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過剰適応とは?心理学の専門家が解説

過剰適応とは?症状や職場での問題、子供の特徴をチェック!

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「過剰適応」についてお話していきます。

過剰適応とは?

過剰適応とは、自分の気持ちを押し殺して相手に合わせる心理状態のことです。過剰適応の主な特徴は、

・頼まれると嫌とは言えない
・周囲によく気を遣う
・真面目で頑張り屋さん

などです。自分の行動基準が他者にあるため、相手の欲求や期待に応える努力を惜しみません。また身体や心が疲れていても、頑張りすぎてしまう傾向があるため、顔が笑っていても心は泣いている…「本当の感情」と「表現する感情」違いが生じる傾向があります。

過剰適応の症状と特徴

内的適応と外的適応の違い

心理学の世界には2つの適応があります。

・外的適応
社会的な要求や役割を守って行動する
・内的適応
気持ちが満たされ良好な状態

過剰適応は、
外的適応は、〇できている
内的適応は、×できていない
状態です。

たとえば、
・嫌いな人なのに結婚して仮面夫婦を続ける
・夫がアルコール依存症のため笑顔で励まし続ける
などです。このように、一見うまくいっているように見えて、内面的には全く良くない状態がつづけば、抑うつ傾向が高くなるなどメンタルヘルスにマイナスの影響を与えてしまいます。

職場での問題・注意点

感情労働が求められる職場では、過剰適応の状態が続くため注意が必要です。

感情労働とは、自分の感情を抑える労働のことで、どのような職種でも多かれ少なかれ求められます。しかし看護職や接客業、クレーム担当などの職場で起きやすいといわれています。

・仕事が辛くてやりたくないが、無理に笑顔を続けている
・理不尽な要求だが、お客様だから笑顔で応えている

このように外的適応が過剰で、内的適応が良好でない職種の人は、日々のストレスやイライラする気持ちにきちんと目を向けていくことが大切です。

外的適応と内的適応の違い

よい子は注意

過剰適応は、子供にもみられる症状です。小野、宮本ら(2005)は、過剰適応している子供を「よい子」と捉え、次のような特徴があるとしています。

「表面的には素直に大人の言うことを聞き、実行し、成績が良く、明るく元気に振舞う適応的な面と、自分が何を感じ、何をやりたいのかを明確にできない面がある」

このような状態が続けば、表面的に良好でも見えない部分で大きな問題を抱えてしまう事にもなりかねません。過剰適応など「よい子」として無理をしてきた子供は、何かのきかっけで不登校や摂食障害などの問題につながることもあります。

抑うつ傾向を強める

ここでは過剰適応と抑うつの関係について見ていきましょう。

過剰適応を構成する主な要素は、「自己抑制」「自己不全感」「良く思われようとする」などです。これらの傾向が強い人は、過剰適応になりやすく抑うつ傾向も高くなるため、精神疾患のリスクが高まる可能性があります。

風間(2015)が大学生260名を対象に過剰適応について研究を行いました。その結果、過剰適応を構成する3つの要素と抑うつに相関関係があることが分かりました。

こちらの図は、数値が高いほど相関があることを示しています。過剰適応を構成する3つの要素の中でも「自己抑制」と「自己不全感」は、抑うつ症状に影響があることが分かりますね。

過剰適応を構成する3つの要素と抑うつの関連

つまり職場や学校など、集団の中で「自分の気持ちを抑えたり」「自分が役に立っていない」と感じる傾向がある人は、注意が必要です。

アサーションで過剰適応を改善!

ここからは、過剰適応を改善する方法を見ていきましょう。過剰適応の改善には、アサーションの考え方が有効です。

アサーションとは、自他自尊のコミュニケーションを大切にする考え方で、3つの自己表現を大切にしています。

1:攻撃的自己表現
自分を主張を最優先に考えて行動します。そして時には他人を傷つけたり踏みにじるようなこともあります。
2:非主導的自己表現(過剰適応)
自分より他人の主張を優先して行動するため、自分の気持ちを伝えないなかったり言い損ねたりします。過剰適応の人の自己表現です。
3:アサーティブな自己表現
自分の気持ちを正直に、その場にふさわしい方法で表現し行動します。 

過剰適応を改善するアサーションとは過剰適応を改善するには、アサーティブな自己表現が有効です。アサーティブな自己表現には、

・自分もOK、他人もOK
・自分の感情を大切に権利
・他人の感情を大事にする心がけ
・折り合いをつけることを大事にする精神
・過剰な要求は断る

の考え方があります。日ごろから実践をして、過剰適応の改善を目指しましょう!

アサーションの練習問題

ここでは練習問題をやってみましょう。

練習問題
社会人の太郎さんは、コンパで知り合った学生の花子さんと半年前から付き合っています。花子さんはとてもかわいらしい女性で、太郎さんのタイプです。
花子さんが学生ということで、デート代は太郎さんが全て支払っていました。最近はデートのたびに、プレゼントまで要求されるようになっています。この状態が続くかと思うと太郎さんは不安です…。
この状態を改善する表現を、アサーション3つの自己表現で考えてみましょう。

「攻撃的」

「非主導的(過剰適応)」

「アサーティブ」

 

解答例
攻撃的
→いい加減にしてくれないか!

非主導的(過剰適応)
→かわいい彼女だから手放してはいけない…。付き合い続けるためにも我慢して払い続けよう。

アサーティブ
→僕は社会人だから、デートの支払いはなるべくする。プレゼントは特別な日に贈るものにしたいな。この状況は僕にも原因があるごめんね。

専門家の講義を受けたい方へ

過剰適応について心理学の論文、研究、過剰適応の症状や問題を紹介しました。理解は深まりましたか。

社会に出れば、多かれ少なかれ感情のコントロールが求められるでしょう。しかし自分の気持ちを抑えつづた笑顔では、心身共に疲れしまいますよね。「疲れているな…」と感じた時には、自分の内面に目を向けて正直になってみてくださいね。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

社会人講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
適応の心理(1965) 北村晴朗(著)誠信書房
入門人格心理学 加藤 義明 (編集), 中里 至正 (編集)1989
風間惇希 2015 大学生における過剰適応と抑うつの関連 青年心理学研究 27(1), 23-38
小野 由衣子 宮本 正一 2005 親・教師・友達が関わる欲求不満場面での過剰適応と攻撃性の関連, 1, 13-20