心理療法とは何か,歴史,効果,種類①
みなさん、こんにちは。
公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。
私は現在、こちらの講座で心理学や人間関係の講師をしています。
当サイトのテーマは
「初学者のための心理療法」
です!
・心理療法には興味がある
・自分にあった療法を見つけたい
・種類と効果を知りたい!
という思いや疑問にお応えできるよう、わかりやすくご紹介してまいります。コラム1,コラム2の目次は以下の通りです。
コラム1
・心理療法の意味とは
・心理療法を学ぶ意義
・よくある誤解
・3大心理療法とは何か
コラム2
・精神分析療法の基礎
・認知行動療法の基礎
・来談者中心法の基礎
・日本の心理療法
心理療法は人生のお守り代わりになるものです。是非最後までお付き合いください。
心理療法の意味とは?
意味
まず初めに心理療法の意味を抑えていきましょう。心理療法とは、心の健康の回復、維持、予防をするための技法を意味します。
英語ではサイコセラピー(psychotherapy)と呼ばれ、 医学分野では精神療法といわれることもあります。有名な技法には
・精神分析
・来談者中心療法
・認知行動療法
・マインドフルネス療法
・森田療法
などがあります。心理療法は個人でも行われることもありますし、集団で行われることもあります。これらは別のコラムでしっかり解説していきます。
カウンセラーとは
心理療法を行う人のことを、カウンセラー、サイコセラピストと呼びます。 有名な資格としては2つあります。
公認心理師
最近できた国家資格です。大学院卒業レベルなど厳しい審査基準が設けられています。原則として大学生から心理学を学ぶ必要があるので6年間かかる資格です。
臨床心理士
歴史が古い資格で民間資格ですが、院卒条件など取得が難しい資格となります。更新システムがあり、毎年学会の研修に参加義務があるなど、資格の維持も大変です。その分信頼できる資格と言えます。
法律上は誰でもできる
一方で、法律上は心理療法を行うのには資格が必須ではありません。そのため1日で取得できる資格の方が心理療法で開業するなど、問題になっている面もあります。
筆者としては上記の2資格以外は、最低限のレベルが保証されていないので、慎重にカウンセラーを選ぶべきと考えています。
実施される場所
心理療法はさまざまな場所で行われます。
例えば、
・病院
・学校
・企業
・民間の相談所
などがあります。
また最近では、子どもの通う塾や習い事のスクールにもカウンセラーがいたり、大人向けの習い事スクールにもカウンセラーがいることもあります。
身近でないかもしれませんが、警察や児童相談所、老人ホームなどの高齢者施設などさまざまな分野でカウンセラーが働いています。
支援する役割
本来、人は病気などになると、自分で自分を治す「治癒力」が備わっています。心にも同じことがいえます。心理療法はその治癒する力を手助けするものです。
治癒するためのプロセスや考え方、自分の心の内面など、悩んでいる人はカウンセラーとともに「気づく」ことが必要なのです。
病院医師は心理療法を「治療」といいますが、カウンセラーは「支援」と呼びます。心理療法の主体はあくまでクライアント自身なのです。
心理療法を学ぶ意義
心理療法を学ぶとどんなメリットがあるのでしょうか。
悩みを改善しやすくなる
悩み事がある、困ったことが起きたけれどどんな対処をすればよいかわからない…こんな時、心理療法の考え方はとても役に立ちます。
何を・いつ・どんなふうに自分が悩んでいるのか整理することができ、何を・どうやって解決すればよいか順を追って考えることができるようになります。
心の病気が治りやすくなる
心の病気があるときの治療法とは、大きく分けて薬物療法と、心理療法の2つで改善していくことになります。薬物療法はもちろん大事なのですが、心理療法と組み合わせるとより効果的と考えられています。
うつ病、適応障害、強迫神経症など、心の病気の治療に役立ちます。
支援の力がつく
傷ついた同僚や、家族の相談を聞くとき、「どんな言葉をかけたらいいんだろう」「解決できるかな…」と心配になることはありませんか?
心理療法を学ぶと、話を上手に聴くことができるようになります。上手に聴くというのは、相手が話しやすい雰囲気をつくったり、相手の話をまとめたり、代弁できるようになります。
専門的に扱うには、大学や大学院などで専門的に勉強する必要がありますが、一般の方でも充分日々のコミュニケーションに活かすことができるのです。
よくある質問,誤解
心理療法には様々な誤解があるので整理しておきましょう。
病気の人だけ受けられるの?
心理療法は病気の人以外でも受けることができます。心理療法の文化があるアメリカでは、健康的な人でも専属のカウンセラーをつけている方がかなりいらっしゃいます。
人生の岐路に迷ったとき、人間関係で迷ったとき、自分と向き合う場を作っているのですね。一方で日本では心理療法はまだまだ浸透しているとは言えません。
どれぐらい効果が出るの?
効果については、どのようなお悩みかによってかなり変わってきます。ただ歴史のある心理療法は統計的に効果が実証されていることがほとんどです。
以下の図は、
ただし、効果の実証は物理学のようにすっきり行くものではありません。個人差が大きい、絶対ではない、という限界もあることは理解しておきましょう。
費用はどれぐらいかかるの?
独学で学ぶ場合は基本的には書籍代ぐらいで済むと思います。一般の方であれば、書店に言って、軽く立ち読みして、読みやすそうだなと感じる本から始めてみると良いでしょう。
実際に読んでみて、心が軽くなる感覚があれば、あなたにあった心理療法だと思います。今はユーチューブでも発信がたくさんあるので参考にしてみるのも良いでしょう。
カウンセリングを受けられる場合は、相場はまちまちですが、60分で、5,000~10,000円程度が多いです。回数はお悩みによって変わってきます。
期間はどれぐらいかかるの?
短期間での解決を目指すものもあれば、長期間かけてじっくり行うものもあります。私が知る限りですと20年同じカウンセラーの方と面接をしている方もいます。
賛否両論はありますが、お悩みの目的に応じて期間を決めていくといいでしょう。例えば、うつ病の改善のためにカウンセリングを受ける場合は、短期~中期である程度の成果を出したいところです。
一方で、人生の生き方を決める、人生トータルで自分と向き合う場所を確保したいという目的であれば、長期間でじっくりカウンセリングを受けるのもアリだとおもいます。
3大心理療法とは何か
3大心理療法
心理療法が本格的に発展してきたのは18世紀の後半といわれています。これまで様々な手法が開発され、その数は400以上あるといわれています。
分野を大別すると、おおよそ3つに分類されます。
①精神分析的アプローチ
②認知行動的アプローチ
③人間性アプローチ
この3つの分野は「三大心理療法」と呼ばれます。初学者としてはまず抑えておきたいところです。
まずは哲学を学ぼう
心理療法には様々な細かい技法があります。確かに、技術について理解を深めることも大切です。しかし、まずはじめに必要なことは、歴史や概念を知ることです。
*なぜその治療方法がつくられたのか
*どんな考え方をするのか
*どのような理論を応用しているのか
など、歴史や概念について理解することが大切です。これらを知らないと、うわべだけの技術で本当に効果のある技法にはつながりません。
そこで次のコラムでは、3大心理療法の基礎と哲学を学んでいきます。入門としてしっかりと理解していきましょう。
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