>
>
非指示的遊戯療法,アクスラインと8つの原則

非指示的遊戯療法,アクスラインと8つの原則

みなさんこんにちは。公認心理師の川島です。こちらの心理学講座で講師をしています。前回は遊戯療法入門①として歴史や効果について解説してきました。今回は「②非指示的遊戯療法とアクスライン8つの原則」をテーマに解説していきます。治療現場でも使われている大事な内容をご説明します。

アスクライン8つの原則,acworks様作成

非指示的遊戯療法とは

意味

心理学辞典(2013)[1]によると、非指示的遊戯療法は以下のように定義されています。

子どもは自分自身の態度や行動を修正する能力をもっている、という原則に基づく遊戯療法

提唱者

非指示的遊戯療法の提唱者は、アメリカの児童心理学者バージニア・アクスラインです。アクスラインは、遊戯療法の分野で非常に高く評価されている人物です。

バージニア・アクスライン

インディアナ州フォートウェインに生まれ、オハイオ州コロンバスで育ったアクスラインは、数年間小学校の教職をした後、オハイオ州立大学とコロンビア大学で心理学を学びます。

大学院では、カール・ロジャーズと共同研究をしていたことから、非指示的遊戯療法には、ロジャーズが提唱した来談者中心療法(パーソン・センタード・サイコセラピー)の原理が応用されています。

アスクライン‐8原則

非指示的遊戯療法では、子どもの自由を尊重するとともに最小限の制限を設けています。これを遊戯療法の8原則といいます。遊戯療法の8原則は、アクスラインが治療者の基本的態度の原則として提唱した項目です。

①ラポールの形成
治療者は、子どもと信頼関係(ラポール)を作るようにする。

②あるがままの受容
治療者は、子どものあるがままを受け入れる。 

③許容的な雰囲気をつくる
治療者は、子どもが自分の心の中(内的世界)を表現できるよう、自由な空間をつくる。

④情緒の的確な察知
治療者は、子どもが遊びの中で表出している気持ちや感情をわかりやすく言い換え、子どもに「気づき」を促す。

⑤子供に自信と責任をもたせる
子どもの自己治癒力を尊重し、遊びの中で何かを選択したり変化することは子どもの責任として委ねる。

⑥非指示的態度
遊び(治療)は、子どもの主体性を尊重し、治療者はそれに合わせついていく。

⑦治療に時間がかかることを理解する
治療者は、子どものペースに合わせて進行を焦らない。

⑧必要な制限を与える
治療者は、遊ぶ時間や遊戯室を定めるとともに、子どもが攻撃や破壊などをしないよう、最低限の必要な制限を与える。

非指示的遊戯療法の特徴

最後に、非指示的遊戯療法の特徴を抑えておきましょう。

主体性を尊重する

非指示的遊戯療法は

子どもをコントロールせず、子ども自身の主体性を尊重する

ことを大事にします。

治療では複数の遊具を用意し、自主的に遊ばせることで子どもをリラックスさせます。そして、治療者が受動的な態度で子どもと関わることで、子どもの無意識にある願望や不安を引き出し、心理的な問題の解決へと導いていきます。

治療過程では、子どもに対して「〜しなさい」「今日は〜で遊ぼうよ」など、指示を強要することはありません。子どもの現在の気持ちに寄り添い、子どもの言葉を積極的に繰り返していきます。

最小限の制限

8つの基本原則には、非指示的遊戯療法の考えと矛盾する「制限」という言葉があります。

非指示的遊戯療法は、子どもが中心の「遊びを通した治療」です。そのため、時には子どもが暴力的な行動に走ってしまう事もあります。

「制限」には、子どもに関係性や責任を意識させたり、現実について認識させる、といった役割もあり、子どもの発達に即した治療を行うため実行されることもあります。

制限の具体例として、心理学者の森田(2010)[2]は以下を挙げています。

1)時間、場の制限
2)心理療法家に対する身体的攻撃の制限
3)おもちゃを持ち出すことの制限
4)水や砂を撒き散らすことの制限

成熟した大人

治療場面では、治療者が心身ともに成熟した「大人」、クライエントが「子ども」であるということが前提となります。

ここでいう「大人」とは、年齢や体の大きさだけでなく、精神的に大人の基盤を持っているということです。子どもの安心感と自我の発達を促すには、治療者がそのような大人である必要があります。

大人が安定した態度で子どもに関わることで、子どもには安心感が生まれ、人との絆(愛着)を育てることができます。

治療者はただ子どもと遊べばよいというのではなく、子どもの様子やその背景にある感情を十分に注意を払う必要があるのです。

 

心理学講座のお知らせ

心理療法を公認心理師の元で体系的に学びたい方は、私たちが主催する心理学講座をおすすめします。講座では

・エゴグラム性格分析
・認知行動療法
・マインドフルネス療法
・傾聴のやりかた,共感の仕方
・温かい人間関係を築く練習

などを行っています。筆者も講師をしています。皆様のご来場を心からお待ちしています。↓興味がある方は以下の看板をクリック♪↓

コミュニケーション講座,心理療法の学習

・出典
[1]G.R.ファンデンボス、繁枡算男、四本裕子 (2013)APA心理学大辞典 培風館 P.74
 
[2]森田 喜治(2010)非指示的遊戯療法の治療的意味 III : 関係学的視点からの解釈 龍谷大學論集 (476), 8,培風館