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「価値観ワーク」,学校教育,研修で使えるアサーティブトレーニング

アサーショントレーニング,価値観ワーク

みなさん、こんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座で講師をしています。

コラム1ではアサーションの歴史や技術の概要を解説しました。今回は、学校や職場で使える「価値観ワーク」を教育者・トレーナー向けに解説します。学校や職場で簡単にできるので是非研修や授業で実践してみてください。

コラム1 アサーションの基礎
コラム2 段階的主張‐DESC法
コラム3 感謝とセットで断る法
コラム4 価値観ワーク,学校や職場編
コラム5 断り方ワーク,こども編
コラム6 断り方ワーク,大人編

 

 

価値観ワークの手順

価値観ワークは以下の意味があります。

価値観の順位付けを行い、それを擦り合わせる練習をすることで、お互いの価値観を尊重する・主張する・譲りあう精神を育むワーク

さっそく価値観ワークの手順をお伝えします。

①優先順位を個人で考える

まず初めに以下の5つを黒板などに書きます。

1.愛
2.仕事
3.お金
4.自由
5.遊び

アサーティブ 授業

その後、

あなたの人生観における優先順位の高い順に、順位をつけてください。

と宣言します。

 

②優先順位をチームで考える

それでは今度はお互いの価値観を発表しあい、チームでの価値観を決めていきましょう。

と宣言します。今度はチームで価値観の優先順位を考えていきます。時間は10分程度でOKです。

③各チームごとに結果発表

話し合いをが終わったら、チームごとに結果発表を促します。この時、結論が出なかったチームがあったとしても、叱ることはしません。なぜ決まらなかったかなど傾聴すると良いでしょう。

④偏りがないか確認

最後に価値観ワークの種明かしをします。

実は価値観ワークは結論を出すことが目的ではありません。本当の狙いは5つのポイントを達成することにありました。

と宣言し、以下の項目を読み上げます。

①結論がないのも正解
価値観とは、正解がなく、また順位もつけられないものです。こうしたことは生きているとよくあります。このような価値観の違いがあるときには、無理に片方が合わせるのではなく、お互い尊重できればOKです。そのため、このワークは「結論を出さない」というのも1つの正解になります。

②みんなの意見が入ってる
もし結論が出た場合は、全員の意見がまんべんなく入っていることが望ましいです。アザーティブな話し合いになっている証拠です。意見が偏っている場合は、何らかの問題がありそうです。

③それぞれ譲り合えたか
価値観とは、決まった答えがないものです。できる範囲でそれぞれが少しずつ譲り合い、自他尊重の気持ちをもつことが大事です。

④全く主張しない人はいなかったか
アサーションでは自分の意見を大事にして、主張することを大事にしています。言いたいことを発言することを大事にしましょう。

⑤主張できない人に声をかけたか
発言が苦手な人に積極的に声をかけることも大事です。話し過ぎた人、主張しすぎた人は気をつけましょう。

 

アサーション 価値観ワーク

 

効果を出すために

価値観ワークの効果を出すためのポイントは以下の通りです。

導入に最適

価値観ワークはアサーションの導入に最適です。いきなりアサーションの講義に入るよりも、最初に簡単なワークを行うとツカミになりますし、その後の講義がしやすくなります。

複数回実施もOK

ワークは繰り返し行ってもOKです。1回目で攻撃的自己表現になってしまった方は、次回の目標などを立てて再チャレンジしてもらいます。また、非主張的で自分の意見を言えなかった方は、次は頑張って主張するように促します。

指示的なワークにしない

価値観ワークは、指導者の介入は最低限にします。大事なことは、参加者自身が体験的に学習していくことです。最低限の知識を伝えあとは、参加者が自分で乗り越えていけるように見守ることが大事です。

まとめ

今回は、グループの意見をうまくすりわせる価値観ワークをご紹介しました。日常生活の場面では、価値観が異なる時にお互い譲り合うことができず、不満が増大していくことがあります。

価値観ワークでは、価値観が違うことが当たり前だという確認と、それを尊重する精神を育むことができます。ぜひ、学校や職場などで活用してみてくださいね。

しっかり身につけたい方へ

アサーティブコミュニケーションは、公認心理師による講座で、実際に学ぶことができます。内容は以下のとおりです。

・アサーション権を学ぼう
・価値観ワークを実際に体験
・アイメッセージ実践練習
・DESC法,自己主張訓練

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)

価値観ワーク,学校教育,研修で使えるアサーティブトレーニング,心理学講座

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連