>
>
>
カタルシスとは?意味や効果を専門家が解説

カタルシスとは?意味や効果-心理学の専門家が解説

はじめまして!学校心理士・応用心理士の栗本です。私は心理学の大学院を卒業し、カウンセリングや教育相談を行っています。今回は「カタルシス」についてお話していきます。目次は以下の通りです。

  • カタルシスの意味とは?
  • 使われている5つの分野
  • ストレス発散効果あり!
  • 研究①朗読で不安が軽減
  • 研究②スポーツで健康的に発散
  • 使い方や効果のまとめ

さっそくですが、みなさんは「カタルシス」と聞いて何をイメージしますか。次のようなイメージをする人が多いかもしれませんね。

「何かの専門用語かな?」
「テレビで見かけたり聞いたことはあるけど・・・」

カタルシスとは、さまざま分野で使われる専門用語です。カタルシスついて正しい知識を得ることで見方などがわかり、世界も広がっていくと思います。

カタルシスについて心理学の専門家が解説

カタルシスの意味と歴史

カタルシスは主に「哲学・医療・宗教・心理」の5つの分野で使われてきました。まずは哲学・医療・宗教について解説します。

・宗教
「カタルシス」はオルペウス教などの宗教界で「魂の浄化」を意味する用語となったと言われています。語源的には「体内の有害物質を瀉出(しゃしゅつ)すること」または「宗教的な浄め」を指すことから、学術研究領域では定義をめぐって、「瀉出(排泄)説」、「教化説」など様々な説があります。

・哲学
アリストテレスが著書『詩学』の中にある悲劇論に、「悲劇が観客の心に怖れと憐れみの感情を呼び起こすことで精神を浄化する効果」として書かれ、以降から使われるようになりました。現代においても演劇学用語として映画や演劇・小説・漫画の批評などにこの表現が使われていることが多々あります。

・医療
「カタルシス」はアリストテレスが演劇用語として使った後に、医学用語として転用されました。医学用語としての「カタルシス」は、患者に薬剤を使って吐かせたり、患者に下痢を起こさせたりする治療行為を指していました。

カタルシス効果とは?

・フロイトとカタルシス効果
心理学の世界では、精神科医のジークムント・フロイトはヒステリー治療の過程でカタルシス効果を発見しました。

相談者は催眠療法によって無意識に抑圧されたつらい体験をカウンセラーに話します。そうすると、心の底に停滞していた悩みが、意識化され、ヒステリー症状が軽くなることを発見したのです。

もしかしたら皆さんにも同じような体験があるかもしれません。辛くて思い出したくない出来事を、思い切って誰かに打ち明けたときにスッキリすることがありますよね。フロイトはこの現象を「カタルシス効果」と呼びました。

それ以降心理学の世界では、心の底にあるネガティブな感情が開放されることでなされる情緒的な回復という意味で定着していきました。

 研究① フェッシュバックの古典的研究

「カタルシス効果」の存在を示した先行研究として、フェッシュバックの古典的研究(1955)があります。この研究では、研究協力者である大学生を「侮辱群」「侮辱・空想群」に分けてカタルシスの効果を測定しました。

・「侮辱群」
実験者から権威的な態度を取られる。

・「侮辱・空想群」
実験者から権威的な態度を取られて、怒りを喚起させられる。その上、絵を見せられ、それをもとにそれをもとに物語を自由に書くことによって、欲求不満を晴らす機会を与えられる。

結果は次のようになりました。
「侮辱・空想群」は「侮辱群」よりも攻撃性が低くなった。

カタルシスとは何か

つまり、ただ受け身的に何らかの刺激にさらされたのではなく、自由に物語を書くという代理的行為によって怒りが解消され、攻撃水準が低くなったという「カタルシス仮説」にそった解釈がなされたということです。

カタルシス効果は朗読でも得られる

研究② スポーツカタルシス効果

もう1つスポーツカタルシス説を紹介します。これはスポーツに従事したり観戦することが、攻撃的情動を健康的に発散するよい機会になるという説のことです。

・松浦のカタルシス研究

松浦(2015)が研究したものをご紹介します。大学生100名を対象に、質問紙調査で実施されました。質問紙の内容としては、カタルシスを感じさせるシナリオが4パターン設定され、1つのシナリオにカタルシスを感じる程度を測定する項目が用意されていました。

質問紙で選択したスポーツは、集団競技と個人競技を想像しやすくさせるために

シナリオ1 サッカー 盛り上がり条件
シナリオ2 サッカー 静か条件
シナリオ3 テニス  盛り上がり条件
シナリオ4 テニス  静か条件

といったような内容になっています。研究では実験参加者に質問紙調査によって、場面ごとにカタルシスの感じやすさを想像し、回答してもらっています。 得られたデータの分析を行った結果は、以下の表(一部編成)になりました。

