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カタルシスとは?意味や効果を専門家が解説

カタルシスとは?意味や効果-心理学の専門家が解説

はじめまして!学校心理士・応用心理士の栗本です。私は心理学の大学院を卒業し、カウンセリングや教育相談を行っています。本コラムでは「カタルシス」について詳しく解説をしていきます。

しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • カタルシスの意味とは?
  • 使われている5つの分野
  • ストレス発散効果あり!
  • 研究①朗読で不安が軽減
  • 研究②スポーツで健康的に発散
  • 使い方や効果のまとめ

さっそくですが、みなさんは「カタルシス」と聞いて何をイメージしますか。

次のようなイメージをする人が多いかもしれませんね。

「何かの専門用語かな?」
「テレビで見かけたり聞いたことはあるけど・・・」

カタルシスとは、さまざま分野で使われる専門用語です。カタルシスついて正しい知識を得ることで見方などがわかり、世界も広がっていくと思います。

このコラムでは、カタルシスについて知りたい方向けに、正しい知識を解説していきたいと思います。

カタルシスの意味とは?

カタルシスとは、哲学の世界や医学・心理学の世界では、簡単に表現すると精神の「浄化」を意味します。

そもそもカタルシスの語源には「排泄」、または「浄化」という2つの意味があります。

排泄
体内の有害物質を排出する、という意味を持っている。
浄化
宗教的な浄化の意味を持っている。

以上のことから、カタルシスの定義をめぐってはその両説の他にもさまざまに憶測されています。

カタルシスについて心理学の専門家が解説

さまざまな分野で使われている

カタルシスは主に「哲学・演劇・医療・宗教・心理」の5つの分野で使われてきました。

・哲学
アリストテレスが著書『詩学』の中にある悲劇論に、「悲劇が観客の心に怖れと憐れみの感情を呼び起こすことで精神を浄化する効果」として書かれて以降から使われるようになりました。

・演劇
「カタルシス」は演劇学用語としても使われています。先ほどのアリストテレス『詩学』の中でも「悲劇が観客の心に怖れと憐れみの感情を…」と、悲劇が感情の浄化を達成するとしています。

そのため、現代においても演劇学用語として映画や演劇・小説・漫画の批評などにこの表現が使われていることが多々あります。

・医療
「カタルシス」はアリストテレスが演劇用語として使った後に、医学用語として転用されました。医学用語としての「カタルシス」は、患者に薬剤を使って吐かせたり、患者に下痢を起こさせたりする治療行為を指していました。

・宗教
「カタルシス」はオルペウス教などの宗教界で「魂の浄化」を意味する用語となったと言われています。

・心理
一方、医学・心理学の世界では、精神科医のジークムント・フロイトがこの「カタルシス」を採用したことから、「カタルシス」は代償行為によって得られる満足を指す心理学用語としても使われるようになりました。

当時ジークムント・フロイトは、ヒステリー治療において催眠療法と「悲惨な話を聞いて泣く行為」を併用して、そのヒステリー症状を除去する反応のことを「カタルシス」と呼び、それ以降精神医学界では一般的に精神療法用語として定着もしています。

ストレスを発散する効果がある

私たちは日常生活で、さまざまなストレスや不満を持っているものです。そして、それらのストレスを溜めないために多くの対策をしています。

しかし、それでも溜まってしまったストレスを発散させるため、私たちはさまざまな方法をとっておりそのうちの一つとして、カタルシス効果があります。

カタルシス効果とは、
「今感じているその怒りやストレス・不満などに対して、全く別の行動をとることで代理的にその感じているものを発散させようとする効果
のことです。

つまり、日常生活で生じてしまう、攻撃衝動やストレスを社会的に許される無害な形で発散させようとすることです。

例えば、職場で思うようにいかなかったことに腹を立て、苛立った父親がその矛先を家族にぶつけてしまった場合を想像してみてください。

父親は職場で思うように仕事ができることや職場の環境改善ができれば、腹も立たずに冷静にいられたと思います。しかし、その苛立ちの矛先を家族に向けることで、苛立ちがおさまったのなら、それは「カタルシス効果」が生じたということになります。

しかし、仮に「カタルシス効果」あったとしてもこの場合では、虐待やDVなどにも関わる場合があるため、苛立は他の方法でおさまらせることを考えるべきです。それこそ「カタルシス効果」を使い、他の方法を探してみましょう。

