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ストレス症状と発散方法・コーピングスキルを解説

ストレス症状と発散方法・コーピングスキル①公認心理師が解説

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは
「ストレス症状とコーピングスキル」
です。


改善するお悩み
・ストレスが溜まっている…
・心が疲れている…
・発散する方法を知りたい

全体の目次
総論-ストレスとは何か?
ストレッサーの調整   (予防)
自己関連付けを正しく  (1次評価)
プラスの機会として捉える(1次評価)
コーピングスキルを使う (2次評価)
効果の期待値を上げる  (2次評価)
最後のお守り      (治療)
助け合い掲示板

入門①~④を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

ラザルスとストレス理論

ストレス理論のはじまり

カリフォルニア大学の心理学者のラザルス教授は1990年に
「ストレス理論」
を提唱しました。

ラザルスの功績はストレスが発生する「過程」を考えたという点にあります。

私たちは、様々な「過程」を踏むことで、悩んだり、落ち込んだり、楽しい気持ちでチャレンジをします。

ラザルスはその過程を詳細に分析をすることで、様々なストレスの対策を生み出していったのです。

古典的ストレス理論

ストレス 原因

 

1次評価

Lazarus, R.S., Folkman, S. (1984)によると、一次評価は、以下の3つ分けられます。

1.自己関連付け ありーなし
自分に関係があるかないかを評価します。ストレスが自分と関係があると感じれば、ストレスになりますし、関係ない思えば、ストレスは少なくなります。

2.害ー肯定
同じストレスでも自分に害となると考える場合もあれば、プラスに働くような場合の評価を意味します。

3.ストレスフル
自己関連付けがあり、害と判断するとストレスフルになります。

2次評価

続いて2次評価について解説します。

1.結果期待
「効果的な方法を知っているか」

2.効力期待
「その効果的な方法を実行できるか」

この2つの点を検討し、結果的に「対処できる」と評価された場合ストレスは緩和され、「対処できない」としたときにはストレス反応が起こります。

直接的効果・長期的効果

ストレス反応は「直接的効果」と「長期的効果」の2つがあります。まずは直接的効果について詳しく見ていきましょう。直接的効果は、単発で発生するストレス反応で一時的なものでしたね。

ストレス原因と症状

 

ストレスをためやすい人

ラザルスの図は学術的で一般の方には少しわかりにくいと思います。そこで少し簡便的な図を作成しました。下記はストレスをためやすい人の特徴を図にしたものです。

ストレスを溜めやすい人

まずは軽く概観ください。

・1次評価(自分に関連している?)
私たちはストレッサーがあった時に、1次評価をします。ストレスを溜めやすい方は、ストレッサーが自分にすごく関連すると考え、かつ自分に害があると考える傾向があります。

・2次評価(対処できる?)
ストレスを有害と考えると、次の段階で、対処できるかを考えます。

ラザルスは、ストレスをためやすい方は、ストレスを改善するための技術(コーピングスキル)が少ないと考えています。

また持っていたとしても効果が薄い傾向があると主張しています。

・結果としての症状
その結果、不安、イライラ、よく寝れないないなどの症状が出てきます。長期化すると、不眠症、適応障害など重篤化することがあります。

 

ストレスをためにくい人

これに対してストレスがためにくい人はどのように対処しているのでしょうか。同じで出来事があっても、ケロッとしている人がいますよね。

まずは軽く概観ください。

ストレスがない人

・1次評価(有害か?)
ラザルスのストレス理論によると、私たちはストレスがあった時に1次評価をして、有害なものかを判断します。

この時ストレスをためにくい人は、自己関連付けが現実的で、ストレスがあると、それは成長につながるとプラスに考えていきます。

その結果、上図のように、
 真っ赤
だったストレスを
 ピンク
に和らげることができます。

・2次評価(対処できる?)
もちろん、ストレスはストレスです、対処していかなくてはなりません。この点、ストレスをためにくい方は、コーピングスキルを豊富に持っていて、かつ効果があると自信を持っています。

・結果
その結果、ストレスは
 さくらいろ
のちょうどよい大きさになり、睡眠はよく取れ、やる気をもってチャレンジできるのです。

ストレスを改善する6分野

ストレスは上図のようなプロセスで起こります。ストレス理論のすばらしいところは、それぞれの過程に作戦を立てられるとことですね。具体的には以下の5つの作戦を立てたいと思います。

① ストレッサーの調整   (予防)
② 自己関連付けを正しく  (1次評価)
③ プラスの機会として捉える(1次評価)
④ コーピングスキルを使う (2次評価)
⑤ 最後のお守り      (治療)

それぞれ対応するリンクや動画も貼っておきますので、使えそうな場合は、クリックしてみてください。

①ストレッサーの調整(予防)

まず1つ目がそもそものストレスをうまく調整することです。仕事を抱え込みすぎない、人間関係を広げすぎない、家事や育児で適度に手を抜く、など自分の限界を知り、余力を残すようにしましょう。

