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ブリーフセラピー,短期集中療法,事例,入門

ブリーフセラピー,短期集中療法入門

みなさんこんにちは。公認心理師の川島です。私はこちらの心理学講座を開催しています。今回のテーマは「ブリーフセラピー」です。

ブリーフセラピー,ACイラスト

ブリーフセラピーは、様々な心理療法の中で、もっとも前向きでポジティブな手法です。目次は以下の通りです。

コラム1 ブリーフセラピーの基礎
コラム2 技法,リソース探しのコツ
コラム3 技法,ミラクルクエスチョン

読み進めていくと、ブリーフセラピーの基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非最後までご一読ください。

ブリーフセラピーとは何か

創始者

ブリーフセラピーとは、アメリカ精神医学会のメンバーであったミルトン・エリクソン(Milton  Erickson)に影響を受けた一派が技法化したセラピーです。

エリクソンは声のトーンや抑揚、ジェスチャーなどの日常会話を使って催眠に誘導する「現代催眠」の父と呼ばれています。その卓越した催眠技法は「魔術師」と呼ばれるほどでした。しかし、彼はクライアント個人に合わせたアプローチをすべきという考えが強く、技法の体系化を好みませんでした。

技法化

一方で弟子や共同研究者はそれぞれに独自のセラピー技法を構築しました。それらの総称がブリーフセラピーです。ブリーフセラピーには、数種類のタイプが存在します。代表的なものとしては以下のものが挙げられます。

解決志向ブリーフセラピー
短期集中療法
問題解決アプローチ

またこれ以外にも、複数あり50種類以上あるという主張もあります(Cooper,1995)。細かい違いはあるものの、基本的には同じ価値観を土台とした心理療法です。

 

ブリーフセラピーの効果

ブリーフセラピーは、過去思考より未来志向なので悲観的な心理に特に効果があります。具体的な事例としては、災害から未来に向けて立ち直る、不登校の改善、燃え尽き症候群の改善、抑うつ感がある状態などに有効です。

心理学者のHabibiら(2016)は、抑うつ傾向のある女性をブリーフセラピーを受ける群、受けない群の2つの群に分け効果を比較しました。その結果の一部が下図となります。抑うつにも効果があるブリーフセラピーで心配性に対処

治療前は差はないですが、治療後はセラピーを受けた群は抑うつの程度が軽くなっていることがわかります。

*筆者の主観
ブリーフセラピーはシンプルな心理療法で非常にわかりやすいので、日常生活でも活かせる場面が多いと感じています。ブリーフセラピーを受講された方は、笑顔が増えるな~という感触があります。

 

ブリーフセラピーの哲学

ここではブリーフセラピーの重要な哲学を6つ紹介します。

①目標を明確にする

ブリーフセラピーは、抽象的なお悩みの改善をと相性がよくありません。例えば、「過去の家族関係を見直して心を整理する」このような目標は避けます。

ブリーフセラピーでは何を改善するか?治療目標を明確にします。例えば、会議で主張するのが苦手な人が、「1か月以内に発言できるようにする」など、具体的にしていくのです。

②短期間の効果を重視

心理療法は種類によりますが、1年単位でかかるものもあります。一方でブリーフセラピーでは数カ月で問題を改善することが目標とされています。なるべく効率的に、効果をしっかり出すことが大事にされます。

③前向きに未来を考える

他のセラピーでは「原因は何?」「なぜ治そうとしないの?」という問いかけがあります。このような原因探しの問いかけは、後ろ向きな気持ちを招いてしまうことがあります。心の問題は原因がたくさんあって絡み合っています。また、原因をはっきりさせたとしても、解決策が見つからないケースがあります。

ブリーフセラピーは前向きな未来を想像することを大事にします。過去は過去として、これからの未来を実りあるものにするように、しっかり考えて行きます。

④成功をイメージする

4つ目は、未来を考える時は、失敗よりも、成功をイメージしていきます。心理学の研究では、うまく行くことに意識を向け続ければ、うまく行きやすくなり、逆に、うまく行かないことばかりに意識を向けると、本当にうまく行かなくなってしまう傾向があることが分かっています。

これはワレンダ要因と言われています。ブリーフセラピーでは失敗よりも成功イメージを重視し、うまく行く感覚を増やしていくことを大事にしています。

⑤具体的なアドバイスもする

心理療法は一般的には、カウンセラーからの具体的なアドバイスは控えめで、あくまでクライアントの成長を促すものが多いです。一方で、ブリーフセラピーでは、問題の解決に役立つ手法を、ある程度積極的に伝えていく点で特色があります。

 

ブリーフセラピー,ACイラスト

要約すると、どんな手段を使っても、短期間で結果を出すことにこだわる!そんな姿勢があるのがブリーフセラピーなのです。

 

ソリューションイメージ法

ここからは、ブリーフセラピーの具体的な手法として、ソリューションイメージ法をベースに解説していきます。ソリューションイメージ法は、「もしも」「だとしたら」という言葉を使い、未来志向の感覚を高める方法です。

具体的なやり方はクライアントの状況やカウンセラーによって変わってきますが、概ね以下のように進んで行きます。

 ワーク① ミラクルクエッション
 ワーク② タイムマシンクエッション
 ワーク③ カリスマクエッション
 ワーク④ 目標を明確にする
 ワーク⑤ リソース探し
 ワーク⑥ スモールステップ
 ワーク⑦ スケーリング 
 ワーク⑧ 結果への構え
 

以下それぞれ実戦形式で学習してみましょう。
その気になる方法3つの魅力を知ろう

ワーク① ミラクルクエッション

まずはミラクルクエッション呼ばれる質問に挑戦しましょう。これは奇跡を想定した問いかけです。ミラクル?怪しい…と感じたあなた!お気持ちよくわかりますが、どうかお付き合いください。それでは質問いたします!

