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ブリーフセラピーとその技法や例

ブリーフセラピーと技法や例を解説①

みなさんはじめまして!臨床心理士の杉野です。私は臨床心理士として、講演をしたり、学校で心理学の講義をしたり、カウンセリングをしています。当コラムは「ブリーフセラピー」をテーマに専門家が解説をしています。コラム①では

  • ブリーフセラピーとは?
  • 3つの哲学
  • ワレンダ要因
  • ソリューションイメージ
  • リソース探し
  • とりあえず探し

について解説します。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

その気になるための心理療法

 

ブリーフセラピーとは?

ブリーフセラピーとは、アメリカ精神医学会のメンバーであったミルトン・エリクソン(Milton  Erickson)が提唱した手法で、できるだけ短い時間で心理的な問題を解決するアプローチです。ブリーフセラピーには、数種類のサブタイプがあります。

解決志向ブリーフセラピー(Solution Focused Brief Therapy : SFBT)、短期集中療法、問題解決アプローチ、などと呼ばれることもありますが、概ね特徴は同じです。

心理療法は様々ありますが、ブリーフセラピーはセラピーの期間が短く軽快であることで、効率や効果、インパクトなどの満足度に重きをおくアプローチです。

ブリーフセラピーで大事なことは、「未来志向」です。過去の原因探しをするうよりも、前向きな思考回路や行動を起こすことを大切にします。

心理療法ブリーフセラピー

 

ブリーフセラピーの哲学

ここではブリーフセラピーの哲学を3つ紹介します。

①積極的な思考を引き出す
未来を想像すると人は積極性を高めることができます。これは、想像力とやる気に関係する脳内の物質(ドーパミン)が活性化するからです。受け身ではなく、自分から何かしようとする積極的な心のあり方を引き出します。

②前向きに
2つ目は、前向きさです。ブリーフセラピーでは前向きな質問にたくさん答えることになります。「もしも」と想像する内容は、前向きな内容に限定させています。そうすることで、後ろ向きなことに深入りするのを避けられます。

他のセラピーでは「原因は何?」「なぜ治そうとしないの?」という問いかけがあります。このような原因探しの問いかけは、後ろ向きな気持ちを招いてしまいます。

心の問題は原因がたくさんあって絡み合っています。また、原因をはっきりさせたとしても、解決策が見つからないケースがあります。まずは、前向きに想像することが大切です。

③目的地を明確にする
3つ目は、目的地です。具体的で生き生きとした成功モデルを描くことで、頭の中で成功体験をします。これは、ちょうどスポーツ選手の「イメージ・トレーニング」に通じるものがあります。目的地をハッキリさせることで、具体的にどうしたら良いかという発想もしやすくなり、成功への推進力にもなります。

 

ブリーフセラピ―で前向きな自分を目指す

ワレンダ要因とは?

心理学の研究では、うまく行くことに意識を向け続ければ、うまく行きやすくなり、逆に、うまく行かないことばかりに意識を向けると、本当にうまく行かなくなってしまうことが多いと言われています。

この心理は、ワレンダ要因と呼ばれています。ワレンダとは、カール・ワレンダ(1905-1978)という天才的な綱渡り芸人です。彼は、最期に綱渡りで転落死しますが、その時の彼の妻によると「今までは綱を渡り切ることしか考えていなかったのに、その時に限って落ちないことに注意を向けていた」とのことです。

もちろん失敗を一切イメージしてはいけないということではないのですが、ブリーフセラピーでは、失敗よりも成功イメージを重視しています。

解決思考ブリーフセラピー

実際に解決思考ブリーフセラピーはどのように実施していくのでしょうか。具体的には以下の3つを使用することが多いと言えます。
・「ソリューションイメージ」
・「リソース探し」
・「とりあえず探し」

1:ソリューション・イメージ(解決像)
・過去思考→未来思考への変化
・問題ばかり見る→解決策を考える変化
・うまく行かない自分→うまく行く自分を見つける
 *当コラムで練習します

2:リソース探し
・ないものから→あるものへの視点の強化
・弱みから→強みを見つける
・今の悪循環を見る→かつての良循環を探す
 *コラム2で練習します

3:とりあえず探し
・やらないこと→やることを探す
・できないこと→できることを探す
・やりたくないこと→やってもよいことを探す
 *コラム3で練習します

3つの質問から得られる変化で、上手くいく自分を目指していきましょう。

ワーク前に

これから1つ具体的なスキルを学習します。その前に、今の気持ちの元気度を100点満点で評価してみましょう!直感でOKです。

⇒   点

評価してみましたか?!それではワークに進みましょう。

ブリーフセラピーを実践3つの質問

実践!3つの質問で上手くいく場面を

まずはブリーフセラピーの1つ目「ソリューションイメージ」についてみていきます。「もしも」「だとしたら」という言葉を使い、うまく行く自分を具体的にイメージする方法です。もしも探しはさらに3つから構成されます。

