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自分を受け入れる,自己受容する-2つのルート-

自分を受け入れる,自己受容する-2つのルート-

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは
「自分を受け入れる,自己受容」
です。


当コラムの目的
・自分を受け入れられない
・自分が嫌い
・コンプレックスの塊

  • 全体の目次
  • 入門①自己受容とは何か
  • 入門②研究紹介
  • 入門③自己受容2大ルート
  • 発展お悩み相談掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

自己受容とは

自己受容は我々、カウンセラーの中では極めて大きな言葉です。自己受容は心理学的にはどのような意味として用いられているのでしょうか。いくつか定義を紹介します。

自己のありようをそのまま受け入れること 心理学辞典(1999)

自分自身を、好ましい面も好ましくない面も含めて受け容れること 飯長(2012)

読んで字のごとくという感じですが、長所、短所、自分の生きてきた道、運命など、プラスマイナス問わず、ありのままの自分を受け入れる感覚を意味します。

自己一致とは何か?

私たちカウンセラーは、心理学者のカールロジャーズが提唱した、自己一致、自己不一致ということばをよく使います。

自己一致とは、理想とする自分と、現実の自分が近い状態です。

自己受容,自己一致

自己一致の状態は以下のような特徴があります。
・現実の自分を受け入れている
・自己肯定感が高い
・自己嫌悪が少ない
・多少のズレはOK

例えば、皆さんは自分の容姿を受け入れているでしょうか?もちろん完璧!と考えている人はいないと思います。もう少し痩せたい、もう少し肌をきれいにしたいこんな理想とする姿があるかもしれません。

それでも、まあまあ満足している、今の現実の自分の容姿も愛嬌があって悪くはない、こんな感覚があれば自己受容できていると考えます。

自己不一致とは何か?

これに対して自己不一致とは、現実の自分と、理想とする自分がかなりずれている状態になります。

自己不一致,自己嫌悪

自己一致の状態は以下のような特徴があります。
・理想と現実の差が大きい
・自己嫌悪が大きい
・かなり厳しい理想を持っている

例えば、肌の色に強いコンプレックスを持っている女性がいたとします。

このような理想と現実からくる自己嫌悪は自分自身を苦しめます。肌の色はある程度の変化は可能かもしれないですが、基本的には親から受け継いでいたものです。

そうした本質的な自分を受け入れることができない場合は、いつまでも苦しむことになってしまうのです。

自己受容研究

それでは、自分を受け入れるとどのようなメリットがあるのでしょうか。心理学においては様々な研究があります。以下気になるタイトルがありましたらクリックしてみてください。

友人関係に満足できる

吉岡(2000)中高生の男女611名を対象に、友人関係に関する質問調査を行いました。その結果が以下の図です。

今回は高校生の結果を取り上げていきます。まずは男子高校生から見ていきましょう。

自分を受け入れる方法

このように、自己受容が「高い」と、友人関係の満足感も「高い」という結果が出ています。自分を受け入れる傾向が強い人は、友人に対してプラスの印象を持つことができるのですね。

続いて女子高校生を見てみましょう。

自己受容のコツ

こちらも同様に自己受容が「高い」とき、友人関係の満足感も「高い」という結果になりました。男性であれ女性であれ自分を受け入れることは、友人への満足感につながるのです。

自己受容をする2つのコツ

ここからは自己受容をするためのコツをお伝えします。具体的には以下の2つの方針を提案させて頂きます。①受け入れ型,自己受容
 ・リフレーミング法
 ・受け入れ体験
 ・嘆きの仕事
 ・名言に親しむ

②努力型,自己受容
 ・自己効力感をつける
 ・行動力をつける
 ・失敗への恐れを改善

受け入れ型-自己受容

まずは受け入れ型、自己受容から解説していきます。

実現不能な目標は苦しい

受け入れ型、自己受容の1つのやり方は、理想を修正して、現実を受け入れるというやり方です。まずは以下の図をご覧ください。

自分を受け入れる方法

こちらは先程の地黒の例ですが、「理想を現実に近づける」というが出ています。肌は遺伝的な要素も多く、現実的には理想の肌色に簡単になれるものではありません。

このような悩みを生涯持ち続けるのはとてもしんどいものです。そこであまりにも、達成不能であり、かつ自分を苦しめるような目標の場合は、理想を修正していく必要があります。

