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恐怖症の対処法とセルフチェックを専門家が解説

恐怖症の対処法とセルフチェック-心理の専門家が解説①

みなさんこんにちは、はじめまして臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。その経験や心理学の知識の中から皆さまのお役に立てられるような情報をお伝えしていきたいと思います。当コラムでは「恐怖症」について詳しく解説をしていきます。コラム①では

  • 「恐怖」とは何か?
  • 恐怖と脳の関係
  • 悪影響と症状
  • 認知行動療法で克服
  • 回避癖に対処
  • リラックス法を学ぼう
  • 診断とチェック

について解説します。監修の精神保健福祉士川島の動画解説もあります。テキストが良い方はそのまま飛ばして読み進めてください。 

みなさんは、恐怖を感じる様な出来事から「そのことを忘れられない」という経験はありませんか?

例えば、
・ひどい失恋をしてから新しい恋が怖い
・事故に遭ってから車の運転が怖い
・プレゼンへの恐怖心がある

などが挙げられるかもしれません。過去に恐怖を感じる様な経験をしたために、同じような場面を考えると、心臓がどきどきする、足がすくんで一歩踏み出せない状態なるなど、後の行動に影響を及ぼすことがあります。

これまで心理学では、事故や災害から日常生活の恐怖までさまざまな研究がされてきました。まずは、その恐怖症の心理に関する研究をご紹介します!

なぜ人は恐怖心を持つのか

・恐怖症とは何か
まず、「恐怖症」について確認しましょう。そもそも恐怖症とは何でしょう?心理学辞典では、 予期しない事態にあい、心が動揺すること。衝撃とあります。そして、
・何かのきっかけで恐怖体験を思い出す。
・心臓がバクバクする、手に汗が出る。
・感情がコントロールできない。
などの反応が起こります。 

忘れられない恐怖体験が心に刻み込まれるのは困ることのように思えますね。しかし、これらが脳や心身に刻まれるはとても大事なのです。恐怖は身を守るために必要な感情なのです。

なぜ人は恐怖心を持つのかについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
恐怖症の原因!なぜ人は恐怖心を持つのか②

脳科学から見たメカニズム

近年は、脳画像研究なども盛んなので脳のどの機能が活性化してアルバートのような状態になるのかなどがわかってきました。Soya(2017)らの研究では、実験参加者にホラー映画と穏やかな映画の2種類の映画を見せて脳の活性しらべました。その結果は、ホラー映画を見たときに

*扁桃体・・・情動反応に関与
*前帯状皮質・・・血圧や心拍数、意思決定
*前部島皮質・・・内臓の自律系、辺縁系に強く関与

以上の脳の3か所の部位が活性化し、感情や全身の変化を起こしています。恐怖は様々な脳の機能が総合的に関連して発生する感情なのです。

恐怖症のメカニズムについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
恐怖症の原因!なぜ人は恐怖心を持つのか②

恐怖症の症状

一方、この恐怖が暴走し、防衛反応が過剰に働くと日常生活に悪影響が出てきます。その1つに不安感受性の過剰が挙げられます。不安感受性とは、不安症状に対する恐怖であり、不安に伴う感覚がネガティブな身体的、社会的、心理的な見方につながると言われています(Reiss, 1991)。不安感受性が過剰になると、

・不安障害
・抑うつ
・その他身体症状

につながると言われています(Jakupcak, M et al., 1991)。例えば、お化け屋敷に入ったときのことを想像してみてください。お化けが出る!と身構えながら進んでいる状況では、緊張感や不安感は高く、ちょっとした物音や感触にもいつも以上にすごく驚いてしまいますよね?きゃー怖い!で終わる範囲内であれば、そこまで気にしなくても大丈夫です。

恐怖症の症状についてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
恐怖症の原因!なぜ人は恐怖心を持つのか②

恐怖症についての研究

恐怖症に対処する法

ここからは恐怖症の解決策について考えていきましょう。解決策は、大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

*なお解決策は症状が軽い方向けのコラムとなります。恐怖症状が強い方は必ず主治医の許可に従ってください。

①認知のゆがみを見つける

・固定観念が強い人は注意!
恐怖症で困っているひとは、恐怖体験の記憶によって認知のゆがみが作られ、その思考で自分自身が生きづらくなっている傾向にあると言われています。例えば、仕事上である失敗をしたことから自分は何をやっても駄目だ!という認知が生まれ、その後の行動を生きづらいものにしてしまうのです。

まずは、現在の自分の認知の傾向を知りましょう。そしてそこからどのように考えることができれば楽になるのかを考えていきましょう!認知のゆがみにより、自分自身の思考に困っているという人は要注意です。

・認知のゆがみとは?     
認知のゆがみとは日常生活に支障をきたすほどの不合理な考え方のことを指します。認知療法などで10パターンに分けられると言われてきました。自分にはどんな認知のゆがみがあるのか、その不合理な思考をどのように合理的に考える方法があるのかを解説していきます。これまで気づかなかった認知のゆがみに気づくことで少しずつ行動も変化してくるでしょう。

