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強み(VIA)の発見と活用

強み診断(VIA)とは,発見と活用法

みなさんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。

このコラムは、ポジティブ心理学シリーズの3本目です。今回は、「強み診断(VIA)」を解説していきます。

VIA強み診断とは、ポジティブ心理学の研究にもとづいて、人が持つ24の性格的な強みのうち、自分がどの強みを特に持っているかを調べる質問紙です。ピーターソンとセリグマン[1]がまとめた、強みの分類をもとに作られています。

目次は以下の通りです。

目次

①VIA強み診断とは

VIA強み診断は、自分の「よいところ」を、科学的な分類にもとづいて整理するためのツールです。まずは、強みの分類がどのように作られたのかを確認しましょう。

VIAという名前

VIAは「Values in Action(行動に表れる価値)」の頭文字です。強みを、心の中にある性質としてだけでなく、日常の行動に表れるものとしてとらえる考え方が込められています。

強みの分類の作り方

ピーターソンとセリグマン[1]は、世界のさまざまな宗教や哲学、文化を調べ、時代や地域を超えて大切にされてきた人の長所をまとめました。その結果、6つの美徳と、それを支える24の強みに整理しました。

ポジティブ心理学の全体像は、ポジティブ心理学とはのコラムで解説しています。

②6つの美徳と24の強み

24の強みは、6つの美徳のグループに分けられています。自分に当てはまりそうな強みがあるか、確かめながら読んでみてください。

知恵・勇気・人間性

知恵:創造性・好奇心・判断力
   向学心・大局観
勇気:勇敢さ・忍耐力・誠実さ・熱意
人間性:愛情・親切心・社会的知性

知恵の強みは、新しいことを学び、物事を多面的に考える力です。勇気の強みは、困難があっても前に進む力、人間性の強みは、人と温かい関係を築く力にあたります。

正義・節度・超越性

正義:チームワーク・公平さ・リーダーシップ
節度:寛容さ・謙虚さ・慎重さ・自己調整
超越性:審美眼・感謝・希望
   ユーモア・スピリチュアリティ

正義の強みは、集団の中で公平に協力する力、節度の強みは、行き過ぎを防ぐ力です。超越性の強みは、自分より大きなものとつながり、人生に意味を見いだす力にあたります。

6つの美徳と24の強みの分類

③診断の受け方と読み方

VIA強み診断は、インターネットで無料で受けることができます。ここでは、受け方と、結果を読むときのポイントを紹介します。

診断の受け方

VIA強み診断は、非営利団体のVIA研究所のウェブサイトや、ペンシルバニア大学のポジティブ心理学センターのウェブサイトで受けることができます。日本語にも対応しており、質問に答えると、24の強みが順位づけされて表示されます。

VIA研究所では、10〜17歳の子ども向けの診断も用意されています。

ペンシルバニア大学のテストセンター(日本語)

上位の強みに注目する

結果の上位に出てきた強みのうち、「これこそ自分らしい」と感じられるものは、「特徴的な強み(シグネチャー・ストレングス)」と呼ばれます。上位5つほどを眺め、次の点を確かめてみましょう。

使っていると自分らしいと感じる
使っているとエネルギーがわく
自然と使いたくなる

当てはまるものが多い強みほど、あなたの特徴的な強みである可能性が高いといえます。

④強みを活かす練習

強みは、見つけるだけでなく、日常の中で使ってこそ力を発揮します。ここでは、研究でも使われている練習と、場面ごとの活かし方を紹介します。

強みを新しい方法で使う

特徴的な強みを1つ選び、1週間、毎日いつもとは違う新しい方法で使ってみる練習です。

①特徴的な強みを1つ選ぶ
②新しい使い方を毎日1つ考える
③実際に行動し、感じたことを記録する

たとえば「好奇心」が強みなら、通ったことのない道で帰る、新しい料理に挑戦するなどの使い方が考えられます。

仕事と人間関係で活かす

仕事では、自分の強みを活かせる役割を引き受けたり、苦手な作業を強みの使い方で工夫したりできます。たとえば「ユーモア」が強みの人は、緊張した会議の場をなごませる役割で力を発揮できるかもしれません。

人間関係では、家族や同僚の強みを見つけて、「あなたの〇〇なところに助けられた」と伝えてみましょう。相手の強みに気づく練習にもなります。

チームで強みを共有する

職場のチームや家族で、それぞれが診断を受け、上位の強みを共有してみる方法もあります。お互いの強みを知ると、「この仕事は〇〇さんの強みが活きそうだ」と、役割分担を考えやすくなります。

①各自が上位5つの強みを紹介する
②強みが活きた最近の出来事を話す
③お互いの強みを活かす役割を考える

強みを共有するときは、上位の強みに注目し、下位の強みを指摘し合うことは避けましょう。

⑤効果を調べた研究

強みを活かす練習については、海外と日本の両方で研究が行われています。ここでは代表的な研究を紹介します。

強みを使う練習の効果

セリグマンら(2005)[2]は、インターネットで募った参加者を対象に、いくつかの練習の効果を比べました。その結果、特徴的な強みを1週間、新しい方法で使った人は、幸福感が高まり、抑うつの症状が軽くなる傾向が、6か月後まで続いていました。