カタルシス効果の研究①

「カタルシス効果」の存在を示した先行研究として、フェッシュバックの古典的研究(1955)があります。

この研究では、研究協力者である大学生を「侮辱群」「侮辱・空想群」「空想群」の 3群に分けて、実験者の態度の善し悪しを学生に評定させたものです。

侮辱群と侮辱・空想群の学生は実験者から権威的・横柄な態度を取られて、怒りを喚起させられました。空想群の学生には穏やかに実験への協力の依頼がされました。

そして、空想群の学生が行う空想活動は、絵を見せられ、それをもとに自由に物語を作るというものです。この条件なら、学生が実験者に対して腹を立てていれば悪い評価をつけるはずです。結果は次のようになりました。

・怒りを喚起された学生は、
空想群の学生より実験者に対して攻撃的な評価を下した。

・空想活動を行った学生は、
空想活動を行っていない学生に比べて攻撃性が低くなった。

つまり空想活動という代理活動を通して実験者に対する怒りが減少したという、「カタルシス仮説」にそった解釈がなされたということです。

日々の朗読でも得られる

心理学の世界では、カタルシス効果についてさまざまな研究がされてきました。その中から、朗読療法とカタルシス効果について藤野(2012)が研究したものをご紹介します。

そもそも、朗読療法は不登校、睡眠障害、摂食障害などの事例に効果を挙げているものです。また、朗読療法士の資格認定が行われていることなどから、朗読が心理臨床の場で一定の効果を挙げていることが推察されています。

カタルシス効果は朗読でも得られる飯久保(2005)は、朗読によってカタルシス効果、イメージ効果、リハビリ効果の3つの臨床心理的効果が得られる可能性を経験的に示唆しています。

藤野(2012)が行った研究は、2011年11月末〜12月初旬、首都圏における1大学の大学生・大学院生43名に対して行いました。43名を朗読群(21名)・黙読群(22名)の2群に分けて、実際に朗読あるいは黙読を行う実験のプレ(前)・ポスト(後)で実施した質問紙の内容を比較しました。

質問紙は、フェイスシート
プレで性別を問う項目、日本語版POMS(Profile of Mood States)短縮版(プレ・ポスト)の2つからできています。また、テキストとして「野ばら」(小川、1951)を使用しました。

そして朗読による気分の変化をみるために、日本語版POMS短縮版における下位尺度得点並びに「TMD<Total Mood Disturbance>」(実験前・実験後)、についてt検定(分析)を行いました。*TMDとは、ネガティブな感情の状態をみる指標です。

結果では、以下の表のような傾向が明かされました(数値は平均値を表記しました)。

朗読によるカタルシス効果の表

表から、朗読したことで次の状況がありました。

・怒りや敵意(A-H)、ネガティブ感情(TMD)が下がった。

・特に緊張や不安(T-A)、疲労(F)が和らぎ、統計的にも高い水準であった。

・混乱(C)が下がった。

この研究によって、カタルシス効果と親密な関係を持つ緊張や不安が、朗読による有意な低下を示しました。これは朗読の心理学的効果を実証的に証明する第一歩になったといえます。

気持ちが不安定⇒朗読をしよう

私たちは日常生活の中で、さまざまな出来事と遭遇します。中には怒りや不安を感じてしまい、気持ちが不安定になってしまうことも多々あります。

そんな時は、身近なちょっとした時間を使って朗読をしましょう。難しい本を読む必要も特に何か訓練などをする必要もありません。自分の好きな本や興味のある本、詩などの比較的短く読みやすいものを選んで、読んでみてください。

通勤時間や就寝前など、ちょっとした時間でカタルシス効果が得られますので、みなさんもぜひ朗読を習慣づけてみてください。

カタルシス効果の研究②

カタルシス効果について先ほどお伝えしましたが、その他にもカタルシス効果を得られる方法がさまざまあります。

その中の一つにスポーツカタルシス説があります。これはスポーツに従事したり観戦することが、攻撃的情動を健康的に発散するよい機会になるという説のことです。

現在はさまざまなスポーツがあり、TV番組などでも大きく取り上げられています。スポーツを始めたり、スポーツチームの応援に力を入れるなど、スポーツは日常に当たり前のようあるものになりました。

スポーツとカタルシス効果について、さまざまな研究がされてきました。その中から、スポーツ観戦によるカタルシス効果について松浦(2015)が研究したものをご紹介します。

