原因帰属理論の意味とは?

意味

原因帰属とは心理学では「帰属理論」として扱われてます。心理学辞典(1999)では次のように定義されています。

身の回りに起こる様々な出来事や、自分が他人の行動について、原因を推測する過程

帰属理論をはじめに提唱したのは、ハイダーという心理学者です。とても有名な方なので、心理学の専門家は、ハイダーの理論を必ず勉強させられます。

ハイダー,帰属理論

原因をどう考えるか?

原因帰属について、もう少し身近な例で考えてみましょう。例えば、皆さんはテストで悪い点数を取った場合…その原因をどのように考えますか?

「勉強が足りなかったから…」
「地頭が悪い…」
「運がわるかった!」

原因帰属とは,身近な例で解説

実は、原因をどこに考えるかによって、その後の行動が変わってくるのです。

例えば、

「勉強が足りなかったから…」
→次はもっと勉強する

「地頭が悪い…」
→勉強しても無駄と考え遊ぶ

「運がわるかった!」
→神社に行く

このような違いが出てくるでしょう。私たちの行動は原因をどう考えるか?によって変化するのです。

内的要因と外的要因

原因帰属と2つのタイプ

原因帰属は大きく分けると2つのタイプがあります。

内的要因
結果に対する原因を、自分自身に求めます。
たとえば、
テスト結果が悪い→自分の学力が低いから

外的要因
結果に対する原因を、運や状況に求めます。
たとえば、
テスト結果が悪い→テストが難しかったから

このように、起こった原因を内的なものか外的ものかを区別することを統制の所在といいます。

メリット,デメリット

2つの要因には、それぞれメリットとデメリットがあります。

それを表でまとめてみましょう。内的要因、外的要因

内的要因
→自分自身に原因があると考えるため、成功したときの喜びは大きいです。その一方で、失敗したことも自分のせいだと考えやすいため、その分失敗したときは落胆が大きくなります。

外的要因
→原因を他人や状況によるものと考えやすいので、失敗しても落胆しにくいのがメリットです。その一方、他人のせいにしやすかったり、無責任になりやすいこともあります。

成功場面と失敗場面

桜井・桜井(1992)は、大学生を対象に成功場面と失敗場面での原因帰属について調査をしました。

成功場面では、内的要因が低いと絶望しやすいことが分かりました。

内的要因が低い問題

うまく行ったときに、自分の力を認めない人と絶望しやすくなるのです。

一方で、失敗場面では、統制不可能感と抑うつにプラスの相関が認められました。つまり、原因帰属がうまくコントロールできないと、抑うつになりやすいのです。抑うつと原因帰属の関係

いずれの場面においても、外的要因と内的要因をうまく使い分けることが大切といえます。

 

原因帰属に関する研究

ここで原因帰属に関する心理学的な研究を3つ紹介します。

研究1 自己効力感との関係

三宅(2000)は238名の大学生を対象に、自己効力感と原因帰属について調べました。自己効力感とは、目標を達成できそうだ!という自信を意味します

まずは「努力」の結果をみていきましょう。自己効力感が高い群のほうが、努力を原因帰属として重視していることが分かります。

原因帰属および対処行動に関する結果

自己効力感が高い人は、原因帰属に努力不足だ!と考えからストイックに取り組み、結果を出していくことで自信をつけている感じがしますね。

こちらは「運」の結果です。自己効力感が低い群のほうが、運を原因帰属として重視していることが分かります。

因帰属および対処行動に関する調査

まり、自己効力感が高い人たちは、運のせいにしないで取り組んでいる感じがしますね。

もし、努力ができない…という方がいたら、自分に原因を求めず、運や環境のせいにしている可能性があります。

研究2 糖尿病患者の原因帰属

井澤ら(2003)は糖尿病患者を対象に調査を粉いました。具体的には療養行動が

・継続する人
・破綻する人

の比較を行っています。その中では、療養行動が継続する人としない人で、原因帰属に違いがあると述べてます。

継続する人は、
原因帰属を内的要因に求める傾向があり、他者と比較せず自身の価値で行動、決定し療養行動に活かしているとしています。

 

