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不安障害の意味とは?症状,種類,治し方

不安障害の意味とは?症状,種類,治し方

はじめまして!公認心理師の川島です。

今回のテーマは
「不安障害」
です。


対象とするお悩み
・不安になることが多い
・不安障害の知識が少ない
・治療方法を知りたい

全体の目次
・不安障害とは
・種類と特徴
・医療機関の利用
・心理療法
・環境の作り方
助け合い掲示板

読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非最後までご一読ください。 

不安障害の意味とは?

不安障害とは何か?

不安障害は広い概念ですが、要約すると以下のように定義できます。

人前で話すとき、大事な試験の時、苦手な場所にいるときに、心配や不安が大きくなり、回避的になるため、日常生活に支障をきたす障害です。

不安障害のポイントは以下の3つです

・特定の場所や状況が苦手
・心配や不安が非常に大きい
・回避的である

この3点が基本的な不安障害の大きな特徴です。その上で、不安障害は、細かく分類すると下記のようになります。

有病率

・アメリカの調査

不安障害の患者数はアメリカのNCS調査によると、全体では28.8%となっています。1年以内では18.1%となっています。興味がある方は他の障害の有病率などもご覧ください。

不安障害,生涯有病率

・日本の調査

日本の厚生労働省が平成14年から18年まで行われた調査では、生涯有病率は9.2%、1年以内の有病率は1.8%となっていました。

日米で差はあるものの、少なくともも10人に1人はなんらかの不安障害になることを考えると、極めて身近な精神疾患であることがわかります。

不安障害の種類と特徴

不安障害の種類

不安障害でよく相談があるものについて、3つ解説をしたいと思います。
①社交不安障害
②パニック障害
③広場恐怖症

それぞれ折りたたみで表示してありますので、詳しく知りたい方はそれぞれを展開してみてください!

どんな病気?

社交不安障害はsocial anxiety disorderのことで、頭文字をとってSAD(エスエーディー)と略されます。ほかにも、社交不安症や社交恐怖とも呼ばれることがあります。

SADとは、その名前が示す通り、
「社交場面や人とかかわる場面強い不安感や緊張感を抱き、そのために日常生活に不都合が生じる精神障害」
のことです。SADは10代半ば~20代ころに発症することが多く、うつ病やアルコール依存症との合併がよくみられます。

症状

例えば、次のような状況に強い不安を抱くことはありませんか?

・ 人が見ている前で字を書く
・ 人前で電話をかける
・ あまりよく知らない人と目を合せる
・ 公共の場所で食事をする
・ 人前で話(自己紹介や報告なども含める)をする

このような状況で強い不安感を感じ、恥をかいたり拒絶されたり他人の迷惑になることをひどく恐れるのがSADの症状です。

典型的な例としては、人前でスピーチやプレゼンをすることが苦痛でたまらない、というケースです。かつこれらの状況を回避したい気持ちが強いことも特徴的です。

どんな病気?

パニック障害(panic disorder)は、パニック発作が起きることが特徴的です。パニック発作は、ある日突然起きます。

症状

パニック発作とは、以下の13の症状うち少なくとも4つ以上の症状があり、さらにその発作は急激に始まり、数分以内にピークに達するものを言います。

不安症のパニック発作で見られる症状

死んでしまうかもしれないと感じるほど、苦しい発作です。その場に倒れこんでしまい、救急車が呼ばれることもあります。こうしたパニック発作に加え、再びパニック発作が起こるのではないかと心配する、“予期不安”を抱き、日常的に不安を感じます。

パニック発作がもし起きてもすぐに助けてもらえないような状況を避ける“広場恐怖(agora phobia)”が現れる人もいます。

たとえば、急行電車に乗る、ひとりで外出するなどの状況では、広場恐怖のためにひとりで外出できなくなるケースもあります。

どんな病気

広場恐怖症とは、乗り物や、閉所、人混みなど逃げられない空間に対しての不安です。具体的な状況として、
・電車やバス
・列に並ぶ
・一人で外出する
・人混みに身を置く

などが挙げられます。

症状

症状は”パニック発作”のような症状が出ることが多いです。

こうしたパニック様の症状や、逃げるに逃げられない状況や場所に対して強い恐怖や不安を抱えます。

 

次の不安障害は、対象が漠然とした”不安”と、対象がはっきりとしている”恐怖”に関する疾患です。
①全般性不安障害 
 →対象が漠然としている
②限局性恐怖 
 →対象がはっきりしている

どんな病気?

