コーチングの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「コーチング」について解説していきます。

コーチング,ティーチング

目次は以下の通りです。

①コーチングとは
②コーチングのやり方
③コーチングの研究
④ティーチングとの違い

是非最後までご一読ください。

①コーチングとは

コーチングの定義

コーチングとは以下のような意味があります。

対話で相手の自己表現や目標達成を促すコミュニケーション手法

1対1の対話で、自立性・能力向上・成長促進の3つを促すことで、メンバー自らが問題解決思考になるようステップアップを図ります。

提唱者

トマス・レナード

トマス・レナードは、人間の潜在能力にアプローチし、可能性を最大限に引き出すことに重きを置いた、コーチングの原型を提唱しました。レナードは1988年に、「デザイン・ユア・ライフ」で指導を行い、1989年には「カレッジ・フォー・ライフプランニング」というコースを設立しました。このコースでコーチングはさらに、発展していきました。

1991年に、カレッジ・フォー・ライフプランニングを閉鎖し、1992年に後に最大のプロのコーチトレーニング組織となるコーチUを設立。その後、国際コーチ連盟、コーチビル、国際コーチング協会の設立に参加しました。

語源

コーチの語源は、中世ヨーロッパで馬車の産地だったハンガリーのコチ(Kocs)に由来します。ここで生産された大型馬車がコチ・セケールと呼ばれるようになり、やがて「コチ」がヨーロッパで普通名詞化していき、「馬車」自体をコチと呼ばれるようになりました。さらに英語圏でも、コチから発展して、鉄道やバス、タクシーもコーチと呼ばれるようになります。

1830年には、オックスフォード大学の学生たちのスラングで、家庭教師が「ゴールに連れて行く手段である馬車」になぞらえて「コーチ」と通称したことがきっかけで、インストラクターやトレーナーもコーチと呼ばれるようになったとされます。

1861年には、イギリスでスポーツのトレーナーもコーチと呼ばれるようになりました。その後、1900年以降、スポーツの世界を中心に活用され、1950年代にビジネスマネジメントの世界でも使用されるようになりました。

コーチングが用いられる場面

コーチングは「何かに挑戦したい」「結果を出したい」という気持ちがある人に効果的です。コーチとの1対1によるコミュニケーションによりクライアントは囚われていた価値観に気づき、視野を広げることができるようになります。その結果、自分の内に秘めた能力や可能性を信じてモチベーションを高めることができます。

 

②コーチングのやり方

Myra E. Dingman(2006)はコーチングの過程を比較し、次の6段階が一般的にみられるとしました。

1.形式的な契約

必要な場合は、クライアント(多くはエグゼクティブ)との契約を結びます。契約は信頼関係によって行われるものではなく、契約書によって行われる形式的なものになります。

2.関係の構築

2番目にクライアントとの信頼関係を構築していきます。具体的には、観察・傾聴などを通して、相手に理解を促し、お互いに信頼できる関係を構築します。

3.アセスメント

コーチングには入る前に、アセスメントでクライアントの自己の状態の棚卸しと課題の明確化を行います。このアセスメントには、課題によって、リーダーシップ、変化対応力、ストレスレベルなど評価します

4.フィードバックの取得と反映

クライアントはアセスメントの結果を受け取り、目標設定の土台にします。

5.目的設定

アセスメントの結果で導き出された、課題に対して、どのような目的設定するか、クライアントと話し合います。また、目標を達成するための行動計画を立てます。

6.実施と評価

実際にクライアントに行動してもらい。実践中にコーチからの支援をもらいながら、計画を進めていきます。コーチング・セッション終了後に評価を行い、目標を達成できたかどうかを客観的に確認します。

そのほか、国際コーチ連盟が認可した株式会社CITジャパンのコーアクティブ・コーチング(2007)では、以下のようなコーチングの姿勢が説明されています。

以下に折りたたんで、紹介してありますので、詳しく知りたい方は展開してご参照ください。

1.クライアントは不完全な存在

クライアントはもともと不完全な存在であり、自分自身で答えを見つける力を持っていると考えることが大切です。前述の通り、コーチングは自発的な目標設定や問題を解決を促します。その中で、クライアントの不完全性を補い、自分で答えを見つけるように導きます。

2.クライアントの人生全体を扱う

コーチングはある1つの目標だけに焦点を当てるものではなく、クライアントの人生全体を扱います。クライアントが達成しようとしている目標は、クライアントの人生をより良いものにするかを考える必要があります。

