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ソーシャルサポートの4種類とは?心理学の論文

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ソーシャルサポートの4種類とは?心理学の論文

皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「ソーシャルサポートの増やし方」についてご相談を頂きました。

相談者
28歳 女性

お悩みの内容
私は現在、精神疾患の療養中です。精神保健福祉士の援助者の方から、ソーシャルサポートをもらえる環境を作り、孤立しないようにしましょうと言われました。

ただ私は元々、孤立しがちな生活で、具体的にどうすれば良いかわかりません。ヒントをもらえると嬉しいです。

孤立しがちな生活はどうしても、気分が滅入ってしまうと思います。当コラムでは、ソーシャルサポートの種類を解説し、実際に増やす方法を提案させて頂きます。是非最後までご一読ください。

人とのつながりを大切に

意味と種類

ソーシャルサポートの意味

ソーシャルサポートは、1970年代にCaplanというコミュニティ心理学の学者によって提唱された概念です。意味としては以下のようになります。

家族、友人や隣人などの個人をとりまく様々な人々からの有形、無形の援助を指す

定義を見ると、ソーシャルサポートはかなり広い概念であることがわかります。

種類

1986年代になるとハウスという心理学者により、以下の4種類に分類されました。

①情緒的サポート
周りの人に、話を聴いてもらったり、共感してもらうことを意味します。私たちは気持ちを共有し合うことで精神的に支え合っています。

②道具的サポート
問題を解決するために物理的な支援をもらうことを意味します。金銭的に余裕がない時に、親から援助をもらったり、公的機関を頼ることが挙げられます。

③情報サポート
問題を解決するための情報による支援を意味します。仕事を失った時に、おすすめの職種を紹介してもらうことなどが挙げれます。

④評価的サポート
行動や考えに対する客観的な評価を意味します。精神的に辛い時期は、自暴自棄になってしまうことがありますが、大事な人に咎めてもらったりします。

私たちはこれらのソーシャルサポートを、もらったり、提供したりを繰り返し、支え合って生きているのです。

助け合い,助け合い,ソーシャルサポート

心理的,身体的効果

周囲からのサポートが得られると、心理面、身体面で数えきれないほどのメリットがあります。折りたたんで記載したので興味がある見出しを展開してみてください。

心理面のメリット

細田ら(2009)の研究では、中学生305名を対象に以下の3つのソーシャルサポートと自己肯定感の関係について調査しました。

その結果が以下の図です。数字は相関係数といい、数値が大きいほど関係が強いことを意味します。

ソーシャルサポート 効果

図を見ると、父親、母親、友人、教師のいずれのソーシャルサポートもプラスになっていることがわかります。ソーシャルサポートに満たされた人は、自己肯定感が高くなりやすいという結果になっています。

自分が好き!という感覚は実は周りの人の影響が大きいのです。

ソーシャルサポートの1つに情緒的サポートがありました。情緒的サポートは、共感したり、励ましたり、褒めることを意味します。

浅沼ら(2018)は大学生249名を対象に、ほめられ経験の効果を調査しました。その結果は下図に示されています。

上記の図は「効果量」と言われる統計手法で算出された数字です。

能力をほめるとは
「君は元々の頭がいいね」
「才能があるね」
など、元々持っている部分を肯定することを言います。

努力をほめるとは
「いつも頑張っている」
「真剣に取り組んでいた」

など結果ではなく、本人の頑張り屋、取り組む姿勢を肯定します。

どちらも自信につながる効果がありますが、能力よりも努力を褒められることがより効果的であることがわかります。

城(2013)は大学生を対象にソーシャルサポートの効果を研究しました。結果は以下の表のようになりました。

ソーシャルサポートとは

図を見ると、自己開示をするとソーシャルサポートを受けやすいことをわかります。例えば、悩みがある場合は素直に、助けを求めることが大事だと言えそうです。

そうしてソーシャルサポートを受けると、受け入れてもらったという被受容感につながるのです。被受容感とは、私には居場所がある、私を肯定してくれる人がいる、という感覚です。

被受容感があると、日々の生活に安心感をもって取り組むことができるのです。

浅野ら(2008)は、協調性、外向性、ポジティブ感情の関連について調べています。その結果、協調性は外向性の高さに結び付き、結果的にポジティブな感情に結び付く傾向があることがわかりました。

ソーシャルサポートをすると、相手が喜びます、その姿を見ると、助ける側も元気になるのです。助けられるだけでなく、自分自身も相手を助けることが大事だと言えます。

小松ら(2010)は、40歳以上の会社員の男性712名に対して、職業性ストレスとソーシャルサポートの関連について調査を行いました。その結果、ソーシャルサポートを受けている人ほど、職業性ストレスと抑うつ傾向が低いことが明らかになりました。


