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マインドフルネス呼吸法のやり方

マインドフルネス呼吸法とは,やり方

みなさんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。

このコラムは、マインドフルネス療法シリーズの2本目です。今回は「マインドフルネス呼吸法」をテーマに解説していきます。

マインドフルネス呼吸法とは、呼吸をコントロールせずに、自然な呼吸の感覚にそのまま注意を向け、注意がそれたら気づいて戻すことを繰り返す練習です。マインドフルネスストレス低減法(MBSR)でも、基本となる練習の1つとして位置づけられています(カバット・ジン)[1]。

目次は以下の通りです。

目次

①マインドフルネス呼吸法とは

マインドフルネス呼吸法は、呼吸を「整える」のではなく、「観察する」練習です。まずは、よく似た深呼吸との違いと、呼吸を使う理由を確認しましょう。

深呼吸との違い

「3秒吸って8秒吐く」といった腹式呼吸や深呼吸は、呼吸の長さを意識的に変えて、体をリラックスさせる方法です。緊張したときに役立つ方法で、マインドフルネスの練習の前に取り入れるのもよいでしょう。

一方、マインドフルネス呼吸法では、呼吸の長さや深さを変えようとしません。浅くても速くても、今の呼吸をそのまま感じ取ります。

呼吸を使う理由

呼吸は、いつでもどこでも、今この瞬間に起きている体の動きです。過去や未来の呼吸を感じることはできないため、呼吸に注意を向けることは、「今ここ」に戻るための分かりやすい目印になります。

また、呼吸はその時の気分によって変化します。呼吸を観察する習慣がつくと、「今、緊張して呼吸が浅くなっているな」と、自分の状態に早く気づけるようになります。

プログラムでの位置づけ

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)では、呼吸に注意を向ける練習が、座って行う瞑想の中心になっています。ボディースキャンや歩行瞑想など、ほかの練習でも、注意が迷ったときの「戻る場所」として呼吸が使われます。

そのため、呼吸法はマインドフルネスのすべての練習の基本となる技術だといえます。最初に呼吸法に慣れておくと、ほかの練習にも取り組みやすくなります。

マインドフルネス呼吸法を練習する人

②呼吸法の基本のやり方

まずは5分ほどを目安に、次の手順で取り組んでみましょう。上手にできるかどうかより、注意がそれたことに気づいて戻すことを大切にします。

姿勢を整える

椅子に座る場合は、背筋を軽く伸ばし、肩の力を抜きます。両足の裏を床につけ、手は太ももの上に置きます。

目は閉じても、軽く開けて少し先の床をぼんやり見てもかまいません。

呼吸の感覚に注意を向ける

①鼻やお腹など、呼吸を感じる場所を選ぶ
②吸う息と吐く息の感覚をそのまま感じる
③呼吸の長さや深さは変えようとしない
④一呼吸ずつ、新鮮な気持ちで感じる

お腹のふくらみやへこみ、鼻を通る空気の温度など、感じやすい場所を1つ選ぶと注意を向けやすくなります。

それたら気づいて戻す

しばらくすると、必ずといってよいほど、考えごとに注意が引っ張られます。気づいたら、「考えごとをしていたな」と心の中でつぶやき、そっと呼吸に注意を戻します。

注意がそれることは失敗ではありません。何度それても、そのたびに気づいて戻ることが、マインドフルネスの練習そのものです。

③観察を広げる練習

呼吸を観察することに慣れてきたら、浮かんでくる考えや感情にも気づく練習に広げていきます。最初は呼吸に5分ほど注意を向けてから始めましょう。

考えや感情に名前をつける

呼吸を観察している途中で考えや感情が浮かんだら、その内容を追いかけずに、短い名前をつけて受け流します。

「〜しなければ」と浮かんだら:考え
不安やイライラを感じたら:感情
かゆみや痛みに気づいたら:感覚

名前をつけたら、また呼吸に注意を戻します。考えや感情を、空に浮かぶ雲のように、現れては消えていくものとして眺めるイメージです。

評価をしない

浮かんできた考えや感情に「良い・悪い」の評価をつけず、ただ観察します。「こんなことを考えてはいけない」と打ち消そうとすると、かえってその考えにとらわれやすくなります。

つらい感情が強く出てきたときは、無理に観察を続けず、呼吸や足の裏の感覚に注意を戻しましょう。

④3分間呼吸空間法

3分間呼吸空間法は、マインドフルネス認知療法(MBCT)で使われる、日常の中で手軽にできる短い練習です(シーガルら, 2013)[2]。ストレスを感じたときに、心の状態を立て直すのに役立ちます。

3つのステップ

3分間を、およそ1分ずつ3つのステップに分けて行います。砂時計のように、広い注意からいったん呼吸に絞り、また広げていくイメージです。

①今の考え・気分・体の感覚に気づく
②注意を呼吸だけに集める
③注意を体全体に広げていく

日常で使う場面

仕事の合間、会議の前、イライラしたときなど、1日に数回取り入れてみましょう。決まった時間に行うほか、「心がざわついた」と気づいたときに行うのも効果的な使い方です。

