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HSPとは?診断,チェック,向いている仕事

HSPとは?診断,チェック,向いている仕事

はじめまして!臨床心理士の加賀,公認心理師の川島です。今回のテーマは
「HSP,ハイリーセンシィティブパーソン」
です。


対象となる悩み
・HSPかもしれない…
・感覚が強すぎる
・小さな事が気になる

  • 全体の目次
  • 入門①HSPとは何か?
  • 入門②簡易診断,チェック
  • 入門③精神疾患,身体症状
  • 入門④芸術がカギ
  • 発展-HSPと脳の仕組み
  • 助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、HSPの基礎と対策知ることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。 

入門① HSPとは?

HSPとは、Aron&Aronによって提唱された概念で、Highly Sensitive Personの略称です。人口の約10%~15%存在するという研究もあります。

HSPは、90年代はじめに、Aron&Aron(1997)が提唱した概念です。HSPの特徴として、刺激に対して反応しやすく、音や人の感情への感受性が非常に強いことがわかっています。

HSP

先天的な気質なので、根本的に修正することは難しいと考えられていますが、心理療法などでうまく付き合うことは可能だと言えます。

*講師の視点 HSPはここ5年間、比較的新しい概念として臨床現場でたくさん耳にするようになりました。HSPには「芸術性の高さ」「共感性の強さ」という長所としての研究もあり、専門家の中でも話題になっています。

入門② HSPチェック,簡易診断

HSPの特徴をより詳しく見ていきましょう。Aron&Aron(1997)は、HSPの特徴を次のように説明しています。

自分自身に当てはまるか?チェックしながら見てみてください(簡易診断は、他の文献なども参考に作成しました)。

診断チェック①,思考の深さ

HSPの人は、知識が豊富で物事をさまざまな面から深く考えて行動する傾向にあります。いろいろなことを考えてから行動するので、人よりスロースタートなことが多くなります。

たとえば、
・一を聞いて十のことを想像する
・知識の広さを周りに驚かれる
・考えてから動く
・衝動的な言動が少ない

HSPの特徴

診断チェック②,五感の鋭さ

HSPの人は、さまざまな感覚に対して敏感な傾向にあります。感覚とは、視覚、聴覚、嗅覚、皮膚感覚など体の器官で感じ取る感覚です。

たとえば、
・肌着のタグなど苦痛で我慢できない
・貧乏ゆすりなど目に入るとイライラする
・機械音や小さな時計の音が気になる
・ちょっとしたくしゃみなど気になる

HSPの特徴音に敏感

診断チェック③,芸術面への感受性

HSPの人は、他の人が気が付かないような、芸術的な感覚を持っていることがあります。

・繊細な香りの違いも分かる
・芸術鑑賞が好きである
・作者の小さな工夫も感じ取る
・細かく繊細な表現が好きだ

診断チェック④,共感性の高さ

HSPの人は、他者からの刺激にも敏感な傾向にあります。他人の気持ちや感情を汲み取ることが得意で、共感能力が高いという特徴があります。

たとえば、
・人が怒られていると自分のことのように感じる
・幼児や動物の気持ちも察することが得意
・映画や本などの登場人物に感情移入しやすい
・感動するシーンで人よりも涙がでる

HSPの特徴感情移入しやすい

いかがでしたでしょうか?以上の特徴にたくさん当てはまる方はHSP傾向があるかもしれません。

*講師の視点 HSPは病名ではなく、気質の分類となります。ただし、もしHSP傾向が高いと感じたら、不眠や強迫神経症という症状につながる可能性があるので注意が必要です。

入門③ 精神疾患,身体症状

・精神疾患のリスク
・身体症状のリスク
・コミュニケーションのリスク

これら3つの問題に関して、症例を交えて紹介してきます。

症例1精神疾患のリスク

HSP傾向の高校生Aさんは、成績が良いにもかかわらず、進路選択のことを考えると気分や感情が落ち込んで不安が強まってしまいます。HSP傾向の例

わずかな情報からさまざまな可能性考えすぎてしまうので、リスクについても深く考えてしまう癖があります。HSPと抑うつや不安には、正の相関が認められており、不適応のリスクが高まります。