認知のゆがみについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
恐怖症の対処法!10のパターンから考え方のクセを見直す⑤

改善策2に進む前に30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

②お守りイメージ法で恐怖を軽減

・回避行動が多い人は要注意!
恐怖体験の記憶は、回避行動を重ねることではじめより不安が拡大され恐怖症や不安が拡大されるという特徴を持ちます。そして回避行動が自然と増えた結果、日常生活に支障をきたすという状況になっている可能性があります。これ以上恐怖や不安を拡大させないため回避行動を変化させていく必要があります。現在の生活で回避行動が多い人は要注意です。

しかしながら、いきなり恐怖や不安に直面化すればよいのかというとそうではありません。安全な方法で進めていきましょう。

・恐怖場面でリラックスイメージ
お守りイメージ法とは、あらかじめリラックスするイメージを練習して、恐怖症が出たときに、そのイメージをすることで、その場に居続ける練習をする方法です。リラックスするイメージをすることで安心感が増え、回避せずに落ち着きを取り戻すことができるでしょう。

伊藤(2000)の研究では、自分の内側に安全な場所を作ることはとても重要で、この方法は短時間にリラクセーション効果をもたらす即効性の高い方法であると報告されています。

具体的には
① リラックスするお守イメージを用意する

② 恐怖場面を想像する。
  恐怖心が強いときはお守りイメージを使う

③ 恐怖場面に思い切って行ってみる
  緊張したらお守りイメージをする

お守りイメージ法について詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・お守りイメージ法の具体例
・イメージする際のコツ
恐怖症に対処!恐怖や不安を軽減する「回避癖」の克服⑥

③身体の緊張を緩めてリラックス

・過剰に緊張は要注意!
恐怖体験は、身体にも記憶されるということをご紹介しました。そのため、常に身体は緊張状態にあり、疲れは取れず、不調を感じていることが予想されます。身体の不調は、心にも影響するので、身体の緊張状態を緩めることがこころを落ち着かせることにもつながります。いつも頭が休まらず、心身が緊張状態にあるという人は要注意です。

・肩の動作法でこころを楽にしよう!
肩の荷を下ろす、肩ひじを張るなど肩に由来する言葉は多いですね。肩の動作はこころのありようを表現できると言われています。そこで、肩を楽に動かし、緩めることで、こころを楽にする体験をしてみましょう!実際に体験してみることで、「思っていた以上に肩に力が入っていた」「肩の力を抜くことが難しい」などの気づきが得られるはずです。

恐怖症を引き起こす恐怖体験が記憶された後の身体は、過剰に緊張しています。 身体が緊張状態にあると

例えば、
・肩が上がっている
・呼吸が浅くなっている
・背中が張っている
などの状態が起こりやすくなります。頑張った後は、心身ともに緊張をしっかり緩めることが大切です。

リラックスについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・リラックス法の手順
・振り返りの重要性
恐怖症の症状と対処法!身体の緊張をほぐすリラックス法⑦

診断とチェック

現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。症状が重たいか軽いかによって、対応が異なりますので、一度診断してみることをお勧めします。
恐怖症診断とチェック!恐怖の感じやすさを測定しよう⑧

コラム1は恐怖症について概観してきました。ここかから先は各論となります。もっと深く知りたい内容がありましたら以下のリンク先を是非クリックしてみてくださいね。*リンクのまとめはもう少し下にあります。

★恐怖症や不安を引き起こす仕組みを理解して、乗り越える自分を目指そう!

目次

①対処法とセルフチェック ​
②なぜ人は恐怖心を持つのか
③恐怖と脳の仕組みの関係
④恐怖症の症状と種類一覧
⑤考え方のクセを見直す
⑥不安の原因「回避癖」の克服
⑦緊張をほぐすリラックス法
⑧恐怖症診断とチェック!

コメント

1件のコメント

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    • べり
    • 2019年3月13日 9:24 PM

    まず大事なのは、恐怖症の原因は自分のせいじゃないと理解することだと思いました。
    認知の歪みが強い人はそのことには気付きにくいでしょう。

    強い認知の歪みをもっていることは、本当に生きにくいですね。
    心理的、身体的リスクが多すぎる。でも同時に認知行動療法でのフォロー範囲が広いので、認知行動療法に慣れれば一気に好転するんですかね。

    0

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Reiss, S. (1991). Expectancy model of fear, anxiety, and panic. Clinical psychology review, 11(2), 141-153.
Jakupcak, M., Osborne, T., Michael, S., Cook, J., Albrizio, P., & McFall, M. (2006). Anxiety sensitivity and depression: mechanisms for understanding somatic complaints in veterans with posttraumatic stress disorder. Journal of traumatic stress, 19(4), 471-479. 

Soya, S., Takahashi, T. M., McHugh, T. J., Maejima, T., Herlitze, S., Abe, M., … & Sakurai, T. (2017). Orexin modulates behavioral fear expression through the locus coeruleus. Nature communications, 8(1), 1606.