もちろん理想を修正することは容易ではありません。そこでいくつかのやり方をお伝えします。

自己受容法-リフレーミング

リフレーミングとは心理療法の1つで出来事について別の「フレーム」で捉え直す方法です。自己受容ができていない状況は、1つの見方しかできないないことが多く、自分の特徴を短所として考えることができません。

しかし、実は短所と長所は表裏一体で、紙一重です。

例えば
根暗  → 現実的に考えられる
怠け癖 → マイペースに続けられる
地黒だ→  健康的、シミができにくい

マイナスと捉えがちな短所もフレームを変えることでポジティブに変換できます。リフレーミングは訓練が必要なため、新しい視点があまり出てこない場合もあるかもしれません。

私の講座では思考の引き出しを増やす練習をするのですが、練習でかなり改善できます。少しずつ自分の短所と考えていた部分の長所も見つけるようにしていきましょう。

自己受容しよう

ここからは練習問題にトライしてみましょう。

練習問題①
リフレーミングを練習して、極端な捉え方を改善していきましょう。

 

あなたが以下のような性格だとします。これらリフレーミングし、プラスに変換して自分を受け入れてみましょう。

・不器用    ⇒ 
・腹黒い    ⇒ 
・せっかち   ⇒

 

解答例
・不器用    ⇒ 人間味がある
・腹黒い    ⇒ 計画性がある
・せっかち   ⇒ 効率がいい

さらに練習を重ねたい方は、こちらのリフレーミングコラムも参考にしてみてください。

 

自己受容法-受け入れる体験の必要性

自己受容をする上で、自分を受け入れてくれる人との出会いも非常に重要です。大鷹ら(2011)は、大学生と身体のコンプレックスについて対象に調査を行いなしました。

その結果、
「自分の体が醜いと感じるイメージ」
「誰かに受け入れられている体験の不足」

は関連していると報告されています。

具体例

例えば背が低いことがコンプレックスだった花子さんがいたとします。そして花子さんは、太郎さんを好きになりました。

しかし、運悪く、太郎さんの好みは背が高い人で、花子さんは失恋してしまいました。

背が低い自分が嫌だ…花子さんは余計に劣等感を持っていました。自分を受け入れることができない,体のコンプレックス

しかし、時は経ち、花子さんは再び、三郎さんに恋をします。三郎さんは背が低いこと女性が好きでした!そして無事、お互い好きになることができました。

さらには、三郎さんは最初は背が低いことで印象がよく接してくれましたが、最後は背なんてどうでもよくて、一緒にいることが楽しいと言ってくれました。

自分を受け入れる,受容体験

花子さんは、最初は背が低いことがコンプレックスだったのですが、気にしている部分を他人から受容されることで、「背が低いことへのこだわり」が解消され、自己受容感が改善されることがあります。

ここでオススメなのが、暖かいコミュニティ探しです。コミュニティにもいろいろありますが、特に受容的でやさしいコミュニティに1つは所属しておきたいものです。

悩みの相談場所がない、いつも殺伐とした人間関係になってしまう…という方はこちらのコミュニティコラムを参考にしてみてください。

嘆きの仕事

特に辛い体験をした場合、簡単には自分を受け入れることはできないと思います。人によっては忘れようと頑張ることもあります。ただ、精神分析療法の世界では、悩みを心の底に押しとどめるのは、限界があると考えていきます。

人生のタイミングもありますが、どこかでしっかりと自分と向き合い、苦しいと思いますが、しっかり語りながら心を整理していく必要があります。

これは「嘆きの仕事」と言ったりします。嘆きの仕事は一人では難しいこともあるので、カウンセリングを受ける選択肢も出てくると思います。

自分を受け入れる系名言に親しむ

自分を受け入れる方法として、自己受容にまつわる思想・名言に触れると効果的という研究もあります。

人生の先輩たちが残してくれた名言に親しみ、それを日常生活でどのように活かすかを考えると、自己受容感が高くなることが分かっています。

Sooら(2014)は、大学生 168 名を対象に、自己受容について調査を行いました。具体的には下記のようなトレーニングを被験者たちに行い、効果の検証が行われました。