カタルシスとは

表から次のことがわかります。

・盛り上がっている方が、カタルシス効果が得られる。
・集団競技の方が、カタルシス効果が得られる。
・競技内容より観客の盛り上がりが重要。

カタルシスはその状況や場面において感じ方が変わるという可能性が見つけられたのです。

・観客はカタルシスを求める

私たちの社会には、さまざまなスポーツが存在しています。気分転換をするためにスポーツをすることはよく聞くと思いますが、体を実際に動かす機会を得るのは、以外と難しいものです。

カタルシス効果は、「スポーツ観戦」をするだけでも得ることができます。そのことを最大限に生かして、カタルシスを得ていくとより効果的です。カタルシスは観客が盛り上がっていることなど、周りに一緒に観戦する人がいる状況だと、より強く感じることができます。これを機に、自分の興味のあるスポーツや今人気のスポーツを観戦するのも、いいかもしれませんね♪

スポーツ観戦でカタルシス効果を得る

研究③ 朗読療法とカタルシス効果

心理学の世界では、カタルシス効果についてさまざまな研究がされてきました。飯久保(2005)によると、朗読によって

①カタルシス効果
②イメージ効果
③リハビリ効果

の3つの臨床心理的効果が得られる可能性を経験的に示唆しています。その中から、朗読療法とカタルシス効果について研究したものをご紹介します。

・朗読後のカタルシス効果研究

藤野(2012)が行った研究では、朗読によるカタルシス効果を検証しています。その研究内容とは、首都圏の大学生・大学院生43名を対象に、朗読後の気分の変化を比較しています。その結果を以下に示します。

この表の結果から、

怒りや敵意、ネガティブ感情が下がった。
特に緊張や不安、疲労が和らいだ

ということが言えます。特に、カタルシス効果と親密な関係を持つ緊張や不安が、朗読による有意な低下を示しました。これは朗読をすることで、緊張が和らぎカタルシス効果が得られたということです。

こうした朗読を用いたカタルシス効果は、精神障害にも応用されているといいます。特に、不登校、睡眠障害、摂食障害などの事例に効果を挙げているとの報告もあります。

・気持ちを安定化させる朗読

私たちは日常生活の中で、さまざまな出来事と遭遇します。中には怒りや不安を感じてしまい、気持ちが不安定になってしまうことも多々あります。

そんな時は、身近なちょっとした時間を使って朗読をしましょう。難しい本を読む必要も特に何か訓練などをする必要もありません。自分の好きな本や興味のある本、詩などの比較的短く読みやすいものを選んで、読んでみてください。

通勤時間や就寝前など、ちょっとした時間でカタルシス効果が得られますので、みなさんもぜひ朗読を習慣づけてみてください。

 

カタルシスの影と光

これまで、「カタルシスについて」「カタルシス効果についての研究」、そして「日常でどのようにカタルシス効果を得るか」をご紹介してきました。最後に、カタルシスについて影と光の部分について考えていきましょう。

影の部分
カタルシスは、攻撃性などでも発揮されることがあります。例えば、虐待などでは怒りを子供に向けることで親が自分の心理状態を保とうとするものです。特に、現在暴力や社会的にあまり許されない方法で発散をしてしまっている人やため込みすぎてしまっている人は要注意です。

光の部分

健康的なカタルシスとは、簡単に表現すると「攻撃衝動を社会的に許される無害な形で発散させようとする」ことです。日ごろの発散出来ずに抱えてしまっている気持ちを、社会的に無害な方法で発散していきましょう。

日常的には、朗読やスポーツ観戦、映画鑑賞をしたりすることで、カタルシスの効果を実感できるかもしれません。またとても大きな悩みであれば、専門家を訪ねてカウンセリングを受けてみるのも解決につながるかもしれません。

コラムを読んで頂きありがとうございました

最後にお知らせです。私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

★カタルシスとは「精神の浄化」効果を日常に取り入れて発散しよう
心理学講座

コメント

1件のコメント

コメントを残す

    • べり
    • 2019年3月11日 12:18 AM

    今回のコラムは少々難解でした。
    私が研究って馴染みがないからでしょうか(笑)

    でも実感・納得したところもありました。
    私は朗読も映画観賞が趣味ですが、確かに趣味の時間は気分がいいです。
    泣ける題材だとなおいいかもしれません。これがカタルシス効果という訳ですね。

    0

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・参考文献
Feshback,S. 1955 The drive-reducing function of fantasy behavior. Journal of Abnormal and Social Psychology. 50, 3-11藤野 雄教・桂川 泰典・菅野 純 2012 朗読によるカタルシス効果 日本教育心理学会総会発表論文集 第54回総会発表論文集 649.
飯久保 百合子 2005 朗読による心理療法的効果の可能性 山梨英和大学心理臨床センター紀要 ([1]), 14-26.
松浦 元貴 2015 スポーツ観戦によるカタルシス効果 高知工科大学 1-7.
寺田 治史 コミュニケーション能力を育てる粘土対話法 : 学級カウンセリングの技法開発III 日本教育心理学会総会発表論文集 第48回総会発表論文集 68.