焦燥感の意味

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「焦燥感」について解説していきます。

焦燥感の意味,カフェラテ様作成

目次は以下の通りです。

①焦燥感とは何か
②心理的悪影響
③焦燥感の原因と心理学
④焦燥感の原因と精神疾患
⑤関連コラム

是非最後までご一読ください。

 

①焦燥感とは何か

意味

焦燥感は以下の意味があります。

思うように事が運ばなくていらいらすること

具体例
・試験まであと1か月で焦る
・締め切りに間に合わず焦燥感を抱く
・遅刻ギリギリで慌てる

機能

焦燥感は問題を認識し、行動する動機を強くする感情です。例えば、締めきりに間に合わない・・・と焦るからこそ、急いで行動することができるのです。

 

②心理的悪影響

上記のように焦燥感は行動のモチベーションに繋がりますが、長期化すると悪影響が出てきます。

集中力が下がる

髙橋・山本(2016)は教員200名、学生360名を対象に心の強さの指標であるレジリエンスについて調査しました。その結果の一部が下図となります。

焦燥感,怒り,集中力

上記は、怒りは集中力の欠如につながることを意味しています。焦燥感がある状態は、イライラしやすくなり、怒りっぽくなります。その結果、落ち着いて作業をすることができず、集中力が低下していくと考えられます。

心理的QOLが下がる

橋本・織田(2008)は都内大学生・大学院生286名を対象に「短気や敵意」と「心理的QOL」について調査を行いました。心理的QOLとは、穏やかに過ごす、楽しく人生を過ごしているなどがあたります。その結果が下記の図となります。

短気,心理

上記は短気な人は心理的QOLが下がることを意味しています。焦燥感から短気になったり、他人に対して敵意を持つと、人生でトラブルか多くなり、幸福感が下がると言えます。

短気は体に悪い

橋本・織田(2008)は都内大学生・大学院生286名を対象に「短気」と「身体的QOL」がどのような関係にあるのか調査しました。身体的QOL(クオリティオブライフ)とは、体の面での健康度を意味します。以下の図はこれらの結果を表したものです。

短気と心理的QOL

上図は、短気が高いほど、身体的QOLが下がることを意味しています。すぐに怒ってしまう人は、心も体も健康的になりにくいと言えます。

 

③焦燥感の原因と心理学

西村(2009)は、20~30代の男女20名にインタビューを行い、どんなときに焦るかを統計学的に調査しました。その結果、①時間を意識する、②予想外の出来事、③他者への期待が高いの3つが大きな原因にであることがわかりました。

①時間を意識する

納期が間に合わない、周りが結婚しているなど時間に追われる際に焦燥感を持ちやすくなります。特に仕事上の悩みで焦燥感がある方は、時間的なゆとりを失っている可能性が高いです。例えば、過労死ラインは月の残業時間が80時間となっています。時間のストレスは非常に大きいので要注意です。

生和(1993)は、164名の参加者に、以下のそれぞれの条件を比較しました。

条件1:不快な音を鳴らす
条件2:30秒に時間短縮

その後、「不安度の増分」を比較しました。その結果が下図となります。

焦燥感 不安

上記のように、オレンジの大きなエラーがなる群よりも、30秒の制限時間ありの群の不安感がかなり高くなっていますね。このような結果から私たちの焦燥感には、「時間」がとても影響していていることがわかります。

 

②予想外なことが生じる

台風が迫っている、新しい突然プロジェクトリーダーに指名されたなど、自分のキャパシティーを超える出来事があると焦燥感を持ちやすくなります。必要以上に悲観的に考えないなど、考え方が現実的か見直していく必要があります。

③他者への期待が高い

部下が言うことを聞かない、旦那が子育てをしない、子供言うことを聞かないなど、人間関係にイライラすることがあります。特に人間関係の焦燥感は、相手への期待値の高さが原因になることが多く、これを下げることが1つのカギになります。

 

