>
>
>
ストレスの原因と症状

ストレスの原因と症状を知ろう-精神保健福祉士が監修①

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは「ストレス」についてに詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります。

  • ストレスってなに?
  • 発生のメカニズム
  • コーピングとは
  • ストレス症状の種類
  • 診断とチェック
  • 6つのストレス対処法

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^)それでは早速、ストレスの基礎から解説させて頂きます。

ストレスを心理学の専門家が解説しています

ラザルスとストレス理論

米国カリフォルニア大学バークレイ校の心理学教授のR・S・ラザルス教授は、「ストレス」理論を提唱しました。ストレスが発生する過程でいくつもの要素が絡み合っており、その要素を分類して理論化したものがストレス理論になります。以下の図をご覧ください。

少し難しいワードが入ってますが、それぞれのステップごとに説明していきます。

1.ストレッサー

皆さんはストレッサーという言葉を聞いたことはありますか?おそらく、「ストレス」に比べると聞き馴染みがないワードではないでしょうか。しかし、このストレッサーこそが、ストレスを引き起こす原因なのです。

ストレス 理論

まず第1のステップでは、「人的変数」と「環境的変数」の2つがあります。人的変数は、その人の価値観やその人の目標が挙げられます。環境的変数は、必要な資源がそろっているか、社会的な支持が得られているかといった点になります。

・ストレッサーの定義
心理学辞典によれば、ストレッサーは以下のように定義されています。

「心身の適応能力に課せられる要求」

つまり、自分の体や心にかかる圧力や負荷と考えてよいでしょう。例えば、暑さ、寒さ、痛み、悲しさなどの刺激はストレッサーに当たります。

「人的変数」が個人の適応能力で、「環境変数」が暑さや寒さと考えてよいでしょう。適応能力を超えた刺激はストレッサーになります

・身体的ストレス
ストレッサーの代表的なものとして、身体的ストレスが挙げられます。これは寝不足や病気、感染症やアレルギー、腰痛や頭痛など身体の仕組みによって引き起こされるストレスです。

例えば、過労による身体の痛み、春や秋の花粉アレルギーなどがストレスになっている人は多いかもしれません。また身体的ストレスは、体調不良を悪化させるうえ心理面にもマイナスの影響を与えてしまいます。

実際に、内閣府が発表した「自殺の原因・動機の割合」という統計データがあります。以下のグラフをご覧ください。

自殺の原因や動機からストレスを解説このように、自殺の原因の半数が「健康問題」であることが分かります。身体の不調は、生きる気力すら減退させてしまうこともあるため注意が必要です。

ストレッサーについてさらに詳しく知りたい方が下記をご覧ください。
・心理的な原因
・人間関係の問題
・環境的ストレスとは
ストレスの原因「ストレッサー」の意味と種類②

②一次評価

続いて、一次評価について見ていきましょう。一次評価は「自分にとって有害かどうか」を判断するステップでしたね。

ストレスフルな評価には以下の3つがあります。

1.害ー損失
自分が大切にしている価値観や信念、目標を失った時に起こる評価。
例)プロサッカー選手の夢が、足の骨折でついえた。

2.脅威
これから「害ー損失」が起きると予測された時の評価。
例)恋人が知らない異性と二人で歩いていた。

3.挑戦
自分にとって成長や利益につながるチャンスと判断した時の評価。
例)過労で入院を余儀なくされたが、
  ゆっくり体を休めるチャンスだと考えた。

害ー損失や脅威と評価すれば、ネガティブな反応になりますが、挑戦だと評価すればプラス反応になります。このように、ストレスをどう捉えるかが、一次評価のステップになります。

一次評価についてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・無関係な評価とは
・無害と評価する場合
・性格によっても変わる?
ストレスは性格や考え方が原因?「一次評価」とは③

③二次評価

一次評価でストレス要因が有害なものと評価したときに、その状況を処理したり対処するために、何をすべきかを検討するステップが、二次評価です。

・対処できるかどうかを判断
このステップでは自分の知識や経験、周りにある資源、その人のパーソナリティなどを踏まえて、いつどこで何をすればベストな結果が得られるのか様々な対処方法を考えていきます。

