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無意識の意味とは?フロイト,行動への影響

無意識の行動心理とは何か,フロイト,ユング

みなさん、こんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。今回は「無意識」について解説していきます。

1.精神分析と局所論,構造論
2.自我防衛機制の基礎
3.カタルシス効果
4.投影の意味とは
5.無意識の発展

無意識,行動心理,イラスト作成wai13991様

 

フロイトと無意識

提唱者-フロイト

人間の心的世界に無意識を推定したのは、ジクムント・フロイトという精神科医です。フロイトは一般開業医として、心に問題を抱える患者を治療していきました。フロイトは自由連想法という手法で、患者をカウチソファーに寝かせて、カウンセリングを行いました。

無意識,カウンセリング

患者がカウチソファーでくつろぎながら、自由に話すと、普段は意識できなかった、心に溜まっていた悩みが出てくるようになるのです。そして、悩みを十分に語りつくすと、患者の悩みが大きく改善されていくのです。フロイトはこのように悩みが軽くなるのは「無意識」のわだかまりが整理されるからと考えました。

無意識とは何か

フロイトは、無意識を次のように説明しています。

無意識とは、なんらかの理由で自分のものと認めがたい欲求、願望、感情などは抑圧され、本人には自覚されない存在となる。しかし、それらは存在し続け、意識レベルで行動に影響を与える。

フロイトは、無意識についてこのような仮定を立て、治療体系を発展させていきます。

無意識とは何か

フロイトは人間の心が「意識」「前意識」「無意識」の3つの層から成り立ち、心を構成していると唱えました。これを局所論と言います。自分や周りの状況を理解できている部分を「意識」、状況に応じて思い出せる部分を「前意識」、思い出そうと思っても思い出せない部分が「無意識」にあたります。

無意識とフロイト

 

抑圧とは何か

無意識には悩みの一時避難場所のような面があります。私たちは現実で大きなストレスを感じると、その記憶を無意識に抑圧して自分自身を守ろうとするのです。たとえば、

失恋した記憶をすぐに忘れようとする
虐待された体験を無意識に抑圧する
大変だけど感じないふりをする

などがあげられます。これらの心を守ろうとする心の作用を防衛機制と言います。

無意識と葛藤

一方で、フロイトは、抑圧することが多すぎ、無意識の葛藤が強くなりすぎると、その結果として神経症的症状が生じるとも伝えています。神経症的症状とは、

視力や聴力の低下
胃痛
顔面麻痺
心因性のめまい
円形脱毛症

など様々なものが挙げられます。

具体的にあった事例ですと、毎日元気に見えていた女性が、身体がしびれるという症状がありました。お医者様を回ってもすぐにぶり返してしまいます。心理カウンセリングを受けたところ、実はパワハラを受けていることがわかり、本人も自覚せず我慢をし続けていたのです。そして実際に対策をしたところ痺れがおさまったというケースがありました。

 

ユングと無意識

フロイトが提唱した無意識の世界は、心理学の花形の概念となります。そうして様々な心理学者により、実践、批判が進み、発展していきます。

集合的無意識

スイス出身の医師であるカール・グスタフ・ユングは、フロイトとともに精神分析学を発展させるために研究をしていました。しかし後に意見の違いから決別し、分析心理学を創始しました。

ユングも無意識の働きを重視する治療を行っていました。フロイトと異なる点は、集合的無意識という概念を作り出し、新たな無意識の領域を明らかにしたことです。

集団的無意識とは、先祖から受け継がれた無意識の共通パターンです。人には共通する無意識があり、そのうえに私たちの意識、個人的な無意識が存在します。

ユング提唱集合的無意識の模式図

「元型」とは

集団的無意識には、共通パターン「元型」がありいくつかに分かれています。元型のパターンの一例を挙げると以下が挙げられます。

ペルソナ
そのときにそれぞれの役割に合わせて見せる自己の側面を意味します。

・シャドウ
無意識化に抑圧された、劣等感、不道徳な心理、敵意、不安など

・グレートマザー
息とし生けるものをはぐくみ育てる母親のイメージ 天照大神、マリア(イエスの母)など

・アニマ
男性がイメージする女性像 女性らしさの共通するイメージ

・アニムス
女性がイメージする男性像 男性らしさの共通するイメージ

・セルフ
意識と無意識を含む全体の中核 心を統合させる機能を持つ

 

無意識と心理学研究

無意識についてはこれまで様々な研究がなされてきました。以下折りたたんで記載しました。興味があるタイトルを展開してみてください。

佐藤,塩飽,遠藤&佐藤ら(2016)は、小学5年生~中学1年生までの児童・生徒849名を対象に抑圧とメンタルヘルスについて調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

無意識と意識,心身症状の発見に関する要因

図を左側から見ていきましょう。ネガティブな体験があると、情動抑圧に繋がりやすくなります。そして情動抑圧があると、調整困難や心身症に結びつくことがわかります。嫌な出来事があるときに、無理に忘れようとしたり、我慢をすると、体に影響が出てくることがわかります。

プライミングは、先行する情報が無意識的に当事者の後の情報処理に影響を及ぼす現象のことです。Aartsら (2007)は、58人の大学院生を対象にしてプライミングに関する研究を行っています。この研究では以下の手順で実験が行われました。

プライミングなし群

ポジティブプライミング群
おちつく、信頼、楽しいなどの語句プライミングを受けた後に課題を行った群 

ネガティブプライイング群
悲しい、裏切り、辛いなどの語句プライミングを受けた後に課題を行った群

次に課題を行います。早く作業が終わればパーティ券が当たるとしましました。結果を以下に図で示しました。

プライミングに関する研究

このようにポジティブなプライミングは無意識に働きかけ、課題をすばやくする行動に結びついていることがわかります。

 

まとめ

無意識の世界は実証が難しく、科学的な検証が難しい領域です。そのため無意識を扱った心理療法は現在保険適応はされていません。しかし、私たち心理療法家にとって無意識の世界は、クライアントの中に必ずと言っていいほど存在し、その中には悩みの種があると感じています。

無意識の概念が生まれてから、まだ200年もたっていません。これからさらに研究が進み、私たちの心の中が解明される日が来る気がしています。そんなことに思いを馳せながら、今日もまたクライアントさんの相談に乗りたいとおもいます。

 

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*出典・引用文献
・Aarts, H., Custers, R., & Holland, R. W. (2007). The nonconscious cessation of goal pursuit: When goals and negative affect are coactivated. Journal of personality and social psychology, 92(2), 165.
・佐藤幸子, & 塩飽. (2016). 子どもの情動調整と心身症状の関連. 小児保健研究= The journal of child health, 75(3), 343-349.
・中島義明, 安藤清志, 子安増生, … & 立花政男. (1999). 心理学辞典,有斐閣.
・氏原 寛, 成田 善弘, 東山 紘久, 亀口 憲治, 山中 康裕(2004). 心理臨床大辞典,培風館.
・山中康裕. (1996). 臨床ユング心理学入門 (Vol. 4). PHP