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来談者中心療法の事例と効果

来談者中心両方の目的と理論


来談者中心療法とは何か?

はじめに

当サイトをご覧いただきありがとうございます。このページは来談者中心療法について紹介するページです。執筆者は井ノ口です。私は、心理系の大学を卒業後に金融機関に就職し、その後、心理系の大学院に再入学しました。現在は臨床心理士として、医療機関や民間カウンセリング機関、企業・官公庁などで働いています。心理療法、メンタルヘルス研修などの各種研修業で来談者中心療法の考え方を用いることが多いため、コラムの担当となりました。これから全6回に渡って解説をしていきたいと思います。

当コラムでは以下の内容で進めていきます。

・ 来談者中心療法とは何か?
・自己理論で悩みを解決
・ 受容・共感的理解・自己一致の態度が大切
・ パーソンセンタード・アプローチとは?
・ あいづちとオウム返しが大事
・ ギャップを埋めて悩みを解消!
・ 人間関係を円滑にする傾聴技法!
・ 来談者中心療法まとめ

一方的なアドバイスをしない方法

来談者中心療法は20世紀半ばにロジャースによって確立されたものです。ロジャースは人格(パーソナリティ)の受容と成長を重要視した理論を打ち立てました。

まず「人間には本来、自然な成長の能力がある」という前提で、その人のパーソナリティを考えます。そして、人間のもつ成長潜在能力を引き出すことで、パーソナリティの受容と成長が達成されると考えます。

そのため、非指示的な関与を特徴とします。あれこれとアドバイスしたり、解決策を提示するのではなく、悩みを抱えているひとが自らの態度や感情を自由に表現させるためのかかわりが重要視されます。そして、非指示的なかかわりを継続した結果として、必然的に洞察や自己への気づきがもたらされるとしています。

ロジャースはどんな人?

来談者中心療法(ロジャース心理学)を確立したロジャースは、現在の臨床心理学やカウンセリングに大きな影響を与えた人物の1人です。例えば、心理カウンセリングで悩みを抱えているひとを患者ではなくて「クライエント」と呼び始めたのはロジャースが最初です。

改良が重なった心理療法

来談者中心療法は、時代のニーズや変化に合わせて改良されました。出発点は1940年代に打ち立てられた非指示的療法です。その後、ロジャースは1950年代に来談者中心療法を提唱して、パーソンセンタード・アプローチを成立させました。パーソンセンタード・アプローチは、個人が抱える悩みや問題への支援に留まらず、人種問題や民族紛争の解決にも使われました。1960年代には、さらに改良が加えられて人間性心理学と呼ばれるようになりました。

こんな人に効果がある!

軽~中程度のうつ病やパニック障害に効果があり、治療率40~70%程度と言われています。また、PTSDの治療や惨事ストレスへの対処にも取り入れられています。

日本でも多くの場所で使われている

来談者中心療法は日本において、最もポピュラーな心理療法です。例えば、他人の気持ちや考え方を理解して人間関係を円滑にすることを目的とした感受性訓練、同じ悩みを抱えている人たちだけが集まって話し合うピアカウンセリングは、来談者中心療法の考えかたをベースとしています。専門家に限らず、多くの人たちが考えかたなどを共有できることが特徴です。

日常生活でも生じる理想とのギャップ

基礎となる理論に、自己理論というものがあります。多くの人が、今の自分と理想の自分とのギャップに悩んだことがあるはずです。例えば…

・ 鏡で今の自分の姿を見て落ち込んだ
・自分がやりたいことは本当は違う

といったものです。理想と現実の乖離で悩むことは、日常生活を送るうえで当たり前のことといっても過言ではありません。理想の自分と現実の自分を以下のように分類します。

・理想自己…理想の自分の姿や状態
・現実自己…今の自分の姿や状態

そして、理想自己と現実自己の差を埋めることによって心理的不適応が解消されるとしています。

理想と現実のギャップを埋めて悩みを解消!

