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アイメッセージがうまくなるコツ

アイメッセージがうまくなるコツ

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「アイメッセージ」についてお話していきます。目次は以下の通りです。

●アイメッセージって何?
●YOUメッセージとは?
●気持ちを我慢すると起こる問題
●アイメッセージ練習

それでは早速心理学の研究を紹介しながら解説させて頂きます。

 

本音で話そう

「アイメッセージ」とは何か?

アイメッセージは、「アサーション」と言う分野で頻繁に活用される技術で、自分の気持ちを相手に伝える時に「私は…」を主語にしたメッセージを使っていく方法です。例えば、以下のような言葉がよく使われます。

・(私は)連絡がなくてさみしい
・(私は)そう言われると悲しい
・(私は)そう言われて辛かった
・(私は)少しイライラしている
・(私は)その場所に行くのは心配だ

ポイントは、主語を「私」にすることです。主語を私にすることで、相手のテリトリーを守りつつ、柔らかい表現が可能となります。アイメッセージのコツはあくまで、自分の感情を相手に伝えるだけで、判断はいったん相手に任せることが特徴と言えます。

〇〇してほしい!と相手の行動まで制限をしないんです。あくまで判断をゆだねている点で、相手を尊重したコミュニケーションとなりやすくなります。

「YOUメッセージ」とは?

Iメッセージとは対照的に、主語を「あなたは…」とする技術をYOUメッセージと言います。例えば、以下のような言葉がよく使われます。

・(あなたは)遅刻しないでよ!
・(あなたは)もっとできるでしょ!
・(あなたは)メモを取ろうね!
・(あなたは)連絡を細目にすべきだ!
・(あなたは)だらしない!

このように、相手の領域に踏み込んでいくような言葉はYOUメッセージよりになってきます。「あなたは…」を主語にすると、相手を支配する表現になり、言い方が強くなります。緊急性が高いときは、YOUメッセージを使うこともありますが、支配的になりやすいというデメリットがあります。

ちなみに筆者は基本はIメッセージを使うことが多く、緊急時や信頼関係ができる仲間であれば、YOUメッセージを使うこともあります。

気持ちを伝える必要性

アサーティブコミュニケーションという心理学の分野では、「自分の気持ちを他者を尊重しながら伝える」ことをとても大事にしています。ここで、気持ちを伝えることがなぜ大事なのか?心理学の研究を紹介したいと思います。

研究① 感情抑制と疲労感

接客業や営業など自分の気持ちを偽りやすい仕事についている方は、欲求を抑えながら仕事をすることが求められますが、この状態だとストレスが日々蓄積されてしまいます。このように自分の本来の感情を偽ることを、感情労働といいます。深刻な場合は燃え尽き症候群、抑うつ状態、心身症といった症状に結びつくこともあります。

片山(2010)は、看護師123名に「看護師の感情労働測定尺度」と「職業性ストレス簡易調査票」を用いてアンケート調査を行いました。その結果が以下の図です。

アイメッセージ 効果

表出抑制とは、その場にそぐわないと判断された感情を、意識的に抑える努力を意味します。感情労働とほぼ同意味となります。上図を見ると表出抑制と疲労感に関連が見られることがわかります。

今回の論文は看護師を対象としていますが、仕事上、福祉職、接客業、キャビンアテンダントなど、笑顔で接客することが求められる職種は感情労働になりやすい職種と言われています。

研究② 本音を言った方がコミュ力高い?!

相手に嫌われないように、自分の気持ちを隠す人は多いですが、コミュニケーションにおいてどのような影響があるのでしょうか。松永ら(2008)の研究では、大学生228名を対象に「青年の友人関係に関する研究」が行われています。その研究の中では「本音」「気遣い」「うわべ」について調査が行われました。

・コミュ力と感情労働 
研究の結果の1つとして、「本音群」が「気遣い群」「うわべ群」よりコミュニケーション能力が高いことが分かりました。下図を見てみてください。

  • 自分の気持ちを伝えよう

本音群のグラフが一番高いことがわかります。これは「本音で話す傾向がある方」が、コミュニケーション能力が高いことを表しています。「気遣い群」や「うわべ群」はグラフが低くなっていますね。自分の本音を抑えて、過剰な気遣いや、うわべの関係を続けると、コミュニケーション能力にマイナスの影響があることが推測されます。

・基本的信頼感
基本的信頼感とは、自分はこの世の中に存在してていいんだ、無条件に愛されている、私は信頼されているという感覚を意味します。下図のグラフは「感情労働と基本的信頼感」の関連について調べたものです。


