>
>
>
防衛機制とは?種類や例、覚え方

防衛機制とは?種類と具体例・覚え方を解説

はじめまして!臨床心理士の加賀、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは「防衛機制」について解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • 防衛機制とは何か?
  • 種類と具体例
  • 防衛機制の4分類
  • 愛着スタイルとの関係
  • 覚え方とトレーニング
  • まとめ

防衛機制とは?意味

みなさんは、防衛機制という言葉は聞いたことがあるでしょうか?あまり耳なじみがないかもしれませんね。

この防衛機制とは、心理学では「人がこころを守る心理メカニズム」と定義されています。つまり、自分にとって危険なことや傷付くような避けたい場面において自分で自分を守る心の機能と言うわけです。

防衛機制は、人が生きていくためにとても大切な役割を果たしますが、防衛機制が偏る、過剰すぎる場合には、問題となります。

今回のコラムでは、防衛機制の種類や特徴、心理学の研究などから防衛機制の覚え方のコツについて解説していきます。

防衛機制とは?種類や覚え方を解説

防衛機制の種類と具体例

防衛機制と一言にいってもその種類は多種多様で、防衛機制は全部で20種類以上あります。今回は、その中でよく紹介される種類から、10の防衛機制と例を一緒に見ていきましょう。*動画解説もあります。テキストの方は飛ばしてご覧ください。

・抑圧
思い出したくない記憶や感情、本当はやりたくてもできないことを無意識の中に押し込めて意識しないようにする心の働き。
例:以前、本当はやりたい事があったのに経済的に無理なためあきらめた。その後は、やりたいことすら忘れてしまっていた。

・否認
目の前で起きている悲惨な状況などに耐え切れずに、心を閉ざしてしまうことによって、現実を認識しないようにする心の働き。
例:第一志望の大学に不合格だったようだ。合否サイトを見ることが出来ない。

・逃避
実際のストレス要因から心理的にも物理的にも逃れようとする心の働き。
例:テスト勉強をしなければいけないのに部屋の掃除を始めてしまう。

・退行
自分にとって障害になる出来事を目の前にして乗り越えることが困難と思える時に現在の自分よりも幼い発達段階に戻り、困難を回避しようとする心の働き。
例:一人でいろいろなことが出来るようになっていた子どもが、弟が出来たときに一時的に親から食事を食べさせてもらったり、着替えさせてもらったりする。

・反動形成
簡単には受け入れられない考えや感情に抵抗するために、わざとそれとは反対の行動や態度を取ることによって自分の衝動や欲望を制御しようとする心の働き。
例:自分の気にしているところを他人から指摘されて受け入れられないためにより反抗な態度を取ることなど。

・知性化
受け入れるのが難しい状況や感情を理屈や論理的思考により頭で理解しようとする心の働き。
例:理不尽な出来事が起こり、どうしてそうなってしまったのかを理解するために情報収集をして理屈で理解しようとする。

・投影
自分の中の抑圧された欲求や感情を他人の側に転嫁して自分を守ろうとする働き。
例:自分が先に相手のことを嫌いに思ったがその気持ちを受け入れることは出来ず、自分は相手から嫌われていると思い込む。

・昇華
自分の中で受け入れがたい欲求や衝動を学問や芸術活動など社会的に望ましい方向に変化させ発散させていく心の働き。
例:部活動の記録がうまく伸びない悔しい気持ちを勉強で結果がでるように努力すること。

・合理化
自分の欲求が満たされないときに理由付けをして自分自身を納得させる心の働き。「酸っぱいぶどう」として説明される。
例:ぶどうを食べたいためぶどうに手を伸ばしたが、届かなかった。そこで、「あのぶどうはすっぱいから食べなくてもいい」と理由付けをしてあきらめる。

・同一視
他人の素晴らしいと思うところを自分の中に取り入れた上で、自分自身と重ねて価値を高めていこうとする心の働き。
例;親が周囲に自分の子どもが有名な大学や良い会社に入ったと自慢して優越感に浸るなど。

