>
>
自己表現タイプ

3つの自己表現タイプとは,自分の伝え方を知

みなさん、こんにちは。公認心理師、精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。

このコラムは、アサーティブコミュニケーションシリーズの6本目です。「3つの自己表現タイプ」をテーマに解説していきます。

3つの自己表現タイプとは、人の自己表現を、自分を優先して相手を軽く扱う「攻撃的」、自分を抑えて相手を優先する「非主張的」、自分も相手も大切にする「アサーティブ」の3つに分けて捉える、アサーションの基本となる考え方のことです。

今回は、3つのタイプの特徴と、自分のタイプを知るチェック、タイプ別の練習法を解説します。目次は以下の通りです。

目次

①3つの自己表現とは

3つの自己表現は、アサーションを学ぶときの出発点となる分類です。平木[1]は、自分と相手のどちらを大切にしているかによって、自己表現を3つに分けて説明しています。

自分と相手のどちらを大切にするか

攻撃的:自分は大切にするが、相手は軽く扱う

非主張的:相手は大切にするが、自分を抑える

アサーティブ:自分も相手も大切にする

タイプは、性格のように決まったものではありません。同じ人でも、家族の前では攻撃的に、職場では非主張的になる、というように、相手や場面によって変わります。

ストレスとの関係

関口ら[2]は、大学1年生175名を対象に調査を行い、アサーティブなタイプの学生は、対人関係のストレスとなる出来事やストレス反応が最も少なく、攻撃的なタイプの学生は最も多かったと報告しています。自分の自己表現のくせを知ることは、人間関係のストレスを減らす第一歩になります。

②3つのタイプの特徴

ここでは、3つのタイプそれぞれの特徴と、よく見られる言葉の例を紹介します。

攻撃的タイプ

自分の考えを優先し、相手の意見を軽く扱う傾向があります。「言い負かす」「命令する」「大声を出す」などの表現をとりやすく、勝ち負けで物事を決めたり、相手を思い通りに動かそうとしたりすることもあります。

その場では自分の意見が通っても、相手との関係が悪くなったり、周りから人が離れていったりしやすいのが特徴です。

言葉の例:「なんでそんなこともできないの?」「いいから言われた通りにして」

攻撃的な自己表現による対人トラブルの一場面

非主張的タイプ

自分の気持ちを抑え、意見を言わずに相手を優先する傾向があります。「嫌われるのでは」「もめごとになるのでは」という不安が強く、本当は嫌なことでも引き受けてしまいがちです。

その場は穏やかに収まっても、不満が心にたまり、疲れや、後から爆発する怒りにつながることがあります。

言葉の例:「いえ、大丈夫です…」「どちらでもいいです」

非主張的な自己表現で萎縮する女性

アサーティブなタイプ

自分の気持ちを、その場にふさわしい方法で伝え、同時に、相手が意見を言うことも大切にします。意見がぶつかったときは、お互いに意見を出し合い、譲ったり譲られたりしながら、双方が納得できる結論を探します。

言葉の例:「私はこう思うんだけど、あなたはどう?」

アサーティブな自己表現で笑顔で会話する男女

③同じ場面で比べる

同じ場面でも、タイプによって言い方は大きく変わります。具体的な場面で、3つの言い方を比べてみましょう。

場面:残業を頼まれた

上司から、定時直前に「悪いけど、これ今日中にお願い」と頼まれました。あなたは今日、大切な予定があります。

3つの言い方の比較

攻撃的:「無理です。いつも急に頼みすぎですよ」

非主張的:「…わかりました」(予定をあきらめて引き受ける)

アサーティブ:「頼っていただいてありがとうございます。今日は外せない予定があるので、明日の朝一番に取りかかってもよいでしょうか」

アサーティブな言い方では、感謝を伝え、自分の状況を説明し、代わりの案を出しています。自分の予定も、上司の困りごとも、どちらも大切にしている言い方です。

④タイプをチェック

自分がどのタイプになりやすいかを、簡単なチェックで確認してみましょう。結果は、性格の診断ではなく、今の自己表現のくせを知るための目安です。

チェック項目

次の質問について、当てはまるものに〇をつけてください。

A項目

相手の長所よりも短所が気になる

否定されるとイライラする

思い通りにならないと言葉が荒くなる

他人のミスに厳しい

人の話をさえぎって話すことがある

B項目

引っ込み思案である

自分に自信がなく、自分にダメ出しが多い

いつも相手の意見に合わせて行動する

相手に認められるために意見を変える

相手に反論されると言い返せなくなる

C項目

正直な気持ちを打ち明けて相談できる

お互いに理解し合おうと努力する

自分の意見を伝えられる

批判にも耳を傾けられる

対立したとき、自分から話し合いを提案する

結果の見方

〇が多かった項目が、あなたのなりやすいタイプの目安です。A項目が多い人は攻撃的、B項目が多い人は非主張的、C項目が多い人はアサーティブな表現をとりやすい傾向があります。