症例2:身体症状のリスク

HSP傾向の主婦Bさんは、寒暖差に弱く、家事やパートが少し忙しくなるとすぐに体調を崩してしまいます。

HSP傾向がある主婦の例

刺激への敏感さが高いほどに身体的な敏感さも高く、それが症状として出やすいことが知られています。

これまでの研究でHSP傾向が高いほど、胃痛、下痢、胸やけ、のどの痛みなど身体的症状の頻度が高いことがわかっています(Benham, 2006)。

症例3:コミュニケーションのリスク

HSP傾向の大学生Cさんは、普段から口数が少ないため友達も少なく、自分は、コミュ障だと悩んでいます。

コミュ障と悩む大学生

他人の影響(言動、感情)を受けやすいほか、空気を読むのが得意すぎるが故に一言を口に出すにも考えすぎてしまい逆にコミュニケーションが苦手だと思いこんでしまうことがあります。

HSPが引き起こす問題は大小さまざまありますが、ストレスを抱え込みすぎると考えすぎる特徴故に深刻な事態に至ることもあります。

これまでその問題の解決法などたくさん研究されてきました。その研究をご紹介します!

入門④,研究1,敏感さを使って適応する

赤城・中村(2017)の研究では、HSP傾向の人のソーシャルスキルと精神的回復力について514名の大学生を対象に検討しました。調査によって以下の3グループに分けられました。

①一般グループ
一般的な感覚があるグループ

②HSP 感覚不快+順応的敏感
感覚が鋭く、大きな音などが苦手
芸術など豊かな内面がある

③HSP 感覚不快のみ
感覚が鋭く、大きな音などが苦手

HSPはソーシャルスキルが低い傾向

まずは「ソーシャルスキル」の結果です。ソーシャルスキルとは、挨拶や人とのコミュニケーションなど社会の中で生きていくために必要なスキルのことです。

HSPの敏感さを活用する

各グループのソーシャルスキルを比較したところ、以下のことが分かりました。

1:一般グループと比較して
 HSP者は有意にソーシャルスキルが低い。

2:HSP者であっても順応的敏感さが
 高ければ一般グループと
 同等のソーシャルスキルである。

HSPは回復力が低い

つづいて「精神的回復力」の結果です。

HSPの敏感さを活用する

各グループの精神的回復力を比較したところ、以下のことが分かりました。

1:一般グループと比較して
 HSP者は有意に
 精神的回復力が低い。

2:HSP者であっても
 順応的敏感さが高ければ
 一般グループと同等の精神的回復力である。

この結果から、HSPの人は、一般グループの人と比較すると、ソーシャルスキルや精神的回復力が低いのですが、芸術的な思考など内面的に豊かである、順応的敏感さが高ければHSP傾向をカバーできることがわかりました。

赤城・中村の主張

赤城・中村(2017)では、HSP傾向のある人は順応的敏感さを生かしていくことでより適応しやすいのではないかと解釈しています。

たとえば、
・気持ちや感情を表現するため
 文章や絵に描いて伝える。

・落ち着かない時に写真集を眺めたり、
 ゆったりしたり音楽を聴く。

・悲しいときは泣ける映画を
 見て思いっきり感情を発散する。

などが相手とのコミュニケーションや自分自身のストレスをコントロールするときに役立つと考えられます。

入門④,研究2美的感受性がカギ

高橋・熊野(2019)の研究では、HSPと美的感受性との関連について、大学生578名を対象に質問紙調査によって明らかにしました。

美的感受性とは、繊細な刺激や感覚を感じ取ることができる感性のことを言います。

美的感受性が高い

まずは「HSPと美的感受性」の結果を見ていきましょう。

HSPと美的感受性の結果

調査では、HSP傾向にある人は美的感受性が高いことがわかりました。HSPから考えると、納得ができる結果と言えそうです。

美的感受性は特定不安を下げる

つづいて以下の図は「美的感受性と特性不安」の結果です。特定不安とは、もともとの不安のなりやすさのことです。美的感受性が高いと、特性不安が下がることがわかります。

美的感受性と特性不安

こちらは「美的感受性と精神的健康」の関係です。美的感受性が高いことは、精神的健康を高めることもわかりました。


美的感受性は精神的健康を高める

高橋・熊野の主張

高橋・熊野(2019)は、美的感受性を生かすことが不安を減らし、結果的に精神的健康を上げることにつながるのではないかと解釈しています。

たとえば、
・一日の終わりに
 良かったことをたくさん見つける

・人の良いところや
 親切にしてくれたことを積極的に見つける。

・読書や芸術鑑賞で
 感じることを書き …..留める。

以上のように自分自身の繊細な感性を生かして新たな視点で物事を見ることや振り返ることでポジティブな面に気づけるようになるでしょう。

今まではその繊細さが不安やネガティブ思考に偏っていたかもしれませんが、ポジティブな面にも気づいていくことで思考や感覚のバランスが良くなることが考えられます。

入門まとめ ここまでHSPの簡易診断、心理面の長所,注意点を紹介してきました。HSPの方は感受性が豊かであるが故、様々なことに気が付きます。うまく付き合いながら是非、自分の長所として、芸術面や、日々の活動に活かしてほしいなと感じています。