明日一日あなたの悩みが解決する魔法の杖を手に入れました。その魔法の杖を使ったら明日はどんな1日になるかな?

みなさんは、この質問を投げかけられて、どんな想像をしますか?いくつか想像してみましょう。例えば以下のようなイメージです。

朝体調が万全で生き生きとしている
食事中、同僚に軽く笑いをとる
新規の契約受注している
気になる人を食事に誘ってOKもらう

など自由に想像します。バカバカしいですよね。でもいいのです。ブリーフセラピーが大事にしている哲学は、過去のマイナスに囚われるのではなく、未来志向で元気に生きていくことなのです。できましたら5分ぐらい続けてみてください。

ミラクルクエッションについては下記のコラムで詳しく解説しました。理解を深めたい方は参考にしてみてください。

ミラクルクエッションのやり方

 

ワーク② タイムマシンクエッション

次にタイムマシンクエッションにチャレンジしましょう。これは未来を想定した問いかけです。

もしもドラえもんのタイムマシンに乗って、3年後の自分に会いに行ったら、どんな素敵な友人と過ごしていますか?

みなさんは、この質問を投げかけられて、どんな想像をしますか?

明るい性格の異性
一緒にいると元気をもらえる
趣味の同好会で出会った
自分と同じ仕事をしている

などなどさまざまでしょう。もちろんそんな簡単には行かないと思います。でも可能性としてはゼロではないですよね。そうした1つの人生でありうるポジティブなイメージを自分の中で準備していきましょう。こちらも5分程度チャレンジしてみてください。

 

ワーク③ カリスマクエッション

カリスマ・クエスチョンとは自分が尊敬する有名人や経営者、スポーツ選手ならどう考えるか?と想像した問いかけです。

もしも自分が憧れのあの人だったら。今の苦しい状況をどうやって乗り越えるだろうか?

みなさんは、この質問を投げかけられて、どんな想像をしますか? 

専門知識を毎日勉強していそう
状況分析を徹底していそう
苦しい時でも平気な顔をして乗り越えそう

など自由に想像していきます。このように自分が尊敬しする人の前向きな思考をイメージすることで、自分自身の思考も変化させていきます。こちらも5分程度チャレンジしてみてください。

ワーク④ 目標を明確にする

3つの質問をしてみていかがでしたでしょうか。これらの質問は非現実的なものも多かったと思うので、すべてがかなうわけではありません。しかし、もし20個ぐらい挙げたとしたら、そのうちのいくつかは達成できそうだと思いませんか?

もしあったとしたら希望を元に、日常生活の目標としていきます。そうして希望に向かって歩むこと自体が1日1日を充実させ、元気な気持ちで毎日を歩んでいくことができるのです。

短期集中療法,目標

 

ワーク⑤ リソース探し

目標が定まってきたら、次に達成するためのリソースを確認します。リソースの語源は「よみがえる」です。再びを意味する「re」に「source」を加えることで、源にあったものが、再び日の目をみたという意味から「資源」になります。

「リソース」とは目的に対して、価値のある道具や資源、資産を表します。かなり広い概念で、ありとあらゆるものが資源になります。目標を達成するためにどんなリソースがあるのか?しっかり確認していきます。リソースの探し方については以下のコラムで詳しく解説しています。理解を深めたい方は参考にしてみてください。

リソースの探し方

 

ワーク⑥ スモールステップ

ブリーフセラピーでは目標は実際に達成することを重視しています。ここで大事なことは、難しい目標を立てるのではなく、手触り感のある具体的な目標を設定していくことです。例えば、「異性の知り合いを作る」という目標であれば、

1. 異性がいる場所を調べる
2.エントリーする
3.まずは参加でOK
4.挨拶をする

という形で段階をつけていきます。スモールステップについては行動療法の不安階層表が参考になります。理解を深めたい方は、以下のコラムの中盤を参照ください。

スモールステップ,行動療法

 

ワーク⑦ スケーリング

目標を10としたら今はどの程度進んでいるかを点数でつけていきます。減点法ではなく加点法をベースに進めていきます。点数がアップした時は、何がうまくいったか?をしっかり確認していきます。

ワーク⑧ 結果への構え

ブリーフセラピーでは結果について、以下の3つを重視しています。

既にうまくいっていることは続ける
一度やってうまくいったらそれを繰返す
うまく行かない場合は別のやり方をする

成功体験は大事にして何度も行い、失敗した場合は切り変え姿勢を大事にするのです。行動した後の振り返りの際に3つの姿勢をおさえましょう。

 

まとめ

ブリーフセラピーは手順が完全に決まっているわけではなく、様々な手法を組み合わせて進めていきます。今回紹介した手法は1つのやり方ですが、最終的には自分にあったやり方を見つけていきましょう。

ブリーフセラピーは心理療法の中で最も未来志向で前向きと言って良いと思います。過去にがんじがらめになってしまい、積極的に行動できない感覚がある方は、ブリーフセラピーが改善のきっかけになるかもしれません。当コラムで紹介した手法を是非試してみてくださいね♪

 

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A Primer of Brief Psychotherapy by John F. Cooper 1995 W. W. Norton & Company