松浦(2015)の研究では、大学生100名(男64名・女35名・不明1名)を対象に、2015 年11 月質問紙調査で実施されました。参加者は教室に集まり、数名の組に分けて行われました。数十分ほどの質問紙に回答し、報酬を受け取って退室するという流れです。

得られたデータの分散分析を行った結果は、以下の表(一部編成)になりました。

表から次のことがわかります。

・チーム(T)で、
カタルシス効果が得られる。
・状況(R)でも、
カタルシス効果が得られる。
・チーム(T)よりも状況(R)の方が
カタルシス効果が得られる。

そして、これらの結果について松浦(2015)は次のように報告しています。

分析の結果、「スポーツの種類と状況それぞれでカタルシスに違いがみられる」という傾向が見られました。

スポーツの種類ではテニスを観戦しているときに比べて、サッカーを観戦しているの方がカタルシスを感じやすいという結果が示されました。

また状況では静かに集中して観戦しているときに比べて、盛り上がっているときの方がカタルシスを感じやすいという結果が示されました。

つまり、

集団競技の方が、
カタルシスを感じやすい

・観客が盛り上がっている
カタルシスを感じやすい

ということです。カタルシスはその状況や場面において感じやすいという可能性が見つけられたのが本研究の成果です。

今回はスポーツ観戦をカタルシスで取り上げましたが、カタルシス効果はスポーツ観戦以外にもさまざまなものが存在します。

一緒に観戦する人がいると効果的

私たちの社会には、さまざまなスポーツが存在しています。気分転換をするためにスポーツをすることはよく聞くと思いますが、体を実際に動かす機会を得るのは、以外と難しいものです。

カタルシス効果は、「スポーツ観戦」をするだけでも得ることができます。そのことを最大限に生かして、カタルシスを得ていくとより効果的です。カタルシスは観客が盛り上がっていることなど、周りに一緒に観戦する人がいる状況だと、より強く感じることができます。

これを機に、自分の興味のあるスポーツや今人気のスポーツを観戦するのも、いいかもしれません。みなさんもぜひスポーツ観戦を習慣づけてみてください。

スポーツ観戦でカタルシス効果を得る

カタルシスの使い方・まとめ

これまで、「カタルシスについて」「カタルシス効果についての研究」、そして「日常でどのようにカタルシス効果を得るか」をご紹介してきました。

カタルシスとは、簡単に表現すると「攻撃衝動を社会的に許される無害な形で発散させようとする」ことです。

日ごろの発散出来ずに抱えてしまっている気持ちを、社会的に無害な方法で発散していきましょう。これといった特別な訓練などは必要ありません。朗読やスポーツ観戦、映画鑑賞をしたりすることで、カタルシスの効果を実感していきましょう。日常のちょっとした時間でカタルシスを得ることができます。

特に、現在暴力や社会的にあまり許されない方法で発散をしてしまっている人やため込みすぎてしまっている人は要注意です。ぜひカタルシスを活用していきましょう。そして、そういった知人にも教えてあげるといいかもしれません。

専門家の講義を受けたい方へ

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★カタルシスとは「精神の浄化」効果を日常に取り入れて発散しよう
心理学講座

コメント

1件のコメント

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    • べり
    • 2019年3月11日 12:18 AM

    今回のコラムは少々難解でした。
    私が研究って馴染みがないからでしょうか(笑)

    でも実感・納得したところもありました。
    私は朗読も映画観賞が趣味ですが、確かに趣味の時間は気分がいいです。
    泣ける題材だとなおいいかもしれません。これがカタルシス効果という訳ですね。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Feshback,S. 1955 The drive-reducing function of fantasy behavior. Journal of Abnormal and Social Psychology. 50, 3-11藤野 雄教・桂川 泰典・菅野 純 2012 朗読によるカタルシス効果 日本教育心理学会総会発表論文集 第54回総会発表論文集 649.
飯久保 百合子 2005 朗読による心理療法的効果の可能性 山梨英和大学心理臨床センター紀要 ([1]), 14-26.
松浦 元貴 2015 スポーツ観戦によるカタルシス効果 高知工科大学 1-7.
寺田 治史 コミュニケーション能力を育てる粘土対話法 : 学級カウンセリングの技法開発III 日本教育心理学会総会発表論文集 第48回総会発表論文集 68.