ここから先は発展編となります。興味があるタイトルがありましたら、クリックして理解を深めてみてくださいね♪

HSPに向いている仕事を解説しました♪良かったら参考にしてみてください。

マインドフルネス療法

神経質な気持ちは自分を客観視する訓練でうまく付き合うことができます。マインドフルネス療法を参考にしてみてください。

・神経質な感覚にとらわれる
・うまく付き合えるようになりたい

認知行動療法

HSPで悩む方は、思考が極端、感情に巻き込まれやすいという特徴があります。これらの問題は認知行動療法で改善が可能です。認知行動療法に興味がある方は下記動画を参照ください。

・極端な思考になってつらい
・現実的に考えられるようになりたい

HSPの人は、なぜ刺激に敏感なのか?それは、脳機能にあると言われています。

HSPの人は、非HSPの人と比較しては脳が過剰に活性化することで敏感になっていると言われています。その活性化する脳の部分は、

・黒質/腹側被蓋野
情報処理にかかわる

HSP脳機能,黒質/腹側被蓋野

・島
感覚や情動

HSP脳機能,島

・背外側前頭前野
記憶や注意など

HSP脳機能,背外側前頭前野

以上の脳部位の強い活性化が認められることがわかっています(Acevedo et al., 2017)。

HSPの人は、刺激を処理する脳の部分が非HSPの人よりも忙しく働き、また記憶や感情もより豊かに動きます。

そのため刺激への敏感さを引き起こし、他人との些細な出来事を深く考え記憶に残りやすいと考えられます。

 

症状を改善して悩みを解消

「HSP」コラムでは、HSPとは何か?国内外で分かっているHSPについての研究結果などを解説してきました。

HSPは年々注目度が高くなってきた問題のひとつです。しかし、悪いことばかりでなく、強味として生かすことで自分の長所に変えることもできます。

自分はHSPに当てはまると感じる人は、まず自分の特徴を理解することから始めてみることをおすすめします。

コラムを読み終えて「明日から何かひとつやってみよう」と思って頂けると嬉しいです。また、ご紹介した解決方法を実践する中で、あなたが悩んでいた問題が少しずつ解消されることを実感して頂けたら幸いです。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・過敏な考えをほぐす練習
・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・自分の長所を発見するワーク

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・Acevedo, B. P., Aron, E. N., Aron, A., Sangster, M. D., Collins, N., & Brown, L. L. (2014). The highly sensitive brain: an fMRI study of sensory processing sensitivity and response to others’ emotions. Brain and behavior, 4(4), 580-594.
・Aron, A., Melinat, E., Aron, E. N., Vallone, R. D., & Bator, R. J. (1997). The experimental generation of interpersonal closeness: A procedure and some preliminary findings. Personality and Social Psychology Bulletin, 23(4), 363-377.
・Acevedo, Bianca, et al. “The functional highly sensitive brain: a review of the brain circuits underlying sensory processing sensitivity and seemingly related disorders.” Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences 373.1744 (2018): 20170161.
・赤城知里, & 中村真理. (2017). 感覚処理感受性とソーシャルスキル, 精神的回復力の関連性の検討. 東京成徳大学大学院心理学研究科臨床心理学研究 Bulletin of clinical psychology, (17), 59-67.
・Benham, G. (2006). The highly sensitive person: Stress and physical symptom reports. Personality and individual differences, 40(7), 1433-1440.
・Liss, M., Timmel, L., Baxley, K., & Killingsworth, P. (2005). Sensory processing sensitivity and its relation to parental bonding, anxiety, and depression. Personality and individual differences, 39(8), 1429-1439.
・Lucker, J. R., & Doman, A. (2015). Neural mechanisms involved in hypersensitive hearing: helping children with ASD who are overly sensitive to sounds. Autism research and treatment, 2015.
・髙橋亜希. (2016). Highly Sensitive Person Scale 日本版 (HSPS-J19) の作成. 感情心理学研究, 23(2), 68-77.
・髙橋徹, & 熊野宏昭. (2019). 日本在住の青年における感覚処理感受性と心身の不適応の関連―重回帰分析による感覚処理感受性の下位因子ごとの検討―. 人間科学研究, 32(2), 235-243.