最初に上司からのサポートを見てみます。上図の(-)マイナスの意味ですが、上司からのサポートを受けている人ほど、抑うつ傾向が低いことが分かります。


次に、同僚からのサポートですが、こちらも(-)マイナスです。つまり、同僚からのサポートが得られている人ほど、抑うつ傾向が低下します。


このように、ソーシャルサポートを受けると、職業性ストレスが下がります。その結果、仕事が辛い気持ちが緩和されて、前向きに仕事に取り組めるようになるのです。

無表情は方は、悩みを抱えたときに助けをもらいにくい傾向があります。

先ほどの井奈波(2015)の研究では、ストレスの緩和要因についても調査しています。以下の図をご覧ください。

数字が大きいほど、周囲のサポートでストレスの緩和が図れていることになります。

職業ストレスと笑いの関係

ほぼ笑わない人と比較して、よく笑う人の方が周囲からサポートを受けやすいことが分かります。無表情の人は上司や同僚などのソーシャルサポートを受けにくいといえそうです。

 

身体面のメリット

ソーシャルサポートは心だけでなく、身体にもプラスの効果があります。

大坪(2017)は、大学生254名に対して、身体的な影響も含めてソーシャルレポートの調査を行いました。その結果、家族、大切な人、友人のサポートを受けやすい方は疲労感などの項目において効果があることがわかりました。結果の一部が下図となります。

ソーシャルサポート 効果

図の(-)マイナスの意味ですが、家族からのサポートが得られやすい方は、疲労感や自立神経症状が少ないという意味になります。家庭環境が安定は身体の健康に役立つと言えます。

斉藤・近藤ら愛知老年学的評価研究グループは、愛知県の高齢者、12,000人を対象に「高齢者の交流頻度と孤独感」について研究を行いました。その結果の一部が下図となります。

交流がない人交流がある人より認知症率が高くなっていますね。このように、人とのコミュニケーションが少なくソーシャルサポートが少ない人ほど脳機能も低下していきます。

世界的に見ても社会的に孤立している状況の方はメンタルヘルスや健康状態が悪いケースが多いです。

毎日会話する方は、心理的な問題を周りに受け止めてもらうなどソーシャルサポートを得ることができますが、孤立している方は悩みを抱えやすくなるので注意が必要です。

斉藤・近藤らの研究をでは、死亡率についても調査が行われています。その結果は下図となります。まずは図を概観してみましょう。

ちょっとドキッとする結果になっていますね。交流がない人交流がある人より死亡率が高いことが分かります。

近年、「孤独死」という言葉を耳にする機会が増えています。人と触れ合う機会が少ない方は、免疫機能が落ちたり、病気の発見が遅れるなどして、死亡率が上昇すると予想されます。

健康のためにも適度に人と交流して助け合うことが大事だとわかります。

悩みを打ち明けよう

 

ソーシャルサポートの活用

ここまでソーシャルレポートのメリットについて解説してきました。ここからは日常生活でどう活かすか?という視点から5つのやり方を提案させて頂きます。

①困ったら助けを求める
②僧侶系男子,女子を探す
③コミュニティに所属しよう
④食事の機会を活かす
⑤感情交流を大事に
⑥自分も誰かを助ける

①困ったら助けを求める

ソーシャルサポートをもらうのが苦手な人は、助けを求めるのが苦手な傾向があります。特に日本人は男性の自殺率が高く、

助けを求めることが恥ずかしい
どうせ誰も助けてくれない
迷惑をかけてはいけない

…という心理が働いていると考えられます。しかし、人間はそもそも社会的な動物で、困った時はお互い様という精神を根本的に持っている生き物です。きっとあなたのことを助けてくれる人はいるはずです。

助けてと言えない、悩みを一人で抱え込んでしまう・・・という人は「苦しい時はお互い様!」という意識を持って、身近に少しずつでも相談を持ち掛けてみましょう。

元気になったら今度はあなたが誰かを助けてあげればOKなのです。

ヴァネッサ・ボーンズ(2008)の研究では、大学生53名を対象に町中で見知らぬ人に「携帯電話を貸してください」とお願いしてもらいました。

被験者たちは、10人に声をかけても1人しか応じてくれないだろうと予測していたのですが、実際は平均6人に1人のペースで携帯電話を貸してくれたのです。

助けを求めれば、きっと誰かが援助をしてくれます。困った時は一人で抱え込まないようにしましょう。

 

②僧侶系男子,女子を探そう

もしあなたの周りが、

悪口が多い
批判が多い
競争意識が非常に強い

そんな方ばかりだとしたら要注意です。精神的に休まる暇がなく、消耗してしまうでしょう。

そんな時におススメなのが、攻撃的な人と距離を置き、僧侶系,男子・女子を探すという作戦です。競争社会で疲れ居ている…という方は下記の動画も参考にしてみてください。

 

