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自己効力感の意味

自己効力感の意味・定義を分かりやすく解説②

コラム①では、自己効力感について概観していきました。繰り返しになりますが、軽くおさらいしていきましょう。

今回は、自己効力感の意味や定義について解説していきます。

自己効力感とは?

自己効力感の定義は複数存在し、すべて挙げることが難しいです。そこで今回は以下の2つの定義に絞って見ていきましょう。

定義1.坂野ら(1986)によると、

“ある状況において,
 ある結果を達成するために必要な行動を
 自分がうまくできるかどうかの
 予期のことである”

定義2.心理学辞典(1990)によると、

”自分が行為の主体であると確信していること、自分の行為について自分がきちんと統制しているという信念、自分が外部からの要請にきちんと対応しているという確信”

2つの定義少し難しいですね。もう少し噛み砕くと、「私にはできる!と考える程度」と解釈していいでしょう。「私ならできる!と考えること」=「自己効力感がある」といえるのです。専門領域ではセルフ・エフィカシー(self-efficacy)と言ったりもします。

行動主義と社会的学習理論

自己効力感は、1977年、心理学者のバンデューラが提唱した「社会的学習理論(Bandura, 1977)」における中心的な概念の一つです。

・行動主義とは?

バンデューラが活躍する一つ前の世代では、「行動主義」がとても流行っていました。行動主義とは、簡単に言うと、人間は直接的な報酬によって、行動が決まってくるという考え方です。

例えば、私たちは働くとお金をもらうことができますね。これは働くことによってお金をもらえるから人間は働くんだ!と解釈してきます。

・社会的学習理論

これに対してバンデューラは、それまで主流だった人間を行動の視点から研究する「行動主義」を否定し、「行動」や「環境」「刺激」「個人的要素」などが相互に関連しているという立場を取っています。

その中でも、個人的要素の認知の働きを重要視しており、自己効力感を中核とした社会的学習理論を構築していきました。

例えば私たちは、お金のためだけに仕事をしているわけではないですよね。そこには、達成感であったり、手ごたえであったり、様々な要素があり働くのです。バンデューラはこのように社会的学習理論を提唱して、人間の行動の多様性を考えるきっかけになったのです。

結果予期・効力予期

バンデューラは自己効力感の要素について以下の2つの概念を挙げています。

1.結果予期(Outcome Expectation)
ある行動がある結果を生み出すという推測のこと。例えば、1か月、毎日50回腕立てをすれば、筋肉がつくぞ!という結果の予測を意味します。

2.効力予期(Efficacy Expectation)
ある結果を生み出すために必要な行動をうまく行うことが出来るという確信のこと。私なら腕立て伏せを1か月毎日できる!という予測を意味します。

このように自己効力感とは、どんな結果が待っているか?自分がそれを実際に達成できるか?この2点が影響しているのです。

自尊心・自己肯定感との違い

自己効力感とよく似た概念に「自尊心」「自己肯定感」というものがあります。一見すると、どれも同じに見えますが、心理学的な意味としては大きく異なります。まず、この2つのそれぞれの意味を見ていきましょう。

・自尊心
ありのままの自己を尊重し受け入れる態度

・自己肯定感
自分自身のあり方を肯定的に思う気持ち

自尊心は自分を「好き」「嫌い」という評価をせずに、ありのままの自分を認めるという態度ですね。そのため、自己効力感の「自分はできる!」という感覚とは異なります。

そして、自己肯定感は簡単いえば、「自分のことが好き!」という気持ちになりますが、自己効力感は「良い結果を残すために適切な行動をとることができる」という確信なので、これも同じとは言えません。

このように、自己効力感と同じにされがちな概念でもそれぞれ違いがありますので、この点は頭にとどめておきましょう。

自己効力感の意味を理解!

自己効力感の意味や定義についてご理解いただけましたか。正式な定義を知っておくことで、誤解なく適切に高めていくことができます。

自己効力感というと、「自尊心」と同じ意味合いで考える人が多いですが、実際は似て非なるものです。こうした類似する概念と混同しないよう知識として備えていきましょう。

次回は、自己効力感の心理学研究について見ていきます。次回もお楽しみに!

★自己効力感は「私ならできる!」という感覚

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目次

①自己効力感高める方法-概観
②意味・定義を分かりやすく解説
③心理的影響!メンタルへルスが安定
④自己効力感と「フロー心理学」とは
⑤高める方法を解説「スモールステップ」
⑥「小さないいね→自信変換法」とは
⑦自己効力感の上げ方「社会的サポート」
⑧自己効力感診断とチェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Bandura, A. 1977 Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84, 191-215.
坂野雄二・東條光彦 1986 一般性セルフ・エフィカシー尺度作成の試み 行動療法研究, 12, 73-82.
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