アイメッセージとは

こちも同様に「本音群」が高いですね。本音で話すことができる方は、「ちゃんと気持ちを伝えれば相手が分かってくれる!」と信頼しているとも言えます。逆に気持ちを抑える傾向がある方は、相手を信頼していない可能性があると推測できそうです。

・感情労働と対人的信頼感
続いて、「対人的信頼感」を見ていきましょう。対人的信頼は、「周囲に対する信頼感」のことを意味します。さて、感情労働とどれだけ関連が示させれるでしょうか。


アイメッセージ コツやなり本音で話す傾向がある方がグラフが高いです。基本的信頼感と同じく相手を信頼しているからこそ、本音で話せると言えそうです。

この研究から自分の気持ちを隠して、過剰に周囲に合わせると、コミュニケーション能力を低下させるリスクがあることが分かります。もちろん、相手への気遣いは大切ですが、感情労働になりすぎないように注意する必要があります。自分の感情を隠しすぎず、アイメッセージなど比較的穏やかな表現手法を使うことが大事だと言えます。

アイメッセージの使い方

アイメッセージを実践する際は、いきなり本題に入るのではなく、まずはさりげなく相手に伝えることが大切です。どういうことか、具体例を用いて解説していきます。

例文

ミツコさんは、夫が家事や育児を手伝ってくれないことに不満を抱いています。子どもは、0歳、2歳、3歳でまだまだ目が離せない状態です。昨日は、寝不足で洗濯をすることができませんでした。

レベル1さりげなく伝える
⇒辛そうな素振りを見せる

レベル2Iメッセージ
⇒(私は)最近、子育てと育児で疲れちゃってるんだよね。

レベル3YOUメッセージ
⇒(あなたは)少しは家事や育児を手伝ってよ。

このように、唐突にアイメッセージで伝えるのではなく、ファーストステップでさりげなく相手に気がついてもらうという方法を取ります。そして、アイメッセージを伝えて、それでも相手が応じてくれない場合は、最終手段でユーメッセージの強い表現で伝えます。

レベルを3ステップほどに分けることで、柔らかい言い回しになりトラブルをさけつつ、自分の気持ちを伝えることができるのです。

ここまでまとめると、Iメッセージ・YOUメッセージはメリットデメリットがあります。それぞれをまとめると、以下の図のようになります。

アイメッセージ

Iメッセージは関係のひびが入らない形で自己主張できる反面、どうしても回りくどい印象になってしまいます。また、YOUメッセージは、ストレートにものが言える一方で、角が立ちやすく関係性が悪くなりがちです。どちらも長所短所があるため、状況に応じて使い分けていくことが大切です。

アイメッセージを実践!

アイメッセージとユーメッセージの使い分けについて練習を行っていきましょう。さっそくですが問題に入ります!以下の状況で2つの伝え方を考えて見てください。

練習問題1
キョウヘイさんは、日々残業に追われているサラリーマンです。今日は主張先の静岡にいくために新幹線に乗車しました。「静岡に到着するまでは、ゆっくり休もう…」とふと席に腰かけたところ、隣の乗客のヘッドホンから大音量のクラブミュージックが聞こえきます。音がうるさくて、なかなかリラックスできません。静岡までは片道1時間以上あります。

レベル1さりげなく伝える

レベル2アイメッセージ
⇒(私は)

レベル3ユーメッセージ
⇒(あなたは)

解答例
レベル1さりげなく伝える
⇒耳をふさぐしぐさをする

レベル2アイメッセージ
⇒(私は)実は昨日残業であまり眠れてないんです。

レベル3ユーメッセージ
⇒(あなたは)ちょっと音量下げてもらえませんか。

解説
全く面識のない人なので、自己主張することで相手にどんな対応されるか不安な部分も大きいと思います。しかし、新幹線は公共の場です。相手の空間でもあれば、自分の空間でもあります。そのため、100%自分が我慢をする必要はありません。自己主張することは正当だと考えて、まずはアイメッセージで伝えていきましょう。

また、どうしても自分の気持ちを伝えられない場合には、添乗員さんに席を変えてもらえないか相談するのも方法の1つです。

 

練習問題2
ダイスケさんは、先日4年間付き合った彼女に不満を抱いています。彼女はラインを返すのが遅く、ひどい時は3日経っても返信がこない時がありました。どうにか、関係を悪くせずに話し合いたいと考えています。

レベル1さりげなく伝える

レベル2アイメッセージ
⇒(私は)

