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MBSR(マインドフルネスストレス低減法)とは

MBSRとは,マインドフルネスストレス低減法

みなさんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。

このコラムは、マインドフルネス療法シリーズの9本目です。今回は「MBSR」をテーマに解説していきます。

MBSR(マインドフルネスストレス低減法)とは、1979年にカバット・ジン[1]がアメリカのマサチューセッツ大学医学部で始めた、マインドフルネスを学ぶ8週間のグループプログラムです。

このMBSRは、ストレスや痛み、病気に悩む人が、それらとの付き合い方を学ぶことを目的としています。目次は以下の通りです。

目次

①MBSRとはどんな方法

MBSRは、現在世界中で行われているマインドフルネスのプログラムの原点ともいえる存在です。まずは、生まれた経緯と、MBCTとの違いを確認しましょう。

生まれた経緯

カバット・ジンは、仏教の瞑想に学びながら、宗教色を取り除いた形で医療に応用できないかと考えました。そして、通常の治療だけでは十分に改善しない、慢性的な痛みや病気を抱える患者のためのプログラムとして、MBSRを始めました。

MBSRは、病気を治すことよりも、病気やストレスがある中でも、より穏やかに生きる力を育てることを大切にしています。

MBCTとの違い

MBSRは、ストレスや痛み、病気など、幅広い悩みを持つ人を対象としたプログラムです。一方、マインドフルネス認知療法(MBCT)は、MBSRをもとに、うつ病の再発予防に特化して作られました。

詳しくはMBCTのコラムで解説しています。

MBSR:ストレスや痛みなど幅広い悩み
MBCT:うつ病の再発予防に特化

②プログラムの内容

MBSRは、事前の説明会のあと、週1回2時間半ほどのグループセッションを8回行い、6週目ごろに1日がかりの集中練習を行うのが基本の形です(ドリーベンら)[2]。

グループセッション

セッションでは、指導者の案内で瞑想やヨーガを行い、そのあと参加者同士で体験を話し合います。うまくできたかどうかではなく、「何に気づいたか」を分かち合うことが大切にされます。

ほかの参加者の体験を聞くことで、「つまずいているのは自分だけではない」と感じられることも、グループで行う良さの1つです。

毎日の自宅練習

MBSRでは、セッションのない日も、自宅で毎日45分ほどの練習を行うことが求められます(カバット・ジン)[1]。ガイド音声を使いながら、ボディースキャンや瞑想に取り組みます。

毎日の練習は負担に感じられることもありますが、この積み重ねが、日常の中でマインドフルネスを活かす力につながると考えられています。

③MBSRの主な練習の種類

MBSRでは、いくつかの練習を組み合わせて、少しずつマインドフルネスを身につけていきます。それぞれの練習は、このシリーズの各コラムでも詳しく紹介しています。

体の感覚を観察する練習

最初に取り組むのが、足先から頭まで順番に体の感覚を観察するボディースキャンです。MBSRのすべての練習の土台になるとされています。

また、歩くときの体の動きを観察する歩行瞑想や、ゆっくりとしたヨーガの動きも取り入れられます。

座る瞑想と日常の練習

座って呼吸に注意を向ける瞑想は、マインドフルネス呼吸法が基本になります。慣れてくると、呼吸だけでなく、音や考え、感情にも注意を広げていきます。

さらに、レーズンエクササイズのように、食事や家事などの日常の活動を、マインドフルネスの練習に変える取り組みも行います。

④自宅で試せる練習

MBSRのプログラムに参加しなくても、その考え方を日常で試すことができます。ここでは、取り入れやすい2つの練習を紹介します。

1日1回の短い練習

まずは1日1回、10分ほどの時間をとって、呼吸か体の感覚に注意を向けてみましょう。いきなり45分に挑戦する必要はありません。

①朝か寝る前など、時間を決める
②楽な姿勢で、呼吸か体の感覚を観察する
③それたら気づいて、そっと戻す
④終わったら、気づいたことを一言メモする

うれしい出来事に気づく

MBSRでは、1日の中で「心地よかった出来事」に気づき、そのときの体の感覚や気持ちを書き留める練習も行われます。たとえば、温かいお茶を飲んでほっとした、といった小さな出来事で構いません。

つらいことだけでなく、心地よいことにも注意を向けることで、自分の心の動きをより広く知ることができます。

⑤効果を調べた研究

MBSRについては、始まった当初から、痛みや不安などへの効果を調べる研究が行われてきました。ここでは、最初の研究と、多くの研究をまとめた分析を紹介します。

慢性的な痛みの研究

カバット・ジン(1982)[3]は、通常の治療では十分に改善しなかった慢性的な痛みを持つ患者51名に、10週間のプログラムを行いました。その結果、痛みの感じ方や、気分の落ち込みなどに改善が見られたと報告しています。

ただし、比較のためのグループを設けていない初期の研究であり、結果は効果の可能性を示すものとして読む必要があります。

研究をまとめた分析

ゴヤルら(2014)[4]は、瞑想プログラムに関する47の研究(参加者3,515名)をまとめて分析しました。その結果、マインドフルネスのプログラムには、不安、抑うつ、痛みを和らげる効果について、中程度の根拠があると報告しています。