全般性不安障害はgeneralized anxiety disorderのことで、頭文字をとってGAD(ジーエーディー)と略されます。新しい診断基準では、全般不安症と言います。

GADとは、いろいろな事柄についての過剰な不安と心配が6カ月以上続いている時に診断されます。心配を自分で制御することが難しいと感じることも特徴です。

症状

落ち着きのない感じ、緊張感、疲れやすさ、集中困難なども伴います。めまいや耳鳴り、動悸もよく見られます。

例えば、こんなことをとりとめなく考えてしまうのがGADです。

不安を強める考え方の例

はっきりとした根拠がないままに不安や心配がわいてきて、それらを自分で止めることができず、クヨクヨと考えてしまうのです。本人は真剣に悩みますから、苦痛を感じます。

どんな病気

ある特定の対象や状況に対する、持続的な強い恐怖を示すものです。

例えば、高いところ、注射、動物などの特定の対象に対する恐怖があります。

症状

ある特定の対象に対して

・強くて過剰な恐怖を示す
・恐怖の状況を回避する
・恐怖のために苦痛がある

などの症状があります。

また、恐怖にはいくつかのタイプがあります

動物型動物や虫に対する恐怖
自然環境型台風など自然災害
に対する恐怖
血液・
注射型
注射や血を見ることの恐怖
状況型トンネル、橋、エレベーター
など状況への恐怖

 

主に子供の不安障害として捉えられるものについて2つ紹介します。
①分離不安障害
②選択性緘黙
について折りたたみで解説をしています。

どんな病気

幼児期において、母親と離れるときには不安を抱えるものです。この不安のことを分離不安といいます。

分離不安は正常の反応ですが、不安が過剰になると、分離不安障害となります。幼児期、小児期の病気で、発症は18歳以前です。

症状

・分離に対する過剰な心配
・分離に関する悪夢
・不安で学校にいけない

などです。

どんな病気

選択性緘黙とは、他の状況では話せるのに、特定の状況では話せなくなってしまうことが特徴です。言語能力には問題はありません。

症状

・家では話せるのに学校では話せない
・話そうとすると緊張

こうした症状があるために、学校生活や職業生活に支障が出てしまいます。

久田ら(2016)では、学校での選択性緘黙児童の状態について調査しています。

この結果から、約6割の児童は全く話せないわけではなく、特定の友人であれば話せるということがわかります。

合併症

不安障害は、うつ病など、他の精神疾患との併存が多いことが知られています。以下の図は、社交不安障害、パニック障害、全般性不安障害の患者に見られるうつ病の併存率を示しています。

不安障害患者におけるうつ病の併存率

不安障害と3つの対策

不安障害の恐れがある際は以下の3つの対策を組み合わせて行うことになります。

1.医療の力を借りる
⇒心療内科,精神科の薬物療法など

2.心理療法
⇒カウンセリング、心理療法など

3.社会的対処
⇒社会復帰プログラム、SSTなど

精神疾患全般に言える事ですが、治療については、1つだけに頼るのではなく、複数の手法を総合的に活用することが大事になってきます。

全般性不安障害,治療方法

1.医療の力を借りる

薬物療法とは

精神科や心療内科では、脳や体の仕組みの面から改善していくのが基本です。私たちの脳は、様々な脳内伝達物質で、不安を感じたり、悲しくなったりします。

精神科ではこれを「薬」の面から改善していくのです。例えばSSRIというお薬は、不安や心配を緩和する効果があり、不安障害でよく処方されます。

詳しくは、こちらの社交不安障害の薬物療法で解説しています。薬の効能や副作用が気になる方は参考にしてみてください。

受診の手順

診察はまずは予備面接から始まることが多く、30分前後、コメディカルの面接を挟み、検査などを行い、そのうえで、精神科医のお医者さんとの面接にはいることが多いです。

一方で、精神科では薬物がメインとなるため、問題そのもの対処力があがるわけではありません。薬と併用しながら心理療法を学び、自分自身の基本的な感情コントロール力を向上させると効果的です。

2.心理療法

心理療法は心の整理、安定を図る手法で、100年近く研究されてきました。不安との向き合い方の練習ができるので、全般性不安障害の治療に必須と言っていいでしょう。

心理療法は様々な手法がありますが、代表的なものは認知行動療法と言われるものです。認知行動療法は以下の3つの心理療法が組み合わさった手法です。

認知療法

認知療法は考え方の偏りを柔軟にほぐす手法です。不安を抱えやすい方は根拠のない思考が多くなりがちですが、現実的に考える練習を行います。

行動療法

不安が強い際は、回避的になり、社会生活がままならないことがあります。行動療法は不安の小さなものから取り組み、行動範囲を広げていく手法です。

マインドフルネス療法

不安を客観的に眺め、冷静に対処する力を高めます。ここ10年で急速に研究が進み、効果があることがわかってきました。

詳しくはこちらの認知行動療法コラムで解説させて頂きました。良かったら参考にしてみてください。

 

