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ソーシャルサポートとは?心理学の定義や種類

ソーシャルサポートとは?心理学の定義や種類

今回は
「ソーシャルサポート」
がテーマです。解説者は公認心理師の川島です。

  • 改善するお悩み
  • ソーシャルサポートの重要性を理解
  • 助けを求められるようになる
  • 暖かい関係を増やす

全体の目次
意味と種類
心理的効果
身体的効果
助け合い力UP作戦

はじめに

紀元前300年頃、哲学者のアリストテレスは

「人間は社会的動物である」

と主張しました。私たちは、一人一人ではまったくもって、脆弱な生き物です。仮に無人島に1人になってしまったとしましょう。3日もすれば飢えと渇きと孤独感でおかしくなってしまいます。

暖かいお布団に寝ることがでる
おいしい食べ物を口にすることができる
安全な暮らしができる

これらは、私たちが助け合って生きているからなのです。

ソーシャルサポートは、物理的な助け合い、孤独感の改善、自己肯定感の改善、認知症の予防につながるなど、重要な概念です。是非最後までご一読ください。

人とのつながりを大切に

意味と種類

ソーシャルサポートの意味

ソーシャルサポートはコミュニティ心理学という分野で1970年代にCaplanという学者によって提唱された概念です。意味としては以下のようになります。

家族、友人や隣人などの個人をとりまく様々な人々からの有形、無形の援助を指す

定義を見ると、ソーシャルサポートはかなり広い概念であることがわかります。

種類

1986年代になるとハウスという心理学者により、ソーシャルサポートは以下の4種類に分類されました。

①情緒的サポート
共感してもらったり、励ましてもらうこと

②道具的サポート
問題を解決するための物理的な支援

③情報サポート
問題を解決するための情報による支援

④評価的サポート
行動や考えに対する客観的な評価

私たちはこれらのソーシャルサポートを、提供したり、もらったりしながら、支え合って生きているのです。

助け合い,助け合い,ソーシャルサポート

心理的,身体的効果

周囲からのサポートが得られると、心理面、健康面でたくさんのメリットがあります。効果が複数ありすぎて、まとめきれなかったので、折りたたんで記載しました。

まずは心理的効果から解説していきます。気になるタイトルがある場合はクリックしてみてください。

心理面のメリット

細田ら(2009)の研究では、中学生305名を対象に以下の3つのソーシャルサポートと自己肯定感の関係について調査しました。

その結果が以下の図です。数字は相関係数といい、数値が大きいほど関係が強いことを意味します。

ソーシャルサポート 効果

図を見ると、父親、母親、友人、教師のいずれのソーシャルサポートもプラスになっていることがわかります。ソーシャルサポートに満たされた人は、自己肯定感が高くなりやすいという結果になっています。

そう考えると、もし自己嫌悪になっている人がいたとしたら、ソーシャルサポートが不足しているのかもしれません。

ソーシャルサポートの1つに情緒的サポートがありました。情緒的サポートは、共感したり、励ましたり、褒めることを意味します。

浅沼ら(2018)は大学生249名を対象にほめられ経験の効果を調査しました。その結果は下図に示されています。

上記の図は「効果量」と言われる統計手法で算出された数字です。

能力をほめるとは
「君は元々の頭がいいね」
「才能があるね」
など、元々持っている部分を肯定することを言います。

努力をほめるとは
「いつも頑張っている」
「真剣に取り組んでいた」

など結果ではなく、本人の頑張り屋、取り組む姿勢を肯定します。努力を褒める方が効果がありますが、能力を褒めることも効果があることがわかります。

情緒的サポートにおいては褒めることはとても大事だと言えそうです。

城(2013)は大学生を対象にソーシャルサポートの効果を研究しました。結果は以下の表のようになりました。

ソーシャルサポートとは

図を見ると、自己開示をするとソーシャルサポートを受けやすいことをわかります。例えば、悩みがある場合は素直に、助けを求めることが大事だと言えそうです。

そうしてソーシャルサポートを受けると、受け入れてもらったという被受容感につながるのです。困った時はお互い様で、素直に誰かに伝えることが大事なのです。

浅野ら(2008)は、協調性、外向性、ポジティブ感情の関連について調べています。その結果、協調性は外向性の高さに結び付き、結果的にポジティブな感情に結び付く傾向があることがわかりました。