ただし、この研究の参加者は、自分から練習に申し込んだ人たちで、効果には個人差があると考えられます。

日本での研究

大竹ら(2005)[3]は、VIA強み診断の日本語版を作成し、日本でも使えるかどうか、その信頼性や妥当性を調べました。日本でも、強みの考え方を使って研究や実践を行うための土台が作られています。

⑥活用するときの注意

VIA強み診断は、自分を前向きに見つめ直すのに役立つツールですが、使い方を誤ると、かえって自分や他人を縛ってしまうことがあります。注意点を確認しておきましょう。

結果で決めつけない

診断の結果は、自分を知るためのヒントであり、性格を決めつけるものではありません。また、下位の強みは弱点という意味ではなく、今はあまり使っていない強みと考えましょう。

他人の結果を見て、「あなたは〇〇がない人だ」と評価する使い方は避けてください。

強みの使いすぎに注意

どんな強みも、使いすぎるとマイナスに働くことがあります。たとえば「誠実さ」が行き過ぎると、融通が利かなくなることもあります。

状況に合わせて、強みの使い方を調整することが大切です。

気分の落ち込みが続いて、自分の強みが何も思い浮かばないときは、無理に探さず、休むことや専門家に相談することを優先してください。

⑦よくある質問Q&A

私たちは普段カウンセリングや、教室で以下のような質問を頂きます。回答例も参考にしてみてください。

結果が当たっていない気がする

診断の結果が自分の感覚と合わないと感じることは、珍しくありません。質問紙の結果は、答えたときの気分や状況にも影響を受けます。また、自分では当たり前すぎて、強みだと気づいていないこともあります。

まずは結果の上位5つを眺め、「確かにそうかもしれない」と思えるものと、そうでないものに分けてみてください。家族や友人に「私のよいところはどこだと思う?」と聞いてみると、新しい気づきが得られることもあります。結果は決めつけではなく、自分を知るヒントとして使いましょう。時間をおいてもう一度受けてみると、変化に気づくこともあります。

下位の強みは弱点?

下位になった強みは、弱点や欠点という意味ではありません。VIA強み診断は、24の強みを自分の中で比べたときの順番を示すもので、他の人と比べた点数ではないからです。下位の強みは、今はあまり使っていない強み、と考えるとよいでしょう。ポジティブ心理学では、弱みを無理に直すよりも、上位の強みを活かすことを大切にします。

ただし、仕事などで必要な場合は、上位の強みを使って下位の強みを補う工夫をしてみてください。自分の得意な方法で、苦手な場面を乗り切る工夫を考えてみましょう。

子どもにも使える?

子ども向けの診断も用意されており、子どもの強みに目を向けるきっかけとして使うことができます。子どもの場合は、診断の結果だけに頼るより、日常の様子の中で「今の、優しかったね」「最後まであきらめなかったね」と、具体的な強みを言葉にして伝えることが大切です。強みを認めてもらう経験は、子どもの自信につながります。

ただし、結果を使って子どもを決めつけたり、ほかの子どもと比べたりしないよう注意してください。子どもの小さな強みを見つけて、認める習慣を大切にしてください。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した内容は、「ダイコミュ」のコミュニケーション教室で、仲間と実践しながら学ぶことができます。学べる内容は以下のとおりです。

ポジティブ心理学の基礎
強みを見つけるワーク
はじめての心理療法
前向きになれる認知行動療法

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。まずは体験受講からお試しください。筆者も講師をしています(^^)

コミュニケーション教室,講座,ダイコミュ

個別レッスン

個別にじっくり学びたい方は、マンツーマンでのレッスンも可能です。オンラインで学べるので全国どこからでもご相談いただけます。講師は国家資格を持つ公認心理師です。ご自身のペースで強みの活かし方を深めたい方は、下記をご参照ください。

個別レッスンの詳細はこちら。

シリーズの続きを読む

強みを活かすことで高まる、幸福の5つの要素について知りたい方は、こちらのコラムがおすすめです。

②PERMA理論とは,幸福の5要素と具体例

ポジティブ心理学の全体像や、3つの良いことの練習について知りたい方は、シリーズ1本目のコラムをご覧ください。

①ポジティブ心理学とは,幸福を科学する心理学

他にも数多くの心理療法があります。ご自身の興味やお悩みに合った理論をじっくり探したい方は、一覧から選んでみてください。

心理療法の一覧

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] Peterson, C., & Seligman, M. E. P. (2004). Character strengths and virtues: A handbook and classification. New York: Oxford University Press / Washington, DC: American Psychological Association.
 
[2] Seligman, M. E. P., Steen, T. A., Park, N., & Peterson, C. (2005). Positive psychology progress: Empirical validation of interventions. American Psychologist, 60(5), 410-421.
 
[3] 大竹 恵子・島井 哲志・池見 陽・宇津木 成介・Peterson, C.・Seligman, M. E. P.(2005). 日本版生き方の原則調査票(VIA-IS:Values in Action Inventory of Strengths)作成の試み 心理学研究, 76(5), 461-467.
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