破城する人
原因帰属を外的要因に求める傾向にあり、他人との比較で行動しやすいことが示されています。

研究3 あがり症と原因帰属

つづいて、あがり症と原因帰属についての研究を見ていきましょう。

井上(2006)は大学生136人に対し、あがり症と、内的要因・外的要因の原因帰属の関係について調査しました。その結果、内的統制が低い群と比較して、内的統制が高い群の方があがりやすいことが分かりました。

内的要因は原因を自分自身に求めるため、他者の評価を受ける場面では緊張や不安が高まり、よりあがりやすくなるということが考えられます。

一方、外的要因は原因を自分外の状況に求めるため、「なるようになる」と考えてあがる度合いも小さいと推測できます。

このように、あがり症など緊張や不安が高まる状況では外的要因の方が対処がしやすいということがわかります。

心に穴が開いたような感覚

原因帰属を8つに分類

Weiner,B.は原因帰属について、内的・外的の統制の所在をもとに、さらに詳しい分析を行っています。

コントロール可能性

原因が自分でコントロールできるかどうか

統制の所在

内的なものか、外的かものか

安定性

次回も同じような課題が与えられるか

という3つの次元で分類を行っています。統制の所在以外に、安定性、コントロール可能性という項目が増えていますね。それぞれ2分類できますので、原因帰属には、2×2×2=8種類あるとしたのです。

①コントロール可能な原因帰属

コントロール可能な4種類

まずは、コントロール可能なパターンから見ていきましょう。

かなり複雑ですね(^^;

普段の努力

例えば、普段の努力を考えてみましょう。例えば、
「筋トレを普段努力する」
こんなイメージが良いかなと思います。

・コントロール可能性
筋トレは様々なメニューを自分で選ぶことができるので「コントロール可能」です。

・安定性
また日々の筋トレは比較的安定してできそうなので、「安定」しています。

・内的な問題
努力するかどうかは、自分次第なので、「内的な問題」ですね。

そのためBOXとしては一番左上に当てはまるのです。

②コントロール不可能な分類

コントロール不可能な4種類

次に、コントロール不可能なパターンを見ていきましょう。

運はどこにあてはまる?

例えば、運を考えてみましょう。例えば、
「宝くじ」
でイメージしてみましょう。

・コントロール不能
当たるか当たらないかはコントロールできません

・不安定
当たるかは当たらないかは不安定

・外的な問題
努力してどうなるものではありません。外的な問題となります。

そのためBOXとしては一番、右下に当てはまるのです。

原因帰属を活かす方法

原因帰属はその状況の捉え方によって変わってきます。より建設的な原因帰属をすることで、自分の行動を変えることができます。以下の原因帰属の仕方を参考にして、考え方と行動を見直してみましょう。

り方が悪かった!と考える

「やり方が悪かった」と考えるようにしてみましょう。これは、コントロール可能の内的―不安定型です。もともとの才能に原因帰属するのではなく、コントロール可能な努力次第であるとすれば、改善が見込めます。

 

たまには神様や運命のせいに

誰もどうすることもできないような神様や運命のせいにしてみることも時には大切です。

良い意味で諦めをつけるのには必要です。原因帰属には4つのパターンがありますが、どれを使うか正解があるわけではありません。神様のようなコントロール不可能の外的-不安定に原因帰属して、考えを切り替えるのも手です。

 

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*出典・引用文献
・井澤美樹子,中村恵子(2003)糖尿病患者の自己存在価値と療養行動の考え方の関係 青森保健大紀要 5(1),111-118
・奈須正裕(1988) Weinerの達成動機づけに関する帰属理論についての研究 教育心理学研究 37,84-95
・井上徹(2006) 「あがり」の心理:-内的統制・外的統制および達成動機との関連- 日本心理学会大会発表論文集70
・豊田弘司(2016) 努力と結果の随伴性、感情及び動機づけの関係 奈良教育大学次世代教員養成センター研究紀要2,19-25
・三宅幹子(2000)特性的自己効力感とネガティブな出来事に対する原因帰属および対処行動 性格心理学研究9(1)1-10