シャイの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「シャイ」について解説していきます。

シャイ,意味

目次は以下の通りです。

①シャイとは何か
②恐怖型シャイネス
③自意識型シャイネス
④関連する研究
⑤遺伝的影響
⑥関連コラム

是非最後までご一読ください。

①シャイとは何か

意味

社会心理学においてシャイは以下のように定義付けられています。

特に未知の人とのかかわりを予期したときに生じる緊張や不安を意味する。行動が回避的、抑制的になる。
*岸本(1994)を一般向けに改訂

初対面、面接、接客など、私たちは社会に出ると様々な新しい人と出会うことになります。この時シャイな性格があると、緊張しやすく、また回避的な行動がみられるのです。

歴史

シャイに関する研究は、日本の研究が最も古いと言われています。1920年前後、森田療法の創始者である、森田正馬は、対人恐怖症を抱える患者の治療にあたっていました。その過程で、人間関係における不安な心理を研究したのです。当初は日本人特有の心理と考えられていました。

1970年代になると、シャイな人は、どの国にも一定数いることがわかり、研究が盛んになってきました。そして1980年代には社会恐怖という診断名がアメリカ精神医学会で正式に採用されました。現在ではシャイに関する研究は世界的なものとなっています。

 

②恐怖型シャイネス

心理学の研究において、シャイには恐怖型と自意識型の2つがあるとされています。まずは恐怖型について解説していきます。

恐怖型のシャイネスとは

恐怖型は幼少期から見られる、面識のない人との間に体験される不安反応です。以下は一例です。

子どもがお母さんの後ろに隠れる
小さな頃から人見知りだった
幼い頃から警戒心が強かった

このように、小さな頃に見られる人見知りは、恐怖型のシャイネスと考えられます。

恐怖型は幼少期からはじまる

日比野(1977)は、満10ヶ月の乳児43名を対象に、人見知りについて調査を行いました。その結果、人見知りが激しい乳児は15人で、人見知りが中程度みられる乳児は、19人と言う結果になりました。すなわち約80%が生後10カ月の時点で、人見知りを経験することがわかります。

この意味で恐怖シャイネスは、幼少期からはじまると言えますが、大人になってもある程度は残るとされています。例えば知らない人と話すときに、かなり警戒心が強い方は、恐怖シャイネスが強いと言えます。

 

③自意識型シャイネス

自意識型のシャイネスとは

自意識型は、周りの視線が気になる心性から起こるシャイネスです。以下は一例です。

好きな人ほどうまく話せない
目立つ場面が苦手である
面接など評価される場面でドキドキする
人前で話せる自信がない

このように自意識型は、他人からの評価が気になる、公の場や目立ってしまう状況で体験されます。

 

自意識型は10代前半からはじまる

自意識シャイネスは10代から急激に増えてきます。幼少期は社交的だったのに、10代になったとたん人見知りになってしまう方は、自意識シャイネスが活性化していると考えられます。ここで、以下の図をご覧ください。

社交不安障害

図1. 社交不安障害の発症年齢(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアルより、一部改変)

上図は社交不安症を発症した人の多くが、10~15歳に集中していることを意味しています。これは思春期に自意識シャイネスが活発になることが1因と考えられます。

補足になりますが、社交不安障害は、発症してから治療をするまでにかなりのタイムラグがあることがわかっています。発症してから10年以上たってから医療機関を訪れるとしている研究もあります。このような相談の遅延が症状を悪化させる要因にもなると言えます。

 

④関連する研究

男性は劣等感を覚えやすい

石田(1998年)は、大学に入学してから8か月経過した新入生を対象に人見知りに関する研究を行いました。まずは女性のテスト結果から見ていきましょう。

人見知り 比較

女性の場合、シャイな人とシャイでない人との図は小さな差になっています。つまり女性にとってシャイ傾向は、相手を好きになったり、好かれたりといったことにあまり影響しないと言えます。一方、男性の場合はどうでしょうか。男性の結果は以下の通りです。

シャイな男性親密性のテスト結果

男性の場合、シャイな人とシャイでない人とに大きな差が出ていることが分かります。男性は好かれたり、好きになったりする場合に、シャイ傾向が重要な基準となるのです。

ここからは筆者の推測となりますが、こうした男女差は、文化的な違いも大きく影響していると考えられます。女性の場合は人見知りは奥ゆかしさや、かわいらしさとして見られることがあります。一方で、男性の場合は、自信がないとみられてしまうこともあります。このような文化的なとらえ方が劣等感に結びついて、対人関係での自信のなさにつながっている側面がありそうです。

周囲を気にすると不安になる

キム(2005)は、522名を対象に「公的自己意識がメンタルへルスにどんな影響を与えるか」について調査を行っています。公的自己意識とは、自意識シャイネスと近い概念で、周囲からの視線に意識が向いてしまうこと意味します。研究結果の一部が下図となります。

対人不安と公的自己意識

上記の図のように、公的自己意識は対人不安に影響することがわかりました。ここからは推測となりますが、ほぼ同じ概念である自意識シャイネスは対人不安につながると言えます。

 

⑤遺伝的影響

センら(2004)は、日本とアメリカの人たちの遺伝子について調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

遺伝子と人見知り

SS・SL型とは、緊張や不安を覚えやすいタイプを意味します。LL型とは、楽観的でリラックスしやすいタイプを意味します。上図を見ると、日本はSS型とSL型に分類される人の割合が多いことがわかります。この割合は世界でも最高水準に位置づけられることが、多くの研究や調査で示されています。すなわち私たち日本人は先天的にシャイになりやすいと言えるのかもしれません。

 

⑥関連コラム

人見知りを治す方法

当コラムではシャイの意味や研究を紹介してきました。実践的にシャイを改善したい方は以下のコラムを参考にしてみてください。緊張をほぐす方法や、楽しく会話をする手法を紹介しています。

シャイな性格を治す方法

シャイ傾向診断

筆者はシャイの傾向を簡易的に診断できるシステムを作りました。客観的にシャイの強さを把握したい方は以下の簡易診断を参照ください。

シャイ診断

 

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コミュニケーション講座

監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

 

*出典・参考文献
・Buss, A. H. (1984). A conception of shyness. Avoiding communication: Shyness, reticence, and communication apprehension, 39-49.
・Eggum
Wilkens, N. D., Lemery Chalfant, K., Aksan, N., & Goldsmith, H. H. (2015). Self conscious shyness: Growth during toddlerhood, strong role of genetics, and no prediction from fearful shyness. Infancy, 20(2), 160-188.
対人恐怖心性尺度の作成 堀井, 俊章 小川, 捷之 上智大学心理学年報 1996
石田靖彦 (1998) 「友人関係の親密化に及ぼすシャイネスの影響と孤独感」. 社会心理学研究 , 14 (1) , 43-52.

対人相互作用の予期における私的シャイと公的シャイサブタイプの差異 岸本 陽一 近畿大学文芸学部文化学科心理学 文学・芸術・文化 20(1), 116-98, 2008-09 近畿大学文芸学部