MBCTのプログラム全体については、MBCTのコラムで詳しく解説しています。

⑤続けるためのコツ

マインドフルネス呼吸法は、短い時間でも続けることで、少しずつ自分の状態に気づきやすくなっていきます。無理なく続けるためのコツを紹介します。

短い時間から始める

最初は1日5分から始め、慣れてきたら10分、15分と少しずつ延ばしていきます。「もう少しやりたい」と感じるくらいで終えるのが、続けるコツです。

時間と場所を決める

朝起きたとき、昼休み、寝る前など、毎日の生活の中で時間を決めておくと習慣になりやすくなります。スマートフォンのタイマーを使うと、時間を気にせずに取り組めます。

うまくできたかどうかではなく、「今日も呼吸に注意を向けた」ことを大切にしましょう。

日常の中で呼吸に戻る

まとまった時間がとれない日は、日常の動作の合間に呼吸を感じるだけでも練習になります。たとえば、次のような場面です。

信号待ちで、3回だけ呼吸を感じる
パソコンを開く前に、1回呼吸を感じる
寝る前に、布団の中で呼吸を感じる

こうした小さな練習を重ねると、忙しいときやイライラしたときにも、呼吸に注意を戻しやすくなっていきます。

⑥練習するときの注意

呼吸に注意を向けることは多くの人にとって安全な練習ですが、人によっては息苦しさや不安が強まることもあります。注意点を確認しておきましょう。

息苦しさを感じたら

呼吸に注意を向けると、「うまく呼吸しなければ」と力が入り、息苦しく感じることがあります。その場合は、注意を足の裏や手のひらなど、呼吸以外の体の感覚に移してみましょう。

パニックを経験したことがある方は、呼吸への注意で不安が強まることもあります。無理に続けず、目を開けて周りの景色に注意を向けてください。

中止の目安

練習中に強い不安や息苦しさ、自分が自分でないような感覚が出てきたときは、すぐに中断してください。安全に続けるための目安は、マインドフルネスの副作用と安全な実践法のコラムで詳しく解説しています。

心の不調で治療を受けている方は、始める前に主治医に相談してください。

⑦よくある質問Q&A

私たちは普段カウンセリングや、教室で以下のような質問を頂きます。回答例も参考にしてみてください。

深呼吸とは何が違う?

深呼吸や腹式呼吸は、呼吸の速さや深さを意識的に変えて、体をリラックスさせる方法です。一方、マインドフルネス呼吸法は、呼吸をコントロールせず、自然な呼吸の感覚をそのまま観察する練習です。目的も少し違い、リラックスすることよりも、「今ここ」に注意を向け、それたことに気づいて戻す力を育てることを大切にします。

どちらも役立つ方法なので、緊張をほぐしたいときは深呼吸、心を整えたいときはマインドフルネス呼吸法と、使い分けてみてください。自分に合った使い方を、少しずつ見つけていってください。

眠くなってしまう

呼吸に注意を向けていると、体がゆるんで眠くなることはよくあります。眠気そのものも、「今、眠気を感じているな」と観察の対象にして構いません。ただ、毎回眠ってしまう場合は、横になるのではなく背筋を伸ばして座る、目を軽く開けて少し先の床を見る、練習する時間帯を朝や昼に変えるといった工夫をしてみてください。

寝る前にリラックスする目的で行い、そのまま眠ってしまうのであれば、それはそれで問題ありません。眠気に気づくことも、立派なマインドフルネスの練習です。

呼吸に集中すると苦しい

呼吸に注意を向けたとたん、呼吸を「うまくしなければ」と力が入り、息苦しく感じる方は少なくありません。そのようなときは、呼吸から注意を外し、足の裏が床についている感覚や、手のひらの温かさなど、別の体の感覚に注意を向けてみてください。

また、パニックの経験がある方などは、呼吸への注意が不安を強めることもあります。息苦しさが強い場合は無理をせずに中断し、必要に応じて専門家に相談してください。呼吸以外の対象から始めても、マインドフルネスの練習になります。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した内容は、「ダイコミュ」のコミュニケーション教室で、仲間と実践しながら学ぶことができます。学べる内容は以下のとおりです。

マインドフルネスの学習
心が落ち着く呼吸法
はじめての認知行動療法
感情コントロールの練習

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。まずは体験受講からお試しください。筆者も講師をしています(^^)

コミュニケーション教室,講座,ダイコミュ

個別レッスン

個別にじっくり学びたい方は、マンツーマンでのレッスンも可能です。オンラインで学べるので全国どこからでもご相談いただけます。講師は国家資格を持つ公認心理師です。ご自身のペースでマインドフルネスを深めたい方は、下記をご参照ください。

個別レッスンの詳細はこちら。

シリーズの続きを読む

呼吸の次のステップとして、体の各部分に順番に注意を向ける練習に取り組みたい方は、こちらのコラムがおすすめです。

③ボディースキャン法とは,身体の観察練習

マインドフルネスを安全に続けるための注意点を、先に確認しておきたい方はこちらをご覧ください。

⑦マインドフルネスの副作用,安全に実施するコツ

シリーズでは他に、全身の感覚を観察するボディースキャンや、歩きながら行う歩行瞑想も紹介しています。

他にも数多くの心理療法があります。ご自身の興味やお悩みに合った理論をじっくり探したい方は、一覧から選んでみてください。

心理療法の一覧

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] Kabat-Zinn, J. (1990). Full catastrophe living: Using the wisdom of your body and mind to face stress, pain, and illness. New York: Delacorte.
 
[2] Segal, Z. V., Williams, J. M. G., & Teasdale, J. D. (2013). Mindfulness-based cognitive therapy for depression (2nd ed.). New York: Guilford Press.
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