一方で、ストレスや生活の質などについては、根拠が弱いか不十分とされており、すべての悩みに効果が確かめられているわけではありません。

⑥受けるときの注意点

MBSRは多くの人にとって役立つプログラムですが、時間の負担や、心身の状態によっては注意が必要な場合があります。参加を考えるときのポイントを確認しましょう。

時間と体調の確認

MBSRでは、8週間にわたって毎週のセッションと毎日の練習が求められます。参加する前に、生活の中で時間をとれるかを確認しておきましょう。

慢性的な痛みや病気がある方は、主治医の治療を続けながら参加してください。MBSRは治療の代わりではありません。

心の状態に注意する

つらい出来事の記憶に強く苦しんでいる方や、心の不調で治療を受けている方は、参加前に主治医やプログラムの指導者に相談しましょう。

練習中に強い不安や息苦しさ、自分が自分でないような感覚が出てきたときは、すぐに中断してください。安全に続けるための目安は、マインドフルネスの副作用と安全な実践法のコラムで詳しく解説しています。

⑦よくある質問Q&A

私たちは普段カウンセリングや、教室で以下のような質問を頂きます。回答例も参考にしてみてください。

MBCTとどちらを選ぶ?

MBSRは、ストレスや体の痛み、病気との付き合い方など、幅広い悩みを持つ人を対象としたプログラムです。一方、MBCTは、MBSRをもとに、うつ病の再発予防に特化して作られたプログラムです。

日常のストレスを和らげたい、心と体の健康のためにマインドフルネスを学びたいという方にはMBSRが、うつ病を繰り返し経験し、再発を防ぎたい方にはMBCTが向いています。どちらが合うか迷う場合は、主治医やプログラムの指導者に相談してみてください。自分の目的に合ったプログラムを選ぶことが、続けるための第一歩です。

毎日45分も練習できない

MBSRでは、毎日まとまった時間の自宅練習が求められるため、忙しい方にとっては負担に感じられるかもしれません。ただ、最初から完璧にこなす必要はありません。練習できなかった日があっても、自分を責めずに翌日からまた始めれば大丈夫です。

どうしても時間がとれない場合は、短い時間でも毎日続けることを優先し、指導者に相談しながら調整してください。プログラムに参加する前に、自分の生活の中で時間をとれるかを確認しておくことも大切です。続けること自体を大切にしながら、無理のない形で取り組んでください。

病気の治療の代わりになる?

MBSRは、病気の治療の代わりではありません。カバット・ジンがMBSRを始めたときも、医療の治療を受けながら、ストレスや痛みとの付き合い方を学ぶためのプログラムとして位置づけられていました。慢性的な痛みや病気がある方は、主治医の治療を続けながら、補助的にMBSRを取り入れることを考えてください。

また、体の不調を心の問題と決めつけず、まずは医療機関で体の検査を受けることが大切です。医療とマインドフルネスを上手に組み合わせて、心と体の健康を守っていきましょう。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した内容は、「ダイコミュ」のコミュニケーション教室で、仲間と実践しながら学ぶことができます。学べる内容は以下のとおりです。

マインドフルネスの学習
心が落ち着く呼吸法
はじめての認知行動療法
感情コントロールの練習

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。まずは体験受講からお試しください。筆者も講師をしています(^^)

コミュニケーション教室,講座,ダイコミュ

個別レッスン

個別にじっくり学びたい方は、マンツーマンでのレッスンも可能です。オンラインで学べるので全国どこからでもご相談いただけます。講師は国家資格を持つ公認心理師です。ご自身のペースでマインドフルネスを深めたい方は、下記をご参照ください。

個別レッスンの詳細はこちら。

シリーズの続きを読む

MBSRをもとに、うつ病の再発予防に特化して作られたプログラムについて知りたい方は、こちらのコラムがおすすめです。

⑧MBCTとは,マインドフルネス認知療法

MBSRで最初に取り組む、体の感覚を観察する練習を試してみたい方は、こちらをご覧ください。

③ボディースキャン法とは,身体の観察練習

マインドフルネスの基本となる考え方は、マインドフルネス療法とはのコラムで解説しています。

他にも数多くの心理療法があります。ご自身の興味やお悩みに合った理論をじっくり探したい方は、一覧から選んでみてください。

心理療法の一覧

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] Kabat-Zinn, J. (1990). Full catastrophe living: Using the wisdom of your body and mind to face stress, pain, and illness. New York: Delacorte.
 
[2] Dreeben, S. J., Mamberg, M. H., & Salmon, P. (2013). The MBSR body scan in clinical practice. Mindfulness, 4(4), 394-401.
 
[3] Kabat-Zinn, J. (1982). An outpatient program in behavioral medicine for chronic pain patients based on the practice of mindfulness meditation: Theoretical considerations and preliminary results. General Hospital Psychiatry, 4(1), 33-47.
 
[4] Goyal, M., Singh, S., Sibinga, E. M. S., Gould, N. F., Rowland-Seymour, A., Sharma, R., et al. (2014). Meditation programs for psychological stress and well-being: A systematic review and meta-analysis. JAMA Internal Medicine, 174(3), 357-368.
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