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リフレーミングとは

リフレーミングとは,見方を変える家族療法の技法

みなさん、こんにちは。公認心理師、精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。

このコラムは、家族療法シリーズの4本目です。「リフレーミング」をテーマに解説していきます。

リフレーミングとは、出来事そのものは変えずに、その出来事を捉える枠組み(フレーム)を変えて、別の意味を見いだす方法のことです。家族療法の中で技法として発展しましたが、家族療法だけのものではなく、子育てや職場の人間関係、カウンセリング全般など、さまざまな場面で使われています。

今回は、リフレーミングの考え方と、日常で使えるやり方、練習問題を解説します。目次は以下の通りです。

目次

①リフレーミングとは

リフレーミングは、「同じ出来事でも、どの枠組みで見るかによって意味が変わる」という考え方に基づく方法です。まずは、その基本と、よく混同されるポジティブ思考との違いを確認しましょう。

見方の枠組みを変える

同じ絵でも、どんな額縁に入れるかで印象が変わります。リフレーミングは、この額縁(フレーム)を掛け替えるように、出来事を別の枠組みで捉え直す方法です。

家族療法家のワツラウィックら[1]は、リフレーミングを、ある状況の事実はそのままに、その状況を眺める視点を変え、同じ事実に当てはまる別の枠組みに置き直すことで、状況全体の意味を変えることだと説明しています。

家族療法との関係

家族療法では、家族の困りごとを捉え直すために、リフレーミングがよく使われてきました。例えば、子どもの問題行動を「家族の関心を集めて、家族をつなぎとめようとしている」と捉え直すことで、家族が子どもを責めるのをやめ、新しい関わり方を考えやすくなります。

家族療法の全体像は、シリーズ1本目の家族療法の主な治療技法でも紹介しています。

ポジティブ思考との違い

リフレーミングは、「何でも前向きに考えよう」というポジティブ思考とは違います。つらい気持ちを打ち消すのではなく、事実に合った、別の見方の選択肢を増やすことが目的です。

そのため、無理に明るい意味をつける必要はありません。「そういう見方もできるかもしれない」と思える、事実に合った見方を探すことが大切です。

②2つのリフレーミング

日常で使うリフレーミングは、大きく「性格や特徴の捉え直し」と「出来事の意味の捉え直し」の2つに分けると、取り組みやすくなります。

性格や特徴の捉え直し

短所と思っている性格や特徴を、別の場面や角度から見て、長所や持ち味として捉え直す方法です。同じ特徴でも、場面によって役立ったり、困ったりするものです。

心配性 → 慎重で、準備をおこたらない

頑固 → 意志が強く、ぶれない

飽きっぽい → 好奇心が旺盛で、切り替えが早い

人に流されやすい → 協調性があり、柔軟

出来事の意味の捉え直し

うまくいかなかった出来事を、別の時間軸や立場から眺めて、別の意味を見いだす方法です。出来事自体はなかったことにせず、その出来事が持つ、もう一つの意味を探します。

試験に落ちた → 自分に合った勉強法を見直すきっかけ

上司に注意された → 期待されているからこその指摘

雨で遠足が中止 → 家族でゆっくり過ごせる一日

③リフレーミングのやり方

リフレーミングは、ひらめきに頼るのではなく、手順に沿って考えると、誰でも取り組みやすくなります。ここでは、3つのステップと、視点を変えるための問いを紹介します。

3つのステップ

①今の捉え方を、そのまま書き出す

②別の立場・時間・場面から眺めてみる

③事実に合い、しっくりくる言葉を選ぶ

①では、「自分はダメだ」などの言葉も、否定せずにそのまま書きます。③では、いくつか書き出した中から、自分が「確かにそうかもしれない」と思えるものを選びます。しっくりこない言い換えを、無理に信じ込もうとしなくて大丈夫です。

視点を変える3つの問い

②で行き詰まったときは、次の問いを自分に投げかけてみてください。

他の人の立場:信頼できる友人なら、何と言うだろう?