以上が主な防衛機制です。これらの防衛機制は大きく4つに分類することが出来ると言われています。

防衛機制の種類と例

防衛機制の4分類

ここでは、防衛機制の4分類を見ていきましょう。先ほど紹介した防衛機制の種類も分類して解説していきますね。

①精神病的防衛
最も原始的な防衛機制で、5歳以前の子どもに多く見られます。また、成人の場合でも癌などの病気を受け入れたくない状況でも、よく見られることがわかっています。
否認、逃避、退行(未熟な防衛機制に分類されることもある)などが分類されます。

②未熟な防衛
3歳から15歳の未成年の子どもに、通常見られる防衛機制ですが、成人にも見られることがあります。不快な現実によって引き起こされる苦痛を軽減する効果があるものの、人間関係や社会生活に障害をもたらすこともあります。投影、退行、逃避が分類されます。

③神経症的な防衛
ストレスへの対処として成人でもよく認められる防衛機制です。神経症の際、よく見られる防衛機制のため、過剰に使用される事があります。日常生活で問題になるのであれば修正が必要です。
抑圧、合理化、知性化、置き換え、逃避が分類されます。

④成熟した防衛
受け入れがたいストレスを社会に認められる形にして発散していく防衛機制です。昇華が分類されます。

防衛機制は、人のこころを守る大切な働きですが、精神病的防衛、未熟な防衛、神経症的な防衛を過剰に使ってしまうと不適応につながる恐れがあります。そのため、成熟した防衛を使用していくことが精神的健康や社会適応には良いとされています。

防衛機制4つの種類

防衛機制の問題-心理学の研究

ここまでは、防衛機制とは何か?ということについてご説明しました。次章では、具体的に防衛機制が過剰になるとどのような問題があるか?ということについてこれまでに報告された研究をご紹介します。

愛着スタイルとの関係とは?

蓮花(2008)の研究では、大学生と大学生の親を対象に愛着スタイル(見捨てられ不安・親密性の回避)と防衛スタイルの関連を質問紙調査で検討しました。

見捨てられ不安とは、
他者に見捨てられることへの不安や関係性を維持することへの不安のことです。
親密性の回避とは、
他者との親密さの回避や他者に心を開くことへの拒否を意味します。

対象が、大学生と大学生の親になっているのは、青年期と成人期で結果が異なるのかを見るためでしたが、結果はほぼ同じだったため今回は大学生の結果のみご紹介します。

その結果を表に示しました。

防衛機制についての研究

「見捨てられ不安」「親密性の回避」が高い人は、
「未熟な防衛」を使うことが多い。

「見捨てられ不安」が高い人は、
「神経症的な防衛」を使うことが多い。

「見捨てられ不安」と「成熟した防衛」反比例の関係にある。

この結果から、見捨てられ不安が強い人は、「未熟な防衛」や「神経症的な防衛」を使っていることが多いことがわかります。他者から見捨てられると思うと、相手が自分を嫌っていると思ったり、理由をつけて諦めようとする傾向があるということです。

ストレスから身を守るためにこれらの防衛機制をすることは大事ですが、過度に使ってしまうと人間関係が悪化したり、交友関係を広げる機会を逃してしまう可能性もあります。

思考を抑制すると強迫行動が増える?

誰でも嫌なことは考えたくないものです。そういう時に人は、考えないようにしようとTVやネットを見たり、目の前のやるべきことに集中するなどすることがあります。これは、防衛機制でいえば、思考の抑圧や抑制にあたります。しかし、思考の抑制を試みるとかえって考えたくない思考が増加してしまうという報告もあります。

清水&清水(2017)では、216名の大学生を対象に思考抑制と強迫行動や強迫観念との関連を質問紙を使用し調査しました。

・思考抑制
主に自分のネガティブ感情を思考によって止めようとする働きです。
・強迫観念
「〜しなければならない」、「〜してはならない」という考えのことです。
・強迫行動
安心感を得るために取る極端な行動を指します。

たとえば、回数の多い手洗いや鍵の閉め忘れを何度も確認する確認行動のことを指します。その結果を図で示しました。

防衛機制に関する研究

図2、思考抑制と強迫観念、行動の関係

この結果から
思考抑制が強いと、強迫観念や強迫行為も強くなる
ということが言えます。

これらの結果から、思考を無理にとめようとすると、「〜しなければならない」という強迫観念が増加し、強迫行動も変化するということが示されました。

防衛機制で言えば、神経症的な防衛である抑圧や合理化、知性化、置き換え、逃避などがこの思考を抑制することにもあたります。 ストレスへの対処として成人でもよく認められる防衛機制ではありますが、使いすぎには注意が必要です。

防衛機制の覚え方と成熟のカギ

防衛機制は人間の心を守る機能としてなくてはならない物ですが、やはり偏りがあると精神的健康を低下させてしまいます。しかし日常生活で葛藤場面をなくすことは出来ません。それでは、どうすればうまく防衛機制を使って心を守りながら現実的に対処していけるのでしょうか?次章では、この防衛機制を使った問題解決方法についてご提案します!

