妬み,嫉みの意味とは

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「妬み,嫉み」について解説していきます。

妬み,嫉みの意味とは,おつやまおつこ様作成

目次は以下の通りです。

①妬み嫉みとは何か
②自己評価維持モデルとは
③妬み,嫉みと心理学研究
④関連コラム

是非最後までご一読ください。

 

①妬み嫉みとは何か

妬み(ねたみ)と嫉み(そねみ)は心理学上の意味としては共通する部分と異なる部分があります。

共通する意味

他人を羨ましく思う感情 憎たらしいと思う感情 くやしさ

これらの感情は両者に共通する部分と言えます。

心理学上の違い

心理学上の違いはどのようなものがあるのでしょうか。心理学上は「妬み」に関する研究は比較的豊富にありますが、「嫉み」に関する研究はほとんどありません。嫉みに近い概念としては「嫉妬」があり、これは研究されることがあります。高橋(2011)によると両者には以下のような違いがあるとされています。。

英語 登場人物 具体例
妬み envy 2者関係 学歴の比較
収入の比較
成功者への妬み
嫉み(嫉妬) jealousy 3者関係 おける三角関係
浮気相手への嫉妬
兄弟間の母親の取合

このように妬みは2者関係で起こるのに対して、嫉妬は3者で起こるとされています。ただし心理学の世界でも、一般の社会でも両者の違いはそこまで意識されていません。当コラムでも両者を特に区別せず、共通する意味を前提に解説を続けたいと思います。

進化心理学と妬み,嫉み

進化心理学では妬みにどんな意味があるのかについて検討されてきました。そのうちの1つが、生命の危機を回避するために機能してきた(坪田,2011)という説です。私たちの祖先が暮らした、資源が乏しい時代では、他人に資源を取られると生命の危機につながっていました。

周りはたくさんご飯を配分されている、自分だけご飯が少なうこんな状態で平気な顔をずっとしていたら飢え死にしてしまうかもしれません。このような不公平な状況を防ぐために妬みは存在しているのです。

すなわち妬みは進化の過程で「自分を守るための感情」として必要だったということです。妬むことは自分の状況が不公平であることを知らせしてくれる、黄色信号としての機能があるのです。

 

②自己評価維持モデルとは

定義

先述したように、心理学の世界では妬みや嫉妬に関する研究が盛んです。心理学には「自己評価維持モデル」があります。心理学辞典(1999)によれば、自己評価維持モデルとは以下の意味があります。

人はポジティブな自己評価を維持しようと動機づけられるとの基本的前提に立つ。この自己評価は,自己にとって心理的に近い他者の優れた遂行によって,自己評価が上がる場合(反映過程 reflection process)と,自己評価が下がる場合(比較過程 comparison process)がある。

このモデルによると、以下の3つの要素があるときに、妬みが起こりやすいとされています。

他者の優越 

他者の優越とは、「他者が自分よりも優れている」というポイントです。例えば、テストの点数が自分は70点だったのに対して、友人は90点だった場合、自信をなくしてしまうことがあります。

心理的近さ

心理的な近さとは、「他者と自分の親しい」というポイントです。例えば、赤の他人が自分の熱心に取り組んでいるスポーツの大会で優勝していても、妬みはそこまで生まれません。一方で、親友がそのスポーツの大会で優勝すると、妬みが生まれやすくなります。

優越領域の自己関与度

優越領域の自己関与度とは、「他者が優位な領域が自分に関係するか」というポイントです。例えば、会社で昇進できなかった人がいたとしましょう。一方で、仲のよい、同じ職種の同僚が昇進したとすると、自己価値が低下しやすくなります。

③妬み,嫉みと心理学研究

自尊心が低いと妬みやすい

澤田(2008)は大学生201名を対象にして妬み感情について調べました。その結果が以下の図です。まずは男性を見てを行きましょう。

妬みの意味

上図は、「自尊感情が低い」と「妬み感情が強くなる」ことを意味しています。自分をきちんと認める心がそだっていない人は、他人へ嫉妬しやすいと言えそうです。

続いて、女性を見ていきましょう。結果の一部が以下の図です。

妬み嫉みの研究

上図は、「自尊感情が低い」と「妬み感情が強くなる」こと意味しています。女性においても、自尊心の低下が妬み感情を強めていると言えそうです。

 

財産や外見より能力への妬みが大きい

原(2013)は大学生160名に対して、妬みを持った時の対象について調査を行いました。その結果が以下の図です。妬みの対処法

上図のように、成績が上位を占めていたようです。次いで技術・能力、他人の幸福のグラフが伸びています。外見などには意外と妬みはもっていないこともわかります。成人になってもある程度この傾向は受け継いでいると推測されます。

同僚の方が出世が早い、営業成績がよい、上司から評価を受けている・・・婚活でうまく行っている・・・こんな状況で妬みが発生するかもしれません。

 

④関連コラム

妬みを改善する方法

当コラムでは妬みの意味や研究を紹介してきました。以下のコラムでは妬みを感じやすい方向けに、改善する方法を解説しました。妬みをうまくコントロールできない方は参考にしてみてください。

妬みの心理を改善する、やめる方法

 

劣等感の改善法

妬みは、自分に自信がなく、劣等感が強い人ほど持ちやすくなります。以下のコラムでは劣等感を前向きに活かす方法や、改善していく方法を解説しています。劣等感が強く、他人の不幸を見るとほっとしてしまう感覚がある方は参考にしてみてください。

劣等感を克服する方法

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

 

*出典・参考文献
自尊感情と嫉妬の関連性 坪田 雄二  広島県立大学論集 6(1), 1-10, 2002-08
澤田匡人 2008 シャーデンフロイデの喚起に及ぼす妬み感情と特性要因の影響-罪悪感、自尊感情、自己愛に着目して- 感情心理学研究第16巻第1号
就実論叢 (43), 127-138, 2013 妬みの対処方略と個人内要因との関連について  原奈津子
Shengold, L.  1994.  Envy and malignant envy . PsychoanalyticQuarterly ,
妬みと他人の不幸を喜ぶ感情の神経基盤 高橋 英彦 日本生物学的精神医学会 2011 年 22 巻 1 号 p. 51-54