時間の軸:1年後の自分から見たら、どんな意味がある?

場面の軸:この特徴が役に立つのは、どんな場面だろう?

言葉の引き出しを増やす

リフレーミングは、使える言葉の数が多いほど、うまくいきやすくなります。日頃から、人の長所を表す言葉や、出来事の別の見方を、メモしておくのもおすすめです。言い換えの例をたくさん知りたい方は、リフレーミング力をつけるも参考にしてください。

④練習してみよう

ここからは、練習問題に取り組んでみましょう。それぞれの捉え方を、3つのステップでリフレーミングしてみてください。考えた後に、回答例を開いて確認しましょう。

練習1 自分の短所

「私は人前で話すとすぐ緊張してしまう。気が弱くて情けない」

練習1の回答例

緊張するのは、相手にきちんと伝えたい、失礼のないようにしたいという気持ちが強いからとも考えられます。「相手を大切にしようとする、誠実さの表れ」と捉え直すことができます。

また、緊張しやすい人は、事前の準備を丁寧にすることが多いものです。「準備を大切にする慎重さがある」と見ることもできます。

練習2 子どもの行動

「うちの子は、何を言っても『いやだ』と言い返してくる。反抗的で困る」

練習2の回答例

「いやだ」と言えるのは、自分の考えを持ち、それを言葉で表せるようになってきた証拠とも考えられます。「自分の意見を持ち始めた」「自立に向けた練習をしている」と捉え直すことができます。

こう捉えると、「言うことを聞かせる」ことより、「どうしていやなのか、理由を聞いてみる」という関わり方が見えてきます。

練習3 仕事のミス

「大事な書類で計算ミスをして、上司に注意された。もう信頼されないかもしれない」

練習3の回答例

ミスが本番の前に見つかったことで、大きな問題になる前に防げたとも考えられます。「確認の手順を見直すきっかけになった」と捉え直すことができます。

また、上司が注意してくれたのは、今後も一緒に仕事をしていくことを前提にしているからとも言えます。1年後の自分から見れば、「確認の習慣が身についたきっかけ」になっているかもしれません。

⑤家族や子育てで使う

リフレーミングは、家族や子育ての場面で特に役立ちます。相手の見方が変わると、責める言葉が減り、関わり方そのものが変わりやすくなるからです。

子どもへの声かけに使う

子どもが自分の短所を気にしているときは、別の見方を言葉にして伝えます。例えば、「のんびりしていてダメだ」と落ち込む子には、「あなたは、ていねいに物事に取り組めるんだね」と伝えてみましょう。子どもは、自分の特徴を受け入れやすくなります。

家族の困りごとに使う

家族の困りごとも、捉え直すことで、関わり方が変わります。例えば、「夫は家事に口うるさい」を「家のことをよく気にかけている」と捉えると、「じゃあ、この部分をお願いできる?」と、協力を頼むきっかけにすることができます。

押しつけないコツ

相手がつらい気持ちを話しているときに、すぐ「でも、良い面もあるよ」と言い換えると、「分かってもらえない」と感じさせてしまいます。まずは「それはつらかったね」と気持ちを受け止め、相手が少し落ち着いてから、別の見方をそっと提案するのがコツです。

⑥取り組むときの注意

リフレーミングは役に立つ方法ですが、使い方によっては、つらさを抱えた人をさらに追い詰めてしまうことがあります。次の2点に注意しましょう。

つらさを否定しない

強い落ち込みが続いているときに、無理に前向きな意味を探そうとすると、「前向きに考えられない自分はダメだ」と、かえって自分を責めてしまうことがあります。気分の落ち込みが2週間以上続く、眠れない、消えてしまいたい気持ちがある、といった場合は、リフレーミングで乗り切ろうとせず、医療機関や専門家に相談してください。

危険な状況を美化しない

暴力やハラスメント、虐待などを、「愛情の裏返し」「自分のためを思ってくれている」とリフレーミングしてはいけません。こうした捉え直しは、危険な状況から抜け出すことを難しくします。身の安全に関わる場合は、配偶者暴力相談支援センターや警察、社内の相談窓口などに相談してください。

⑦よくある質問Q&A

私たちは普段カウンセリングや、教室で以下のような質問を頂きます。回答例も参考にしてみてください。

前向きに考えられない時はどうすれば?