協調性が高い方は、周りから好感を持たれ、その経験が楽しくて、外向性が高まっていきます。周りから感謝されたり、頼りにされる経験も得るため、ポジティブな感情が生まれやすいと考えられます。

悩みを打ち明けよう

体の健康へのメリット

続いて身体的な健康に与える恩恵を見ていきましょう。ソーシャルサポートが十分に得られていると、以下のようなメリットがあります。

大坪(2017)は、大学生254名に対して、身体的な影響も含めてソーシャルレポートの調査を行いました。その結果、家族、大切な人、友人のサポートを受けやすい方は疲労感などの項目において前向きな関わりがあることがわかりました。

まずは、家族のサポートから見ていきましょう。

ソーシャルサポート 効果

まずは、家族のサポートから見ていきましょう。図の(-)マイナスの意味ですが、家族からのサポートが得られやすい方は、疲労感や自立神経症状が少ないという意味になります。

斉藤・近藤ら愛知老年学的評価研究グループは、愛知県の高齢者、12,000人を対象に「高齢者の交流頻度と孤独感」について研究を行いました。

交流がない人交流がある人はより認知症率が高いことが分かったのです。このように、人とのコミュニケーションが少なくソーシャルサポートが少ない人ほど脳機能も低下していきます。

世界的に見ても社会的に孤立している状況の方はメンタルヘルスや健康状態が悪いケースが多いです。

毎日会話する方は、心理的な問題を周りに受け止めてもらうなどソーシャルサポートを得ることができますが、孤立している方は悩みを抱えやすくなります。悩みを抱え込み、自殺する確率も多いので注意が必要です。

斉藤・近藤らの研究をでは、死亡率についても調査が行われています。その結果は下図となります。まずは図を概観してみましょう。

ちょっとドキッとする結果になっていますね。交流がない人交流がある人より死亡率が高いことが分かります。

近年、「孤独死」という言葉を耳にする機会が増えています。人と触れ合う機会が少ない方は、免疫機能が落ちたり、病気の発見が遅れるなどして、死亡率が上昇すると予想されます。

健康のためにも適度に人と交流して助け合うことが大事だとわかります。

 

ソーシャルサポートの活用

ここまでソーシャルレポートのメリットについて解説してきました。ここからは日常生活でどう活かすか?という視点から5つのやり方を提案させて頂きます。

①困ったら助けを求める
②僧侶系男子,女子を探す
③コミュニティに所属しよう
④屈託のない会話を大事に
⑤自分も誰かを助ける

①困ったら助けを求める

ソーシャルサポートをもらうのが苦手な人は、助けを求めるのが苦手な傾向があります。特に日本人は男性の自殺率が高く、

助けを求めることが恥ずかしい
どうせ誰も助けてくれない
迷惑をかけてはいけない


…という心理が働いていると考えられます。しかし、人間はそもそも社会的な動物で、困った時はお互い様という精神を根本的に持っている生き物です。きっとあなたのことを助けてくれる人はいるはずです。

助けてと言えない、悩みを一人で抱え込んでしまう・・・という人は「苦しい時はお互い様!」という意識を持って、身近に少しずつでも相談を持ち掛けてみましょう。

元気になったら今度はあなたが誰かを助けてあげればOKなのです。

ヴァネッサ・ボーンズ(2008)の研究では、大学生53名を対象に町中で見知らぬ人に「携帯電話を貸してください」とお願いしてもらいました。

被験者たちは、10人に声をかけても1人しか応じてくれないだろうと予測していたのですが、実際は平均6人に1人のペースで携帯電話を貸してくれたのです。

助けを求めて、見て見ぬふりをされた場合は、それはそれで相手の自由を認めて、他を当たるのが賢明でしょう。6人に相談を持ち掛ければ、最低1人はサポートしてくれます。

研究では、見知らぬ人に助けを求めていますので、友人や家族に相談すればもっと高い確率でソーシャルサポートが得られるでしょう。

 

