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ストレスを内側から改善する

ストレスを内側から改善する「身体的コーピング」⑬

コラム⑫では、ストレス原因と症状に対処する「ソーシャルサポート」について解説していきました。一人で抱え込まず、周囲から得られるサポートを増やしていきましょう。

今回は、ストレスの症状に対処方法の5つ目「身体的コーピング」についてご紹介します。

無気力症候群と生活リズムの関係ストレスを感じている時は体が疲れており、運動することや外出することが億劫になりがちです。感情と身体は密接に関連しています。

ストレスに対処するためには、こうした身体と悲しみがどのように関係しているのかを知ることも大切です。

体と感情のメカニズム・ジェームズ=ランゲ説

体と感情のメカニズムにはいくつかの説があります。そのうち、ジェームズ=ランゲ説は「身体の変化が感情を引き起こす」という説です。

食欲が落ちたり、睡眠不足など身体の反応が起きた結果、人は悲しいと感じるというメカニズムです。

平たく言うと、“体が訛っているからストレスを感じるのだ”ということになります。ジェームズ=ランゲ説はやや強引な理論と感じた方も多いと思います。ただ、やはり体と心は連動しているので、私は参考にはなると考えています。もう少し実感しやすく説明しますと、

「体の調子が良い、食生活が安定、睡眠バッチリな時」
          ↕
「運動習慣ゼロ、冷凍食品が3日連続続いた、3時間睡眠」

どちらがストレスが大きくなりそうでしょうか。おそらく後者の体が万全ではない時でしょう。体と心は連動していますので、心のあり方だけでなく、体の面からのアプローチも一定程度有効であると考えるといいでしょう。

*自殺の理由

自殺の理由の1位は「健康問題」であることがわかっています。その中でも心理的な問題以外を理由に自殺する人も多く、体の不調は自殺率の理由の1位と言える状況になっています。体の不調が生きる気力を減退させているとも言えるでしょう。

ホメオスタシスと無気力

体の変化がストレスにつながる例をもう1つ挙げます。私たちが日常生活を送るにはには身体の中の神経やホルモンや神経へ命令を送る神経伝達物質などがバランスをとっています。

それは睡眠時も同様です。身体の中でそのような釣り合いをとっているからこそ、ゆっくりと体を休め活動するためのエネルギーを蓄えることができます。

このように身体のさまざまな部分でバランスをとることを「ホメオスタシス」と呼びます。この釣り合いが崩れることで、思ったように身体が動かなかったり、無気力になることがあります。その他にも頭痛やめまい、イライラしたりといったストレス症状も出ることがあります

神経やホルモン(や神経伝達物質)の乱れが原因でそのような症状が出る場合、起立性調節性障害や慢性疲労症候群などに診断されることがあります。起立性調節性障害は小児〜思春期に多いとされています。

つまり、ストレスフルな状態の克服には、生活リズムの改善が欠かせないのです。

無気力症候群の対処法

①睡眠をしっかり

生活リズムの改善でもっとも重要なのは、「睡眠をしっかりとる」ということです。当たり前に思えますが、なかなか難しいことではありますよね。

決まった時間に寝て、決まった時間に起きることは、生活リズムを整える上で理想的ですが、仕事の都合のなどで実現できないかもしれません。そんな方は、できるかぎり「睡眠時間を確保」するようにしましょう。

睡眠中に分泌される脳内物質の中には、ストレス低減と関係が深い「セロトニン」「ドーパミン」などが含まれています。そのため、睡眠不足や不規則な睡眠によってこれらの脳内物質があまり分泌されないと、日中にやる気が起きずストレスを感じるというメカニズムができあがってしまいます。

睡眠時間を確保する事は、次の日の体調を整えるため大変効果がストレスを改善してくれるのです。日光を浴びて無気力症候群に対処

②日光を浴びる

いざ横になっても、なかなか寝つけない人もいるかと思います。そこで、おススメなのが「日光を浴びる」という方法です。

以下は、厚生労働省(2008)が各都道府県のうつ病患者数の統計を出したものです。赤いほど患者数が多く、青いほど患者数が少ない事を表しています。

 

