原因帰属理論の意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「原因帰属理論」について解説していきます。

原因帰属理論の意味,まぽ様

目次は以下の通りです。

①原因帰属理論とは何か
②内的要因と外的要因
③ワイナーと原因帰属の発展
④帰属理論と様々な研究

是非最後までご一読ください。

①原因帰属理論とは何か

提唱者

帰属理論をはじめに提唱したのは、フリッツ・ハイダーという心理学者です。ハイダーは1958年に「対人関係の心理学」という本を出版し、帰属理論を世に広めました。ちなみにハイダーの講義は大学では全く人気がなかったようですが、学者の世界では人気で26,000回以上も引用されたとされています。ハイダーの帰属理論はその後、ベルナルド・ワイナー等、複数の研究者によってさらに発展していきました。

ハイダー,帰属理論

 

意味

原因帰属理論は心理学辞典(1999)で帰属理論として次のように定義されています。

身の回りに起こる様々な出来事や、自分や他人の行動について、原因を推測する過程

私たちは意識的・無意識的に、世の中のあらゆる事象について因果関係を把握しています。この原因の帰属のさせ方は個人差があり、心理的に様々な違いが出てくるのです。このような帰属に関する法則性を明らかにするのが帰属理論と言えます。

具体例

原因帰属について身近な例で考えてみましょう。例えば、テストで悪い点数を取った場合、様々な原因の帰属のさせ方があります。そしてその帰属によって行動のあり方も変わっていくのです。

勉強が足りなかったから… → 次はもっと勉強する

地頭が悪い… → 勉強しても無駄と考え遊ぶ

運がわるかった! → 神社に行く

 

②内的要因と外的要因

原因帰属は大きく分けると2つのタイプがあります。

内的帰属

内的帰属とは、結果に対する原因を、自分自身に求めることを意味します。例えば、努力不足、能力の不足、考え方の間違い、工夫が足りない、などが挙げられます。内的要因にする傾向がある方は、問題解決能力を向上しやすく、学校の成績もよい傾向があることがわかっています。一方で自責が強くなるので、過剰になるとメンタルヘルスに悪影響になることもあります。

外的要因

外的帰属とは、結果に対する原因を、運や状況に求めることを意味します。例えば、運が悪かった、他人のせいだ、国のせいと考える、などが挙げられます。外的要因にしがちな方は、問題解決力が下がり、成績が悪くなりやすいことがわかっています。一方で、過剰に自分に責任を求めないので、楽天的な面もあります。

 

③ワイナーと原因帰属の発展

ワイナーは原因帰属理論をさらに発展させました。ワイナーは「内的・外的統制」「安定性のあり・なし」「コントロール可能性のあり・なし」という3つの側面から研究を行いました。そして原因帰属には、2×2×2の8種類あるとしたのです。

 

ワイナーと3つの要素

内的・外的統制
努力など内的な原因か、運など外的な原因か、ハイダーの理論とほぼ同じです

コントロール可能性のあり・なし
自分でコントロールできる原因か、自分ではどうしようもない原因か

安定性のあり・なし
結果を左右する原因は安定しているか、それとも不安定か

 

コントロール可能な4種類

次にコントロール可能なパターンから見ていきましょう。コントロール可能を前提とすると、以下の4種類が挙げられます。

例えば、「筋トレ」で考えてみましょう。筋トレは様々なメニューを自分で選ぶことができるので「コントロール可能」です。また日々の筋トレは比較的安定してできそうなので、「安定」しています。努力するかどうかは、自分次第なので、「内的な問題」ですね。そのため上記の図としては左上に当てはまるのです。

コントロール不可能な4種類

次に、コントロール不可能なパターンを見ていきましょう。コントロール不可能を前提とすると、以下の4種類が挙げられます。

例えば、「宝くじ」で考えてみましょう。宝くじは、当たるか当たらないかはコントロールできないので、「コントロール不能」です。また当たるかは当たらないかは時の運なので「不安定」です。さらには、努力してどうなるものではないので、「外的な問題」となります。上図としては右下に当てはまるのです。