では、どのようにして理想自己と現実自己の差を埋めるのでしょうか?上記の例を参考にするならば、以下の方法が考えられるでしょう。

・化粧やダイエットで今よりも綺麗になる
・やりたいことができる場所を探す

このように、現実自己を理想自己に近づけることが両者のギャップを埋めるための1つの方法です。

理想を考え直すことが重要

こんな人になりたい、こんな人であるべきだといった理想自己は、来談者中心療法において自己概念と言われます。自己概念は自分のこれまでの経験や見聞きしたことによって作られます。悩みを解消するために、自己概念を修正して現実自己との差を埋めます。つまり、自分が抱いている理想像について再考することが重要になります。

このため、来談者中心療法では「あるがままの自分を受け入れることを目的とするアプローチ」が使われます。自己概念と現実自己のギャップがない自己一致の状態であれば、心理的不適応は生じません。

いま・ここで生じることが大切

理想自己に向かって努力するよりも、現実自己を受け入れる方が望ましいとされています。したがって、過去にさかのぼって原因を探すといった解釈は用いられません。また、社会的によいと判断される考えかたや客観的な基準も、自己一致の状態を目指すときに障害になり得ると考えます。

もっとも大事な点は、こんな自分が嫌いだ、あんなことはあり得ないといった考えや感情です。いま・ここで思うことや考えることが重要視されます。

アドバイスをしないことが大切

来談者中心療法の代名詞と言われている受容・共感的理解・自己一致の態度について触れていきます。

まず、人間が有している成長潜在能力を引き出すことに力点が置かれています。悩みを持っている人が自らの感情や態度を自由に表現することで、自然と自己への気づきがもたらされます。解決策を提示したり、あれこれと解釈を加えるよりも、非指示的なかかわりが求められます。

傾聴で悩みを解決!

非指示的なかかわりが重要視されますが、何もしない無言の人がそこにいても、成長潜在能力は発揮されません。ロジャースは話を聞く人の態度として、以下の3つが大切であると考えました。

自己一致…話を聞く人がありのままの自分を受け入れている状態
共感的理解…相手の考えや感情を相手の立場にたって感じたり考えたりする姿勢
無条件の肯定的配慮…相手がどんな人であっても異なる価値観などを有する人間として認めていること

これらの条件を備えた人がそこにいて、悩みの抱えている人のパーソナリティ変容が促されるとロジャースは考えました。この3つの条件は、現代において傾聴の3条件とも呼ばれており、多くの人たちに用いられています。

また、カウンセラーに求められる条件の幾つかはこの3つの原則を基にしています。カウンセラーの必要条件に関して、ここでは取り上げませんが、傾聴の考え方はカウンセリングに従事する人たちの指針となっています。

円滑な人間関係にも役立つ3条件

ロジャースが提唱した傾聴の3条件は、話を聞く人の態度について説明したものです。心理学的知識や専門的な心理技法について述べているわけではないので、意識すれば誰でも使える技法です。この技法は、円滑な人間関係を構築するうえで役立ちます。

例えば、友人と喫茶店で話をしている場面を考えてみましょう。世間話から始まって悩みを相談されたり、愚痴を聞かされることがあるはずです。そのときに、以下のような答えかたをしていませんか?

・「○○したほうがよいと思う」
・「愚痴を言っているだけでは何も変わらない」

これらのセリフは、相手からすると決して気持ちがよくなるものではありません。共感的理解を使って相手の立場を考えることを意識すると、アドバイスや非難とは異なったセリフが出てきます。例えば…

・ あなたも大変だね 
・愚痴を言いたいときもあるよね 

といったものが考えられます。これらの共感的理解に基づいたセリフを聞いて、相手が嫌になることはほとんどありません。その結果、他人と円滑なコミュニケーションを取れるようになります。

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今回は来談者中心療法の基礎となる理論についてお伝えしてきました。次回は集団に目を向けたパーソンセンタードアプローチという理論について解説をしていきます!

★成長潜在能力と洞察で成長できる心理学!
★うつ病やパニック障害に有効!

 

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