各項目で〇が4〜5個あれば、その傾向がかなり強いと考えられます。より詳しく知りたい方は、アサーティブ度の診断(コミュテスト)も試してみてください。

⑤タイプ別の練習法

自分のタイプが分かったら、タイプに合わせた練習をしてみましょう。小さな場面から少しずつ試すのがコツです。

攻撃的になりやすい人

言いたいことを口にする前に、一呼吸おいて「相手はどう感じるだろう」と考えてみましょう。そして、「あなたは〜だ」ではなく、「私は〜と感じた」と、自分を主語にして伝える練習をします。最後に「あなたはどう思う?」と相手の意見を聞く一言を加えると、アサーティブな表現に近づきます。

非主張的になりやすい人

まずは、「どちらでもいいです」を「私は○○がいいな」に言い換えるところから始めましょう。断るのが苦手な方は、シリーズ2本目の感謝とセット法を使うと、相手への申し訳なさを和らげながら断ることができます。

アサーティブを保つには

アサーティブな人も、疲れているときや、苦手な相手の前では、他のタイプになることがあります。言いにくい場面では、段階を追って伝えるシリーズ7本目のDESC法を使うと、落ち着いて主張しやすくなります。

⑥よくある質問Q&A

私たちは普段カウンセリングや、教室で以下のような質問を頂きます。回答例も参考にしてみてください。

タイプは生まれつき決まっていますか?

いいえ、自己表現のタイプは、生まれつき決まったものではありません。育った環境やこれまでの経験から身についた「くせ」のようなもので、練習によって変えていくことができます。また、同じ人でも、家族の前と職場とでタイプが変わることはよくあります。特に、苦手な相手や疲れている時など、自分のタイプが変わりやすい場面を知っておくと、事前に準備がしやすくなります。チェックの結果は、「自分はこういう場面でこうなりやすい」と知るための目安として使い、少しずつアサーティブな言い方を練習してみてください。

非主張的なのは悪いことですか?

非主張的な表現そのものが悪いわけではありません。相手を思いやる気持ちや、場の空気を大切にする姿勢は、とても大切な力です。ただ、いつも自分の気持ちを抑えていると、不満や疲れがたまり、心身の不調につながることがあります。大切なのは、「言えない」のではなく、「言うか言わないかを自分で選べる」ようになることです。例えば、「私はこう思います」と一言だけ添えるところから始めると、無理なく練習を続けられます。言いたい場面で言える選択肢を増やすために、小さな場面から練習してみましょう。

相手が攻撃的な時はどうすれば?

相手が攻撃的なときに、こちらも強く言い返すと、言い合いになりやすくなります。まずは深呼吸をして、相手の勢いに巻き込まれないようにしましょう。そのうえで、「〇〇と言われて、私は困っています」と、事実と自分の気持ちを落ち着いて伝えます。その場で話すのが難しければ、「少し考えてから返事をさせてください」と時間をとるのも一つの方法です。相手の言葉をすべて受け止める必要はなく、「その言い方は私にはつらいです」と、線を引くことも大切です。暴言やハラスメントが続く場合は、一人で抱えず、相談窓口や信頼できる人に相談してください。

⑦まとめ

3つの自己表現タイプは、自分と相手のどちらを大切にしているかで、自己表現を攻撃的・非主張的・アサーティブに分ける考え方です。タイプは固定されたものではなく、練習によって変えていくことができます。

今回のポイント

攻撃的は自分だけ、非主張的は相手だけを大切にする

アサーティブは、自分も相手も大切にする

タイプは場面や相手によって変わる

タイプに合わせて、小さな場面から練習する

まずは、今日の会話の中で、自分がどのタイプの言い方をしていたかを振り返ってみてください。

シリーズの他のコラム

アサーティブコミュニケーションシリーズでは、基本の考え方から、断り方、研修で使えるワークまでを解説しています。あわせてご覧ください。

アサーティブコミュニケーションとは|基本を解説

断り方のコツ|感謝とセット法

価値観ワークとは|アサーティブトレーニング

断り方の練習法|教師向けアサーティブトレーニング

断りワーク|大人向けアサーティブトレーニング

DESC法とは|アサーティブな伝え方の手順

しっかり身につけたい方へ

アサーティブコミュニケーションは、公認心理師による講座で、実際に学ぶことができます。内容は以下のとおりです。

・アサーション権を学ぼう

・アイメッセージ実践練習

・DESC法,自己主張訓練

・自分を大事に,他人を大事にする

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)

3つの自己表現タイプとは,自分の伝え方を知る,心理学講座

講座の日程が合わない方や、自分のペースで学びたい方は、個別レッスンのご相談も受け付けています。

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
Twitter→
元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
 
[2] 関口 奈保美・三浦 正江・岡安 孝弘(2011). 大学生におけるアサーションと対人ストレスの関連性:自己表現の3タイプに着目して ストレス科学研究, 26, 40-47.
↑