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アサーティブコミュニケーションを学校で練習,教師向け「断り方練習法」

アサーティブコミュニケーションを学校で練習,教師向け

みなさん、こんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座で講師をしています。

コラム1ではアサーションの歴史や技術の概要を解説しました。今回はコラム⑤として、教師向けに「断りワーク子ども編」を紹介します。

コラム1 アサーティブの基礎
コラム2 段階的主張‐DESC法
コラム3 感謝とセットで断る法
コラム4 価値観ワーク,学校や職場編
コラム5 断り方ワーク,こども編
コラム6 断り方ワーク,大人編

なお、前提としてここまでに紹介した「アサーションの5つの哲学」「アイメッセージ」「感謝+断り法」を使って実施します。読み進める前にそれそれの技法を簡単に振り返っておきましょう。

アサーションの5つの哲学
アイメッセージ
断り方,感謝とセット法

 

断りワークを実践してみよう!

断りワークは以下の8つのステップで行います。

①教材作り

まずはコラム①で挙げた、

・アサーションの5つの哲学
・アイメッセージ法
・感謝をしながら断る方法

を盛り込んだ基本的な教材を作成しましょう。A4サイズで、1~2枚ぐらいのシンプルなものが良いでしょう。教材には以下のように、2つのスキルを簡潔に記入しておきます。

*アイメッセージとは
アイメッセージは自分を主語にして主張する方法です

*具体例
⇒相手の要求
ねえねえ100円貸してよ!
⇒アイメッセージ
う~ん…困るなあ…
え…不安だな…
100円かあ…今お金なくて…

*感謝+断る法とは
まずは感謝を伝えてから断る方法です

*具体例
⇒相手の要求
ねえねえ今日学校おわったら遊ぼうよ
⇒アイメッセージ
ありがとう、誘ってもらえて嬉しい。わたし(ぼく)は、今日習い事があっていけないんだ。すごく行きたいんだけど、ごめん。また今度遊ぼう。

当サイトでも教材を作成しておきました。以下にダウンロードできるようにしてありますので、自由に加工してお使いください♪

サンプル教材:断り方ワーク

 

②やり方の説明,お手本

ワークの前に先生から簡潔に解説をしましょう。アサーションの基本的な理念や断り方の具体例をよみあげます。さらに先生がお手本を見せておくと効果的です。

ワークとしては、アイメッセージ、感謝+断る方の2つを練習しますが、同時に練習するとパニックになりやすいです。まずはアイメッセージの練習をしましょう!と宣言しておきましょう。

③役割決め

次に実際のワークの準備をしていきます。

①4人グループに分ける
まずはクラスの児童を4人グループに分けましょう。

②役割決め
断り役1人と、お誘い役を3人を決めます。わかりやすく、じゃんけんでなどで決めましょう。

断りワーク

④事例を読み上げる

次に以下の事例を児童に向かって読み上げていきましょう。

ある日、お誘い役の3人から「今日いっしょに遊ばない?」と誘われました。断り役の人は、学校が終わった後に習いごとあり、お断りしなくてはなりません。アイメッセージで断りましょう。

 

⑤アクションスタート

断り役の人に、お誘い役の3人が事例の通り「今日いっしょに遊ばない?」とお誘いをします。そして、断り役の人が、「アイメッセージ」で断っていきます。教室の呼びかけの例としては以下を参考にしてみてください。

それでは、お誘い役の3人は誘ってみてください。断り役の人は、わたし・ぼくを主語にして、ありがとうを伝えてから断りましょう。

アサーティブ 子ども

お互い評価をする

アクションが終わったら、評価をしていきます。

・うまく断ることができたか
・やさしい言い方で断ることができたか
・お互い嫌な気持ちにならなかったか

これらをチームごとにチェックするように促しましょう。

⑦役割を変えて繰り替えし

1人ずつ断り役をチェンジして、すべての人が練習できるようにします。断るのが苦手な子供は、得意な人のまねをするように伝えましょう。アイメッセージの練習が終わったら、次に感謝+断る法を同じ流れで進めていきます。

⑧感想タイム

最後にチームごとに全体の感想を話してもらいます。普段断れないことがあるか?嫌なことをされた時に我慢をしていないか?など話す時間をゆったり取ります。

ワーク後は警戒心が取れて最も本音が出やすい部分です。特に議論が盛り上がっている時はすぐに終わらせず、温かく見守るようにしましょう。

まとめ

近年、学校教育でアサーションを取り入れることが増えてきました。アサーションのトレーニングをすると、人間関係のストレスが減るため、いじめの防止、不登校の防止、社会的スキルの向上につなげることができます。道徳や生活の時間で授業に取り入れることも効果的です。是非参考にしてみてください。

しっかり身につけたい方へ

アサーティブコミュニケーションは、公認心理師による講座で、実際に学ぶことができます。内容は以下のとおりです。

・アサーション権を学ぼう
・断りワークを実際に練習
・アイメッセージ実践練習
・DESC法,自己主張訓練

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)

アサーティブコミュニケーションを学校で練習,教師向け,断り方練習法,心理学講座

 

 

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連