③コミュニティに所属しよう

以下のような状況にある方は要注意です。

独り暮らしで話し相手がいない
一言も話さない日がある
家族と会話する時間が取れない
業務内容に会話が不要

このような状況にある方は、ソーシャルサポート不足であると推測されます。対策としては、コミュニティに所属をして、屈託ないのない会話をふやすことが大事です。

もしあなたが所属しているコミュニティが5つ以上でしたら、十分でしょう。ソーシャルサポートを得られやすい環境にあると考えられます。

一方で2個以下の方は赤信号です。コミュニティの数が少ないと、1つのコミュニティでうまく行かないと立て直しが難しくなってきます。

5個以上の方:青色信号
3~4個の方 :黄色信号
2個以下の方:赤色信号

と考えると良いと思います。以下のコラムではコミュニティを探すコツについて解説をしています。黄色信号、赤信号の方は参考にしてみてください。

コミュニティの意味,所属,探し方

 

④食事の機会を大事に

食事の際、

会社でいつも一人で食べる
食事中、会話がない
テレビをつけながらご飯を食べる
お互いスマフォをいじっている

このような習慣がある方は要注意です。桶口ら(2003)研究では、大学生105名を対象に質問紙調査を用いた調査を行いました。

研究では、夕食を「1人で食べるか」「複数人で食べるか」によって自己肯定感にどのような影響が表れるかを調べています。

その結果、以下のグラフのようになりました。「複数人」のグラフの方が伸びていることが分かります。

自己肯定感 高める

つまり、日常的に夕食を複数人で食べる傾向にある人は、自己肯定感が上がりやすいと言えます。これは食事の際に、会話を通して、情緒的サポートや、情報によるサポートをお互い交換し合い、肯定し合っていると予測できます。

食事時は私たちが最も無防備になり、自己開示を気軽にしやすい状況です。食事時だけは、スマフォをいじらず、屈託なる会話をするなどの習慣を大事にしましょう。

 

⑤感情交流を大事に

いざ会話をする場面になったとき、

無表情で会話をする
問題解決の話ばかりする
討論っぽくなってしまう

これらの傾向がある方は注意が必要です。なぜならこれらの会話では感情交流が不足しがちで、精神的には回復しにくいからです。大事なことは、お互い楽しかったこと、うれしかったこと、辛かった悩みを、心を開いて会話をすることです。

冷静な会話が多く、感情交流が不足しがち…と感じる方は筆者が主催する人間関係講座をおススメしています。温かい会話の練習、共感するトレーニング、自己開示の練習などたくさん行っていきます。詳しくは、以下のリンクを参照ください。

楽しく話す,人間関係講座

 

⑥誰かを助ける

ソーシャルサポートはもらうだけでなく、余裕があるときは是非とも自分自身も行いたいものです。先程の心理的メリットのところでもお伝えしましたが、誰かを助けるとポジティブな気持ちになることができます。

困った人がいたら助ける、悩んでいる人がいたら悩みを聴く、そういった姿勢はきっとあなた自身のメンタルヘルスも向上させます。お互い助け合う姿勢を大事にしましょう。

 

まとめ

紀元前300年頃、哲学者のアリストテレスは

「人間は社会的動物である」

と主張しました。私たちは、一人一人ではまったくもって、脆弱な生き物です。仮に無人島に1人になってしまったとしましょう。3日もすれば飢えと渇きと孤独感でおかしくなってしまいます。

暖かいお布団に寝ることがでる
おいしい食べ物を口にすることができる
安全な暮らしができる

これらは、私たちが助け合って生きているからなのです。困った時はお互いさま!困った時は助けてもらい、また困った人を助ける習慣をつけていきましょう。

ソーシャルサポートと会話

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
大坪岳 追手門学院大学心理学論集;Otemon Gakuin University Psychological Review 2017 青年期のコミュニケーション・スキルとソーシャル・サポートがレジリエンスに及ぼす影響
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
細田 絢, 田嶌 誠一(2009)中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 教育心理学研究,57,309-323
城 佳子 2013 大学生の自己開示・ソーシャルサポートが被受容感に及ぼす影響の検討 : 被開示スキルとの関連を通して 人間科学研究 34,63 -72 .
If You Need Help, Just Ask: Underestimating Compliance With Direct Requests for Help  Journal of Personality and Social Psychology 95(1) · August 2008 with 139 Reads Vanessa Bohns

House J.S. : Work Stress and Socal Support. Addision-Wesly Publishing Comp . , 1981

小松優紀・甲斐裕子・永松俊哉・志和忠志・須山靖男・杉本正子 2010 職業性ストレスと抑うつの関係における職場のソーシャルサポートの緩衝効果の検討 産業衛生学雑誌
原谷(1998)第8回NIOSH職業性ストレス調査票 産衛誌 40巻,1998

井奈波良一(2015)女性看護師の声を出して笑う頻度と勤務状況,日常生活習慣および職業性ストレスの関係 岐阜大学大学院医学系研究科産業衛生学分野 p. 83.84