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来談者中心療法入門①カールロジャース,技法,自己一致とは?わかりやすく

来談者中心療法入門①カールロジャース,技法,自己一致とは?わかりやすく

皆さんこんにちは!
公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。

当コラムのテーマは
「来談者中心法」
です。

来談者中心法の基礎からしっかり解説していきます。援助職の方、福祉職の方、カウンセラーを将来的に目指している方は是非参考にしてみてください。

来談者中心法の提唱者

生まれ

来談者中心法はカールロジャースによって提唱されました。

カールロジャーズ

ロジャースは1902年、イリノイ州に生まれました。両親はプロテスタント系で、熱心に信仰していました。

両親の口癖は

人間は罪深い
人間が救われるのは労働である

というものでした。そもそも人間は罪深い…という哲学は、後に反抗する形で来談者中心法へ反映されていきます。

神学から心理学への転向

その影響もあり、ロジャースは牧師になるべく、ユニオン神学校大学院に進みました。しかし、実際に学んでみると、宗教には限界があると感じるようになります。

その1つの理由に学生結婚があるともいわれています。当時学生同士で結婚するのはタブーのようなところもあり、歓迎されなかったようです。

ただ私たちは人間です。好きであるという気持ちと宗教を秤にかけた時、ロジャースは宗教とは何か?人間とはなにか?と思い悩んだと思われます(これは私の推測です)

そうして、ロジャースは無神論者となり、学問としての心のあり方に興味を持ちます。

その後は、神学校を辞め、コロンビア大学へ籍を移し、臨床心理学を学ぶことになるのです。

児童虐待防止協会での原体験

コロンビア大学を卒業すると、ロジャーズはニューヨーク州にある児童虐待防止協会に就職します。非行少年や保護者のカウンセリングにも携わります。

当初ロジャースは、伝統的な分析的な技法に基づき、カウンセリングを行っていました。ある日、非行少年の母親がカウンセリングに訪れます。

ロジャースはいつものようにカウンセリングを繰返すのですが、どうもうまく行きません。

カールロジャースとは

もうカウンセリングをやめようという時に、ロジャースはあれやこれやと指示することをやめます。そして母親自身の話をよく聞くようにしたのです。すると結果的にうまく問題が解決していったのです。

ロジャースはこの時期に、問題はクライエント自身が一番理解しているという事に気が付き、それを支えるようなカウンセリングのあり方が大事であることを理解していきました。

来談者中心法の提唱

ロジャースは12年間、児童虐待防止協会で働き、その後は、 オハイオ州立大学、シカゴ大学、ウィスコンシン大学で指導者として活躍します。

その傍らで、非指示的カウンセリングを提唱し、その後来談者中心法と解明しました。

来談者中心法の哲学は、人は「成長・自律・独立等」に向かうという点です。カウンセラーは、それを共感的に理解することに重要であるとされています。

晩年はさらに、パーソンセンタードアプローチと呼ぶようになっています。パーソンセンタード・アプローチは、個人が抱える悩みや問題への支援に留まらず、人種問題や民族紛争の解決にも使われました。

下記はロジャーズの生前のカウンセリングの様子です。暖かい雰囲気が伝わってきますね。

来談者中心法の特徴

来談者中心法にはどのような哲学や特徴があるのでしょうか?以下ポイントをまとめました。

非支持の姿勢

「人間には本来、自然な成長の能力がある」という前提で、その人のパーソナリティを考えます。そして、人間のもつ成長潜在能力を引き出すことで、パーソナリティの受容と成長が達成されると考えます。そのため、非指示的な関与を特徴とします。

あれこれとアドバイスしたり、解決策を提示することはありません。悩みを抱えているひとが自らの態度や感情を自由に表現させるためのかかわりが重要視されます。

そして、非指示的なかかわりを継続した結果として、必然的に洞察や自己への気づきがもたらされるとしています。

クライエント

来談者中心法では、心理カウンセリングで悩みを抱えているひとを患者ではなくて「クライエント」と呼びます。医療現場では、医師と患者という関係があり、基本的には患者が、 その指示に従うことが多くなります。

来談者中心法では、患者ではなく、治療はあくまで自分自身で行うものであるので、クライエントという呼び方をしています。

クライエント

 

自己概念

自己概念とは

理想とする自分,理想の自分の姿や状態

となります。私たちは多かれ少なかれ、こうありたい、こうなりたいというイメージを持っています。このイメージを自己概念と呼びます。

経験

経験とは

現実の自分,ありのままの自分

となります。今まさに存在している自分の姿そのものが経験となります。

自己不一致

「自己概念」と「経験」の違いが大きい場合は

「自己不一致状態」

と言います。例えば、皆さんは自分の容姿にコンプレックスがありますでしょうか?人間だれしも完璧な容姿にはなれないものです。

身長が低い、肌が汚い・・・などまあまああるものです。この時、すごく自分の容姿が気に食わない!と感じる場合は自己不一致状態となります。

自己一致

逆に
「自己概念」と「経験」
の差が小さい場合は

「自己一致」

と言います。容姿について、まあ満足しているわけではないが、まあまあ受け入れている。これもまた人生、自分の愛嬌と考えられている場合は自己一致状態となります。

受け入れる姿勢を重視

来談者中心療法では「あるがままの自分を受け入れることを目的とするアプローチ」を重視しています。したがって、過去にさかのぼって原因を探したり、無理な努力を求めることがありません。