・対処法を多く持つことが大切
過去に同じようなストレスを克服した経験があれば、対処法がわかるのでそこまでストレスになりませんし、未知の問題であればどう対処していいかわからず、ストレスになります。つまり、状況に合わせてより多くの対処法を持っておくことがストレス軽減につながります。

二次評価についてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・結果期待とは
・効力期待とは
ストレスの対処行動を考える「二次評価」とは④

④コーピングスキル

皆さんは、ストレスを感じた時のどのような行動を取りますか?カラオケに行ったり、運動をしたり人によって様々な発散方法をがあると思います。

こうした、上手くストレスに対処することを「ストレスコーピング」と言います。心理学者のR.Sラザルスによって提唱され、現在では世界的に有名な理論となっています。主なコーピングとしては以下の2つです。

1.問題焦点型コーピング
ストレス要因に対して、自分の行動や周囲のサポートを得て解決しようとする。
例)やり方を変える
  上司や親に相談する。

2.情動焦点型コーピング
解決手段がない場合に怒りや悲しみを表出させる感情発散型と、心の中で抑え込む抑圧型がある。
例)愚痴をこぼす、
  気持ちを抑制する。

努力で問題を解決する方法と、感情を外に吐き出す方法がメインとなります。どちらも並行して行うことで、ストレスの発生を最小限にとどめることができるでしょう。

ストレスコーピングについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・認知評価型とは
・身体的コーピング
・気晴らしもOK?
ストレスの対処方法「コーピングスキル」の種類⑤

症状の種類

ストレス反応は「直接的効果」と「長期的効果」の2つがあります。まずは直接的効果について詳しく見ていきましょう。直接的効果は、単発で発生するストレス反応で一時的なものでしたね。

・戦うか逃げるか反応
この短期的なストレス症状を理解するうえで、外せないのがウォルター・B・キャノン(1929)よって提唱された戦うか逃げるか反応です。これは、外敵に襲われるような緊急事態が起きたの生理的・心理的な反応を意味します。

生理的なメカニズムとしてはストレス要因に遭遇した時に、情動を司る脳の扁桃体(へんとうたい)や視床下部(ししょうかぶ)が活発になります。その結果として、体のパフォーマンスを高める「アドレナリン」が分泌され、様々な反応を起こします。

地面蹴って走ったり、敵の攻撃に備えるために血流量を上げて筋肉を緊張させます。そのため、心拍数が増加するのです。また、より多くの情報を得るために瞳孔が開きます。戦うか逃げるか反応をまとめたものが以下のインフォグラフィックです。

このように、ストレス要因が現れた時に人間は本能的に「戦うが逃げるか」の選択を迫られるため、身体的な反応が現れます。危機を乗り越えるために運動能力や判断力を高めるのです。

ストレス症状と体の仕組みについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・ストレスが味方になる時
・長期的な症状は危険
ストレス症状の種類!短期・長期の反応を詳しく解説⑥

診断とチェック

現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。症状が重たいか軽いかによって、対応が異なりますので、一度診断してみることをお勧めします。
ストレス診断とチェック!自分の状態を確かめよう⑦

おしらせ

ここで30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

ストレスを軽減させよう!

さてさて、ここから具体的なストレスの原因に対処する方法をご紹介します。ストレスの低減法はさまざまありますが、その中から6つの方法を今回はご紹介させていただきます。

①問題解決型コーピング

ストレスを抱え込みやすい方は、自分の許容量を超えたタスクを抱え込みやすい傾向があります。ストレスコーピングがうまい方は、できることと、できないことを明確にして、タスク量を調整する力が高いと言えます。

