みなさん、こんにちは。公認心理師、精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。
このコラムは、ストレスマネジメントシリーズの2本目です。「ストレスコーピング」をテーマに解説していきます。
ストレスコーピングとは、ストレスの原因や、それによって生じたつらい気持ちに対処するために行う工夫のことです。心理学者ラザルスのストレス理論の中心となる考え方で、複数のコーピングを使い分けられると、ストレスの多い環境でも柔軟に対処しやすくなります。
今回は、6つのコーピングの特徴と、状況に合わせた選び方、自分だけのコーピングリストの作り方を解説します。目次は以下の通りです。
目次
①ストレスコーピングとは
コーピング(coping)は、英語で「対処する」という意味です。ラザルスとフォルクマン[1]は、コーピングを大きく2つに分けて考えました。
2つの基本のコーピング
問題焦点型:ストレスの原因そのものに働きかけて解決する
情動焦点型:ストレスによって生じた気持ちを和らげる
例えば、仕事量が多くてつらいときに、上司に相談して仕事を減らしてもらうのが問題焦点型、仕事の後に好きな音楽を聴いて気持ちを落ち着けるのが情動焦点型です。
このシリーズでの分け方
当シリーズでは、この2つの基本を、日常で使いやすいように、6つの種類に分けて紹介します。この6分類は、学術的に定められたものではなく、実践しやすさを考えて整理したものです。
②6つのコーピング
ここでは、6つのコーピングそれぞれの特徴と、具体例を紹介します。自分がよく使うもの、あまり使っていないものを確かめながら読んでみてください。
情動焦点型コーピング
気持ちに目を向けて、言葉にしたり表現したりすることで、心を整理する方法です。ため込んだ気持ちを言葉にすると、気持ちが落ち着くことがあります。
日記につらい気持ちを書く
悲しいときは我慢せずに泣く
信頼できる人に気持ちを話す
ただし、怒りを物にぶつけるなど、激しく発散する方法は、かえって怒りを強めることもあります。気持ちを「言葉にする」ことを意識しましょう。関連して、カタルシス効果とは何かも参照してください。
問題焦点型コーピング
ストレスの原因そのものを、直接解決していく方法です。解決できそうな問題には、まずこの方法を考えてみましょう。
仕事の量について上司に相談する
騒音について管理会社に相談する
けんかした友人と話し合う
認知的コーピング
出来事の捉え方を見直して、ストレスを和らげる方法です。例えば、飲み会で一人になったときに「孤立は恥ずかしい」と考える代わりに、「場の雰囲気をゆっくり楽しめる」「次は話題を用意してみよう」と考え方を増やします。詳しくは認知療法を参照してください。
社会的支援コーピング
周りの人に相談したり、助けを求めたりする方法です。家族や友人、同僚、専門家など、頼れる人を思い浮かべておきましょう。詳しくはソーシャルサポートをもらうコツを参照してください。
友人や家族に話を聞いてもらう
詳しい人に助言を求める
カウンセラーに相談する
身体的コーピング
睡眠、運動、食事など、体の調子を整えることで、ストレスへの抵抗力を高める方法です。心と体はつながっているため、体の調子が整うと、心も安定しやすくなります。詳しくは運動や日光浴によるストレス発散法を参照してください。
十分な睡眠をとる
散歩などの適度な運動をする
日光を浴びる
気晴らしコーピング
趣味や好きなことに没頭して、いったん問題から離れる方法です。思いきり気分転換することで、心に余裕が生まれ、問題に向き合う力が戻ってくることがあります。
趣味に没頭する
旅行に出かける
おいしい食事を楽しむ
③コーピングの選び方
コーピングは、状況に合わせて使い分けることが大切です。ここでは、どのコーピングを選べばよいかを考えるための2つの問いを紹介します。
問題を変えられるか
まず、「この問題は、自分の行動で変えられるか」を考えます。変えられる問題であれば、問題焦点型や社会的支援コーピングで、原因に働きかけましょう。
一方、天気や過去の出来事、他人の性格など、自分では変えられない問題には、情動焦点型、認知的、気晴らしなどのコーピングで、気持ちを整えることが役立ちます。
組み合わせて使う
一つのコーピングだけで解決しようとせず、いくつかを組み合わせるのがコツです。例えば、仕事量が多いときは、上司に相談する(問題焦点型)と同時に、夜は早めに寝る(身体的)、週末は趣味を楽しむ(気晴らし)など、複数の方法を同時に使います。
④コーピングリストを作る
自分に合ったコーピングを、あらかじめリストにしておくと、ストレスを感じたときにすぐに使えます。次の手順で作ってみましょう。
リストの作り方
①6つの種類ごとに、自分にできることを書き出す
②すぐにできるもの(5分以内)に印をつける
③お金や時間がかかるものは、別に分けておく
④月に一度見直し、使えたものを残す
リストの例
情動焦点型:寝る前に3行日記を書く
問題焦点型:困ったことを、その日のうちにメモする
認知的:「他にどんな見方がある?」と自分に聞く
社会的支援:週に一度、友人に電話する
身体的:昼休みに10分歩く
気晴らし:好きな音楽を1曲聴く
すぐにできる小さなコーピングを、たくさん持っておくことがポイントです。
⑤場面で考えてみよう
ここでは、2つの場面で、どのコーピングが使えそうかを考えてみましょう。考えた後に、解説を開いて確認してください。
場面1 仕事が終わらない
毎日残業が続き、休日も仕事のことが頭から離れません。上司は忙しそうで、相談しにくいと感じています。
場面2 友人の一言が気になる
友人に何気なく言われた一言が、何日も頭から離れず、もやもやしています。
⑥使うときの注意
コーピングは、使い方によっては、かえって心や体の負担になることもあります。次の2点に注意しましょう。
頼りすぎに注意
お酒、買い物、ゲームなど、一時的に気分を変えるコーピングは、使いすぎると、依存や健康の問題につながることがあります。一つの方法だけに頼らず、複数のコーピングをバランスよく使いましょう。
対処しきれない時は相談を
コーピングを工夫しても、気分の落ち込みや眠れない状態が2週間以上続く場合は、一人で頑張りすぎず、医療機関や相談窓口に相談してください。専門家に相談することも、大切なコーピングの一つです。
⑦よくある質問Q&A
私たちは普段カウンセリングや、教室で以下のような質問を頂きます。回答例も参考にしてみてください。
⑧まとめ
ストレスコーピングは、ストレスの原因や、つらい気持ちに対処するための工夫です。状況に合わせて使い分け、複数の方法を組み合わせることで、ストレスに柔軟に対処しやすくなります。
今回のポイント
基本は、問題焦点型と情動焦点型の2つ
変えられる問題には原因に、変えられない問題には気持ちに働きかける
すぐにできるコーピングをリストにしておく
一つの方法に頼りすぎず、つらい時は相談する
仕上げ動画
動画でも解説しています。仕上げとしてご活用ください。
シリーズの他のコラム
ストレスマネジメントシリーズでは、ストレスのしくみから、対処法、自分の状態をチェックする方法までを解説しています。あわせてご覧ください。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、実際に学ぶことができます。内容は以下のとおりです。
・ストレスコーピングの学習
・ストレスが溜まる依頼を断る練習
・ストレスフリーな人間関係を築く練習
・心が安定する,認知療法の学習
講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
講座の日程が合わない方や、自分のペースで学びたい方は、個別レッスンのご相談も受け付けています。
監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連




