昇華の意味とは

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「昇華」について解説していきます。

昇華の意味とは,丑蟻様作成

目次は以下の通りです。

①昇華の意味とは
②昇華の意義の発展
③昇華と防衛機制
④関連コラム

是非最後までご一読ください。

①昇華の意味とは

意味

昇華は心理学辞典(1999)で、以下のように定義されています。

性的欲求や攻撃欲求など社会的に許容されない本能的な欲求を容認可能な行動に変容して充足させること。つまり,昇華は,置き換えを基本とする機制である。他の機制とは異なり,欲求は抑圧されることなく,現実に取り組むエネルギーとなる。

つまり、社会的に好ましくない欲求を、多くの人に認められる欲求に変容して、物事に取り組むエネルギーとすることを意味します。

具体例

具体的には以下のような例が挙げられます。

怒りっぽい性格をスポーツで闘争本能として活かす
いじめられた体験を元に福祉職に就く
失恋した心の痛みを小説を書く際に活かす
社会に対する不満を歌詞にして発信する

このように昇華はそのまま吐き出すとネガテイブな結果になるものを、うまくコントロールして前向きな活動に活かしていくことになります。

 

②昇華の意義の発展

フロイトと昇華

昇華の概念を心理学ではじめに提唱したのは精神分析療法を作ったフロイトです。フロイトが生きた時代は文化的に性的エネルギーは抑圧されがちでした。フロイトは性的なエネルギーは無意識に歪んだ価値で溜まり、うまく解消しないと心の問題につながると考えました。一方で、抑圧された性的エネルギーは、芸術や文化的な活動として前向きに活かすことができると考えました。

昇華の意味の発展

その後、フロイトの娘であるアンナフロイトが、様々な防衛機制の1つとして昇華を分類しました。現在では、性的エネルギーに限らず、心理的な問題を前向きに活かすという意味で広く使われるようになっています。

例えば、現実の生活における失恋の経験を、小説を書く際の参考にしたり、災害にあった辛い気持ちをバネに人一倍仕事を頑張るなどが挙げられます。

 

③昇華と防衛機制

昇華は防衛機制の1つに含まれます。防衛機制とは受け入れらない現実に直面したときに、その不安を和らげようとする無意識の心理的なメカニズムのことです。

昇華は防衛機制の中でも高次な防衛機制とされています。精神科医のVaillantは、防衛機制をレベル1からレベル4まであるとされています。下記の図のように「昇華」はレベル4の「成熟した防衛」に分類されます。昇華を上手く活用していくと、攻撃性や自己否定的な気持ちを前向きな力に変えることができます。

劣等感

 

④関連コラム

防衛機制

今回は防衛機制の1つとして昇華を紹介しました。防衛機制には先程挙げたように様々な種類があります。理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

防衛機制とは何か

 

防衛機制

昇華の概念については、防衛機制動画で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。

 

心理学講座のお知らせ

公認心理師の元で、心理学の学習を直接したい方は、私たちが開催している講座をオススメしています。講座では

・心理療法の学習
・認知療法の学習
・アサーション
・ストレスコーピング理論

などたくさん学習していきます。筆者も講師をしています。皆さまのご来場をお待ちしています。↓興味がある方は下記のお知らせをクリック♪↓

コミュニケーション能力,教室

ダイコミュ用語集監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
Twitter→
元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