暴露療法の意味とは

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「暴露療法」について解説していきます。

暴露療法,knot改様作成

目次は以下の通りです。

①暴露療法とは
②暴露療法の種類
③実践する際の3つの方法
④暴露療法の手順
⑤関連コラム

最後まで読むと楽観的の心理学的な意味を一通り理解することができます。是非最後までご一読ください。

①暴露療法とは

意味

暴露療法(エクスポージャー)は心理学辞典(1999)[1]によると以下のように定義されています。

不安などの不適応反応が起こる刺激に患者が身をさらし,慣れ,あるいは消去による恐怖反応の減少を目的として,恐怖反応が生じなくなるまで、不安刺激に患者が長時間身をさらす治療法

暴露療法では、不安にあえて身をさらし、慣れることで不安を克服していくことを目指します。暴露療法さらに、暴露療法と暴露妨害法の2つがあります。

暴露療法

暴露療法は、恐怖場面に進んで行き、恐怖になれる方法です。具体例は以下の通りです。

社交場面に恐怖心がある人が会話する場面に参加する
高いところが苦手な人がビルの高層階に登る
猫が苦手な人が猫カフェに行く
マスクを取るのが苦手な人がマスクを外す

暴露反応妨害法

暴露妨害法は、不安から来る不適切な行動を止める手法です。具体例は以下の通りです。

抜髪症があり、髪を抜いてしまう癖がある人が、髪を抜かないまま、あえて不安に自らをさらす
潔癖症で手を洗う癖がある人が、手を洗う回数を減らす
鍵の閉め忘れが気になって何度も帰る癖があるが、そのまま外出する

不安の性質

暴露療法は以下の図のような不安の性質を利用した心理療法です。

曝露

上図の図のように、不安は何度も繰り返し体験することで、低下していきます。特定の恐怖に慣らすことで、その恐怖を少なくし、メンタルヘルスの改善を行うのです。

安全行動の除去を目指す

「安全行動(safety behavior)」とは、不安を緩和するために行われる行動を意味します。安全行動は、一時的に不安を和らげることができますが、長期的にはその行動に依存することになり不安を強化してしまいます。

治療者は、安全行動を認識し、患者がそれを使用している理由を理解することが必要です。その後、患者に対して、安全行動を排除することが、不安を克服するための重要な一歩であることを説明し、代わりに適切な行動を学ぶよう支援します。

②暴露療法の種類

①イメージエクスポージャー

想像上で、恐怖体験に暴露するという方法です。不安や恐怖のレベルが高い患者に対しては、初期段階に用いられることがあります。特に恐怖の対象がPTSDのようにトラウマの記憶である場合にイメージが用いられます。

②in vivoエクスポージャー

現実の生活の中で、不安や恐怖を感じる物体、状況、活動に暴露する方法です。例えば、ヘビを恐れている人はヘビを扱うように指示されたり、社会不安のある人は聴衆の前でスピーチをするように指示されたりする場合があります。

③VRエクスポージャー

状況によっては、in vivoエクスポージャーが活用できないとき、VR(バーチャルリアリティ)技術を活用できます。例えば、飛行機恐怖症の人は、飛行機の視覚、音、匂いを再現する機器を使用して、仮想フライト体験をする場合があります。

④インターセプティブエクスポージャー

あえて特定の不安を感じる身体的感覚をもたらす方法です。例えば、パニック障害のある人は、心臓のスピードを上げるためにその場で走るように指示されることがあります。身体感覚になれることで、徐々に心拍数が上がることは危険ではないと学びます。

 

③実践する際の3つの方法

暴露療法を行う時は、以下の3つの方法で克服ペースを調節していきます

①段階的暴露

不安の少ないものから段階的に暴露していく方法です。セラピストは、患者が不安階層表を作るのをサポートします。不安階層表では、不安のレベルに高いものから低いものを階層化していきます。その中から、軽度もしくは中程度の恐怖への曝露から始まり、よりレベルの高い不安への曝露へと進んでいきます。

②フラッティング

不安階層表の最もレベルの高い不安から暴露していく方法です。例えば、高所恐怖症であれば、初めから高層ビルの屋上に行って、下を見下ろすように指示される場合があります。即効性の高い方法ですが、同時に恐怖を強めるリスクも大きい方法になります。

③系統的脱感作法

系統的脱感作法とは、脱感作と呼ばれる弛緩法を行い、十分にリラックスした状態で不安に暴露していく方法です。曝露をリラクゼーションエクササイズと組み合わせて、不安や恐怖を感じる対象とリラックスした感覚を関連付けさせることができます。

④暴露療法の手順

暴露療法は概ね以下のような手順で実施されます。

①アセスメント

最初に、治療者は患者の症状や問題を評価し、暴露療法の計画を立てます。患者との相談を行い、治療目標や暴露の方法について話し合います。特に行動分析を入念に行います。

行動分析では、人間の行動がどのような原因で引き起こされ、どのような結果をもたらすのかを調べることで、問題行動を改善したり、望ましい行動を増やしたりすることができます。

②段階的暴露

一般的には、比較的簡単な暴露から始め、次第に難易度を上げていくという手順を踏みます。ただし症例によっては、フラッティングや系統的脱感作法などを中心に行われることもあります。

③フィードバック

暴露のセッション後、治療者は患者と一緒に、どのように感じたか、治療の効果はあったか、などを話し合い、フィードバックを提供します。患者の感情や反応に応じて、暴露療法の計画を調整することもあります。

④宿題

治療者は、患者に暴露の宿題を割り当て、継続的な取り組みを支援します。また、治療者は、治療後のケアの提供や、将来の再発予防についてもアドバイスを提供します。

 

⑤関連コラム

行動療法コラム

暴露療法は不安階層表を使いながら進めていくのが一般的です。詳しくは以下の行動療法コラムで解説しています。暴露療法をより実践的に進めていきたい方、行動療法の理解を深めたい方は参照ください。

行動療法のやり方

認知行動療法

行動療法は現代では、認知療法と組み合わせた、認知行動療法として実施されていきます。行動のあり方だけでなく、考え方を改善していくとより効果的です。詳しくは以下のコラムを参照ください。

認知行動療法のやり方

 

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ダイコミュ用語集監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典

[1] 中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999).心理学辞典 有斐閣