無理に前向きに考えなくて大丈夫です。リフレーミングは、つらい気持ちを打ち消すための方法ではありません。気持ちが落ち込んでいるときは、まず「今はつらいんだな」と、自分の気持ちをそのまま認めることが先です。少し落ち着いてから、「そういう見方もあるかもしれない」と思える程度の言い換えを探してみてください。つらい気持ちを誰かに話すだけでも、少しずつ別の見方が浮かびやすくなることがあります。それでも難しい日が続く場合は、一人で抱えず、身近な人や専門家に相談してくださいね。

ただの言葉遊びになりませんか?

大切なのは、事実に合った見方を選ぶことです。事実とかけ離れた言い換えは、おっしゃる通り言葉遊びになり、自分でも信じられません。例えば、「人前で緊張する」を「相手を大切にしたい気持ちが強い」と捉え直すのは、多くの場合、事実に合っています。いくつか言い換えを書き出し、「確かにそうかもしれない」と思えるものだけを選んでください。信頼できる友人に「私のこの特徴、どう見える?」と聞いてみると、自分では思いつかない、事実に合った見方が見つかることもあります。見方が変わると、次にとる行動も変わってくるはずです。

子どもにも使えますか?

はい、子育てでもとても役立ちます。例えば、「落ち着きがない」を「好奇心が強く、エネルギーにあふれている」と捉え直すと、叱る場面が減り、その子の良さを生かす関わり方が見えてきます。また、子どもが自分の短所を気にしているときに、別の見方を言葉にして伝えることもできます。親が自分自身の子育てを「失敗した」と捉えているときにも、「それだけ真剣に向き合ってきた証拠」と捉え直してみると、気持ちが少し軽くなるはずです。ただし、子どもがつらさを話しているときは、すぐに言い換えず、まず「つらかったね」と気持ちを受け止めてあげてください。

⑧まとめ

リフレーミングは、出来事の事実はそのままに、捉え方の枠組みを変えて、別の意味を見いだす方法です。無理に前向きになるのではなく、事実に合った見方の選択肢を増やすことが目的です。

今回のポイント

事実は変えず、見る枠組みを変える

性格の捉え直しと、出来事の意味の捉え直しがある

立場・時間・場面の3つの問いで視点を変える

つらさは否定せず、危険な状況は美化しない

まずは、自分の短所を1つ選んで、3つの問いで捉え直すことから始めてみてください。

シリーズの続き

リフレーミングの土台にある、「問題をやり取りの循環として見る」考え方は、シリーズ5本目で解説しています。

家族療法とは|家族をシステムとして捉える療法

システムズアプローチとは|家族療法の視点

オープンダイアローグとは|対話的アプローチ

円環的因果律とは|誰のせいでもない考え方

しっかり身につけたい方へ

公認心理師、精神保健福祉士など専門家の元で心理療法を学びたい方は、私たちが開催している講座をおすすめしています。内容は以下の通りです。

・家族間の会話の改善

・リフレーミング練習,全体として問題を捉える

・心穏やかに,アンガーマネジメント

・家族関係がよくなる,会話練習

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)

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講座の日程が合わない方や、自分のペースで学びたい方は、個別レッスンのご相談も受け付けています。

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] Watzlawick, P., Weakland, J. H., & Fisch, R. (1974). Change: Principles of problem formation and problem resolution. New York: Norton.
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