②僧侶系男子,女子を探そう

世の中には、一定数、援助意識が非常に強いやさしい人がいます。もしあなたの周りが、悪口が多く、競争意識が非常に強い環境だとしたら要注意です。

人を選ぶわけではないですが、僧侶系,男子・女子が周りにいるとほっとできるかもしれません。競争社会で疲れ居ている…という方は下記の動画も参考にしてみてください。

 

③コミュニティに所属しよう

ソーシャルサポートを得る上で一番に考える必要があるのが、「コミュニティへの所属」です。もし以下のような状況にある方は要注意です。

・独身で話し相手がゼロ
・一言も話さない日がある
・家族と会話する時間が取れない
・業務内容に会話が不要
 
このような状況にある方は、ソーシャルサポート不足であると推測されます。コミュニティの所属することで、会話量も増えてより悩みを打ち明けやすい人と出会える確率が高まります。

・理想のコミュニティの数
もしあなたが所属しているコミュニティが5つ以上でしたら、十分でしょう。ソーシャルサポートを得られやすい環境にあると考えられます。

5個以上の方:青色信号
3~4個の方 :黄色信号
2個以下の方:赤色信号

と考えると良いと思います。

コミュニティは3か所あれば、1か所でトラブルが起きてもまだ2か所所属していることになるので他のコミュニティでサポートが効きます。

さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・コミュティの探し方
・目的ベースで探す
・ネットを活用する
コミュニティの意味,所属,探し方

 

④屈託のない会話を大事に

ソーシャルサポートを充実させるには普段のとりとめもない日常生活が大事です。桶口ら(2003)研究では、大学生105名を対象に質問紙調査を用いた調査を行いました。

研究では、夕食を「1人で食べるか」「複数人で食べるか」によって自己肯定感にどのような影響が表れるかを調べています。

その結果、以下のグラフのようになりました。「複数人」のグラフの方が伸びていることが分かります。

自己肯定感 高める

つまり、日常的に夕食を複数人で食べる傾向にある人は、自己肯定感が上がりやすいと言えます。これは食事の際に、会話を通して、情緒的サポートや、情報によるサポートをお互い交換し合い、肯定し合っていると予測できます。

 

⑤誰かを助ける

ソーシャルサポートはもらうだけでなく、余裕があるときは是非とも自分自身も行いたいものです。先程の心理的メリットのところでもお伝えしましたが、誰かを助けるとポジティブな気持ちになることができます。

具体的に、私たち援助者は下記のようなスキルを練習しています。もし余裕がありましたら、自己研鑽で試してみてください。

共感力UPトレーニング
傾聴力トレーニング
協調性コラム

 


最後に30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。お互いのソーシャルサポートも盛んです。

もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したい、コミュニティを探している!と感じたら、こちらの心理学・人間関係教室のページを参照ください。

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
大坪岳 追手門学院大学心理学論集;Otemon Gakuin University Psychological Review 2017 青年期のコミュニケーション・スキルとソーシャル・サポートがレジリエンスに及ぼす影響
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
細田 絢, 田嶌 誠一(2009)中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 教育心理学研究,57,309-323
城 佳子 2013 大学生の自己開示・ソーシャルサポートが被受容感に及ぼす影響の検討 : 被開示スキルとの関連を通して 人間科学研究 34,63 -72 .
If You Need Help, Just Ask: Underestimating Compliance With Direct Requests for Help  Journal of Personality and Social Psychology 95(1) · August 2008 with 139 Reads Vanessa Bohns

House J.S. : Work Stress and Socal Support. Addision-Wesly Publishing Comp . , 1981