④焦燥感の原因と精神疾患

焦燥感は上記のような心理的な要因もありますが、精神疾患でもよくみられる症状です。焦燥感が長期的に続いたり、度を超えるような激しいイライラの場合は精神疾患を疑うものもあります。ここでは、特に注目すべき疾患について4つ紹介をします。

①統合失調症

統合失調症とは、妄想や幻聴など症状を特徴とする、精神疾患です。「他の人が話しかけてくる」幻聴や、「周りが不気味な感じがする」といった妄想などがあります。

統合失調症が発症した際、イライラすることがあり、ひどい時には暴力行動がみられることがあります。被害妄想や迫害妄想などが多いと、焦燥感やイライラが出て、時には強い攻撃性につながることがあります。

統合失調症

 

②うつ病

うつ病とは気分の落ち込みや、意欲の低下などの症状を特徴とした精神疾患です。人口の3~5%がうつ病とされており、非常に多い精神疾患です。うつ病と焦燥感に近い「怒り」との関連も指摘されています。横山(2014)はうつ病と絡めて、“怒り発作”の概念を取り上げています。

怒り発作”とは、過去6か月間、イライラ感が認められる、些細な煩わしい出来事に対し過剰に反応する、過去1ヶ月間に1回以上の怒り発作がある、などの基準により定義されます。

うつ病

 

③双極性障害

双極性障害とは、躁病とうつ病を繰り返す疾患です。特に躁の状態は、気分のテンションが高く、怒りっぽくなることがあります。例えば、上司の意見に怒りを爆発させたり、部下のミスを激しく注意するなどトラブルに発展します。

双極性障害

 

④認知症

認知症になると、精神的な症状として、イライラ(焦燥感)、抑うつ、注意力の低下などが起こります。高齢になり、イライラすることぐ増えた方は認知症のリスクがあるので注意しましょう。

認知症

 

関連コラム

焦燥感を治す方法

当コラムでは焦燥感の意味や研究を紹介してきました。実践的に焦燥感を改善したい方は以下のコラムを参考にしてみてください。イライラをコントロールする方法などを紹介しています。

焦燥感を治す方法

 

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筆者は焦燥感の強さを簡易的に診断できるシステムを作りました。客観的に焦燥感の強さを把握したい方は一度チェックしてみてください。

焦燥感診断

 

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心理学講座,教室

ダイコミュ用語集監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

*出典・引用文献・参考文献
大学生における攻撃性とQuality of Lifeの関連性 2008 橋本 空,織田 正美 健康心理学研究  日本健康心理学会編集委員会 編
Garriga, M et al,. (2016) Assessment and management of agitation in psychiatry: Expert consensus. The World Journal of Biological Psychiatry, 17 (2), 86-128.
西村詩織 (2009) 日常生活で体験される焦りのプロセス-成人期前期の焦りに注目して-. 心理学研究, 80 (5), 381-388.
生和秀敏(1993)時間不安の実験臨床心理学的研究(1)-課題解決場面における検討-. 健康心理学研究, 6 (2), 21-28.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院..

・井澤修平・長野祐一郎・依田麻子・児玉昌久・野村忍 2004 敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連 生理心理学と精神生理学,22(3)215-224 早稲田大学

*出典・引用文献・参考文献
大学生における攻撃性とQuality of Lifeの関連性 2008 橋本 空,織田 正美 健康心理学研究  日本健康心理学会編集委員会 編
Garriga, M et al,. (2016) Assessment and management of agitation in psychiatry: Expert consensus. The World Journal of Biological Psychiatry, 17 (2), 86-128.
西村詩織 (2009) 日常生活で体験される焦りのプロセス-成人期前期の焦りに注目して-. 心理学研究, 80 (5), 381-388.
生和秀敏(1993)時間不安の実験臨床心理学的研究(1)-課題解決場面における検討-. 健康心理学研究, 6 (2), 21-28.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院..

・井澤修平・長野祐一郎・依田麻子・児玉昌久・野村忍 2004 敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連 生理心理学と精神生理学,22(3)215-224 早稲田大学