、認知行動療法に慣れれば一気に好転するんですかね。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Reiss, S. (1991). Expectancy model of fear, anxiety, and panic. Clinical psychology review, 11(2), 141-153.
Jakupcak, M., Osborne, T., Michael, S., Cook, J., Albrizio, P., & McFall, M. (2006). Anxiety sensitivity and depression: mechanisms for understanding somatic complaints in veterans with posttraumatic stress disorder. Journal of traumatic stress, 19(4), 471-479. 

Soya, S., Takahashi, T. M., McHugh, T. J., Maejima, T., Herlitze, S., Abe, M., … & Sakurai, T. (2017). Orexin modulates behavioral fear expression through the locus coeruleus. Nature communications, 8(1), 1606.