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漸進的筋弛緩-心身のリラックス法を紹介。作業療法士と公認心理師が解説

漸進的筋弛緩法とは?

はじめまして!作業療法士の石橋と公認心理師の川島です。今回のテーマは
漸進的筋弛緩法
です。

    • 全体の目次
    • 入門①漸進的筋弛緩法とは?
    • 入門②漸進的筋弛緩法の治療対象
    • 入門③治療のしくみ
    • 入門④漸進的筋弛緩法の実践
  • 助け合い掲示板

入門①~④を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。また、気軽にできる漸進的筋弛緩法の方法についても触れています。緊張が強い方や、あがり症の方にお役に立てたらと思います。

もし、もっと学んでみたいと思う方は初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

漸進的筋弛緩法とは?

漸進的筋弛緩法とは、全身の筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことで、緊張を和らげるリラクセーション法です。

“漸進的”という言葉には、「順を追って段々と目的に到達する」という意味があります。順を追って緊張と弛緩を繰り返して、リラックス状態にたどり着くという方法です。

この方法は、1908年にアメリカの精神生理学者Edmund Jacobsonによって開発されました。

引用 https://timeline.com/edmund-jacobson-relaxation-productivity-b592ce4e7b9f
より

漸進的筋弛緩法は、不安の強いクライエントに対して、深いリラックス状態を作ることを目的にしています。現在でも、医療の看護場面や心理臨床の場面などで活用されています。

漸進的筋弛緩法の対象

漸進的筋弛緩法は心身の緊張を和らげるリラックス法として、様々な症状を対象にしています。例えば

心理的ストレスが高い人
極度のあがり症
不安が強い人

などに効果があるとしています。

漸進的筋弛緩法のしくみ

漸進的筋弛緩法は、どのようにしてリラックス効果を生むのでしょうか?それには、脳と筋肉の情報の伝達が関わっています。以下にその流れを説明します。

筋肉の緊張と弛緩を繰り返す
      ↓
弛緩している情報が脳に伝達される
      ↓
脳で情動の興奮が抑制される
      ↓
脳から筋肉に興奮の抑制が伝達
      ↓
筋肉の緊張が和らぐ

このように、脳と筋肉の情報の伝達が行われることで、リラックス効果を生んでいるということがわかります。

事例

ここで1つ事例を紹介します。緊張が強かったものの、リラクセーションが効いた事例についてです。

詳しい内容は下の折りたたみになっていますので、読み進めたい方は展開してください。

以前、カウンセリングでお会いしていたカズオさんは、20代の男性です。

ある日突然、満員電車に乗っている時に、次のような経験をしました。

・心臓がどきどきする
・やたらと汗をかく
・呼吸が荒くなる

その後は込み合った電車に乗るたびに、上記の症状が現れるようになりました。この症状があるために、電車にも乗ることが難しくなり、学校も休みがちになりました。

インターネットで調べたところ、パニック障害や広場恐怖ではないかと思い当たり、クリニックを受診しました。医師からは薬が処方され、同時にリラクセーションも試すことになりました。

緩和リラクセーションのセッションでは、漸進的筋弛緩法をやってみることにしました。カズオさんは、漸進的筋弛緩法を一部、電車の中で立ちながら行うことで、症状がいくらかましになることに気付きました。

そしてカズオさんは、漸進的筋弛緩法を繰り返すうちに、

緊張があっても和らぐ
緊張は自己コントロールできる
混んだ電車は苦手だが、我慢できる

という体験を得て、強い緊張も緩和することができました。

そして、苦手であった電車にも我慢しながらではあるものの、乗ることができるようになってきました。

漸進的筋弛緩法を実践

ここからは、漸進的筋弛緩法の具体的なやり方をお伝えします。

全身の筋肉を各部に分けて、わざと力を入れてから、ふっと力を抜きます。これをいくつかの体の部位に行っていき、少しずつ筋肉の力を緩め、緊張をほぐしていきます。

ここでは、漸進的筋弛緩法の簡易法(富岡, 2017)を一部ご紹介します。ポイントは2つあります。

力を入れてから抜く
力は100%ではなく60~70%にする

では漸進的筋弛緩法の簡易法の手順を、実際に見ていきましょう。次の①~③の部位を動かしてくださいね。

手と腕
両手を握り、腕を曲げます。
→10秒力を入れて10秒力を抜きます。


左右の方を上に持ち上げ、耳にくっつけるようにします。
→10秒力を入れて10秒力を抜きます。


目を固く閉じ、目と鼻を近づけるようにし、口はひょっとこのようにとがらせます。
→10秒力を入れて10秒力を抜きます。

以上の動きを各2回ずつ行います。

※図は富岡(2017)リラクセーション法より一部抜粋して引用

なお漸進的筋弛緩法を行っていて、もしも緊張がさらに強まるようなことがあれば、直ちに中止してください。

まとめ+おしらせ

まとめ

漸進的筋弛緩法は、強い緊張をほぐすのにおすすめの解決策です。体の部位に力を入れてから抜く作業を順次行っていくことで、緊張が和らぎます。

事例で取り上げたように、手だけ肩だけと部位を選べば、電車の中などでも実践することができます。ぜひ実践してみてくださいね。

お知らせ

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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参考文献

富岡 光直 (2017)リラクセーション法 心身医学 57(10), 1025-1031

山田重行,今別府志帆(2008)漸進的筋弛緩法の習得過程におけるリラックス反応の経時変化 千葉大学看護学部紀要 (30), 11-17