また、社会的によいと判断される考えかたや客観的な基準も、自己一致の状態を目指すときに障害になり得ると考えます。

もっとも大事な点は、こんな自分が嫌いだ、もっとこうなりたい、もっと完璧になりたい…という終わらない理想像に区切りをつけることが重要視されます。

*ただし充実感のある目標や生活のハリになるレベルなら理想を持っておくことも大事です

具体的な技法

ロジャースはカウンセラーの態度として、以下の3つが大切であると考えました。

3つの条件

自己一致
話を聞く人がありのままの自分を受け入れている状態

共感的理解
相手の考えや感情を相手の立場にたって感じたり考えたりする姿勢

無条件の肯定的配慮
相手がどんな人であっても異なる価値観などを有する人間として認めていること

これらの条件を備えた人がそこにいて、悩みの抱えている人のパーソナリティ変容が促されるとロジャースは考えました。この3つの条件は、現代において傾聴の3条件とも呼ばれており、流派を問わず多くの援助者に用いられています。

あいづち

傾聴の基本は、あいづちを打ちながら相手の話を聴くことです。

来談者中心療法で用いられるあいづちは、私たちが日常生活で使っているものとほぼ同じです。クライエントの話の速度や強さに応じて、うなづきながら相手に合わせていきます。

あいづちには「うんうん」といった言語的表現が含まれます。一方でうなづきは、非言語的表現に当たります。治療者が言語・非言語のあいづちを用いることで、クライエントは安心感をもって話ができます。

オウム返し

オウム返しは来談者中心療法で用いられることが多い傾聴技法の1つです。

オウム返しとは「相手の言葉を繰り返す」ことです。相手の言葉をそのまま返すため、相手の話をしっかり聞いている姿勢を伝えることができます。

治療者は、クライエントの気持ちを汲み取ったうえでオウム返しをするようにします。

また連続で相手の言葉をそのまま返し続けると違和感が出るため、少し言い換えた言葉でオウム返しをすると和やかな会話が進められます。

一般の方でも活かせる

ロジャースが提唱した傾聴の3条件は、話を聞く人の態度について説明したものです。心理学的知識や専門的な心理技法について述べているわけではないので、意識すれば誰でも使える技法です。

日常場面での活かし方

例えば、友人と喫茶店で話をしている場面を考えてみましょう。世間話から始まって悩みを相談されることもあるでしょう。そのときに、以下のような答え方をしていませんか?

「○○したほうがよいと思う」
「それはおかしいと思うよ」
「愚痴を言っているだけでは何も変わらない」

これらのセリフは友人として本音で話しているため間違っているわけではありません。

しかし、友人は何よりあなたに、共感的に理解をしてほしかったのかもしれません。そしてアドバイスを安易にしてしまうのは、相手の考える力を奪ってしまうことにもなるのです。

共感的理解を使って相手の立場を考えることを意識すると、アドバイスや非難とは異なったセリフが出てきます。例えば…

「そうかあ…大変な思いをしてきたんだね」
「愚痴を言いたいときもあるよね」
「〇〇なところが嫌だったんだね…落ち込むよね」 

といったものが考えられます。このように共感的理解に基づいて傾聴をしていけば、あなたがわざわざアドバイスをせずとも、大概の人は問題を乗り越えていくのです。

自分の悩みの改善にも

来談者中心法は、他者関係だけでなく、自分との対話においても活用できます。以下、自分でできる自己一致のワークを用意しました。興味がある方は参考にしてみてください。

 

来談者中心療法の基礎となる自己理論では、自身が抱いている理想像(理想自己)について再考することが重要視されます。以下の手順で自己一致のコツをみてください。

①悩み・困っていること
②自分の理想
③欲しいもの・やりたいこと
④長所・得意なこと
⑤今の自分にできそうなこと

①悩み・困っていること
まず、現在の悩みや困っていることなどを書きます。

たとえば
「勉強ができない」
「太っている」
など

②自分の理想
自分の理想(理想自己)をできるだけ具体的に書きます。

たとえば
「太っている」
 ↓
5㎏ぐらい体重を落とした自分は痩せている。など

③欲しいもの・やりたいこと
理想の自分になったら欲しいもの、やりたいことなどを書きます。

たとえば
「痩せている自分」
 ↓
「彼女がほしい」
など

④長所・得意なこと
今の長所、得意なことなどを書きます。
たとえば
「人と話すことが得意」
「真面目な性格」
など

⑤今の自分にできそうなこと
長所や得意なことを活かして、理想の自分になったら欲しいものが「手に入らないか」を考えてみましょう。また、自分のやりたいことが「できないか」を考えてみます。

↓↓それではご自身にあてはめて考えてみましょう↓↓

①悩み・困っていること
②自分の理想
③欲しいもの・やりたいこと
④長所・得意なこと
⑤今の自分にできそうなこと

 

まとめと発展コラム

まとめ

来談者中心療法は日本において、最もベーシックな心理療法として重視されています。カウンセラーはもちろん、福祉職、医療職の方も、その哲学はしっかり理解しておきましょう♪

以下、来談者中心法の発展的なコラムを紹介させて頂きます。

エンカウンターグループ

ロジャースは晩年になるとエンカウンターグループについて積極的に取り組んでいきました。グループカウンセリングに興味がある方は是非ご一読ください。

来談者中心法とエンカウンターグループ

共感力をつける

共感力をもっと実践的につけていきたい方は、以下のコラムを参照ください。オウム返しのコツ、声掛けのコツ、励ました方を解説しています。

共感力をつける方法

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