タスク量の調整については「フロー状態」を目指すといいでしょう。フローとは、集中力やモチベーションを高めてくれ、自我や時間を忘れて物事に集中している状態です。

虚無感 克服

上図のように難易度とスキルがとも「高い」ときにフロー状態に入りやすいと考えられています。スキルとのバランスの取れた目標設定で、着実にストレス症状を改善していきます。まずは1か月後までに達成できそうな目標を定めると良いでしょう。

問題解決型コーピングについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・目標設定のコツ
・小さな成功が大切
・不安階層表とは
ストレスの原因に対処する「問題解決型コーピング」を身に付けよう⑧

②情動焦点型コーピング

・フロイトとカタルシス効果
心理学では、精神科医のジークムント・フロイトはヒステリー治療のなかでカタルシス効果を発見しました。相談者は催眠療法によって無意識に抑圧されたつらい体験をカウンセラーに話します。そうすると、心の底に溜め込まれた悩みが、意識化され、ヒステリー症状が改善されることを発見したのです。

もしかしたら、皆さんにも経験があるかもしれません。受け入れられない出来事を、思い切って誰かに話したときにストレスが解消されることがありますよね。フロイトはこの現象を「カタルシス効果」と呼びました。

それ以降心理学の世界では、心の底にあるマイナスな感情が開放されることでなされる情緒的な回復という意味で定着していきました。

情動焦点型コーピングについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・目標設定のコツ
・小さな成功が大切
・不安階層表とは
ストレスの原因に対処する「問題解決型コーピング」を身に付けよう⑨

③認知の歪みを修正しよう

大きなストレス経験をすると、そこから考え方が非現実的になることがあります。これを認知のゆがみと呼び、このゆがみがストレスの1つの原因につながるとされています。

例えば、
・上司にミスを激怒されてしまった。
   ↓
 僕は仕事で絶対にミスをする(歪み)
   
 仕事が怖い

・大好きな人に告白したら失恋した。
   ↓
自分は誰にも好かれない
告白しても100%うまくいかない(歪み)
   
 恋愛が怖い

このようにストレスが強烈な場合、「認知のゆがみ」が現れやすくなります。

認知の歪みについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・認知の歪み10パターン
・練習問題で身に付けよう
ストレス症状の原因「認知のゆがみ」を修正しよう⑩

恐怖体験の例を元に恐怖症の対策をする

④ソーシャルサポートを作る

・社会的なサポートを得る
ストレス症状を改善する方法として、ソーシャルサポートを得ることが大切です。

ソーシャルサポートとはその名の通り、「社会的関係の中でやりとりされる支援」のことを意味します。

たとえば、家族・友人・会社の同僚・専門家の援助、など自分の周囲にある環境の中でサポートしてくれる人やものを意味します。

・ストレス低減効果
ソーシャルサポートは、ストレス反応を抑制するという報告もあるので( 石毛・無藤, 2005)、メンタルヘルスの深刻化する前の予防や回復にも役立つ重要なキーワードです。

細田ら(2009)の研究では、中学生305名を対象に以下の3つのソーシャルサポートと自己肯定感の関係について調査しました。

  1. 道具的サポート ・・・・勉強机や携帯など必要な物を支援する
  2. 情緒的サポート ・・・・励ます、背中を押すなど気持ちの面を支援
  3. 共行動サポート ・・・・ノウハウを教えるなどの知識面で支援する

その結果が以下の図です。数字は相関係数といい、数値が大きいほど深いつながりがあるとを意味します。せっかくなので下図の中から数字が大きいものを探してみましょう。

ソーシャルサポート 効果

父親、母親、友人、教師のいずれも情緒的なサポートが自己肯定感を強めている傾向がわかります。特に教師や友人の情緒的サポートが.40**で、父親や母親よりも高い数値が出てていますね。

ソーシャルサポートをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・動画で詳しく解説
・理想のグループ数
ストレスは一人で抱え込むことが原因!ソーシャルサポートを得よう⑪

⑤身体的コーピング

・内側からアプローチ
ストレスを感じている時は体が疲れており、運動することや外出することが億劫になりがちです。感情と身体は密接に関連しています。ストレスに対処するためには、こうした身体と悲しみがどのように関係しているのかを知ることも大切です