精神科と心理療法の違い

薬物療法と心理療法の違いを理解しておくことも大事です。こちらの動画も参照ください。

3.社会的対処

最後にあげられるのは社会的対処です。社会的対処は環境面を整えてく作業になります。不安障害は、薬を飲んで、心理療法を学べばすっきり解決!とはいきません。

お薬が合わないこともありますし、心理療法もやり方をマスターするまで時間がかかるものです。大事なことは、あまり焦らず、じっくり取り組んでいくことです。

そのためには、ある程度不安が出てもOKな環境作りが必要です。いくつかアイデアを挙げますので参考にしてみてください。

情報へ過剰に触れない

例えば、社交不安障害の方は、四六時中人間関係の悩みを考え続けてしまうものですが、長時間ネガティブな考えを繰返すと、不安がさらに強くなってしまいます。

例えば、SNSに触れるのは、30分までなど制限して、不安を促進させる情報に触れすぎないようにしましょう。

周りのサポートをもらう

不安障害になったら、なるべく周りのサポートをもらうようにしましょう。特にお仕事においては信頼できる上司や同僚にあらかじめ伝えておいいて、どんなタイミングで不安になりやすく、仕事で支障が起きる可能性について伝えておくといいでしょう。

過剰な回避はしない

不安障害は社会生活が回避的になります。回避的になると経験値を積むことができず、さらに症状が悪化することがあります。

不安障害を持ちながらも、自分のスキルが落ちないように、勉強を重ねたり、調子が良い時はチャレンジするも前向きにしていきましょう。

発展

最後に全般性不安障害について役立ちそうなコラムを紹介させて頂きます。

各障害を詳しく解説

各不安障害を深く理解したい方は下記を参照ください。

社交不安障害,特徴と治療法
パニック障害,特徴と治療法
全般性不安障害,特徴と治療法

森田療法

森田療法は不安とうまく付き合いながら目的本位に生きていくという心理療法です。「あるがまま」「気分本位」「目的本位」という生き方は全般性不安障害の方にとっても役立つと思います。

興味がある方はこちらの森田療法コラムを参考にしてみてください。

心配性コラム

障害ほど重くはないが心配性で困っているという方は、こちらの心配性コラムをオススメします。現実的に考える、感情に巻き込まれない練習を行っていきます。

不安障害を治す3つの方法とコツ

まとめ+お知らせ

まとめ

当コラムでは不安障害について、種類や治療法を紹介してきました。実は筆者の川島は社交不安障害になったことがあります。一番重たい時は、自宅から全く出ることができなくなりました。

それでも、心理療法をしっかり学び、1つ1つ環境を改善していけばきっと症状は軽くなると思います。じっくり取り組んでみてください。

お知らせ

もっと心理学を学びたい!という方は良かったら私たち公認心理師・精神保健福祉士が開催している、講座への参加をおススメしています。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth edition, Text Revision (DSM-IV-TR). Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000.
Andersson, G. & Carlbring, P., et al. (2006) Internet-Based Self-Help With Therapist Feedback and In Vivo Group Exposure for Social Phobia: A Randomized Controlled Trial. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 74 (4), 677-686.
Brawman-Mintzer & Lydiard, R (1996) Generalized anxiety disorder: issues in epidemiology. Journal of Clinical Psychiatry. 57 (Suppl 7), 3-8.
古川壽亮監訳 (2003)不安障害の認知行動療法(1)パニック障害と広場恐怖<不安障害から回復するための治療者向けガイドと患者さん向けマニュアル>. 星和書店. pp.185-186
春木豊・石川利江・河野梨香・松田与理子(2008)「マインドフルネスに基づくストレス低減プログラム」の健康心理学への応用. 健康心理学研究, 21 (2), 57-67.
川上憲人(主任研究者):こころの健康についての疫学調査に関する研究(平成16~18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業) こころの健康についての疫学調査に関する研究,総合研究報告書).2007.
坂野雄二(2013)第108回日本精神神経学会学術総会 教育講演 不安障害に対する認知行動療法―エクスポージャー法をどのように導入するか、そのコツを探る―. 精神神経学誌, 115 (4), 421-428.
Stein, MB & Kean, YM (2000) Disability and quality of life in social phobia: epidemiologic findings. American Journal of Psychiatry, 157(10), 1606-13.
高橋三郎・大野裕監訳(2014)DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引. 医学書院.
久田信行・金原洋治・梶正義・角田圭子・青木路人(2016)場面緘黙(選択性緘黙)の多様性—その臨床と教育— 不安症研究 8(1), 31-45
Van Ameringen, M., Mancini, C., Styan, G., et al. (1991). Relationship of social phobia with other psychiatric illness. Journal of Affective Disorders 21, 93-99.