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エゴグラムとは

エゴグラムとは,診断の見方と活かし方

エゴグラムとは、交流分析の5つの自我状態(CP・NP・A・FC・AC)が、それぞれどのくらいの強さで働いているかをグラフに表し、自分の性格の傾向を知るための方法です。バーンの弟子であるデュセイ[1]が考案しました。

みなさんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。

このコラムは「交流分析シリーズ」の2本目です。交流分析の基本や考え方を先に知りたい方は、交流分析とはのコラムからお読みください。

目次は以下の通りです。

目次

①エゴグラムとは何か

エゴグラムは、目に見えない心のエネルギーの配分を、棒グラフや折れ線グラフで見える形にしたものです。まずは、その考え方と、生まれた経緯を確認しましょう。

心のエネルギーの配分

交流分析では、人の心には「親」「成人」「子ども」の3つの自我状態があると考えます。基本の考え方は交流分析とはのコラムで解説しています。

エゴグラムでは、親を2つ、子どもを2つに分けた5つの自我状態について、どれがよく働き、どれがあまり働いていないかを表します。

生まれた経緯

デュセイ[1]は1970年代初め、5つの自我状態の強さを、直感的に棒グラフで表す方法を発表しました。その中で、ある自我状態が強まると、ほかの自我状態が弱まるという「恒常仮説」も示しています。

その後、質問紙に答えて点数を出す方法が作られ、日本でも医療や教育の場で使われるようになりました。無料のエゴグラム診断で、自分のエゴグラムを確かめることもできます。

②5つの自我状態の特徴

5つの自我状態には、それぞれ長所と短所があります。高すぎても低すぎても、生活の中で困りごとにつながることがあります。

親の自我状態(CP・NP)

CP(批判的な親):責任感・ルールを守る
 高すぎると:厳しい・人を責めやすい
NP(養育的な親):思いやり・面倒見
 高すぎると:おせっかい・甘やかし

CPは、理想や良心を大切にし、周りを導く力です。NPは、相手を温かく受け止め、世話をする力です。

成人の自我状態(A)

A(成人):冷静・論理的・計画的
 高すぎると:冷たい・打算的に見える
 低すぎると:感情や思い込みで動きやすい

Aは、事実をもとに判断し、ほかの自我状態のバランスをとる、調整役のような働きをします。

子どもの自我状態(FC・AC)

FC(自由な子ども):明るい・好奇心・創造性
 高すぎると:わがまま・感情的
AC(順応した子ども):協調性・がまん強さ
 高すぎると:遠慮・ため込みやすい

FCは、感情を素直に表し、人生を楽しむ力です。ACは、周りに合わせて協力する力ですが、強すぎると自分の気持ちを抑えすぎてしまうことがあります。

③グラフの見方のコツ

エゴグラムのグラフを見るときは、1つひとつの点数より、全体の形とバランスに注目するのがコツです。ここでは、基本的な見方を紹介します。

いちばん高いところを見る

もっとも高い自我状態は、あなたがふだんよく使っている心のモードです。たとえばNPがもっとも高ければ、人の世話をすることで力を発揮しやすいタイプといえます。

いちばん低いところを見る

もっとも低い自我状態は、あまり使っていない心のモードです。たとえばFCが低い人は、楽しむことや素直に感情を出すことを、後回しにしているのかもしれません。

親と子のバランスを見る

CPとAC、NPとFCのように、親と子どもの自我状態の高さを比べるのも1つの見方です。たとえばCPもACも高い人は、「こうあるべき」という厳しさと、周りに合わせるがまんの両方を抱え、心が疲れやすいことがあります。

Aの高さにも注目する

成人の自我状態(A)は、ほかの自我状態のバランスをとる調整役です。Aが極端に低いと、そのときの感情や「こうあるべき」という思い込みに流されやすくなります。

グラフを見るときは、高い部分や低い部分とあわせて、Aがほかの自我状態とバランスよく働いているかにも目を向けてみましょう。Aを伸ばすことは、ほかの自我状態を上手に使い分けることにもつながります。

④バランスを整える方法

エゴグラムは、性格を決めつけるためのものではなく、心のバランスを整えるためのヒントです。デュセイの恒常仮説では、低い自我状態を伸ばすと、高すぎる自我状態は自然に落ち着いていくと考えます。

低い部分を伸ばす

高すぎる部分を無理に抑えるより、低い部分を伸ばすほうが取り組みやすいとされています。次のような行動から試してみましょう。

NPを伸ばす:相手のよいところをほめる
Aを伸ばす:予定を書き出して整理する
FCを伸ばす:好きなことをする時間をとる
CPを伸ばす:小さな約束を守りきる
ACを伸ばす:相手の意見を最後まで聞く