・運動とうつの関係
甲斐(2011)は、IT 関連企業 の従業員2952名に対して、1週間にどのくらいの運動をしているかで、1年後の抑うつのなりやすさを調査しました。

下記の図をご覧ください。余暇時間に運動をする時間が1週間当たり「0分」の人たちを基準として、1週間に運動する時間が「135分未満の人たちと135分以上運動する人たち」とを比較しました。

無気力 対処法

その結果、135分以上運動している人たちに比べて、135分未満の人たちうつ病のなりやすさが2倍以上に上ることが分かりました。

この研究から、日々の生活の中に運動習慣をつくることで、抑うつのリスクを減らすことができると考えられます。週に2時間以上、というと少し大変かもしれませんが、運動する習慣がメンタルヘルスにもよい効果をもたらすのです。

身体的コーピングをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・ジェームズ・ランゲ説とは
・日射量との関係
ストレスを内側から改善する「身体的コーピング」⑫

⑥気晴らしコーピング

気晴らしコーピングは趣味、遊びなどによってストレスを解消していく方法です。いわゆる一般的なストレス発散方法だと考えても良いでしょう。

例えば、ハイキングはお勧めの方法で、ストレス大きくを下げることがわかっています。Marselle Melissa R ら(2014)は、1516名の男女を対象にバイキングのストレスの関係を調べました。被験者の半分のグル ープに週1回だけ自然の中を歩くようにしてもらいました。

その結果、13週間後にはハイキングに参加しなかったグループよりも主観的なストレスが下がり、うつ症状の発症率も低下する傾向が確認されました。週1回山に登るのは難しいと思いますが、ハイキングの場所は緑が多い場所であればどこでも構いません。近所の公園、広めの緑地帯などご自身ができる範囲で行ってみてくださいね。

気晴らしコーピングについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・ボルダリング
・サウナでストレス減
ストレス症状に対処する「気晴らし型コーピング」⑬

6つの発散・解消法を知ろう

ストレスの解消法は「①問題解決型コーピング」「②カタルシス」「③認知の歪みを修正」「④ソーシャルサポートを活用する」「⑤健康に気を配る」「⑥気晴らし」でしたね。

これからのコラムで具体的に紹介していきます。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

ストレスはさまざま要因があるため、全てをなくすことは難しいかもしれません。またプラスの側面もあることから、上手に付き合っていくことが大切です。ご紹介していく解消法を元に、ストレスを上手にコントロールして行きましょう。

次回は、ストレッサーについてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★ 過剰なストレスは要注意!6つの方法で上手に発散・解消をしよう

目次

①原因と症状を知ろう-概観
②「ストレッサー」の意味と種類
③考え方が原因「一次評価」とは
④対処行動を考える「二次評価」
⑤対処方法「コーピングスキル」
⑥種類!短期・長期のストレス反応
⑦ストレス診断とチェック!
⑧問題解決型コーピング
⑨情動焦点型コーピング
⑩症状の原因「認知のゆがみ」
⑪ソーシャルサポートを得よう
⑫身体的コーピング
⑬気晴らし型コーピング

コメント

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・参考文献
R.S.ラザルス(1990)ストレスとコーピング-ラザルス理論への招待 星和書店 p19
内閣府・警察庁「平成25中における自殺の状況」
Feshback,S. 1955 The drive-reducing function of fantasy behavior. Journal of Abnormal and Social Psychology. 50, 3-11
細田ら(2009)中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 教育心理学研究,57,309-323
甲斐 裕子 永松 俊哉 山口 幸生  徳島 了 (2011)余暇身体活動および通勤時の歩行が勤労者の抑うつに及ぼす影響. 体力研究, 109, 1-8.
Baumeister,R.F.(1984)Choking under pressure : Selfconsciousness and paradoxical effects of incentives on skillfull preformance. J.Pers. Soc. Psychol.,46:610-620
厚生労働省 労働者健康状況調査 平成24年