レベル3ユーメッセージ
⇒(あなたは)

解答例
レベル1さりげなく伝える
⇒最近、忙しいの?と聞く。

レベル2アイメッセージ
⇒(私は)3日経ってもラインが
 来なかった時は、すごく寂しかった。

レベル3ユーメッセージ
⇒(あなたは)もっと早くライン返してもらえないかな。

 

解説
ユーメッセージで相手に伝えてしまうと、関係がこじれやすくなります。もしかすると、相手は何か理由があってラインを返したくても、返せない状況だったのかもしれません。そこで、まずはアイメッセージで自分の気持ちを伝えて様子をうかがってみましょう。

 

練習問題3
ヨシコさんの会社は成長著しい会社です。ヨシコさんは責任者となり、毎日残業が続いていました。最初は充実していたのですが、あまりにも作業量が多く、精神的に参っています。しかし上司が気づく気配はなくずっと我慢しています。

レベル1さりげなく伝える

レベル2アイメッセージ
⇒(私は)

レベル3ユーメッセージ
⇒(あなたは)

解答例
レベル1さりげなく伝える
⇒体調が悪いそぶりをする。頭を抱える。

レベル2アイメッセージ
⇒(私は)実は最近、睡眠不足が続いていて、
 集中力がなくなっています。体調も悪い状態です・・・

レベル3ユーメッセージ
⇒(あなたは)もう少し部下の体調を気遣ってください。

 

解説
仕事上は自己主張するこに躊躇してしまう方もいると思います。アイメッセージと言えど言いにくい方もいるでしょう。言葉にするのが難しかったら、辛そうにするのも1つの手です。それでも気が付いてくれない場合は、言葉にしていきます。

自分で言うことが難しい場合は同僚の助けをもらうなどしましょう。また高圧的な上司の場合は、ユーメッセージを最終手段として使う選択肢もありです。

自分の気持ちを打ち明けたヒカルさん

最後に生徒さんの事例をお伝えします(個人情報があるので事実を変えています)。

ヒカルさんは3人姉妹の母子家庭の長女です。母親想いのヒカルさんは、困ったときはいつも抱え込んでいました。母親にお願いをされることが多く、困らせたくないのでいつもは我慢をして笑って「わかった」と言っていました。

しかし、実は、勉強時間を削ってまで手伝っていたため、学校の成績が落ち、苦しんでいました。そこで、無理して我慢するのをやめてアイメッセージを使うようにしました。

「(私は)実は私・・・手伝いが多くて苦しくて・・・辛くて泣いてるんだ・・・」

こんな形で伝えました。その結果、ヒカルさんも母親も感情的になりすぎることが減り、またお母さんや次女と役割分担をするようになりました。

このようにアイメッセージを使うと、冷静に気持ちを話せるので、相手と心を開いて対話することができます。その結果、ヒカルさんを苦しめていた母親の感情はソーシャルサポートへと変わっていきました。

アイメッセージ 効果

 

アイメッセージは正直に自分の気持ちを打ち明けることで、ソーシャルサポートを得る糸口になります。困ったときに主張できるようになると、人に頼るというレジリエンスを発揮しやすくなります。困ったときは抱え込まずに周りの助けを求めるという引き出しもぜひ持っておいてください♪

実践練習をしたい方へ

私たち、臨床心理士・精神保健福祉士は心理学講座で自己主張練習も行っています。 実際に練習をしてみたいと感じたら、ご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・アイメッセージ練習
 ・アサーティブコミュニケーション
 ・エゴグラム性格分析

 

★アイメッセージを活用!で人とのつながりを深めよう

 

コメント

1件のコメント

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    • べり
    • 2019年3月4日 10:42 PM

    日頃からIメッセージは大事だと強く感じます。

    私は語調が強いので、YOUメッセージだと相手は責められていると感じることも多いようです。自分がYOUメッセージを使っていると気づくまでは随分人を傷つけていたのだろうと反省すること頻りです。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
岡本悠・井上孝代(2014)青年期における対人葛藤が解決するまでのプロセス. 心理臨床学研究32(4), 502-512.

大坪岳 追手門学院大学心理学論集;Otemon Gakuin University Psychological Review 2017 青年期のコミュニケーション・スキルとソーシャル・サポートがレジリエンスに及ぼす影響
レジリエンスの資質的要因・獲得的要因の分類の試み――二次元レジリエンス要因尺度(BRS)の作成
平野 真理 2010 パーソナリティ研究