 

④帰属理論と様々な研究

帰属理論については様々な研究がなされてきました。以下気になるタイトルがありましたら参考にしてみてください。

桜井・桜井(1992)は、大学生を対象に成功場面と失敗場面での原因帰属について調査をしました。その一部が下図となります。

内的要因が低い問題

上図は、成功場面で、内的要因を低く見積もる方は、絶望しやすいことを意味しています。噛みくだいて表現すると、せっかくうまく行ったのに、自分の努力のたまものと考えない方は絶望しやすいと言えます。

桜井・桜井(1992)は、大学生を対象に成功場面と失敗場面での原因帰属について調査をしました。その一部が下図となります。

抑うつと原因帰属の関係

上図は、失敗した場面で、統制できないと感じると、抑うつ感が高くなることを意味しています。かみ砕いて表現すると、失敗したときに、自分ではどうにもならない・・・と感じると抑うつ感が高くなることを意味しています。

三宅(2000)は238名の大学生を対象に、自己効力感と原因帰属について調べました。その結果の一部が下図となります。縦軸の数字が大きいほど努力不足と考える傾向を意味しています。

原因帰属および対処行動に関する結果

上図を吟味すると、自己効力感が高い群のほうが、努力不足を原因帰属として重視していることがわかります。ここからは推測ですが、自己効力感が高い人は、自分の努力不足とストイックに取り組み、結果を出していくことで自信をつけていると考えられます。

三宅(2000)は238名の大学生を対象に、自己効力感と原因帰属について調べました。その結果の一部が下図となります。縦軸の数字が大きいほど運が悪かったと考える傾向を意味しています。

因帰属および対処行動に関する調査

図を吟味すると、自己効力感が高い群のほうが、運のせいと考えないことがわかります。ここからは推測ですが、自己効力感が高い人は、ネガティブな出来事があったときに、運のせいにせず、現実的な原因を模索すると考えられます。

井澤ら(2003)は糖尿病患者7名を対象に調査を粉いました。その結果の一部が下図となります。

上図は、療養行動が継続する人は、原因帰属を内的要因に求める傾向があり、他者と比較せず自身の価値で行動、決定し療養行動に活かしているとしています。もう1つの図を見てみましょう。

上図は、療養行動が継続しない人は、原因帰属を外的要因に求める傾向があり、他者と比較する傾向があることを意味しています。

2つの結果を見ると、健康を維持する際は内的帰属をベースに考えることが大事と言えそうです。

井上(2006)は大学生136人に対し、あがり症と、内的要因・外的要因の原因帰属の関係について調査しました。その結果の一部が下図となります。

上図は、内的統制が低い群と比較して、内的統制が高い群の方があがりやすいことが分かりました。内的統制を重視する人は、緊張や不安を自分でコントロールできると考え、余計にあがりやすくなると考えられます。

一方、外的統制を重視する人は、自分ではどうにもならないと考えることで、かえってリラックスしていると考えられます。

このように、あがり症など緊張や不安が高まる状況では外的統制の方が対処がしやすいということがわかります。

 

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*出典・引用文献
・井澤美樹子,中村恵子(2003)糖尿病患者の自己存在価値と療養行動の考え方の関係 青森保健大紀要 5(1),111-118
・奈須正裕(1988) Weinerの達成動機づけに関する帰属理論についての研究 教育心理学研究 37,84-95
・井上徹(2006) 「あがり」の心理:-内的統制・外的統制および達成動機との関連- 日本心理学会大会発表論文集70
・豊田弘司(2016) 努力と結果の随伴性、感情及び動機づけの関係 奈良教育大学次世代教員養成センター研究紀要2,19-25
・三宅幹子(2000)特性的自己効力感とネガティブな出来事に対する原因帰属および対処行動 性格心理学研究9(1)1-10

Heider, F. (1958). The psychology of interpersonal relations.