STEP1
自己受容を高める考え方リストから好きなものを選ぶ

リストについては以下をご参照ください。

   「自己受容を高めるリスト」

STEP2
なぜその考えを選んだのか説明する

STEP3
日常生活でどのように活かすかを考える

このトレーニングを行ったグループと、トレーニングを行わなかったグループで劣等感のレベルを比較しました。その結果が以下のグラフとなります。

このように、自己受容トレーニングを行ったグループの方が、グラフが低くなっていることが分かります。

つまり、トレーニングを受けたグループは自分を受け入れられるようになり、結果的に劣等感が軽減したと考えられます。

日常的に自分を受け入れる考え方に触れることは自己受容を促し、欠点を克服するために一役買ってくれるのかもしれませんね。

ぜひ、ご自身が好きな自分を受け入れる系の思想・名言を探してみてくださいね。以下、自分を受け入れるにまつわる名言を掲載させて頂きます。

みつをさんの名言
・つまづいたっていいじゃないかにんげんだもの
・なやみはつきねんだなぁいきているんだもの

アーチャン・チャーさんの名言
・人々は、自分に心は快適でも幸せでもないと思っていますが、
 実際には私たちの心は最も快適で幸せな存在なのです。

努力型,自己受容

実現可能な目標は積極的に

先程は、実現不能な目標を修正するアイデアをお伝えしました。一方で、理想と現実は比較的近く、頑張れば達成できそうな場合は、積極的に行動していくことも大事です。

自己受容,自己不一致

こちらの図は学歴コンプレックスを抱える方の例です。自分の過去の学歴が低くても、資格を取得して解消することで挽回できるかもしれません。

このように前向きな行動に結びつくような目標設定であれば、努力して達成することで、理想と現実を近づけ自己受容に結びつけることもできるのです。

自己効力感をつける

行動する上で大事なことは、「自己効力感」について理解をしておくことです。努力の源泉は、自分にはできる!という自信です。この自信のつけ方を学んでおくと、楽しく、持続的に努力することができます。

目標の立て方や、モチベーションの維持の仕方について知りたい方は、こちらの自己効力感コラムを参考にしてみてください。

行動力をつける

いざ目標を立ててもなかなか行動できない…という方もいると思います。行動力をつけるためには、スモールをステップをつくる、決断に納期を設ける、不安感などマイナス感情をコントロールする力が必要になります。

詳しくはこちらの行動力コラムを参考にしてみてください。

失敗を恐れない心

行動をする上でその足かせとなるのが、失敗への恐れです。何か行動する前に、どうしても失敗するイメージをしてしまい、積極的に動けない…という方はこちらの失敗が怖いコラムを参考にしてみてください。

まとめ

今回は、自分を受け入れるをテーマに解説していきました。いかがでしたか。復習をすると、自己受容には、

・理想を修正して、現実の自分を認めていくルート

・理想をそのままに、努力して目標を達成していくルート

の2つがあります。どちらが優れているというわけではありません。人生を柔軟かつエネルギッシュに生きていくためには、使い分けが大事になってきます。

一度しかない人生です。みなさんが、人生の主人公として、自分自身を大事にしながら、充実した生活をすごされることを願ってやみません(^^)

専門家の講義を受けたい方へ

これまで「自分を受け入れる」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました!

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち公認心理師・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション能力講座への参加をおススメしています。

コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
飯長喜一郎(2012)自己受容,人間性心理学会(編),人間性心理学ハンドブック,p323,創元社
Soo Kim and David Gal(2014)From Compensatory Consumption to Adaptive Consumption: The Role of SelfAcceptance in Resolving Self-Deficits Journal of Consumer Research , Vol. 41, No. 2 (August 2014), pp. 526-542

大鷹円美・浅川紗央里・菅原正和(2011)内的作業モデルが身体醜形イメージに与える影響 第10号 149-155