ストレッサーの改善に必要なスキルとしては下記を参考にしてみてください。私自身は、仕事を受ける際は、2割ぐらい余力があるようにしています。

ちょうどよいストレスレベル

ストレスとパフォーマンスの関係を示した、ヤーキーズ・ドットソンの法則という有名な理論があります。

ヤーキーズ・ドットソンの法則は、生理学者ヤーキーズとドットソン博士が、マウスに電気ショックを流して学習を促した実験で発見しました。

この実験では、次のことが分かりました。

・電気ショックが適度なとき最も学習できる
・電気ショックの強弱がありすぎると学習能力が低下する

つまり
適度なストレスが、学習や仕事のパフォーマンスを向上させる
ということです。

下図がストレスとパフォーマンスの関係です。ストレスレベルが適度な時に、パフォーマンスが最も高くなるのがわかりますね。

ストレスとパフォーマンスの関係を表した図

このようにストレスは適度に取り入れることでメリットとして取り入れることができるのです。

 

*ストレスを抱え込みやすい…という方はこちらのコラムを参考にしてみてください。
断り方がうまくなる方法
アサーティブコミュニケーション理論

②自己関連付けを正しく(1次評価)

1次評価の段階で、必要以上の自己関連付けをしないように心がけます。例えば、コロナウイルスの問題がありましたが、高齢者の死亡率は5~10%という説があり、若者は1%未満という統計があります。

このとき、若者が、10%も死ぬ!というような感覚に陥るのは自己関連付けが強すぎることになります。もひろん、予防は正しくすべきですが、脅威を必要以上に大きく考えないということが大事になります。

*関連コラム
現実検討能力UP
認知の歪みを改善

③プラス面を考える(1次評価)

心理学の世界では、厳しい体験を乗り越えた後は、長期的に見ると、幸福感や活性化につながることがわかっています。

適度な試練はきっと皆さんの人生の肥やしになり、ドラマチックな生き方の糧になると思います。

ストレッサーがあるときはそれをすべてなくすのではなく、チャレンジできるレベルであれば、頑張って乗り越えるという姿勢も大事になります。

*関連コラム
アイデンティティクライシス

④ストレスコーピング(2次評価)

いざストレスが掛かってきたら、いよいよ対処しなくてはなりません。心理学の世界ではストレスのコーピングには以下の5種類があるとされています。

問題焦点型コーピング

ストレス要因に対して、直接解決を目指すコーピングです。最も積極的なやり方と言えそうですね。

例)仲直りをする
  収入を増やすため資格を取得する
  残業を減らすように交渉する

メカニズムを理解

*関連コラム
行動力コラム 
勇気コラム 

 

情動焦点型コーピング

問題を現実期に解決できない場合は、気持ちを素直に表現したり、誰かに話をすることで心の整理をしていきましょう。

例)泣きたいときはなく
  愚痴をこぼす

ストレスコーピングを理解

*関連コラム
カタルシス

認知評価型コーピング

考え方を見直す

ストレス要因に対して見方や視点を変えたり、認知の仕方を変え方法です。情動よりも、考え方を柔軟にすることでストレスを軽減していきます。

例)
考え方の引き出しを増やす
多角的な視野で考える

*関連コラム
リフレーミング
認知療法

社会的支援検索型コーピング

ストレスの発散方法

周囲にアドバイスを求めたり、信頼できる人に打ち明ける。
例)家族や友達に相談する。

*関連コラム
ソーシャルサポートコラム

 

身体的コーピング

運動で発散

睡眠、食事、運動など健康面からストレスを発散する。
例)睡眠を7時間以上とる。

*関連コラム
ストレス発散-運動,呼吸,日光浴

気晴らし型コーピング

ストレスコーピングと発散方法

運動や趣味等によるストレス解消方法でリフレッシュする。
例)スポーツに打ち込む、読書にふける

このように、自分をサポートしてくれる人を作ったり、適度に感情を吐き出したり、ストレスの捉え方を変えるなどすることで、うまく対処することができます。また、日頃からストレスが解消できるように、没頭できる趣味を持つことも大切です。

身体づくりでストレス発散・解消

⑤最後のお守り(治療)

ここまで4つの対処を見てきました。うまくいけば、活き活きとストレサーと向き合い、むしろ自分の力に変えることができると思います。

一方で、ストレサーが大きすぎて、コーピングでは対処できないこともあります。場合によっては、心療内科、福祉的な制度、医療の力を借りることもとても大事です。以下関連動画を載せたので参考にしてみてください。

*心療内科の話
心療内科に行こうか迷った場合に下記で基本的な知識を抑えてみてください。

*適応障害
ストレスが大きい時期になりやすい適応障害について解説しました。

*ストレスフルで使える制度,心理学

コロナウイルスの際に作成した対応動画です。ストレス理論でも使えます。総合的な対策を理解したい方はご覧ください。

診断とチェック

現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。症状が重たいか軽いかによって、対応が異なりますので、一度診断してみることをお勧めします。

ストレス診断

 

最後に30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち公認心理師・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
R.S.ラザルス(1990)ストレスとコーピング-ラザルス理論への招待 星和書店 p19
内閣府・警察庁「平成25中における自殺の状況」
Feshback,S. 1955 The drive-reducing function of fantasy behavior. Journal of Abnormal and Social Psychology. 50, 3-11
細田ら(2009)中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 教育心理学研究,57,309-323
甲斐 裕子 永松 俊哉 山口 幸生  徳島 了 (2011)余暇身体活動および通勤時の歩行が勤労者の抑うつに及ぼす影響. 体力研究, 109, 1-8.
Baumeister,R.F.(1984)Choking under pressure : Selfconsciousness and paradoxical effects of incentives on skillfull preformance. J.Pers. Soc. Psychol.,46:610-620
厚生労働省 労働者健康状況調査 平成24年