ソーシャルサポートの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ソーシャルサポート」について解説していきます。

ソーシャルサポート

目次は以下の通りです。

①ソーシャルサポートとは
②ソーシャルサポートの提唱者
③種類
④心理的効果

是非最後までご一読ください。

ソーシャルサポートとは

意味

ソーシャルサポートは以下のような意味があります。

その人を取り巻く家族、友人、地域、専門家などから受けるさまざまな援助のこと

ソーシャルサポートは研究によって、定義が異なりますが、基本的に周りからのサポートのことを指します。

提唱者

ソーシャルサポートは1970年代から、ストレスを緩和効果があるとして欧米で研究され、キャプラン(Caplan,G)が概念化しました。キャプランはイギリスの心理学者であり、メンタルヘルスの予防やコンサルテーションなどの研究を進めています。

特に、地域のおけるサポートシステムの確立が大事であるとし、サポートシステムは必ずしも精神衛生の専門家だけではないということを主張しています。これは、ソーシャルサポートの考え方の中心になるものです

ソーシャルサポートの種類

House(1981)は、ソーシャルサポートについて、大きく4つに分類しています。

情緒的サポート

共感や同情など情緒的な結びつきのことを指します。例えば、落ち込んだ友人を励ます、友人の相談に乗る、声をかけてあげるなどのサポートが挙げられます。

手段的サポート

仕事、看病、金銭などの直接的な支援のことを指します。例えば、子どもに机を買ってあげる、PC環境を用意してあげる、学校に行くためのお金を出してあげるなどが挙げられます。

情報的サポート

有益な情報の提供し、困難に対処できることを促すことを指します。例えば、仕事でアドバイスをする、道に迷っている人に目的地までの道のりを教えてあげるなどが挙げられます。

評価的サポート

相手を認めるサポートのことを指します。例えば、相手の意見に賛同したり、仕事ぶりを認めるなどが挙げられます。

その他にも、研究者によっては「道具的サポート」や「所属的サポート」などを挙げられているものもあります。

心理的効果

ストレス緩和

ソーシャルサポートはストレス緩和の効果があることで知られています。今村ら(2017)では中学生を対象に、ストレスとソーシャルサポートの関係について調べています。その結果、「怒りなどの感情を伴うストレス」は情緒的サポートが有効であることを示しています。

孤独感の低減

ソーシャルサポートは実際に支援を受けるだけでなく、「助けてもらえるだろう」と知覚しているだけでも孤独感を低減することができるとしています。

福岡(2018)は大学生を対象に、ソーシャルサポートや孤独感、ソーシャルスキルなどの関連性について調査をしています。

その結果、知覚されたソーシャルサポートと孤独感の相関関係について示されています。これは、ソーシャルサポートが高まれば、孤独感が低減することを示しています。

国際連合とソーシャルサポート

国際連合は、世界幸福度報告を行っており、その中の指標の1つにソーシャルサポートを挙げています。

幸福の6つの指標

世界幸福度報告は以下の6つの説明変数によって、調査されています。

1.人口あたりGDP
2.ソーシャルサポート
3.健康寿命
4.人生の選択の自由度
5.寛容さ・気前の良さ
6.腐敗の認識
出典:”FAQ”. worldhappiness.report.
(※一部改変)

国際的には上記の6つが幸福に必要だと考えられており、その中の1つにソーシャルサポートも含まれています。周囲に頼れる存在がいるかどうかは、人類の精神的な豊かさにつながっていると考えられるでしょう。

そのほか、世界保健機関(WHO)が提唱した幸福な状態を意味する「ウェルビーイング」の1つの要素に「良好な関係性」が挙げられています。

ソーシャルサポートランキング

世界幸福度報告(2021)によれば、2018-2020年のソーシャルサポート得点の国際ランキングは以下の通りです。

ソーシャルサポート

上記のように、1位がアイスランド、次いでトルクメニスタン、デンマークという順位となっています。日本の順位は62位という結果となりました。アイスランドは大学までの義務教育が無料で行われており、社会制度が充実している面から、ソーシャルサポート得点が高く推移していると考えられます。

 

文化による違い

ソーシャルサポートは文化圏によって現れ方が変わってきます。

アジア系

多くのアジアの文化では、人は社会の集合的な単位であると見なされています。そのため、社会的が相互依存しており、自分の個人的な悩みを打ち明けられないなど、助けを求めない傾向があります。

日本では行間を読む、配慮、思いやりなどが尊重される文化です。それらの価値観が影響して、”個人が助けを求める”のではなく、”周りが察して”て助けてあげるというサポート様式が求められるのです。

ヨーロッパ系

西洋の文化は個人主義的であり、自分の悩みを打ち明け、相手に助けを求めることができます。その助けを求める行為の総称として、ソーシャルサポートを概念化しています。

たとえば、ヨーロッパ系アメリカ人は、ストレスが多い場合、アジア系アメリカ人・アジア人よりも、頻繁にソーシャルサポートや社会的なつながりを求めることがわかっています。

ソーシャルサポートにおける上記の違いは、異なる文化的考えに根差していると言えるでしょう。またこうした違いは、道具的サポートよりも感情的サポートの方が強いと考えられています。

 

関連コラム

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以下のコラムではソーシャルサポートを実際のもらための方法を解説しています。実践的な理解を深めたい方は参照ください。

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ダイコミュ用語集監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
・NHK 天才テレビ君出演
・マイナビ出版 嫌われる覚悟
Youtubeチャンネル

【出典】

恩田 彰,伊藤 隆二(1999)臨床心理学辞典 八千代出版

今村,関山(2017)中学生におけるストレス反応の検討 : レジリエンスおよびソーシャルサポートとの関連
鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要26,163-172

福岡(2018) ソーシャルスキルと知覚されたサポート,実行されたサポートが大学生の孤独感と抑うつに及ぼす影響 : 短期縦断的研究 27(2), 303-312

丹羽 郁夫(2015) ジェラルド・キャプランのメンタルヘルス・コンサルテーションの概観
コミュニティ心理学研究,第18巻2号,160-174

House,j.s(1981) Work stress and social support. Reading,MA:Addison Wesley.

“FAQ”. worldhappiness.report.