マインドフルネス療法‐レーズンエクササイズを紹介
みなさんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。
当コラムは、マインドフルネス療法について、6回目に分けて解説しています。今回は、食事瞑想でよく活用される「⑤レーズンエクササイズ」をご紹介します。
①マインドフルネスの基礎
②呼吸のエクササイズ
③ボディースキャン法
④歩く瞑想技法方法
⑤レーズンエクササイズ
⑥自動操縦からの脱中心化
レーズンエクササイズは、日常の中でできる瞑想の1つです。毎日の食事の中でも実践することができるので、ぜひ気軽に試してみてくださいね。
レーズンエクササイズとは
意味
「食べる」という行動にしっかり意識を向けることで、マインドフルネス力を高める方法です。普段何気なく行っている「食べる」という行動の中にある味、舌触り、匂いなどを丁寧に確認しながら、「今」に意識を向け、集中力を高めていきます。
効果
レーズンエクササイズは、ネガティブな気持ちをプラスにする効果があることもわかっています。中井(2017)[1]は、大学生146名を対象に、レーズンエクササイズが抑うつ気分に与える影響を調査しました。
まずは青線を確認してみましょう。抑うつ気分が高い群の肯定的気分が、抑うつ気分が低い群の肯定的気分と同じくらいまで高まっていることが分かります。レーズンエクササイズによって、落ち込みが改善されたり、不安の反芻が小さくなったりして、ストレスを和らげられるようになるのです。
一方で、オレンジの抑うつが少ない群の幸福感については、エクササイズ前よりも低下しています。これは一見、マイナスに見えますが、多幸感は躁的な状態につながることもあり、抑制されるべきケースもあります。
マインドフルネスにおいては、ポジティブ感情もネガティブ感情も等しく扱うため、エクササイズをすると、どちらも平均化していく効果があります。
全体として、レーズンエクササイズは、感情を穏やかに安定させる効果があると言えそうです。
トレーニングの手順
レーズンエクササイズでは、食べ物を丁寧に観察しながら今の感覚を味わっていきます。
①食べ物を用意する
食べ物は、レーズン1粒でOKです。レーズンがなければ、飴、ガム、コーヒーなど、なんでもいいです。なるべく凹凸や香りがある食べ物のほうがいいでしょう。
②指で挟み観察
レーズンを、親ゆびとひとさし指で挟み、観察をします。
・食べ物は、重い?それとも軽い?
・触感はどうですか?固い、柔らかい?
弾力や表面の形、レーズンの凹凸など、いろいろな角度からゆっくり見ていきます。
③手のひらで観察
手のひらに置いて表面の様子を観察します。転がしながら動きも見てみましょう。
④香りを観察
レーズンを鼻に近づけたり離したりしながら、香りの強さや特徴を観察します。
④口に含み観察
レーズンを口に含み、舌のうえで転がしながら風味や表面の状態を観察します。
⑤噛んだ感覚を観察
ゆっくりと噛みながら、風味や味が口の中で広がる感覚や、味の変化を観察します。
⑥飲み込む感覚を観察
ゆっくりと飲み込みながら、のどから食道、そして胃に移動する感覚をじっくり味わっていきます。
手順のように、食べ物の色や形、口に入れた感覚など、ひとつひとつの動作をしっかりと感じていく事が大切です。
*補足
味は「今この瞬間」に発生するものです。レーズンエクササイズは「今この瞬間」を大事にする感覚を養うことができます。
慣れてくると、食べ物以外でも、この「今この瞬間を感じ取る力」「自分自身の感覚を観察する力」を増やすことができます。
関連コラム
今回はレーズンエクササイズ法について解説をしました。以下のコラムのうちまだ読んでいないものがありましたら是非ご参照ください。
①マインドフルネスの基礎
②呼吸のエクササイズ
③ボディースキャン法
④歩く瞑想技法方法
⑤レーズンエクササイズ
⑥自動操縦からの脱中心化
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