強迫性パーソナリティ障害とは何か

みなさんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「強迫性パーソナリティ障害」です。目次は以下の通りです。

①強迫性パーソナリティ障害とは
②強迫性障害との違い
③診断の流れ、診断基準
④治し方,心理療法

当サイトの特色は、臨床心理学、精神保健福祉の視点から心の病気を解説している点にあります。心の病気の解説サイトは多いですが、精神科医の先生が監修されていることが多く、心理師の専門サイトは多くはありません。

お薬以外での改善策を詳しく知りたい方に特にお役に立てると思います。ご自身の状況にあてはまりそうなものがありましたら是非ご活用ください。

強迫性パーソナリティ障害とは

強迫性パーソナリティ障害とは

強迫性パーソナリティ障害とは、パーソナリティ障害に含まれる分類の一つです。その意味とは、

秩序や完璧主義、対人関係の統制にとらわれて、柔軟性、開放性、効率性が犠牲にされる人格障害

とされています。完璧さを求めすぎたり、柔軟性が欠けてしまうことで、仕事で支障がでたり、経済活動で不自由さが生まれてしまうこともあります。

有病率

強迫性パーソナリティ障害の有病率は2.1%~2.7%といわれています。男女比は男性の方が多いとも言われています。

位置づけ

強迫性パーソナリティ障害は、パーソナリティ障害の中の1つです。パーソナリティ障害は3つの群にわけられます。

A群
奇異的な考え,理解しがたい行動が目立つ

B群
情緒不安定,激しい行動が目立つ

C群
不安が強い,内向的

強迫性パーソナリティ障害はC群のうちの1つとされています。C群の中で他には依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害が含まれています。

パーソナリティ障害とは何か

 

強迫性障害との違い

同じ”強迫”という言葉が使われている疾患に、「強迫性障害」があります。しかし、強迫性障害と強迫性パーソナリティ障害は、本質的には違う疾患であるとしています。

強迫性障害は、強迫観念、強迫行為など、考え方や行動の問題が特徴となります。例えば、頻回に手を洗う、何回も確認する等が挙げられます。

一方で、強迫性パーソナリティ障害は、柔軟性に欠ける、融通のきかなさなど、性格や特性の問題が特徴となります。例:完璧すぎる性格、極端な頑固さが挙げられます。

両者は同じような行動をすることがありますが、疾患の性質としては違うことがわかります。強迫性障害について理解を深めたい方は以下を参照ください。
強迫性障害の種類と治療法

診断の流れ,基準

診断の流れ

実際の診断は精神科や心療内科で行われます。ただし初診から強迫性パーソナリティ障害という診断名がつくことは稀です。何度も面接を重ね、症状の変化などを把握する必要があるからです。

診断基準

精神疾患の診断基準であるDSM-5では、強迫性パーソナリティ障害の診断には以下の基準があります。

秩序、完璧主義、精神および対人関係の統制にとらわれ、柔軟性、開放性、効率性が犠牲にされる広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つまたはそれ以上によって示される。

①細目、規則、一覧表、順序、構成、予定表にとらわれ、活動の要点が失われる
②課題の達成を妨げるほどの完璧主義
③娯楽や友人関係を犠牲にしてまで、仕事と生産性にのめりこむ
④道徳、倫理、価値観について、過度に誠実で良心的かつ融通がきかない
➄感傷的な意味を持たなくなってでも、使い古した、または価値のないものを捨てることができない
➅自分のやるやり方通りに従わなければ、他人に仕事を任せることができない
⑦自分のためにも他人のためにもけちなお金の使い方をする。お金は将来の破局に備えてためておくものと思っている
⑧堅苦しさと頑固さを示す

 

治し方,心理療法

強迫性パーソナリティ障害は大きくわけて心理療法と薬物療法の観点から治療をしていきます。当コラムでは、心理療法の視点から、よく使う対策を紹介します。

①認知療法
②行動療法
③森田療法
④完璧主義を緩める

ご自身に役立ちそうなものを組み合わせてご活用ください。

①認知療法

強迫性パーソナリティに対する心理療法の1つに認知療法があります。認知療法は考え方の偏りを柔軟にほぐす手法です。何事も柔軟に考えられない強迫性パーソナリティの人は「予定通りに進めなければならない」「この仕事はこのやり方ではないといけない」など偏った”べき思考”を持っています。

認知療法ではこれらの、偏った思考を現実的にしていく練習を行います。認知療法は体系化された心理療法でマスターしやすいので、学習したことがない方は以下のコラムで理解を深めることをおすすめします。

認知療法のやり方

 

②行動療法

行動療法は新しい学習を通して、行動のありかたを変えていく方法です。強迫性パーソナリティの人は、細部にとらわれて本来の課題や計画を達成できないという特徴があります。この時、不安な気持ちを、点数化して、まずは小さな不安があるものについては思い切って行動する練習をしていきます。細部へとらわれて生活の行動範囲が狭くなっている、という方は下記のコラムも参考にしてみてください。

行動療法のやり方とは

 

③森田療法を学ぶ

森田療法は感情や気分に左右されずに、自分の課題に目を向けることで症状の改善を目指す心理療法です。森田療法では、感情を無理に押さえつけるのではなく、自然な感情として「あるがまま」受け入れ「目的本位」に生きることを大事にしていきます。森田療法は東洋的な思想が基盤にあり、日本人に馴染みやすい心理療法です。興味がある方は以下のコラムを参照ください。

森田療法のやり方

 

④完璧主義を緩める

強迫性パーソナリティの人の特徴として、完璧主義であることが挙げられます。これは、自分自身にだけでなく、周囲の人にも求めてしまいがちです。この完璧主義を完全になくすことは難しいですが、もう少し緩めることで対人関係でも柔軟に対応できます。完璧主義について理解を深めたい方は以下のコラムをご参照ください。

完璧主義をやめる3つの方法

 

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*出典・引用文献

高橋三郎,大野裕(2014) DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き 医学書院