防衛機制覚え方「昇華」を使おう!

防衛機制が人の心を守る大切な働きをすることはお伝えしました。しかし、未熟な防衛機制や神経症的な防衛機制をいつも使っていては、うまく適応することが現実的には難しいことがわかりましたね。葛藤場面でうまく対応できるのは成熟した防衛機制を使って対処していくことが大切です。

今回は成熟した防衛機制の「昇華」を使った、問題解決の方法を例題とともにご説明します。最後にワークもあるのでやってみてください。

失敗や後悔は昇華して役立てる!

まずは例題を元に昇華を使った問題解決の方法を見ていきましょう。

<例題>
大学生のAさんは、野球部に所属し野球漬けの毎日に充実感を感じていましたが、練習中に足を怪我してしまいもう野球はできなくなりました。投げやりになっているAさんに大学の先生が「その悔しい思いを昇華して解決しなさい」とアドバイスしてくれました。Aさんは「昇華」の意味を調べて自分なりにこの今のつらい状況を変化させようとしました。

大学の先生が教えてくれた「昇華」で問題解決するのであれば、
・今後スポーツ関連の仕事に就くことを目指す。
・選手ではなくマネージャーとしてチームのサポートをする。
などが考えられます。たくさん選択肢を考えていくうちに少しずつですがAさんはやる気を感じてきました。その選択肢の中から

・経済的、時間的に無理のないもの
・身体に影響がないもの
・将来的に自分の役に立ちそうなもの

を考えて現実的にできそうな

今後スポーツ関連の仕事に就くことを目指す。

という選択肢を選びました。Aさんは新しい目標を達成するために勉強を始めています。

防衛機制の覚え方の例題

昇華するときのポイントは、例題にもあげましたが、
・経済的、時間的に無理のないもの
・身体に影響がないもの
・将来的に自分の役に立ちそうなもの
を考えることがおすすめです。それではここからは練習問題に取り組んでいきましょう!

<ワーク>
Aさんの例を見てあなたが、葛藤場面を昇華で対処する方法はどのような方法があるでしょうか?できるだけたくさん挙げてみてください。

あなたの回答:



その中でひとつできそうなこと、やってみたいことはどれでしょうか?

 

あなたの回答

 

目標が決まったらできることからはじめてみましょう!何かを始めるということはとても大変なことです。無理せずできることからはじめてみてください。

適切な防衛機制で自分のこころを大切に!

 本コラムでは、防衛機制とは何か?防衛機制の偏りが引き起こす問題、そして解決方法などを解説してきました。

解決法で挙げたワークでは成熟した防衛機制を使って自分の葛藤を昇華して適応的な方法で解消していく方法を提案しました。Aさんの例を読んでみてどうでしたか?もしやってみようと思った方はできそうなことを挙げてみて下さい。

葛藤場面にいるときはとてもつらくすぐに回復できるものばかりではありません。そんなときはあせらずにゆっくり体を休めてくださいね。

コラムを読み終えて「明日からやってみよう」と思って頂けると嬉しいです。また、ご紹介した解決方法を実践する中で、あなたが悩んでいた問題に防衛機制の偏りが関わっていたんだ!という発見やその防衛機制の問題が少しずつ解消されることを実感して頂けたら幸いです。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)  

心理学講座

コメント

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・参考文献
蓮花のぞみ. (2008). 青年期と成人期における愛着スタイルと防衛スタイルの関連性. 生老病死の行動科学, 13, 3-13.
清水健司, & 清水寿代. (2017). 思考抑制と曖昧さ耐性が強迫傾向に及ぼす影響. 信州大学人文科学論集= Shinshu studies in humanities, (4), 103-112.