1つに絞って続ける

一度にすべてを変えようとせず、伸ばしたい自我状態を1つ選び、関係する行動を1〜2週間続けてみましょう。その後もう一度エゴグラムを受けると、変化に気づけることがあります。

⑤人間関係への活かし方

エゴグラムは、自分だけでなく、相手との関わり方を見直すときにも役立ちます。ただし、相手を評価するためではなく、自分の関わり方を工夫するために使うことが大切です。

自分と相手の違いを知る

たとえば、CPが高い上司と、ACが高い部下の組み合わせでは、上司の指示に部下が言い返せず、不満をため込みやすいことがあります。お互いの傾向の違いを知ると、「相手が悪い」のではなく「傾向が違う」と受け止めやすくなります。

自我状態を切り替える

相手とぶつかりそうなときは、自分が今どの自我状態で話しているかに気づき、落ち着いた成人(A)の自我状態に切り替えてみましょう。「事実は何か」「相手は何を求めているか」と考えるだけでも、やりとりが変わります。

人との関わりで得られる心の栄養については、ストローク理論のコラムで解説しています。

⑥診断を使うときの注意

エゴグラムは手軽に受けられる一方で、結果の受け止め方には注意が必要です。安心して活用するためのポイントを確認しておきましょう。

診断ではなくヒント

エゴグラムは、性格や心の病気を診断するテストではありません。特にインターネットの簡易版は質問が少なく、結果の正確さには限界があります。

結果は自分を知るヒントとして受け止めましょう。

他人を決めつけない

家族や同僚の結果を見て、「あなたはACが高いから気が弱い」などと評価するのは避けましょう。心の不調が気になる場合は、エゴグラムの結果で判断せず、医療機関や専門家に相談してください。

⑦よくある質問Q&A

私たちは普段カウンセリングや、教室で以下のような質問を頂きます。回答例も参考にしてみてください。

理想の形はある?

すべての人に当てはまる理想の形はありません。どの自我状態にも長所と短所があり、高いことがよい、低いことが悪いというわけではないからです。たとえば、批判的な親が高い人は責任感が強い一方、厳しすぎると周りが疲れてしまうこともあります。

大切なのは、自分の生活や人間関係で困っていることがある場合に、それと関係していそうな自我状態を見つけ、少しずつ調整していくことです。今のグラフが自分に合っているなら、無理に変える必要はありません。自分の今の状態を知る、という気持ちで気軽に活用してください。

結果が毎回違うのはなぜ?

エゴグラムは、そのときの気分や、仕事や家庭の状況、答えるときに思い浮かべた場面などによって、結果が変わることがあります。また、交流分析では、自我状態のバランスは経験や意識によって変化していくものだと考えます。そのため、結果が違うことは珍しくありません。

1回の結果にこだわるより、何回か受けてみて、いつも高く出る、いつも低く出るといった傾向に注目すると、自分を理解するヒントになります。結果の変化を記録しておくと、自分の成長にも気づきやすくなります。

性格診断として正確?

エゴグラムは、自分の傾向を振り返るためのツールで、性格や心の病気を正確に診断するテストではありません。特に、インターネット上の簡易的なテストは、質問の数が少なく、結果の正確さには限界があります。結果は「自分にはこういう面があるかもしれない」というヒントとして受け止め、決めつけないことが大切です。

心の不調が気になる場合は、エゴグラムの結果で判断せず、医療機関や専門家に相談してください。あくまで自分を振り返るための道具として、上手に活用してください。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した内容は、「ダイコミュ」のコミュニケーション教室で、仲間と実践しながら学ぶことができます。学べる内容は以下のとおりです。

交流分析の基礎
エゴグラムで自分を知る
ストロークの練習
人間関係のクセの見直し

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。まずは体験受講からお試しください。筆者も講師をしています(^^)

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個別レッスン

個別にじっくり学びたい方は、マンツーマンでのレッスンも可能です。オンラインで学べるので全国どこからでもご相談いただけます。講師は国家資格を持つ公認心理師です。ご自身のペースでエゴグラムを深めたい方は、下記をご参照ください。

個別レッスンの詳細はこちら。

シリーズの続きを読む

エゴグラムで見えた人との関わり方を、心の栄養という視点から見直したい方は、こちらのコラムがおすすめです。

③ストローク理論とは,心の栄養の与え方

交流分析の全体像や、3つの自我状態の基本を知りたい方は、シリーズ1本目のコラムをご覧ください。

①交流分析とは,自己理解と対人関係の心理学

シリーズでは他に、子どものころに作られた人生の筋書き人生脚本や、繰り返してしまうやりとり心理ゲームも紹介しています。

他にも数多くの心理療法があります。ご自身の興味やお悩みに合った理論をじっくり探したい方は、一覧から選んでみてください。

心理療法の一覧

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] Dusay, J. M. (1972). Egograms and the “constancy hypothesis.” Transactional Analysis Journal, 2(3), 37-41.
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