 ・ミラクルクエッション
 ・タイムマシンクエッション
 ・カリスマクエッション

以下それぞれ学習してみましょう。

ワーク①
ミラクルクエッション
まずはミラクルクエッション呼ばれる質問に挑戦しましょう。これは奇跡を想定した問いかけです。ミラクル?怪しい・・・と感じたあなたな!お気持ちよくわかりますが、どうにかお付き合いください(^^;

例えば
「明日一日あなたの悩みが解決する魔法の杖を手に入れました。その魔法の杖を使ったら明日はどんな1日になるかな?」

みなさんは、この質問を投げかけられて、どんな想像をしましたか?いくつか想像してみましょう。ばかばかしい!と感じたあなた・・・効果は後で説明します。とりあえずやってみましょう!

朝…
・鏡の前の自分が生き生きしている
・自分から元気な挨拶をする
昼…
・食事中、同僚に軽く笑いをとる
・お客様に堂々とプレゼンしている
・そして、新規の契約受注している
夜…
・隣の部署の気になる人を食事の誘ってOKもらう

など自由に想像します。はい!バカバカしいですよね笑。でもいいのです。ブリーフセラピーが大事にしている哲学は、過去のマイナスに囚われるのではなく、未来志向で元気に生きていくことなのです。

できるかできないか?はまずは置いておいて、ポジティブな未来を気軽にイメージしてみることそのものが大事です。

ワーク②
タイムマシンクエッション
これは、未来を想定した問いかけです。

例えば
「もしもドラえもんのタイムマシンに乗って、3年後の自分に会いに行ったら、どんな素敵な男性(女性)と過ごしていますか?」

みなさんは、この質問を投げかけられて、どんな想像をしましたか? 

その相手は…
・明るい性格
・一緒にいると元気をもらえる
・趣味の同好会で出会った
・自分と同じ様に仕事を続けている
・専業主婦(主夫)になっている

などなどさまざまでしょうか?はい!もちろんそんな簡単には行かないと思います。でも可能性としてはゼロではないですよね。そうした1つの人生でありうるポジティブなイメージを自分の中で準備していきましょう。

ワーク③
カリスマクエッション

これは、特にブリーフセラピーでの呼び名がないので、カリスマ・クエスチョンと名付けましょう。これは、自分が尊敬する有名人や経営者、スポーツ選手ならどう考えるか?と想像した問いかけです。

例えば
「もしも自分が憧れのあの人だったら。今の苦しい状況をどうやって乗り越えるだろうか?」

みなさんは、この質問を投げかけられて、
どんな想像をしましたか? 

あの人だったら…
・大事なのはまず目標設定かな
・運動もしてそうだな
・まずは専門知識を身につけているかな
・状況分析を徹底しそう

などでしょうか?このように自分が尊敬しする人の前向きな思考をイメージすることで、自分自身の思考も変化させていきます。

「もしも探し」3つの魅力

3つの質問テクニックは、いかがでしたか。それでは改めて今の元気度を100点満点で評価してみましょう。

⇒   点

もしあなたの点数が最初よりもUPしていたら、この心理療法はあなたに合っていると考えていいでしょう。普段なら考えもしない質問に戸惑ったかもしれません。しかし、素直にやってみると、思った以上に想像力が駆り立てられ楽しくなったのではないでしょうか。

その気になる方法3つの魅力を知ろう

ブリーフセラピーで前向きな未来を

今回は、心理療法ブリーフセラピーがどのような療法かをご説明しました。また、ブリーフセラピー1つ目の柱「もしも探し」3つの質問テクニック・魅力をわせてお伝えしました。いかがでしたか。3つの質問テクニック

・ミラクルクエッション
・タイムマシンクエッション
・カリスマクエッション
を通して、うまく行く場合の自分の描き方のコツを身に付けてください。

コミュニケーション講座について♪

少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、心理学を通して暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として活動しています。講座

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

次回は、ブリーフセラピー3本柱の2本目「リソース探し」をご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★「その気にさせる」ためにブリーフセラピーを活用しよう



心の問題を回復しよう