3.クライアントが主題を決める

コーチの役割は、あくまでも、対話や質問によってクライアントの課題や目標達成をサポートすることです。主題はクライアント自身が決定し、常に決定権はクライアント側にあります。

4.クライアントと協働関係を築く

コーチングは一方的にコーチが指示をしたり、クライアントが完全に独自で行うものではありません。コーチとクライアントは協働関係を築き、お互いに力を合わせてコーチングを成り立たせていきます。

この3つの指針は、コーチングの主題となるもので、クライアントの人生をよりよくするものと考えられています。

1.フルフィルメント

フルフィルメントとは充実感のことです。クライアント自身が自分の価値観を明確にさせることで、自然と人生に充実感が現れ、毎日がより良いものになっていくと考えられています。

2.バランス

日常生活の中で、私たちは多くのやるべきことを抱えています。仕事や家庭、恋愛、趣味など人生の領域はさまざまなものがありますが、なるべく広い視点を持ち、1つの活動に偏るのではなく、バランスよく進めることが大切だとされています。

3.プロセス

目標を求める中で、いい時もあれば、悪い時もあります。クライアントが今どんなプロセス中にいようとも、励まし、支えることで難局を乗り越えることができます。その結果、クライアントは人生のあらゆる体験に意味を見出し、味わい深い人生を送ることができるようになります。

コーチに必要な5つの資質として、以下の5つが挙げられています。

1.傾聴

ここでいう傾聴とは、単にクライアントの話に耳を傾けるだけにとどまりません。クライアントの背景や文脈など想像しながら、より深いレベルの傾聴が求められます。

2.直感

コーチングは、クライアントから得られた情報だけで行うものではありません。クライアントから得られた情報にプラスして、コーチがこれまで培ってきた直感を導入することで、型にハマったコーチングではなく、より枠を超えた次元にクライアントを導くことができます。

3.好奇心

答えを持っているのはクライアントであり、コーチがクライアントに好奇心をもつことで、おのずと必要な質問や対話に導くことができます。

4.行動と学習

コーアクティブ・コーチングの目的は、クライアントの行動を進めること、学習を深めることの2つです。クライアントの自分の行動と学習に責任を持ち、もしうまくいかなくても行動することによって、何かしらの学びを得ることができます。

5.自己管理

コーチの中で起きていることに囚われず、クライアントの中で何が起きているかに全神経を向けます。そして、クライアントが自分自身に集中できるように促します。コーチは必要に応じて、クライアントの自分や他人への評価や判断を脇においておけるようにサポートします。その結果、クライアントの自己管理の助けとなります。

 

③コーチングの研究

浜田ら(2013)は、コーチングがもたらす心理的効果について調査を行いました。研究では、18~24歳の大学生・大学院生10名を対象にコーチングにまつわる心理テストやアンケートを行わいました。

その結果が以下の図です。

コーチングの研究

このように、コーチング後に活気が高まり、疲労と緊張・不安が減っていることが分かります。コーチングを行うことで、自分の目標やキャリアが明確になり、心身にポジティブな影響を与えるのかもしれません。

 

④ティーチングとの違い

ティーチングとは

コーチングと類似する概念にティーチングというものがあります。ティーチングとは以下のような意味があります。

指示やアドバイスによって相手に答えを与え、その通りしてもらうコミュニケーション手法

方法を具体的に教えることで、集団のやり方やルールを覚えてもらうことができます。また、答えを教えることで、クライアントに新たな気づきが生まれ、アイディアを発展させることにもつながります。

ティーチングが用いられる場面

ティーチングは、基礎知識や技術を教える時に効果的です。ただ、上司が持っている知識やスキルやノウハウを伝えるだけでは、自分を超える人材に育てることは難しいです。また、ティーチングは一方的なコミュニケーションを作りがちで、クライアントは次第に受け身(指示待ち)になり、模範解答を欲しがるようになります。

それぞれのメリットデメリット

コーチングとティーチングのメリットとデメリットは以下の通りです。

コーチング,ティーチングのメリットデメリット

コーチングは個人に合わせたリーダシップが取れることが特徴ですね。ただ、お互いの相性が悪かったり、コーチがうまく話を聞けないと効果が薄くなります。

ティーチングは、一度に大人数の部下に対して教育できるので効率がいいです。ただ、その反面、個人の能力に気づけないなどの問題点があります。

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
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Myra E. Dingman(2006)Executive Coaching: What’s the Big Deal? Regent University
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浜田 百合 庄司 裕子(2013)コーチングの心理的効果に関する研究 日本感性工学会論文誌  12 巻 2 号 p. 311-317