うつ病患者数 [ 2008年第一位 北海道 ]の都道府県別ランキング

上図の通り、北海道が一番うつ病の患者数が多いことが分かります。この原因は、雪が多いため日射量が少なく、十分に日光を浴びることができないためと考えられています。

睡眠ホルモンの代名詞として「メラトニン」という物質があります。これは年齢とともに低下していきます。しかし、日中に太陽の光を充分に浴びることで、夜間のメラトニン分泌が促進され、寝つきがよくなるのです。

また、メラトニンは暗くなると分泌が高まり、明るくなると抑えられるという性質があります。そのため、朝日を浴びることで、すっきりと目覚めることができ、体内のリズムも整います。

③軽度な運動を習慣に

*運動不足とメンタルヘルスについて動画を作成しました。

*監修の川島(精神保健福祉士)が解説しています。
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運動と抑うつの関係について、あるIT企業の社員を調査した研究があります。甲斐(2011)は、IT 関連企業 の従業員2952名に対して、1週間にどのくらいの運動をしているかで、1年後の抑うつのなりやすさを調査しました。

下記の図をご覧ください。余暇時間に運動をする時間が1週間当たり「0分」の人たちを基準として、1週間に運動する時間が「135分未満の人たちと135分以上運動する人たち」とを比較しました。

無気力 対処法

その結果、135分以上運動している人たちに比べて、135分未満の人たちうつ病のなりやすさが2倍以上に上ることが分かりました。

この研究から、日々の生活の中に運動習慣をつくることで、抑うつのリスクを減らすことができると考えられます。週に2時間以上、というと少し大変かもしれませんが、運動する習慣がメンタルヘルスにもよい効果をもたらすのです。

ストレスフルなときはなかなか運動する気分になれない思います。ただ、じっとしていると体がなまってしまい余計にストレスが造花ていきます。近所の川を散歩する、街を散策する、ストレッチをする、ヨガに行くなど、体の健康を維持するように気をつけましょう。単純に運動をするだけでも、わりと気力がみなぎってくることを実感できるでしょう。

内側からストレスを改善!

体の面からストレスにアプローチする身体的コーピングの方法をご紹介しました。いかがでしたか。不規則な生活を送っている…最近身体が目覚めが悪い…など感じる方は少しだけでもよいので意識してみてください。

いきなり生活をリズムを整えるのは難しいかもしれませんが、まずは「起きる時間を決める」「歩数を増やしてみる」など、できることから始めてストレスの改善を目指していきましょう。

次回は、ストレス症状の原因の対処方法6つめ「気晴らし型コーピング」について解説していきます。

★ 身体的コーピングは3つのコツでストレス改善!

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目次

①原因と症状を知ろう-概観
②ラザルスのストレス理論
③ストレッサー」の意味と種類
④考え方が原因「一次評価」とは
⑤対処行動を考える「二次評価」
⑥対処方法「コーピングスキル」
⑦種類!短期・長期のストレス反応
⑧ストレス診断とチェック!
⑨問題解決型コーピング
⑩情動焦点型コーピング
⑪症状の原因「認知のゆがみ」
⑫ソーシャルサポートを得よう
⑬身体的コーピング
⑭気晴らし型コーピング

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・子どものめまい:小児起立性調節障害を中心に 田中 英高
・「慢性疲労症候群」(Chronic Fatigue Syndrome ; CFS)について 関西福祉科学大学 倉恒弘彦
・子どもの身体活動と睡眠に関係する研究動 田中良 野井真吾日本体育学会大会予稿集 67(0), 213_2-213_2, 2016
・厚生労働省 患者調査 2008年
・甲斐 裕子 永松 俊哉 山口 幸生  徳島 了 (2011)余暇身体活動および通勤時の歩行が勤労者の抑うつに及ぼす影響. 体力研究, 109, 1-8.