ネガティブ反芻の意味
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ネガティブ反芻」について解説していきます。
目次は以下の通りです。
①ネガティブ反芻とは何か
②反応モデル
③ネガティブ反芻研究
④治し方、対策
是非最後までご一読ください。
①ネガティブ反芻とは何か
由来
反芻とは、牛や羊などにみられる食行動です。一度飲みこんだ食物を再び口中にもどし、よくかんでからまた飲みこむことを意味します。ネガティブ反芻は、「何度も食べる」という行為を比喩として、使用されるようになりました。
意味
ネガティブ反芻は心理学では以下の意味で使われます。
嫌な出来事や、失敗した出来事を何度も繰り返し考え続けること
例えば、
・仕事でミスをしたことを何度も思いだす
・悪口を言われた瞬間を頭の中で繰り返す
・失恋の記憶を何度も思いだす
・受験の失敗を頭の中で何度も思い出す
などがあてはまります。
②反応モデル
うつ病研究で有名なHoeksema(1991)はネガティブな事象が起こった際には、2つの反応があるとしています。
考え込み型反応
ruminative responses
考え込み型反応は、ネガティブ反芻とほぼ同じ意味で、抑うつ感があるときに、その原因や症状に意識を向け続けることを意味します。考え込み型は、抑うつ症状を持続させ、悪化させる傾向があるとされています。一方で充分自分と向き合うことで、問題と真摯に向き合い、新しい気づきを得られることもあります。臨床上は、安全な環境のもと、抑うつ感の原因をしっかり考える認知療法などが行われます。
気晴らし型反応
distractive responses
気晴らし型反応は、抑うつ感があるときに、抑うつ気分から注意をそらすような意識の向け方を意味します。気晴らし型は抑うつを短く、軽くする効果があるとされています。特に、症状が重たい場合、あえて自分と向き合わず、休息をとる必要もあります。その際は以下のような気晴らし型が推奨されるケースもあります。
③ネガティブ反芻研究
神谷・幸田(2016)は、大学生377名を対象に、ネガティブ反芻の心理的な影響について研究しました。以下の図は、論文を一部改変して作成した図です。
上図は、過去現在否定的と自己否定が、ネガティブ反すうや将来否定を高め、その結果、抑うつ気分も強くなることを意味しています。いきすぎた自己否定や、過去や現在をネガティブに捉えている場合は注意が必要です。
④治し方、対策
思考停止法
ネガティブ反芻を改善する代表的な手法ととしては、思考停止法があります。思考停止法は、反すうがはじまったら、「ネガティブやめ!!」など合図をして、輪ゴムなどで手をはじき、切り替える手法です。具体的なやり方を把握したい方は以下のコラムを参考にしてみてください。
メタ認知法
自分の状況を客観的に把握できない方は、気がつくとネガティブな考えがぐるぐる頭を回ってしまうことがあります。改善をするには、自分を客観視するメタ認知力トレーニングがおすすめです。冷静さを失いやすい方は参考にしてみてください。
心理学講座のお知らせ
公認心理師の元で、心理学の学習を直接したい方は、私たちが開催している講座をオススメしています。講座では
・心理療法の学習
・ネガティブ反芻を予防する方法
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監修
・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
・Youtubeチャンネル
ダイコミュ用語集監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→

名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
神谷 慶 幸田るみ子 2016 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連
Mindfulness and Symptoms of Depression and Anxiety in the General Population: The Mediating Roles of Worry, Rumination, Reappraisal and Suppression
Fabrice B. R. Parmentier1,2,3*, Mauro García-Toro1,2, Javier García-Campayo4, Aina M. Yañez2,5, Pilar Andrés1,2 and Margalida Gili1,2
Nolen-Hoeksema, S., & Morrow, J. (1991). A prospective study of depression and posttraumatic stress symptoms after a natural disaster: The 1989 Loma Prieta earthquake. Journal of Personality and Social Psychology